概要・あらすじ
伊東真朝は転校した学校で、両親の離婚で生き別れになった三つ子天巡宇・天巡宙・天巡空と再会した。ところが、真朝が拾われっ子だと明かされる。ショックを受けつつも、恋ができると喜ぶ。真朝と空の距離が縮まる中、宇も真朝への思いを募らせていく。宇がひょんなことから知り合った青羽小夜は同じ高校に転校してきて空にアタックを開始。
登場人物・キャラクター
伊東 真朝 (いとう まあさ)
やや太めの女の子。まっすぐ眉の上できり揃えた前髪でオデコピカピカ。母似のロングウェーブヘアだったが、転倒してペンキで汚しショートヘアに。母・伊東真昼と二人暮らしだった。明るく元気溌剌だが、一人になると孤独感に凹む。転校した中学校のクラスメイトとして出合った天巡宇、天巡宙、天巡空の三つ子が、両親の離婚によって離れて暮らしていた家族だと知る。 恋愛対象にならないことを残念に思っていたところ、実は自分が拾われた子供だと知ってショックを受けつつも、恋愛対象になることを喜んでいた。拾われたのが、三つ子の誕生前だったので少し姉と確定。両親の復縁作戦は失敗続きだったが、真朝たちの騒動から条件付きで再婚へと動きだす。 空と好き合っていたが、お互いに正直になれず関係がこじれ青羽小夜の境遇を理由に別れて宇とつきあい始める。その後、実の父青羽からひきとりたいと申し出を受けるなど、混乱が続いた。それでも空への気持ちは変わらず、ついに告白に至り、とうとう家族の揃う大切な場所ピカピカ・ヒルを手に入れる。
天巡 宇 (あまめぐり ひろし)
短いストレートヘアの少年。伊東真朝、天巡宙、天巡空との4姉弟の長男。兄弟の中で一番出来がよく、冷静で理知的だが、屈折したプライドが高く素直になれない。低血圧でたいへんな高所恐怖症。真朝のことが好きだが、当初はイジワルばかりしてしまう。空と仲違いした真朝と付き合うようになったが、真朝が無理をしていることを読みとってしまい悩む。 真朝に本心を明かすように迫り、押し倒して口を割らせて関係を清算。大学合格のご褒美としてもらった権利で真朝の首筋に本気キス。大学は少し遠くのK大で、進学後は下宿。自由な空に対するコンプレックスがあった。
天巡 宙 (あまめぐり ひろし)
ふわっとした髪をやや長くしている少年。伊東真朝、天巡天、天巡空との4姉弟の二男。3人の調整役としてバランスに優れ、女の子にもサービス心旺盛。宇の真朝への気持ちに早くから気づいていた。青羽小夜の気持ちを理解をし、猛烈にアタック。わりといい関係になっている。空と同じ県内の大学の学部違いに進学後、大学近くに下宿する。
天巡 空 (あまめぐり ひろし)
黒髪のショートヘアの少年。伊東真朝、天巡宇、天巡宙との4姉弟の三男。変わり者と評判で、思いつくままに行動する。自然の中で暮らしたいと思っている。真朝が好きで真朝のためには全力で町中を駆け回る。自転車で海に行く途中に転倒して倒れていたところを助けられた青羽小夜に気に入られ、キスをされる。 その後、同じ高校に転校してきた小夜に猛アタックされる。はずみで小夜の額に傷をつけたことで関係は泥沼化。真朝からただの兄弟になろうと宣言される。失意の中、受験勉強に専念したが、無理をしすぎて暴発して真朝を追って駅のガラスを砕いて流血。その後、真朝と仲直りし、ようやく恋の告白をした。 宙と同じ県内の大学の学部違いに進学後、大学近くに下宿する。
伊東 真昼 (いとう まひる)
ロングウェーブの髪の女性。出版社勤務。育児雑誌「月刊うばうば」の編集者。天巡天との間に3児をもうけ、養女も引き取っていたが離婚して、現在は伊東真朝と二人暮らし。誤解から離婚してしまったが、寝言で口にするほど天のことを思い続けている。三つ子が全員「ひろし」なのも、「ひろし」と口に出すときめきを常に味わいたいからだった。 家事はまったくダメで、天との離婚の際、子供たちがどちらについていくか決めるときに、天の料理がマズイの指摘で男兄弟が天についていった過去がある。引っ越し魔のため、幼いころの三つ子が家を探したときも転居後だった。天に出した再婚の条件は、真朝たちの合同誕生パーティーへの参加と千日間毎日違う花(造花可)のプレゼント。
天巡 天 (あまめぐり ひろし)
筋肉質の肉体に赤く染めた髭面でサングラスを愛用している男。業界では注目の手芸作家で、本人のゴツいイメージと異なるカワイイ作品が得意。手芸界では権威のある「自由創作ふとんカバー大会」で最高の金の針賞を初出品で受賞した経歴がある。雑誌の取材で伊東真昼と知り合い、熱愛の末に結婚。 4児の父となったが、手芸教室の生徒(人妻)の作品を見るために自宅に呼ばれたことで浮気を疑われて離婚。息子たちから母親の居場所を尋ねられ、イースト・ピカピカ・ヒルにいると答えた。息子たちには時に厳しく、いつもは放任で育てている。ただし、娘には無条件で甘い。イルゲ・ママは苗字の天巡「AMAMEGURI」を逆から読んだもの。
月森 かおり (つきもり かおり)
黒髪を両お下げにしている丸顔の女の子。伊東真朝の中学校でのクラスメイト。同じマンションメゾン・ド・駅前に暮らしている。童話作家を目指していて、真朝と三つ子をモデルにした物語も書いたことがある。高校は真朝と別の女子校に通っているが、真朝とはたまに合っている。 高校進学後、投稿作が評価されず重度のスランプに陥っていたが真朝の後押しで再起。後日、人気作家になったという。
日下 優 (くさか すぐる)
髪を真ん中分けにした三白眼の男性。細身でオシャレ。売上が伸び悩んでいる「月刊うばうば」にやってきた敏腕編集長。伊東真昼に早くから目をつけ、花束のプレゼントや豪華ディナーなどで強引なアプローチをする。両親と行かず後家の姉2人から、早く身を固めるように急かされているためだった。伊東真朝が天巡天を呼ぶなどの大奮戦の末に撃退される。 実は子供嫌い。
すずちゃん
つむじのあたりで三つ編みにしている、長身で吊り眼の女子。伊東真朝の高校での友人。真朝のちょっとした変化にも気づく。
晴子 (はるこ)
ショートボブでメガネをかけた太めの女子。伊東真朝の高校での友人。ダイエットの鉄人だが、成功したことはない。
青羽 小夜 (あおば さよ)
長いストレートの黒髪で吊り眼の少女。5歳のときに青羽家に引き取られた養女。お嬢様らしくおしとやかな面と、凶悪なイジワル娘の面を使い分ける。自転車で転倒して倒れていた天巡空を助け、イジワルの果てにキスをする。その後同じ高校に転校し、伊東真朝に対抗して空にアプローチ。ただ、あまりにお人好しな性格の真朝とは次第に親密になっていく。 さらに、真朝が青羽の実の娘である可能性が出てきたことで、養女同士で共感できていた真朝が疎ましくなった。自分の居場所を守ろうと空に強引につきまとう。空の気持ちは向けられることはなかったが、気持ちを推し量って世話を焼いてくれる天巡宙に救われる。 自分だけの父でいてほしい、と父に告げたことで、ようやく回復。
青羽 (あおば)
オールバックの白髪で優しそうな顔をした中年男性。会社社長。親のあつらえた縁談で結婚したが、深窓の令嬢だった妻は結婚に疑問を持ち、結婚前に別の男性と一夜を過ごしたことがある。好人物だった夫への罪悪感から妻は出産後に錯乱し、赤ん坊を捨ててきてしまった。両親の反対を押し切り、手を尽くして捜索したが見つからず、5年後に遠縁で両親を亡くした青羽小夜を養女に迎えた。 その5年後、妻と死別。誕生日プレゼントを渡したときに見せる小夜の笑顔がいつも同じことに気づく繊細な人物。忙しくてあまり会えない小夜のことを案じている。伊東真朝が実の娘と分かり、正式な鑑定の後に引き取りたいと申し出る。会社は妻の実家のもので、傾きかけていたところを再建した腕利きの経営者。
野々原 麗 (ののはら うらら)
頬のこけたガイコツっぽい顔の男性。ときどき少女小説も書く、美少女イラストレーター。綿菓子色のペンの持ち主と呼ばれる。山中のアトリエで仕事をしていて、別荘に来ていた青羽小夜の寝顔にインスピレーションを感じ、イラストのモデルに使っていた。妻子を溺愛していて、ちょっとしたことで動転してしまう。 娘の野々原姫と息子の野々原若をモチーフにした童話や絵本も描き始めた。月森かおりが愛情溢れる内容に憧れる。
その他キーワード
ピカピカ・ヒル (ぴかぴかひる)
『朝からピカ☆ピカ』の用語。天巡天が幼い三つ子たちから母親の所在を聞かれてイースト・ピカピカ・ヒルにいる、と答えたことが原点。天巡空が自分の居場所として夢見る場所をピカピカ・ヒルと呼ぶ。伊東真朝も感化され、大切な人のいる大切な場所をピカピカ・ヒルと認識。