香りで異性を引き付ける「花人」
男子に相手にされない、地味な少女の山田ももは、祖母を亡くして天涯孤独になってしまう。ひょんなことから、若王子蘭丸の家の住み込みメイドとなったももは、蘭丸の手によって美しい花のような少女に大変身を遂げた。そして、不思議な花の香りを持つ蘭丸と過ごすうちに、もも自身も強い花の香りを発するようになっていく。じつは、蘭丸やももはその香りで異性を引き付ける「花人」と呼ばれる存在だった。特にももは、数百年に一度しか現れない、幻の香りを持った「純系花人」であることが判明し、世界中の花人男性たちによる、もも争奪戦が繰り広げられることになる。
非モテ女子が、花のような美少女に変身
ももは、お下げ髪にメガネという真面目な女子高生。好きな男子に勇気を振り絞って誕生日プレゼントを渡しても、まったく相手にされない地味系女子である。しかし、蘭丸によって巨乳美少女に大変身してから人生が一転。さらに純系花人として開花した後は、自分を振った相手や人気アイドル・花音、大財閥の御曹司・花神百合矢など、次から次へとイケメン男子に迫られる。ももと両思いになった蘭丸は、彼女に近寄る男性を退けようとするが、なかなかうまくいかない。非モテ女子だったももが美しい花となり、逆ハーレム状態になっていく展開が本作の魅力である。
花の香りがする少女が主人公のSFエロ
文庫版の1巻巻末に収録されている、作者自身の解説まんがによると、本作のジャンルはSFであり「哺乳類ではなく、植物が進化してヒトになったら」というのが企画の発端だという。また、「花人」は、北欧神話に登場する「世界樹」に咲く花をイメージしており、世界樹(生命体としての地球)の意志をダイレクトに反映する存在として描かれている。さらに、花は植物の生殖器であるという視点から、「エロ」要素がふんだんに盛り込まれているのが、本作の大きな特徴である。ただし、あくまで女の子向けの漫画なので、直接的な表現を描かずに、どこまでエロが描けるのかという実験作でもあったという。
登場人物・キャラクター
山田 もも (やまだ もも)
名門・桜花学院高校1年生の女子。祖母を亡くした後は、祖母の弟子だったという、有名デザイナー・若王子エリカ宅の住み込みメイドになる。エリカの息子・若王子蘭丸の手により、お下げ髪とメガネの真面目少女から、ショートカットの美少女に変身した。「花人」である蘭丸や咲間先輩の香りに刺激を受けて初潮を迎え、自身も花人として開花していく。行方不明の母同様、幻の香りを持つ「純系花人」であり、傷を治癒する力を持つ。蘭丸からは「ももりん」の愛称で呼ばれている。
若王子 蘭丸 (わかおうじ らんまる)
長い金髪が特徴のイケメン男性。異性を引き付ける香りを放つ「花人」である。有名デザイナーの母・エリカ、弟・サクラと暮らす。若王子家の住み込みメイドになった山田ももに好意を抱き、ももを美少女に変身させた。その後、もものクラスに転入してクラスメートになる。なお、高校を2年休学しているため、18歳であり普通自動車免許を所有している。もものことを「ももりん」と呼ぶ。
花音 (かのん)
大人気の少年アイドル。生まれる前に蒸発した父を捜すため、芸能人になった。異性を引き付ける香りを放つ「花人」である。山田ももの修学旅行先で偶然出会い、知り合いになる。その後、本気でもものことを好きになり、CM撮影のロケにももを呼び出し、キスの相手役に抜擢した。
花神 百合矢 (かがみ ゆりや)
日本有数の大財閥・花神グループの後継者。サラサラの黒髪が特徴の美青年。異性を引き付ける香りを放つ「花人」である。父は山田ももの元婚約者。ももが「純系花人」であることを知っており、手下を使ってももを誘拐、強引に花嫁にしようとした。