あらすじ
初夜リトライ
フリーランスでアプリ開発事業をしている佐伯育馬は、最近幼なじみの佐伯澄花と結婚し、新婚生活を送っていた。しかし、夫婦になった今でもセックスの経験がなく、ひそかに焦っていた。そんなある日、育馬は突如澄花にせまられる。澄花は高校で養護教諭をしているのだが、先日生徒から性の悩みについて相談されていた。しかし自分にセックスの経験がないため、うまく相談に乗れずに育馬にせまったのだった。だが、澄花のせまり方はあまりにもムードがなく、育馬は思わず拒否してしまう。おまけに澄花からは経験が少ないことをからかわれ、二人はケンカに発展してしまう。そんな中、二人はいっしょに買い物に行くが、そこで澄花の学校の女子生徒と偶然出会ったことで、意外な事実が判明する。実は、相談をしていたのは女子生徒だけではなく、澄花も育馬との関係を相談していたのだった。これを知った育馬は澄花と仲直りし、その夜二人はいいムードとなるが、眼鏡を外した育馬を見た途端、澄花は逃げ出してしまう。これまでセックスがうまくいかなかったのは、眼鏡を外した育馬を澄花が直視できないほどにメロメロで、目が合うと非常に照れてしまうからだった。
しっぽり温泉旅行
佐伯育馬は、これまで佐伯澄花とのセックスがうまくいかなかった理由を知り、少し安心すると共に、今後は焦らずに関係を築いていこうと決意。しかし、ロマンチストでムードを重視する育馬と、なんでもストレートに表現するのがいいと考える澄花ではなかなかうまくいかず、ようやくいい雰囲気になっても、育馬が日頃の疲労で眠ってしまうことが多い。そこで二人は、自宅を温泉旅館に見立て、出前で豪華な食事を注文することで温泉旅行ごっこをすることにする。こうして二人は温泉浴衣を着て過ごし、いっしょにお風呂に入ったりしていい雰囲気になるが、そこで誤ってシャワーを出してしまい、冷たい水を浴びた二人はセックスどころではなくムードも台無しになってしまう。結局いつものように、この日もセックスできずに終わるのだった。
永遠に誓う夜
ある日、佐伯育馬は佐伯澄花の忘れ物を届けるために、澄花が働く高校まで出向く。そこは女子校のため育馬は珍しがられて女子生徒たちに囲まれるが、この状況に嫉妬した澄花は、育馬は自分の夫なのであまり近づきすぎないようにと、女子生徒たちに注意する姿に、育馬は澄花が嫉妬してくれたことに喜ぶのだった。そんな中、育馬と澄花は友人の結婚式に参列した帰り、酔った勢いで澄花の指輪を購入する。思わぬプレゼントに喜ぶ澄花の姿に育馬は、帰宅後勢いで澄花を押し倒し彼女を愛撫(あいぶ)するが、澄花は色々なことがありすぎて疲れてしまい、この日もいつものように二人のセックスは未遂に終わるのだった。
本番トレーニング
ある日、納品明けの佐伯育馬は、そのまま佐伯澄花と待ち合わせ場所であるバーに向かった。しかし、あまりにもラフな服装だったことから、ほかの客に澄花の兄弟だとカンちがいされ、バーのマスターにも、服装に気を遣わなさすぎることを注意されてしまう。これを反省した育馬は、帰り道で澄花と距離を置いて歩こうとするが、澄花は、今日育馬が服装に気を遣えなかったのは仕事で忙しかったからであり、そんな日に出かける約束をした自分にも落ち度があると反省していた。また、先日の結婚式のように、しかるべき場では正しい身だしなみができることを理解しているので、まったく問題ないと育馬を優しく励ますのだった。これによって育馬は、さらに澄花ヘの愛情を深めるのだった。しかし、それでもなお二人はセックスすることができず、業を煮やした育馬は、ついに眼鏡をかけていない時に澄花に接することを決意。こうして慣れさせれば澄花もそのうち緊張しなくなるのではないかと考えるが、この発想自体はよかったものの、澄花は今日も緊張してしまい、セックスは未遂に終わる。
夫婦ゲンカ
ある日、佐伯育馬と佐伯澄花の家に、澄花の友人、藤島環が遊びにやって来た。環は非常にしっかりした女性で、今日も過去に伝えた、育馬の食の好みをちゃんと把握したうえでお土産(みやげ)を持ってきてくれていた。そんな環を育馬はほめちぎるが、この言葉に嫉妬した澄花は育馬とケンカに発展しそうになる。しかし最終的に二人は、いかにお互いを好きか競い合う状況になり、自分を邪魔者だと判断した環は、そっと二人の家をあとにするのだった。
雨に濡れたふたり
仕事で忙しく、仕事場にこもりきりになっている佐伯育馬は、佐伯澄花に着替えを届けに来てもらうことになった。しかしその前に食事をした二人は、仕事場に着くまでにすっかり雨に濡れてしまう。このまま澄花を帰せないと考えた育馬は、仕事場に澄花を招き、自分の服を着替えの服として手渡す。これによって気分が高まった二人は、セックスには至らなかったものの、お互いに愛撫し合って仲を一層深めるのだった。
先生なのに
ある日、佐伯育馬は友人の上原将臣と飲んでいる際に夫婦生活についてを聞かれ、焦っていた。佐伯澄花とは相変わらず良好な関係を続けていたが、最近は澄花から強引に誘ってくることもなくなり、育馬は自分に魅力がなくなってしまったのではないかと心配していたのだ。そこで育馬は、この悩みを率直に澄花にぶつけるが、意外な事実が判明する。二人はまだセックスこそしていなかったが、お互いに愛撫し合って気持ちよくなることが増えていた。そのため澄花は、現在の関係に満足しており、無理やりせまることがなくなっていたのだ。これを知った育馬は安心するが、澄花は自分の言葉が足りないせいで、育馬を不安にさせたことを申し訳なく思っていた。そこで澄花は、もっと育馬が素直に気持ちを表現できるように、今日は養護教諭の格好をして育馬の相談に乗ることを決意。しかし、その姿に興奮した育馬はこらえきれずに澄花にせまるが、気持ちが高ぶりすぎた育馬は一人で達してしまい、この日もセックスできずに終わるのだった。
人生最大の幸運
佐伯育馬と佐伯澄花は、人気歌手の矢吹杏の引退コンサートに当選する。当日、澄花は自分がチケットを持っていくから、会場で待ち合わせようと育馬に提案する。だが、ここでふと育馬は、なぜ澄花はこんなにもしっかりしているのだろうと不思議に思って聞いてみる。澄花は育馬の質問をはぐらかし、当日を迎えるのだった。しかしコンサート直前、澄花は学校でコンサート用の服装に着替えてから会場へ向かうが、荷物の中にチケットを置き忘れてきてしまう。澄花はチケットを忘れたことに気づきつつも、育馬に叱られるのではないかと思うあまり言い出せずにいた。そんな中、澄花は先日の育馬の質問を思い出す。澄花がしっかりした人間に育ったのは、厳しすぎる父親がいたからだったが、過去に父親に失敗を叱責されるたびに委縮していたことから、今回も育馬が父親のように怒り出すのではないかと思い、不安になっていたのだ。だが、育馬は澄花の様子がおかしいことに気づき、優しく澄花に問いかける。それからタクシーを使って澄花の学校まで移動し、無事にチケットを回収。そして育馬は澄花をいっさい怒らず、優しく励ますのだった。そんな育馬の人柄に感激した澄花は、育馬と結婚してよかったと改めて伝え、その夜二人はついに結ばれるのだった。
初夜の向こう側
矢吹杏のコンサートをきっかけに結ばれた佐伯育馬と佐伯澄花は、これまでとは一転して、毎日のようにセックスをする生活を送っていた。澄花はラブラブな毎日に照れつつも満たされた日々を送っていたが、ある日同僚の水谷から、このところミスが増えていることを指摘されてしまう。そこで澄花は規則正しい日常生活を送るため、今後のセックスは事前申請制にすることを育馬に提案。二人は以前のような生活に戻ることとなる。
我が家が一番
ある日、佐伯育馬と佐伯澄花の家に突然、育馬の2番目の妹、佐伯のり子が転がり込んで来た。現在のり子は仕事をしておらず、家にまったくお金を入れていない状況であるため、佐伯家では少々肩身が狭い思いをしていた。そして先日、ついに家族にこのことを指摘されてしまい、育馬の家に逃げて来たのだった。そんなだらしないのり子を育馬は追い出そうとするが、澄花は優しく彼女を受け入れたことで、次第にぐうたらなのり子のペースに飲まれていく。しかし、これをどうにか育馬が止めたことで澄花は元の生活環境に戻るが、そこに母親の佐伯薫子が、のり子を連れ戻しにやって来る。こうしてのり子は渋々実家に帰っていくが、その姿を見た澄花は、本当はのり子も、家族に迎えに来てほしかったのだろうと笑うのだった。
ハダカの付き合い
健康ランドに出かけた佐伯育馬と佐伯澄花は、偶然藤島環とその夫の藤島隼人に出会う。元ヤンキーの育馬は、警官の隼人につい委縮してしまうが、会話をする中でお互い子供の頃から妻に思いを寄せていたことを知り、大いに盛り上がるのだった。一方その頃、澄花と環はマッサージを満喫して友情を深めていた。
してくれない夫
ある日、佐伯育馬と買い物をしていた佐伯澄花は、学生時代の友人の菜々に偶然出会う。しかし澄花が近況報告をした際に、価値観の違う菜々は育馬のことを、結婚式も挙げてくれないケチな男性だと言い放ち、澄花は嫌な気分に陥る。その後、育馬と合流した澄花がこの話を伝えると、育馬は結婚式にあまり関心がなく、結婚式を挙げる資金があるのなら、それを生活費に回す方がいいと考えていたと語る。そして、菜々の言葉に怒っている様子の澄花が、実際は自分に同情していることを悟るのだった。そこで育馬は、自分たちのために結婚式を挙げるのはどうだろうかと、澄花に提案する。
一緒にいるために
佐伯育馬が独立前にお世話になった元上司の神山敬二が離婚した。育馬はこれにショックを受けつつも、さっそく敬二に会って離婚の理由を尋ねるが、それは単なる生活上のすれ違いなのだという。自分は結婚に向いていなかった、もう結婚も恋愛も懲り懲りだという敬二を、育馬は励ますのだった。
妻の父
ある日、佐伯育馬は佐伯澄花に苦手な人物はいるかと尋ねる。育馬はよく仕事上の人間関係の悩みを澄花に聞いてもらい、慰めてもらっているが、澄花からはなんの相談も受けていなかったからだった。そんな育馬の質問に、澄花は父親が苦手だと答える。育馬は澄花の父親に特に苦手意識はないものの、それは育馬がいい意味で彼の冷たい態度を気にしないからであり、澄花にとっては苦手な存在なのだという。育馬はこの言葉に少し驚きつつも、おそらく自分が澄花の父親に無意識に好意を抱いたのは、澄花に雰囲気が似ているからだったことに気づく。
略奪
夏のある日、佐伯育馬と佐伯澄花は共に軽井沢へ向かっていた。その途中で見つけた教会で、男女のモデルが実際の結婚式のように挙式を挙げる「模擬挙式」というイベントがあると知った二人は、後学のために参列を決意するが、新婦役のモデルがなかなかやって来ず、現場は混乱に陥っていた。そこでスタッフは、澄花の美貌を見込んで代理を頼むが、澄花はにべもなく断る。しかし育馬は、無料でドレスも着られるし、やってみてはどうだろうかと提案。澄花はその言葉に応じるものの、途端に不機嫌になってしまう。澄花は、たとえイベント上の模擬挙式であっても育馬以外の男性とは結婚式を挙げたくなかったのだが、育馬はこの気持ちを理解していなかったのである。その後、そんな澄花の思いをようやく察した育馬は、新郎役のモデルに頼み込んで自分が代わりにパートナーを務めることになり、二人は模擬挙式で仲直りする。
いつかの未来へ
佐伯家の長女、佐伯えみ子が妊娠し、結婚することになった。そしてえみ子は、結婚式の相談のために佐伯育馬と佐伯澄花の家まで遊びに来るが、えみ子は結婚を機に実家を出て、夫と新居に引っ越すのだという。それはえみ子曰(いわ)く、夫の家は狭く、プライベートな空間を持てないと、今後トラブルになることを恐れての結果なのだという。この報告を聞いた育馬と澄花は、自分たちも心当たりがあった。先日、育馬の仕事場のパソコンが不調になった際、育馬は自宅で仕事することになった。しかし、この時ちょうど澄花も学校の仕事があり、二人は1台しかない共用の作業机を巡って、少し揉(も)めてしまったのだ。この件もあり、二人は引っ越しを検討し始め、ほどなくして新居を決めるが、引っ越して家具も買い替えた直後、育馬の取引先が倒産。育馬は突如無収入になってしまう。
見守る妻
佐伯育馬は悩んだ末、友人の上原将臣が社長を務める会社に、当面のあいだアルバイトとして働くことになる。そこでデータ入力や事務仕事をこなしていた育馬だったが、次第に営業も手伝うようになり、働きながら人脈を広げていく。こうしてアルバイト期間が終わる頃には、育馬はこのアルバイトを通じて新規案件を獲得し、元の仕事に復帰を果たす。そんな中、佐伯えみ子の結婚式も無事に終わり、育馬と佐伯澄花の暮らしには平穏が戻るのだった。
同窓会
ある日、佐伯澄花は退職する恩師に会うため、高校の同窓会に参加することとなった。この同窓会は藤島環もいっしょに参加するのだが、ふだん派手な服装を好む環が今日は地味な格好をしており、澄花は不思議に思う。そこに在学中、となりのクラスだった松本が話しかけてくる。松本はつねに他者を見下し、誰に対しても何かにつけて嫌味を言う陰険な性格だった。しかし澄花のことは気に入っていたらしく、今日も親しげに近づいてきたのだ。そんな松本は、コミュニケーションを取ることが苦手な澄花に偉そうな態度を取るが、これをとなりで黙って聞いていた環がついに激怒。学生時代は地味で、あまり目立たない存在だった環の変貌ぶりに周囲は驚愕(きょうがく)する。
新居での変化
佐伯育馬と佐伯澄花は、新居での生活にも慣れきていたが、最近新たな問題が発生する。二人共に自室を手に入れたことで、寝室まで別になってしまったのだ。これを夫婦の性生活の危機と感じた育馬は、朝から澄花にせまる。澄花はこれを快く受け入れて二人はセックスするものの、そのせいで遅刻しそうになる。
友達の恋人
佐伯育馬は上原将臣から、恋人の生田優奈を紹介された。育馬は遊び人の将臣に恋人ができたことに驚くが、将臣のこれまでの行動を思うと、優奈が心配になってしまうのだった。それでもこの日は、三人で楽しく食事をして別れるが、将臣は優奈から同棲(どうせい)したいと言われて困っているという。将臣は自分の時間を大切にしたいタイプで、自宅の隅々に至るまで非常にこだわっている。そのため、人と住むことを想定していない現在の自宅で、優奈と過ごすことが想像できなかったのである。そんな中、佐伯澄花は階段から落ちそうになっていた優奈を、将臣の恋人とは知らずに助ける。これによって澄花の人柄に惹(ひ)かれた優奈は、現在恋人と同棲を始めたばかりだが、自分が無理やり話を進めたせいで、恋人が自分を嫌いになったかもしれないと、悩みを打ち明ける。そんな優奈に対して澄花は、もしかするとそれは優奈に疲れているのではなく、ほかに要因があるかもしれないので、まずは恋人とじっくり話し合った方がいいとアドバイスを送る。こうして優奈は将臣と話し合い、将臣が優奈を嫌っているわけではなく、人といっしょに暮らすことに疲れていることを知り、同棲を解消し、二人は別々に暮らしながら仲を深めていくことになる。その直後澄花は、優奈が将臣の恋人であったことを知り、再び縁ができた澄花と優奈は友人となる。
書初め
年末年始を家でゆっくり過ごした佐伯育馬と佐伯澄花は、自宅に藤島環と藤島隼人を招いて四人で食事をする。そこで四人はゲームをしたり、書初めをしたりして楽しく過ごすが、書初め中に環が妊娠していることをみんなに報告。初耳だった隼人は驚きつつも環を支えることを誓い、四人は新年早々おめでたい出来事に喜ぶのだった。
相談
仕事中の佐伯澄花のもとに、疲れた様子の水谷がやって来た。水谷は生徒への指導を行っただけなのに、その生徒の親に激怒され、理不尽な目に遭ったのだという。養護教諭の澄花は、これを他人事のように聞いていたが、水谷は澄花のもとにも相談に来る生徒は多いのだから、今後何があってもおかしくないと、釘(くぎ)を刺して去っていく。そんな中、澄花のもとに柴田藍華という生徒がよくやって来るようになる。彼女は現在動画制作に興味があり、卒業後は専門的に学べる学校に進みたいのだという。澄花は興味のあることを見つけた藍華を応援するが、これが藍華の父親の耳に入り、澄花は娘の担任でもないのに藍華の進路に口を出すいいかげんな教師だと叱責されてしまう。
味方になるよ
佐伯澄花は柴田藍華の父親に激怒されたうえ、今後藍華には自分の意向に従って大学へ進学するよう、澄花から藍華にアドバイスすることを命令されてしまう。これに納得できない澄花は、家でも暗い雰囲気をまとってしまうが、佐伯育馬と話すうちに、澄花自身も父親との確執から、ろくに自分の意見を伝えていなかったことに気づく。そこで澄花はまず父親に電話し、自分は結婚するまで父親の意向に従って生きてきたが、現在の暮らしには満足している。しかし、自分と父親の意見が同じだったとしても、自分の人生は自らで決めたかったと、今の気持ちを伝える。父親に自分の気持ちを伝えてすっきりした澄花は、藍華と藍華の父親との三者面談で、二人にはもっと話し合うように勧める。そして、藍華の父親には一方的な押し付けは、親子関係を壊す要因になるので控えた方がいいと、自分の経験も交えて伝えるのだった。この言葉に反省した藍華の父親は、以前よりも譲歩するようになり、親子の関係は少し改善されるのだった。
登場人物・キャラクター
佐伯 育馬 (さえき いくま)
フリーランスでアプリ開発事業を行なっている若い男性。黒の癖のあるショートヘアに眼鏡をかけており、眼鏡を外すと目つきが悪くなることを気にしている。やや頼りないところもあるが、おおらかで面倒見のよい性格で、妻の佐伯澄花から非常に愛されている。澄花とは幼なじみで、幼稚園の頃から思いを寄せていた。しかし、なかなか思いを伝えられなかったが、大人になってから両思いだと判明し、結婚した。だが、新婚生活を送る現在も澄花とまだセックスしておらず、いい雰囲気になってもなぜか澄花から拒否されている。そんなある日、実は澄花が眼鏡を外した時の自分のことが大好きで、セックスする時にその姿を見ると緊張しすぎてしまい、失敗を繰り返していたことが判明。その理由を知って安心しつつ、少しずつ澄花との関係を深めるために努力している。自宅とは別に仕事場を借りており、仕事は主にこの場所で行ない、忙しい時は自宅に帰れないこともある。多趣味でやや浪費癖があり、精神的にストレスが溜まるとすぐ買い物で発散してしまうため、あまり貯金はない。ラーメンやカップ麺が大好きで、新作のカップ麺が出るとつい買ってしまい、澄花には注意されている。妹が三人おり、実家に帰ると女子陣に囲まれて酷(ひど)い目に遭っている。実は元ヤンキーで怒らせると怖いが、警察官の藤島隼人に会うと無意識におびえてしまうことがある。
佐伯 澄花 (さえき すみか)
佐伯育馬の妻で、S女子高校で養護教諭を務める若い女性。銀色のストレートロングヘアにしている。巨乳でスタイル抜群の、クールビューティ。旧姓は「八乙女」。高校時代はツインテールの髪型で、大学時代はボブヘアにしており、いずれも今とは雰囲気が違っていた。つねに沈着冷静でやや表情に乏しく、なんでもストレートに言うことから少しとっつきにくい印象を与えるが、面倒見がよく心優しい性格の持ち主。そのため、生徒たちから非常に慕われているが、自分からコミュニケーションを取ることは苦手としている。学生時代から友人が少なく、藤島環は唯一の親友である。厳格な家に育ったお嬢様で、些細(ささい)なミスでも父親に厳しく叱責されながら育った。そのため、一見何事にも動じないように見えるが、失敗すると途端に委縮してしまうことから、失敗を報告できなくなるという欠点がある。育馬とは幼なじみで、育馬の度重なるアタックの末に結婚した。育馬のことが大好きで、特に彼の眼鏡を外した姿にメロメロで、眼鏡を外した育馬にせまられると途端に照れてしまう。S女子高校は母校でもあり、環とは当時クラスメートだった。食べることが大好きで、フードファイターとして取材を申し込まれたこともある。しかし料理は非常に苦手で、食パンは8割の確率で焦がしてしまう。お酒を飲むと冷静でいられなくなるため、あまり飲まないようにしているが、飲むと控え目な笑い上戸になる。ルームウェアにはこだわっており、100着程度所有している。
藤島 環 (ふじしま たまき)
佐伯澄花の友人の若い女性。黒のロングヘアに眼鏡をかけている。旧姓は「三森」。童顔のかわいらしい雰囲気を漂わせている。チャイナ服やアオザイなど、アジア系の派手な服装を好んでいるが、藤島環自身はあまり目立ちたくないため、夫の藤島隼人といっしょの時や澄花と会う時など、限られた場合にのみ身につけている。おっとりしたおとなしい性格ながら、危なっかしい一面のある澄花を、積極的にサポートしている。昔からいざという時は澄花に行動をうながしたり、澄花の代わりに怒ったりすることもある。夫の隼人とは小学校の頃からの幼なじみで、隼人のことが大好き。しかしお互いの性格から、現在もお互い敬語を使って会話している。
上原 将臣 (うえはら まさおみ)
佐伯育馬の友人の若い男性。若者向けの商品を販売する会社の社長を務めている。オレンジ色のショートヘアにしている。正直な性格の飾らない人物で、非常に欲望に忠実である。女性関係が非常に派手で、現在の会社を起業したのも、会社社長の父親の秘書を務めていた女性に手を出し、勘当されてしまったからである。それに加え、父親の会社から美女ばかりを引き抜いて自社の社員にしたため、自他共に認めるクズとして知られている。しかし、女性関係以外は基本的に敏腕で、仕事に関しては頼りになる。性の話題が大好きで積極的に育馬に話を振るが、その度に怒られている。
藤島 隼人 (ふじしま はやと)
警察官の若い男性。藤島環の夫でもある。ショートヘアに吊り目の涼しげな美形で、非常に寡黙なため、ややとっつきにくい印象を与える。環とは小学校の頃からの付き合いの幼なじみで、当時から環のことが大好き。しかしお互いの性格から、現在もお互い敬語を使って会話している。
佐伯 薫子 (さえき かおるこ)
佐伯育馬の母親。ベリーショートヘアにしている。非常に若々しく、気持ちはいつも40代でありたいと考えている。女手一つで四人の子供を育てた肝っ玉母さんで、育馬たちを大切に思っている。元レディースのため、怒ると非常に怖い。
佐伯 えみ子 (さえき えみこ)
佐伯育馬の妹。四人きょうだいの長女。堅実な性格のしっかり者で、ボブヘアにしている。ほかの妹同様に、顔立ちは母親似である。実家の居心地がいいために長らく実家暮らしをしていたが、恋人の子供を妊娠したのを機に家を出た。家族仲が非常によく、育馬が実家に帰って来ると歓喜する。
佐伯 のり子 (さえき のりこ)
佐伯育馬の妹。四人きょうだいの次女。マイペースな性格で、セミロングヘアにしている。ほかの姉妹同様に、顔立ちは母親似である。実家の居心地がいいために長らく実家暮らしをしていたが、ニート生活が長いため少々肩身が狭い思いをしていた。その後アルバイトを始めるが、人間関係が上手(うま)くいかずに辞めてしまう。家族仲が非常によく、育馬が実家に帰って来ると歓喜する。
佐伯 るみ子 (さえき のりこ)
佐伯育馬の妹。四人きょうだいの三女。クールな性格で、ショートヘアにしている。ほかの姉同様に、顔立ちは母親似である。寡黙でいつも一人で遊んでいるため、友人がいるかどうかは不明。家族仲が非常によく、育馬が実家に帰って来ると歓喜する。
生田 優奈 (いくた ゆうな)
上原将臣の恋人の若い女性。ショートカットにしたかわいらしい容姿をしている。人と垣根を作らない、親しみやすい性格の持ち主。将臣の奔放な過去を受け入れたうえで愛しており、同棲を始める。しかし、すぐに将臣が元気をなくしてしまい、自分を嫌になってしまったのではないかと悩むようになる。この問題の相談に乗ってくれた佐伯澄花と友人になる。
柴田 藍華 (しばた あいか)
S女子高校に通う女子。ふんわりとしたボブヘアの一部を三つ編みにしている。明るい性格で、かわいらしい顔立ちをしている。保健室に通う友人に付き添ううちに、佐伯澄花の人柄を知って心を開くようになった。将来は動画制作の道に進みたいと考えており、専門的に学べる学校に進学したいと考えている。しかし、自分の夢を澄花に話したことで、父親も巻き込んだトラブルに発展してしまう。
水谷 (みずたに)
佐伯澄花の同僚で、S女子高校の教師を務める若い女性。ショートヘアにしたかわいらしい顔立ちで、「恋愛マスター」を自称している。しかし恋愛の知識は、少女漫画や恋愛ドラマから得たものであり、自分の経験に基づくものではない。
書誌情報
未熟なふたりでございますが 18巻 講談社〈モーニング KC〉
第1巻
(2018-08-08発行、 978-4065122747)
第2巻
(2018-11-14発行、 978-4065135464)
第3巻
(2019-03-13発行、 978-4065147511)
第4巻
(2019-08-08発行、 978-4065166017)
第5巻
(2019-12-11発行、 978-4065179932)
第6巻
(2020-05-13発行、 978-4065193693)
第7巻
(2020-09-09発行、 978-4065206140)
第8巻
(2021-01-13発行、 978-4065218563)
第9巻
(2021-06-09発行、 978-4065234891)
第10巻
(2021-10-21発行、 978-4065250198)
第11巻
(2022-03-23発行、 978-4065270080)
第12巻
(2022-08-23発行、 978-4065286326)
第13巻
(2022-12-14発行、 978-4065299777)
第14巻
(2023-04-12発行、 978-4065312704)
第15巻
(2023-08-08発行、 978-4065325407)
第16巻
(2023-12-13発行、 978-4065338216)
第17巻
(2024-04-10発行、 978-4065351208)
第18巻
(2024-08-09発行、 978-4065363874)