概要・あらすじ
昭和12(1937)年、岡山県の田舎にある名家「本陣」の後裔である一柳家では、跡継ぎである一柳賢蔵と小作人の娘である久保克子との盛大な婚礼が、雪の降りしきるなか、つつがなく行われていた。その夜、突如悲鳴とともに琴の音が鳴り響く。それを聞きつけた克子の叔父である久保銀造が、新郎新婦の眠る離れへ駆けつけると、そこには血まみれで息絶えた賢蔵と克子の変わり果てた姿があった。
離れには2人以外に誰もおらず、庭には血まみれの日本刀が突き刺さっていた。足跡ひとつない降り積もった雪に覆われた密室で起こった殺人事件。銀造は過去にアメリカで世話をした金田一耕助を呼びよせ、克子の仇を取ってくれるよう頼み込む。
登場人物・キャラクター
金田一 耕助 (きんだいち こうすけ)
本作の事件を解決するため、探偵として一柳家にやって来た男性。アメリカで世話になった久保銀造に頼まれて事件の捜査を行い、持ち前の洞察力で事の真相に近づいていく。肩にかかるほどのボサボサの髪を伸ばした頭にチューリップハットをかぶり、袴に下駄という独特の風貌をしている。
久保 銀造 (くぼ ぎんぞう)
久保克子の叔父。亡くなった兄の娘である克子の父親代わりを務めている。アメリカで出世した苦労人で、現地に滞在していた時に金田一耕助と出会い、彼が日本へ帰る世話をしていた。克子が殺された事件の後に金田一を呼び寄せ、事件を解決してくれるよう依頼する。
久保 克子 (くぼ かつこ)
女子高の教師をしていた25歳の女性。小作人の娘で、清々しい見た目をした美人。学問を通じて一柳賢蔵と出会った後に恋に落ち、身分の違いを乗り越えて玉の輿に乗った。しかし、婚礼の夜に賢蔵とともに惨殺死体となって発見される。
一柳 賢蔵 (いちやなぎ けんぞう)
一柳家の当主である40歳前後の男性。勤勉で何事もきちんとしていないと気が済まない性格をしており、清潔好きで潔癖症な面もある。学問を通じて久保克子と出会い、周囲の反対を押し切って結婚を決めた。しかし、婚礼の夜に克子とともに無残な姿となって発見される。
一柳 三郎 (いちやなぎ さぶろう)
一柳家の三男の男性。事件のあった夜は大叔父の家に泊まっていたため、一柳家にはいなかった。事件を聞いて駆けつける途中、三本指の男の話を聞いていた。探偵小説を読むのが趣味で、一柳家の書斎には金田一耕助が思わず喜ぶほど大量の蔵書がある。
一柳 鈴子 (いちやなぎ すずこ)
一柳家の末娘。肩まで伸びたおかっぱで常に着物を着ている。純粋で人懐っこい女の子。琴の腕前だけは人並み以上に上手く、一柳家の人間は聞いただけで鈴子の音色だと分かる。タマという三毛猫を飼っていたが、婚礼の前日に死んでいる。
秋子 (あきこ)
一柳家の親戚の女性。一柳賢蔵と久保克子の婚礼の手伝いに来ていた。翌日、一柳三郎らとともに一柳家へやって来る。事件のあった日の夕方、突然訪ねて来た怪しげな三本指の男から賢蔵宛の手紙を受け取り、賢蔵へと届けた。
磯川 (いそかわ)
岡山県警の警部。小太りの眼鏡をかけた中年男性で、一柳家で起きた殺人事件を捜査するためにやって来た。人のいい人物で、金田一耕助ともすぐに打ち解けて、殺人現場に迎え入れた。その後は金田一とともに事件の捜査を行う。
白木 静子 (しらき しずこ)
久保克子が教師をしていた時の同僚の女性。手紙のやり取りもしていた。ショートカットに帽子を被り、眼鏡をかけた風貌。克子の死に関する気になる情報を金田一耕助らに伝えた。克子よりいくつか年上で、克子からは「静子お姉さま」と呼ばれていた。
清水 京吉 (しみず きょうきち)
三本指の男。右頬から口元にかけて大きな傷跡があり、右手の薬指と小指がない。普段は帽子を目深に被り、マスクと手袋を着けている。事件の起こる前に、一柳家から続く街道にある飯屋のおかみに、一柳家までの道を尋ねていた。
クレジット
- 原作