超常能力を秘めた仮面の代償
本作に登場する「仮面」は、装着した者に超常的な能力を与える。しかし、能力を持つ仮面を製作するには長年の修行が必要であり、ペルは師匠であるガストンから仮面作りの技術を認められたことがなく、弟子仲間からも半人前扱いされていた。仮面を被(かぶ)ると、翼が生えたり肉体が半透明になるなどの特殊能力を得られるが、長時間の着用は「被面人(ひめんと)」と呼ばれる状態となり、仮面が剥がれなくなるだけでなく、起床後2時間ごとに煙草を吸わなければ呼吸困難に陥るなど、さまざまな不具合が生じる。さらに、あまりに強力な仮面は、装着した者の肉体を変質させ、暴走させる危険性も秘めている。
封印された「“武神の仮面”ボルナルト」
ガストンが製作し、そのあまりの危険性から自身の手で部屋に隠した、意思を持つ仮面「“武神の仮面”ボルナルト」。能面の翁(おきな)に似た外見だが、額には2本の角のような突起が生えている。かつてペルがこの仮面を装着して暴走し、ガストンを殺害するが、その力は破壊不可能であったため、厳重に封印されていた。しかし、ボルナルトはソナの憎しみに呼応し、封印を解くようそそのかし、ソナに仮面を装着させることに成功する。人間が装着すると、最初は骸骨に似た姿に変容し、時間の経過と共に鎧武者の姿、さらには仁王尊を思わせる姿へと変わっていく。また、ボルナルトは厳重に封印されている状態でもペルたちに話しかけることができる。のちに、存在しないはずの二つ目の「武神の仮面」が発見され、ペルたちにさらなる混乱をもたらすことになる。
秤聯隊とフォークスの陰謀
ガストンが製作した仮面を追うペルたちは、世界中から集められた仮面使いや被面人で構成された特殊警察部隊「秤聯隊(しょうれんたい)」に追われる身となる。さらに、ガストンの仮面を悪用して凶悪事件を引き起こす組織「フォークス」の黒幕が、ペルが殺害したはずのガストン本人であるという情報がもたらされる。これにより物語は一層複雑さを増し、よりスリリングな展開を迎える。
登場人物・キャラクター
ペル
仮面屋の少年。襟足の長い金髪を三つ編みにまとめ、額には十字の傷が刻まれている。世界でも三指と評された仮面屋、ガストンの弟子だった。しかし、ガストンが作った「“武神の仮面”ボルナルト」を誤って装着して暴走した結果、ガストンや仲間たちを全員殺してしまう。二度と同じ過ちを繰り返さないため、ペルはガストンが作った仮面を探し出し、破壊する旅を続けている。だが、元王女のソナがその仮面にそそのかされて装着した結果、ペルは自身の右腕を切り落とされてしまう。それでもペルはペルソナや被面人のモクと共に旅を続けている。
ソナ
大都市、リスブランを擁する国の元王女。ピンク色の長い髪をトレンチコートとキャスケット帽で隠し、素性を偽って暮らしている。王位を簒奪(さんだつ)したゴウオンによって両親を殺され、下水道を通って街へ逃げ込んだ。逃亡後はこそ泥として日々をしのいでいたが、ペルとの出会いを機に、ゴウオンに一矢報いるため協力を申し出た。しかし、「“武神の仮面”ボルナルト」にそそのかされて仮面を装着した結果、ゴウオンの殺害には成功するものの、その後にペルの右腕も切り落としてしまう。彼女は強い罪悪感に苛(さいな)まれ、贖罪(しょくざい)のためペルの旅に同行することを決意した。本名は「ソナルエ」。
クレジット
- 原作
-
Dr.Poro
書誌情報
朱色の仮面 8巻 少年画報社〈YKコミックス〉
第1巻
(2021-08-30発行、978-4785969820)
第2巻
(2022-02-28発行、978-4785970895)
第3巻
(2022-11-30発行、978-4785972837)
第4巻
(2023-05-30発行、978-4785974053)
第5巻
(2023-12-26発行、978-4785975739)
第6巻
(2024-05-30発行、978-4785976750)
第7巻
(2024-12-26発行、978-4785978426)
第8巻
(2025-07-07発行、978-4785979706)







