殺し屋の高校生は透明人間
本作には、さまざまな特殊能力を持つ人間が登場し、表向きはなんの取り柄もないふつうの少年の城もその一人。透明人間になる能力を持つ城は、その能力を与えてくれた水野の命令を受け、社会に悪影響を及ぼす能力者たちを秘密裏に暗殺している。ふつうの生活にあこがれる城は、水野の一方的な指示に辟易(へきえき)しながらも、思いを寄せている片瀬を守るため、自分の感情を押し殺して任務を遂行している。やがて城の戦いは、全人類の存亡をかけた戦へと発展していく。
城透の前に立ちはだかる、悪の能力者たち
異形の能力者の存在は社会的に認知されておらず、それを悪用して私利私欲を満たしたり、他者を貶(おとし)める悪人が数多(あまた)存在する。その中でも特に恐れられているのは、精選された能力者で日本を支配しようと目論んでいる、電撃系能力者のナユタと、自分以外の能力者を含めたすべての人類の滅亡を目論んでいる、重力系能力者のグラビティ・パト。彼らはほかの能力者を手駒にするほどの実力とカリスマ性を誇り、残忍な手口で一般市民や善良な能力者を苦しめている。城透は、自らの細胞を自在にあやつる能力者の今市哮助と協力し、彼らと対峙(たいじ)する。
謎の同級生・水野の正体
城は同級生の水野の指令を受け、悪事を働く異形の能力者たちを人知れず暗殺している。水野は廃校となった学校の校舎に居つき、特殊能力に関する知識に長(た)けているなど、その正体は謎に包まれている。つねに当たりが強いことから、城からは苦手意識を持たれている一方で、異形の能力者が社会に悪影響を及ぼす可能性を危惧するなど生真面目な一面を持ち、能力者の今市からは信頼されている。水野の行動は、次第に片瀬を守りたいと願う城の望みに沿うものとなり、やがて城からも信頼を寄せられるようになる。
登場人物・キャラクター
城 透 (じょう とおる)
とある高校に通う1年生の男子。同級生の水野が調合した特殊な飴(あめ)を舐(な)めることで、身体を透明化できる特殊能力者。水野の指令を受け、悪事を働く能力者を暗殺する任務を強いられている。テレビアニメ鑑賞が趣味で、ヒーローにあこがれる純粋な一面を持ち、暗殺を繰り返しているのも片瀬を守るためと割り切っている。一方で、悪人と言い切れない異形の能力者の暗殺を命じられた時は、良心の呵責(かしゃく)に苛(さいな)まれることもある。能力者たちとの戦いで身体能力と戦闘センスが鍛え上げられ、複数の能力者を一撃で倒すことができる。さらに、悪の能力者を束ねるナユタやグラビティ・パトの一派との戦いを経て、光と闇をあやつる能力を身につける。
片瀬 菜緒 (かたせ なお)
城と同じ高校に通う1年生の女子。年齢は16歳。城とは小学生時代からの知り合いで、彼から思いを寄せられている。明るく朗らかな性格で、男女問わず友達が多い。また、食欲旺盛でダムに強い関心を抱いているなど、少し風変りな一面を持つ。致命傷を受けても瞬時に再生する特殊な細胞の持ち主で、その秘密を狙う能力者たちに狙われている。そのため、透明人間となった城からつねに護衛されているが、片瀬自身はそのことにまったく気づいていない。
クレジット
- 原作
書誌情報
インビジブル・ジョー 3巻 講談社〈講談社コミックス〉
第1巻
(2014-06-17発行、 978-4063951141)
第2巻
(2014-11-17発行、 978-4063952506)
第3巻
(2015-05-15発行、 978-4063954036)