概要・あらすじ
石神亮は暴走族「魔首麻露」の元副首領だったが、現在は丸走自動車教習所の教官を務めている。この丸走自動車教習所は元警察署長の所長によって、石神をはじめ西村平吉や金子一八など、暴走族時代の仲間たちが集められ、更生を目的として半強制に働かされていた。石神たちは教習車を改造したり、教習生を脅しながら教えたりと、ノリは暴走族時代のままで、教習生は一向に増える気配を見せない。
そんな状況に業を煮やした石神たちは、教習生を増やすためさまざまな手段を講じるのだった。
登場人物・キャラクター
石神 亮 (いしがみ りょう)
丸走自動車教習所で教官を務める若い男性。暴走族「魔首麻露」の元副首領。69号車の教官を務めている。暴走族をしていた頃に所長に世話になったことから、彼が定年後にはじめた丸走自動車教習所で半強制的に働かされている。しかし、教官としてはやりたい放題で、教習車もロングノーズのノーサスペンションに改造している。 子供の頃から車酔いをしやすい体質で、教官でありながら50分以上車に乗っていると嘔吐してしまう。そのため、石神亮の教習車にはビニール袋が常備されている。教習生を恫喝するなど無茶苦茶なところはあるが、暴走族時代の後輩たちには交通ルールをきちんと遵守するよう指導している。
西村 平吉 (にしむら へいきち)
丸走自動車教習所で教官を務める若い男性。暴走族「魔首麻露」の元幹部補佐。ひげを生やし、眼鏡をかけている。暴走族をしていた頃に所長に世話になったことから、彼が定年後にはじめた丸走自動車教習所で半強制的に働かされている。「チョーシコキ野郎」とも評されるほどのおべっか使いで、所長や石神亮など、立場が上の者に対してはとにかく媚びへつらう。 丸走自動車教習所の教官の中では唯一の高卒と高学歴を自慢するだけあり、口は達者。中学時代は野球をしていて、名門校からスカウトが来るほどの腕前を持っていた。
金子 一八 (かねこ いっぱち)
丸走自動車教習所で教官を務める若い男性。暴走族「魔首麻露」の元特攻隊長。髪型は金髪のリーゼント。暴走族をしていた頃に所長に世話になったことから、彼が定年後にはじめた丸走自動車教習所で半強制的に働かされている。仲間が有事の際には、考えるより先に行動してしまう熱血漢。一方で、釣堀に行くことが大好きというジジ臭い趣味を持っている。
野口 英雄 (のぐち ひでお)
丸走自動車教習所で教官を務める若い男性。暴走族「魔首麻露」の元親衛隊長。アフロヘアがトレードマーク。暴走族をしていた頃に所長に世話になったことから、彼が定年後にはじめた丸走自動車教習所で半強制的に働かされている。プラモデル作りを趣味にしていたりと、丸走自動車教習所の教官のメンバーの中では比較的おとなしい性格をしている。 石神亮たちに比べると言動は落ち着いているが、西村平吉から敬語を使われるなど、その実力は確かである。
荒木 信雄 (あらき のぶお)
丸走自動車教習所で教官を務める若い男性。かつて暴走族「魔首麻露」に所属していた。髪型は金髪のオールバック。暴走族をしていた頃に所長に世話になったことから、彼が定年後にはじめた丸走自動車教習所で半強制的に働かされている。女性に対しては、石神亮をして「悪党を通り越して悪魔」といわせるほどに態度や扱いが荒い。 しかし、それは女好きであることの裏返しで、女性に対しての興味や関心が強い。可愛いギャルを見かけると、何をおいてもそちらを優先する。
佐々木 篤 (ささき あつし)
丸走自動車教習所で教官を務める若い男性。かつて暴走族「魔首麻露」に所属していた。髪型はガッチリと決まったリーゼント。暴走族をしていた頃に所長に世話になったことから、彼が定年後にはじめた丸走自動車教習所で半強制的に働かされている。寡黙であまりしゃべることはないが、口を開けば出て来るのは下ネタや汚い言葉ばかり。
中西 大吾 (なかにし だいご)
丸走自動車教習所で教官を務める若い男性。かつて暴走族「魔首麻露」に所属していた。髪型は角刈り。暴走族をしていた頃に所長に世話になったことから、彼が定年後にはじめた丸走自動車教習所で半強制的に働かされている。朴訥として落ち着きのある人物で、丸走自動車教習所の中では常識人の立ち位置にある。しかし仲間のピンチの時には何より先に手が出てしまうほど、喧嘩っ早い。
会田 健二 (あいだ けんじ)
丸走自動車教習所で教官を務める若い男性。かつて暴走族「魔首麻露」に所属していた。髪型は両サイドを刈り上げたモヒカン。暴走族をしていた頃に所長に世話になったことから、彼が定年後にはじめた丸走自動車教習所で半強制的に働かされている。もともと石神亮たちのパシリ役だったが、姉がビデオ屋でアルバイトをしているためアダルトビデオを借りることができず、それを理由にパシリ役を松本達也に引き継ぐ。
松本 達也 (まつもと たつや)
丸走自動車教習所で教官を務める若い男性。かつて暴走族「魔首麻露」に所属していた。頭に入ったM字の刈り込みがトレードマーク。暴走族をしていた頃に所長に世話になったことから、彼が定年後にはじめた丸走自動車教習所で半強制的に働かされている。会田健二からパシリ役を引き継いだため、石神亮たちから何かと雑用を言いつけられる。
鳴海 剛 (なるみ つよし)
丸走自動車教習所で教官を務める若い男性。髪型はガッチリとしたリーゼント。埼玉でも屈指の優良教習所「鳴海モータースクール」に所属し、教官として優秀な実績を収めている。所長に乞われて丸走自動車教習所のやり方を変えるためにやって来た。とにかくマニュアル通りに教習を進めようとするため、自由気ままに教えている石神亮たちから反感を買うが、それでも自分のやり方を貫いている。
所長 (しょちょう)
元警察署長の壮年男性で、現在は定年退職している。ブラブラしていた石神亮たちを更生させるため、無理やり丸走自動車教習所の教官として働かせている。警察署長時代には石神たちが行った数々の悪事をもみ消し、石神たちにとっては恩人ともいえる人物。研修と称してゴルフに行くなど、自動車教習所の所長としては決して勤務態度は良くないものの、さまざまな手続きや雑務などはきっちりこなしている。 口コミで評判が上がっていく教習所を目指しているが、石神たちの無茶苦茶な教習や改造教習車は黙認している。丸走自動車教習所の経営が危うくなった際には、石神たち教官に1000万円の退職金を渡して、杉本夏生と海外へ駆け落ちしてしまう。しかし、夏生に捨てられたことから再び丸走自動車教習所に戻って来る。
杉本 夏生 (すぎもと なつき)
丸走自動車教習所が誇るマドンナ教官。かつてレースクイーンを務めたこともあるほどの美人で、いつもきわどいハイレグ衣装を身に着けている。頭はあまり良くなく、よくとんでもないことを鵜呑みにしている。丸走自動車教習所の広告塔をしていることもあり、石神亮たち教官からも特別扱いを受けている。丸走自動車教習所の経営が危うくなった際には所長と駆け落ちするも、駆け落ち先の南の島で現地の男性とさらに駆け落ちして行方不明となる。
藤堂 麗 (とうどう うらら)
所長の取引先銀行の支店長の娘。年齢は21歳。アニメやゲームのキャラクターのコスプレにハマりすぎて、高校を卒業してから3年間無職で過ごしていた。支店長が所長に頼み込み、丸走自動車教習所で働くことになった。所長とともに南の島へ駆け落ちしていなくなった杉本夏生の代わりに、客寄せのためにコスプレ教官として大々的に売り出される。
孝 (たかし)
暴走族「魔首麻露」に所属する青年。石神亮たち丸走自動車教習所の教官の後輩にあたり、現在は「魔首麻露」の中心的人物。暴走族のまとめ役でありながら決断力に乏しく、しばしば石神たちの力を頼りにやって来る。
紺野 (こんの)
暴走族「魔首麻露」の元首領で、ヤクザの息子。もともとは「魔首麻露」に吸収された「不我死」の幹部だったが、のちに「魔首麻露」の正式メンバーとなった。以前から「魔首麻露」にいた石神亮を差し置いて首領となったことに疑問を持ったメンバーたちが決起し、紺野が首領となった最初の集会で内部抗争が勃発するという事態を引き起こした。 その後は暴走族を辞めて、ヤクザの父親のもとで奉公していた。石神のことを恨み、復讐しようとしたが返り討ちに遭う。
星野 真二 (ほしの しんじ)
丸走自動車教習所で教習を受けた教習生の男性。もともとは別の教習所に通っていたが、なかなか卒業できずに教習期限が切れてしまい、そのままになっていた。新しい教習所を探していたところ西村平吉に捕まり、口車に乗せられて丸走自動車教習所に通うことになった。路上に出ると緊張して上手く運転できなくなってしまうが、石神亮が教官を務める初回教習で路上を爆走させられる。
江口 和介 (えぐち かずすけ)
丸走自動車教習所で教習を受けた教習生で、江口商事の若き御曹司。想いを寄せる「保奈美」という女性が暴走族の男に憧れていることを知り、丸走自動車教習所オリジナルの特別教習「暴走教習」を受けに来た。頭に血が上ると人が変わるため、教習を担当した石神亮には、自分が教習をしなくても暴走行為に向いている性格だと評価される。 なお、江口商事は悪いことに手を染めて会社規模を拡大してきた経緯があり、その際に江口和介の父親と所長が顔なじみになって以来長い付き合いをしている。
会田 加奈 (あいだ かな)
丸走自動車教習所で教習を受けた教習生。石神亮たち丸走自動車教習所の教官が見とれてしまうほどの美人ギャルで、誰が会田加奈の教習を担当するかを巡って石神たちがバトルを繰り広げることとなった。最後は強引に加奈をさらって行った石神に心を許した。周囲からは知的な人物を好んでいると思われていたが、実は強引で男らしい人物に弱い。
松元 保男 (まつもと やすお)
丸走自動車教習所で自動車教習所教官の教育実習を行った青年。親が教習所を経営していて所長と知り合いだったため、その伝手で丸走自動車教習所にやって来た。とても真面目な性格ながら、石神亮たちの暴走族流の教習を受けていく内に次第に乱暴な人間になっていき、最後は犯罪を犯して捕まってしまう。
中西 太 (なかにし ふとし)
丸走自動車教習所で教習を受けた教習生。教習所で大型二輪の教習を受けられるようになったことを機に、近場にあった丸走自動車教習所にやって来た。子供の頃から「ハーレーダビッドソン」に乗ることに憧れており、ただの原付バイクを無理やり単車風に改造していた。その熱意に感動した石神亮の特訓を受け、見事に大型二輪免許を取得する。
集団・組織
魔首麻露 (ましゅまろ)
石神亮たちが所属していた暴走族集団。硬派一筋の伝統があり、石神たちもその伝統に惚れて暴走族を続けていた。しかし、他の暴走族からやって来た紺野が次期首領に選ばれたことで内部抗争が勃発。この抗争で生き残った石神とその仲間の8人は「魔首麻露」を脱退することになる。脱退してブラブラしていた9人はのちに丸走自動車教習所の教官となる。
場所
丸走自動車教習所 (まるそうじどうしゃきょうしゅうじょ)
所長が運営する自動車教習所。石神亮など、暴走族集団「魔首麻露」に所属していた元暴走族の9人が教官を務める。一見公認の自動車教習所のようだが、実は公認の横に小さく「未」と書いてあったり、受付嬢がとても汚い言葉を使ったりと、アウトローな雰囲気を漂わせている。10万円ポッキリと破格の安さで入学できるだけではなく、好きなところに勝手に教習印を1つだけ押せる「どこでも印鑑」と、杉本夏生の教習を1時間だけ受けられる「ロイヤルスペシャルスーパー教習券」という2大特典に釣られて、入学してしまう教習生も多い。 結果的に、教習代の安さに釣られた貧乏人、暴走族使用の教習車に乗りたがるヤンキー、夏生目当てのスケベ野郎しか集まらず、健全とは言い難い経営状態にある。