僕は友達が少ない

僕は友達が少ない

アニメ化もされた平坂読の人気ライトノベル『僕は友達が少ない』のコミカライズ作品。友達作りを目的とする隣人部の活動を描く残念系青春ラブコメ。KADOKAWA「コミックアライブ」2010年5月号から2021年2月号まで連載。

正式名称
僕は友達が少ない
ふりがな
ぼくはともだちがすくない
原作者
平坂 読
作者
ジャンル
ラブコメ
 
恋愛
レーベル
MFコミックス アライブシリーズ(KADOKAWA)
巻数
全20巻完結
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第1巻

聖クロニカ学園にある礼拝堂の一室「談話室4」は、隣人部の部室として使われている。隣人部とは、友達作りを活動目的として新設された部活動である。いま、部室では隣人部の部員達による闇鍋が行われていた。「放課後にみんなで鍋」というフレーズに魅力を感じた部員達は、友達ができた時の予行演習として鍋を実行。しかし、いつのまにか各自がとんでもないものをぶち込む闇鍋になり、それを食べて最後まで生き残った者が優勝という意味のわからぬルールまででき、阿鼻叫喚の場と化していたのだった。(活動準備:プロローグというかキャラの顔見世というかツカミのようなもの)

高校2年生の羽瀬川小鷹は、父親がアメリカへ転勤した関係で、10年ぶりに故郷の遠夜市に戻って来た。イギリス人の母親と日本人の父親を持つ小鷹は、両親の遺伝で、染めたような中途半端な金髪ヘアとなっていた。その髪と目つきの悪さからヤンキーと勘違いされ、友達が少ない事が、密かな悩みであった。

ある日、小鷹は教室で誰かと楽しそうに語らうクラスメイトの三日月夜空を目撃する。しかし、夜空が話していた相手は、トモちゃんという実在しない彼女の「エア友達」であった。友達がいない、というお互いに共通する悩みを持つ二人。友達を作るために部活動を始める事を思いついた夜空は、新たに隣人部を設立する。活動内容は友達作り。部活動という体裁があれば、周囲からの「友達のいない寂しい奴」という蔑みの視線を回避しつつ、本当の友達を探す事ができるという、プライドの高い夜空の目論みであった。夜空は小鷹の入部届も勝手に書いて提出し、二人での隣人部がスタートするのであった。(活動記録1:羽瀬川小鷹)

夜空は隣人部の部員募集のポスターを校内の掲示板に貼り出す。そのポスターに書かれた文章をナナメ読みすると「ともだち募集」というメッセージが仕組まれていた。さっそく入部希望として柏崎星奈が部室を訪れるが、夜空は問答無用で追い返す。星奈は二人が通う学園の理事長の一人娘で、スポーツ万能および成績優秀のため、夜空が冷やかしだと考えたのである。しかし、生徒からちやほやされている星奈も、本当の友達がほしいという同じ悩みを抱えており、強引に三人目の部員となる。しかし星奈と夜空との相性は最悪で、初日から激しく衝突するのだった。(活動記録2:夜空と星奈)

ファミレスで四人の高校生が携帯ゲーム機のPSP(プレイングステイツポータブル)を持ち寄って楽しそうに「モンスター狩人」(通称「モン狩」)の通信プレイをしているのを見た夜空は、友達作りのきっかけにできると考え、小鷹と星奈にもPSPと「モン狩」を持って来るように命じる。週明け、部室でさっそく通信プレイを開始する三人。本来はプレイヤー同士が協力してモンスターを狩るゲームなのだが、犬猿の仲である夜空と星奈はモンスターそっちのけでお互いを攻撃し始め、隣人部のゲーム特訓大会は失敗に終わるのだった。(活動記録3:狩り)

「モン狩」の協力プレイに失敗した隣人部。今度は星奈が、部活に役立ちそうなゲームとして大人気美少女恋愛シミュレーションゲーム「ときめいてメモリーデイズ7(通称「ときメモ7」)」を持って来る。他人と会話するコミュニケーションの練習になるかもと、プレイを始める三人。しかし、夜空と星奈はゲーム内でも最悪としか思えない選択肢ばかりを選び、ゲームは誰とも結ばれないバッドエンドを迎える。しかし、帰宅後も家で「ときメモ7」をやり込んだ星奈は、すっかりハマってゲームをやり尽くし、「ときメモ7は人生」と言うほどに変化。結果として、二次元の友達を獲得する。(活動記録4:ギャルゲヱの世界にようこそ)

小鷹は校内で誰かにこっそりと付きまとわれているのを感じる。ストーカーの正体は、女子のような見た目の1年生男子、楠幸村であった。いじめを受けているという幸村は、小鷹のように強くかっこいい男になる事を学ぶために、あとをつけまわしていたのだった。実際には幸村はいじめを受けていたわけではなく、女子にしか見えない外見の幸村を男子生徒達がどう扱えばいいのか困惑していただけなのだが、幸村は男らしくなればいじめられずに済むと考えていた。幸村の勘違いを面白がる夜空に促されて隣人部に入部した幸村は、小鷹の事を「あにき」と呼び、舎弟となる。幸村は積極的に小鷹のパシリとして行動し、小鷹がヤンキーという校内の噂はますます高まってしまうのだった。(活動記録5:舎弟)

第2巻

羽瀬川小鷹は妹の羽瀬川小鳩と一軒家で二人で暮らしており、家事は小鷹が行っている。母親は小鳩を生んで間もなく事故で他界し、父親はアメリカへ転勤。外国行きを嫌がった小鷹と小鳩は日本に残り、10年前に父親が買って以来ほとんど使っていなかった遠夜市の自宅へ帰って来たのである。中学生の妹、小鳩は、中1の時に見たテレビアニメに感化され、自分の事を偉大なる夜の血族の真祖と名乗る、ひどい中二病になっていた。小鳩は兄に対してもその態度を変えない。ある夜、風呂に入った小鳩は、給湯器の故障で風呂が水になっており、あんちゃぁぁぁんと泣きながら裸で飛び出して来る。夜の血族の真祖として振る舞う小鳩も、かつてのかわいい妹の地がたびたび出てしまうのだった。(活動記録6:羽瀬川さんちの家庭の事情)

小鷹と三日月夜空が部室へ行くと、柏崎星奈がノートパソコンでアダルトゲーム「聖剣のブラックスター」をプレイしていた。ネットでおすすめされた星奈が、エロゲーとは知らずに購入し、プレイしていたのだった。部室でエロゲーをプレイしていたという事実に夜空は、ここぞとばかりに星奈をド変態呼ばわりして責める。それに対し星奈は、ちょっとだけ過激な表現が含まれているが芸術作品だと反論。純粋な芸術作品なら濡れ場の文章を音読してみろ、と夜空に言われた星奈はその挑発に乗ってしまい、赤面してしどろもどろになりつつ小鷹と夜空の前でエロシーンの音読を始める。しかし、さすがにいたたまれなくなり、星奈は音読の途中で泣きながら部室から走り去る。夜空は少しやり過ぎたと反省しつつも、星奈のエロゲー音読をしっかり録音していたのだった。(活動記録7:汚されちまった悲しみに)

小鷹が部室へ行くと、楠幸村がメイド姿で部員達にお茶を入れていた。男子である事を忘れて、そのかわいらしいメイド姿に思わず見とれる小鷹。幸村は、真の男はたとえメイド姿でも男らしさがにじみでるもの、と夜空にそそのかされ、夜空が持参したメイド服を着ているのだった。そんな中、夜空は友達作りに必要なのは演技力だという説を唱え、部活動として演劇の練習を提案する。脚本は夜空が用意してきた「桃太郎」。くじびきの結果、配役は桃太郎は星奈、鬼は夜空、おばあさんは幸村、木は小鷹と決まる。芝居は桃太郎と鬼の対決まで進むが、脚本内容はそこでどちらかが泣くまでガチバトルをして、勝った方が正義というものだった。鬼の夜空は、棍棒で星奈演じる桃太郎の顔面を強打し、鬼の勝利という結末でグダグダな劇が終了するのだった。(活動記録8:桃太郎伝説)

ある日、泳げない星奈は小鷹に水泳を教えてくれとせがみ、二人で大型の室内プール施設「竜宮ランド」へと出掛ける。するとスポーツ万能の星奈は、すぐに泳げるようになるのだった。しかし、小鷹がトイレへ行っているあいだに三人組の男からナンパされた星奈は、いつもの高飛車な態度で相手を罵倒し、相手の怒りを買う。小鷹の活躍でその場は収まったものの、星奈は自分の態度をまったく反省しておらず、そんな星奈の事を小鷹は本気で叱る。自分の事を本気で心配して叱ってくれる小鷹に、星奈は態度にははっきりと示さないものの感謝の気持ちを感じていた。翌日、小鷹は部室で居眠りし、10年前に一人だけいた友達との日々を夢に見ていた。小学生の頃、金髪の見た目などからいじめられていた小鷹は、いじめから助けてくれた子となかよくなり、よくいっしょに公園で遊んでいたのだった。小鷹は半分寝言で、その親友から聞いた「(友達百人なんてできなくてもいいから)百人分大切にできるような本当の友達を作りなさい」という言葉を口にする。傍らで読書していた夜空は、その言葉を聞き、思わず読んでいた本を落とすのだった。(活動記録9~10:プール)

第3巻

友達作りに必要なものは「笑い」、人気を得やすいのは「面白い人」だという三日月夜空の言葉を受け、隣人部の部室では柏崎星奈がハゲヅラをかぶり、夜空はこの世でもっとも滑稽な生物のコスプレと称して星奈の恰好をしていた。そんな二人に羽瀬川小鷹は、安易に小道具に頼らずトークで勝負するべきと、小話を披露するが、夜空と星奈にはまったく受けなかった。(活動記録11:(笑))

小鷹は部室のソファですやすやと眠っている幼女を発見する。彼女は、聖クロニカ学園に勤務するシスターで、隣人部の顧問でもある10歳の少女、高山マリア。もともとマリアがお昼寝部屋として使っていた礼拝堂の一室「談話室4」を、夜空が部室として騙し取ったらしい。マリアは夜空に抗議し、顧問なんて辞めると言い出すが、口のうまい夜空にまんまとあやつられ、改めて隣人部の顧問就任を引き受けてしまう。(活動記録12:高山マリア)

理科室からの爆発音を聞いた小鷹は、理科室内で倒れている白衣姿の女子生徒、志熊理科を救出する。後日、理科は助けてくれたお礼を言いに、小鷹の教室を訪ねて来る。理科は一見まともそうな1年生だが、話を聞いてみると変わり者で、エロい事を考えてばかりいる変態だった。理科は天才発明少女として有名で、星奈の父親である理事長が学園の知名度アップのために頼み込んで、聖クロニカ学園に入学させたらしい。小鷹と出逢い、生まれて初めて哺乳類に興味を持ったという理科は、隣人部に入部するのだった。(活動記録13:志熊理科)

理科を加え、五人となった隣人部だが、これといって決まった活動はなく、星奈はギャルゲー、夜空は読書と、それぞれ部室で各自好きな事をして過ごしていた。四六時中いやらしい事を考えているという、自称変態の理科は、BL同人誌を部室で読みふける。純真な夜空は拒否反応を示すが、星奈はBLに少し興味を示し、楠幸村もうっとりとした目つきで「あにき(小鷹)が受け」というのもいいと言い出す始末。しかし、理科が読んでいたBL同人誌は、ZZガムダン×オヴァ弐号機本という、巨大ロボット同士が絡む、星奈達の理解を超えた内容だった。(活動記録14:腐)

以前に夜空と星奈に小話を披露し、まったく受けなかった事が心に残っている小鷹は、面白い話をする方法の解説本を図書室から借りる。部室にいたマリアに、以前夜空と星奈に聞かせたのと同じ小話を聞かせると、マリアは爆笑し、小鷹は確かな手ごたえを感じる。しかし、自宅で羽瀬川小鳩に試しても、冷ややかな反応しか得られないのだった。(番外編:爆笑王小鷹)

マリアがちゃんと食事を取らずにお菓子ばかり食べている事を知った小鷹は、マリアのためにお弁当を作ってあげる。一方、小鳩は兄が部活動に忙しく、自分をかまう時間が減っている事に寂しさを感じていた。中等部2年の小鳩は、そんな兄に不満をぶつけるため高等部にある隣人部を訪れる。そこへお弁当を作ってもらう事ですっかり懐き、小鷹を「お兄ちゃん」と呼ぶマリアがやって来る。聖職者のマリアと、自称吸血鬼の小鳩は、小鷹を巡って激しく対立。兄を取られたくない小鳩は、後日隣人部に入部する。(活動記録15:妹)

第4巻

隣人部では相変わらず各自が、部室で好きな事をして過ごしていた。せっかく部員が揃っているのだから、みんなでなにかをやろうと、羽瀬川小鷹がみんなで順番に交代して書いていくリレー小説の執筆を提案する。ジャンケンで順番を決め、トップバッターとなった楠幸村は、尊敬するあにき(小鷹)を主人公とした昔ばなし風の物語を書き始める。二番手の三日月夜空柏崎星奈がひどい目に遭う内容で物語を続ける。三番手の小鷹は、なんとかまともなストーリーへ持ち直そうと頑張るが、四番手の星奈は仕返しのように夜空をチンピラの首領として物語に登場させる。羽瀬川小鳩は自分をモデルとした人物を登場させ、得意な中二病ストーリーを展開、さらに志熊理科は小鷹と幸村のBL展開へと続ける。最後は高山マリアの番だったが、待ちくたびれたマリアはすっかりソファで眠り込んでおり、こうしてムチャクチャなリレー小説は幕を閉じるのだった。(活動記録16:リレー小説『聖☆兄貴さん』)

部室でゲームに興じ、ゲームの中に入れたらいいのにという星奈のつぶやきを聞いた理科は、似たような体験ができるゲームがあると誘う。それは開発中の試作機で、装着すると目の前にゲーム画面が広がるという最新型ヘッドマウントディスプレイのゲーム機「バーサルボーイ」だった。部員達はさっそくバーサルボーイ専用ソフト「ロマンシング佐賀」を始める。各自が職業を選び、ヴァルハラ城にいる魔王を倒す事が目的のゲームだった。理科の職業はガンナー。小鷹は魔法使いを選んだが、出来上がった服装はポスターを刺したリュックを背負うバンダナ姿のオタク。30歳になるまで童貞を守り続ければなれるという都市伝説の「魔法使い」であり、魔法は使えないキャラであった。星奈は鍛冶屋、幸村はサムライ、夜空は薔薇少女という謎の職業になり、一行は魔王のいるヴァルハラ城を目指す。しかし、星奈と夜空のチームワークの悪さもあって、あえなくパーティは全滅。それでも理科はみんなでゲームで遊ぶという初めての経験に大きな満足を感じていた。(活動記録17~18:ロマンシング佐賀)

カラオケに行った事がないという星奈と理科の言葉を受けて、隣人部の六人はカラオケ店へ向う。しかし、六人で1部屋を使うと、一人で1部屋を利用する場合の6倍のカラオケ代になるという料金システムを詐欺と考え、夜空と星奈はそれぞれ一人でカラオケ部屋に入るのだった。小鷹はそんな二人に呆れつつも、幸村、理科、小鳩の四人とカラオケを楽しく過ごす。歌い疲れて部屋を出ると、廊下でぐったりとしている夜空と星奈を見つける。カラオケの採点モードで競い合い、二人は別室でドリンクも飲まずに声がかれるまで歌い続けていたのだった。(活動記録19:カラオケ)

夏休みを翌日に控え、隣人部は部活動を振り返るが、友達ができた部員は一人もいなかった。なんだかんだ言いつつ部活動を楽しんできた部員達は、夏休みに入ってみんなと会えなくなる事に寂しさを感じていたが、夜空は夏休み中も引き続き隣人部として活動を続ける事を宣言する。小鷹は部活動が楽しかった事を告げ、夜空に感謝の言葉を伝えるが、夜空は読んでいる本で顔を隠したままうなずくだけだった。そんな小鷹に、星奈は父親に挨拶をしに自宅へ来るよう伝える。小鷹と星奈の父親が知り合いである事を知らない夜空は、なぜ小鷹が星奈の父親に挨拶に行くのかと動揺を隠せないのだった。(活動記録20:残念会)

第5巻

夏休み中も隣人部の活動をするはずにもかかわらず、初日からいきなり四人の部員が無断欠席。羽瀬川小鷹は部室に集まる時間やみんなの出欠がわかるようにしたいと考え、部員達で携帯電話の連絡先を交換し合う。友達がいない隣人部の部員達の携帯電話に家族以外の連絡先が登録されるのは初めての事であった。しかし、一人だけ携帯電話を持っていない柏崎星奈は、その輪に入る事ができなかった。夜、小鷹に電話を掛けて小鷹が持っている携帯電話の機種を聞いた星奈は、翌日同じ携帯電話を購入して現れる。(活動記録21:鳴らない電話)

連日の猛暑が続く夏休みのある日、小鷹の自宅のクーラーが故障してしまう。猛暑の中でも、羽瀬川小鳩はゴスロリファッションを脱がずに我慢していたが、ついに限界を迎える。お気に入りのテレビアニメのキャラクターが拘束術式解除をして真の姿を現したのにならって、小鳩もゴスロリ服を脱いで、涼しい普通の服に着替える。その後、兄といっしょに隣人部の部室へ行った小鳩は、そこで小鳩にメロメロの星奈に抱きつかれたり、変態の志熊理科にパンツを見られそうになったりと散々な目に遭うのだった。(番外編<1>:拘束術式解除)

夏休みのある日、隣人部はみんなでプールへ行く事になった。小鷹は、男だが美少女にしか見えないメイド服姿の楠幸村と二人で男性用更衣室へ入り、周囲の視線を受けながらどうやって幸村を水着に着替えさせるかに頭を悩ませるが、なんとか人気のいない場所へ避難する。三日月夜空が幸村に用意したのは女性用水着だったが、幸村が持参して来た男性用の水着が「ふんどし」だったため、仕方なく女性用水着に着替えさせる。着替えを済ませた小鷹と幸村はプールサイドで星奈、小鳩と合流。夜空と理科はプールへ来る際に乗っていたバスで酔って、まだダウンしたままだった。結局、夜空と理科は回復できずプールに入らぬまま先に帰ってしまい、星奈は自身の華麗な泳ぎを夜空に見せつけられなかった事を残念に思いつつ、小鷹達と共に引き上げるのだった。(活動記録22:みんなでプール)

プールへ行った翌日の隣人部は、全員が部室で水着で過ごすという「水着デイ」だった。せっかく買ったのに水着を着る事なく、バス酔いで帰った夜空の提案である。部室に入った小鷹と星奈は、馬のマスクをかぶった夜空に出会う。夜空は人が大勢いる場所で肌を露出させるなど恥ずかしいと、手首から足首までぴったりの全身スーツのような水着をまとっており、さらに馬のマスクという謎の出で立ちだった。変態の理科は白衣の下に水着を着ており、それは予想に反して普通の水着のように見えたが、お湯につけると透明になる特殊素材でできた水着なのだという。そんな中、せっかく水着を買ったのだからみんなでビーチへ行けばいいと、星奈は隣人部での合宿を提案するのだった。(番外編<2>:出現! 魔人アシュタロス!!)

夏休みのある日、小鷹と小鳩は、父親の旧友であり、聖クロニカ学園の理事長でもある星奈の父親に挨拶をするため、星奈の家を訪問する。豪邸で二人を出迎えた星奈の父親は、柏崎天馬(てんま)と名乗る。しかし、傍らにいた執事を務める女性のステラが、「天馬」と書いて「ペガサス」と読む事を暴露する。天馬はその名前で呼ばれる事が嫌いらしく、激怒するのだった。星奈も交えて四人で夕食を取りながら、小鷹は天馬と父親の話をする。小鳩を溺愛する星奈は、小鳩といっしょにお風呂に入ったり寝たりしたいため、二人に泊まっていくよう勧める。その夜、酔いつぶれた天馬を残して部屋から廊下へ出た小鷹は、風呂上りに全裸で小鳩を追い回す星奈の姿を正面からばっちり見てしまうのであった。(活動記録23~24:柏崎さんのお宅訪問)

第6巻

隣人部は夏休み中の部活動の一環として、合宿を行うため海沿いにある柏崎星奈の別荘へ向かう。その列車の中で、羽瀬川小鷹は10年前に親友から大事な話があると言われたのに、待ち合わせの場所に親友が来なかった事を夢に見ていた。合宿最初の活動は「海で遊ぶ」に決まり、顧問の高山マリアと部員六人全員でビーチへと繰り出す。そこではいつものように三日月夜空にいじられた星奈が、みんなの前でおっぱいをぽろりしてしまったりとハプニングはあったが、楽しく過ごしたのであった。その夜、小鷹は夜空から話があるからとベランダに呼び出される。しかし、ベランダで星奈と楽しそうに話す小鷹を見た夜空は、何も言わずに立ち去ってしまうのだった。(活動記録25:海)

合宿2日目の夜、志熊理科の提案で肝試しを行う事になり、みんなで怖い話を披露しあったあと、外の林へ行くという事に決まる。しかし、楠幸村と夜空が語った怪談があまりに怖かったため、肝試しは中止になるのだった。深夜、小鷹は、怪談が怖かったあまり一人でトイレへ行けなくなった星奈、羽瀬川小鳩、マリアに次々とトイレへ付き合わされるのだった。(活動記録26:怪談)

合宿を終えた隣人部は、地元で行われる夏祭りに出掛ける。夜空以外は浴衣に着替え、皆で夏祭りを楽しむのだった。その後、広場で花火をして楽しむが、夜空の髪に引火してしまう。小鷹が使用済みの花火が入ったバケツの水を夜空にぶっかけて火は消せたものの、ずぶ濡れになった夜空は暗い面持ちで帰ってしまった。それから1週間、夜空が一度も隣人部に顔を見せないまま新学期を迎える。遅刻して教室に現れた夜空は、長い黒髪をばっさり切っていた。その姿を見て、小鷹は夜空が10年前に別れた親友である事を知り、思い出した「ソラ」という親友のあだ名を口にする。それを聞いた夜空は、嬉しそうに涙を浮かべながら、小鷹に「タカ」というかつてのあだ名で答えるのだった。(活動記録27~28:夏祭り)

第7巻

羽瀬川小鷹は、10年前の親友ソラが三日月夜空である事を知った。夜空は小鷹と最初に再会した時に、すぐに10年前の親友タカである事がわかったらしい。10年前、タカから男だと思われていたソラは、大事な話があると呼び出して女の子らしい服装でタカの前に現れ、自分が女である事を明かそうと考えていたのだが、恥ずかしくて行けなかったのだった。そのためタカも自分が引っ越してしまう事をソラに伝えられず、離れ離れになっていた。再会を果たしたものの、夜空は10年前のタカとソラは親友だったが、今の小鷹と夜空は違うと語る。だから二人が知り合いだった事は部員達には話さず、これからもあだ名ではなくこれまでどおり「夜空」と呼ぶようにと小鷹に伝えるのだった。短髪になって部室に現れた夜空がわからず、イケメンが来たと大騒ぎする部員達。そんな中、柏崎星奈だけは一目で夜空だと見抜くのだった。(活動記録29:再会)

9月の初旬、髪を切ってみようかなとつぶやいた星奈に、夜空はいま都会のリア充女のあいだで「盛り」が流行っている事を伝える。まんまと夜空の口車に乗せられた星奈は、盛りに挑戦。部室で夜空と志熊理科に髪をいじられ、「究極リア充@真夏の夜の夢メガMAX盛り」が完成する。それは盛り上げた髪にイカ焼きやセミの抜け殻、花火、メロンパン、水着、トンボの死体などを飾り付けたひどい代物だった。夜空達に褒められた星奈は、その盛りがイケていると信じ、その髪のまま下校。帰宅して柏崎天馬にこっぴどく叱られるのだった。(活動記録30:盛り)

隣人部の部室へ行った小鷹は、見知らぬ美少女を目撃する。それは伊達眼鏡を外した理科だった。そのルックスは小鷹にとって「どストライク」だと正直な感想を伝えると、思わぬ回答に理科は赤面してうろたえる。しかし、中身はいつもの変態理科に変わりなかった。そんな理科が、部室で「ホモゲ部」という劇場版アニメを観るという。破廉恥なものを嫌う夜空がすぐさまに拒否するが、理科は18禁作品ではないし、パッケージの印象だけで判断するのはよくないと反論。外見で判断される辛さが身に染みている小鷹が理科の意見に同意し、小鷹、理科、夜空、星奈、楠幸村の五人で「ホモゲ部」のアニメ鑑賞を始める。アニメの熱い友情展開に一同は感動するものの、ラストの親友の男同士のキスシーンに小鷹や夜空は困惑。友達同士でもテンションが上がればキスするのが自然の摂理だという理科の力説に、夜空も顔を赤らめつつ納得するのだった。(活動記録31:ホモゲ部)

時間は少し遡り、小鷹と夜空が再会してから隣人部を設立するまでの物語。10年前、親友のタカ(小鷹)と別れたソラ(夜空)は、タカがいなくなった隙間を埋めるため色々やらかしてきた。それはニコ生に踊ってみた動画をアップしたり、ブログで犯罪自慢をして炎上させたり、コスプレ写真をネットにアップしたりという黒歴史で、それ以来、夜空は楽しい青春を送るためのあらゆる努力をあきらめていた。しかし、転校して来た小鷹と再会した事で夜空の時間は再び動き出す。だが問題は、夜空が一目で小鷹がタカだとわかったのに、小鷹は夜空をソラだとまったくわからない事であった。どうやって小鷹と話すか、悩み続けて1か月、夜空は教室で「エア友達」のトモちゃんと会話しているところ、つまり一人でしゃべっているところを小鷹に目撃されてしまう。それをきっかけに夜空は隣人部を設立して、小鷹も無理矢理入部させる。活動目的は「友達を作る事」。しかし、夜空の真の目的は、小鷹と再び友達になる事であった。(僕は友達が少ない CONNECT:動き出した時間)

第8巻

試験が終わり、学園のあちこちでは生徒達が友達と答え合わせをしていた。相変わらず友達のいない羽瀬川小鷹三日月夜空は、テスト後に友達と答え合わせをするという行為にあこがれ、照れながらも二人で答え合わせを始める。楽しく進めていたが、そこに柏崎星奈も加わる。成績優秀な星奈との答え合わせはまったく面白みがなく、夜空は興ざめするのだった。その後、小鷹は公園で一人のシスターと出会う。見た目は美少女だが、コーラを飲んでゲップをするわ、尻をぼりぼりかくわで、ちょっと残念でおかしなシスターであった。そこに高山マリアが現れ、そのシスターがマリアの姉である高山ケイトだとわかる。ケイトは、小鷹がいつもマリアから話に聞いている世話になっている人物だと知り、感謝を伝えるのだった。まだ10歳だが勉強だけはできるマリアは、飛び級でエリート高校に入ったものの校内で孤立し、行き場がなかった。ケイトですらマリアとどう接すればいいかためらう中、マリアを外に連れ出してくれた夜空達に感謝していたのだ。実は15歳で年下であるケイトは、小鷹をマリア同様「お兄ちゃん」と呼び、これからもよろしくと伝えると去っていった。(活動記録32:シスター)

試験の結果がおもわしくなかった小鷹は、星奈の家でいっしょに勉強をしようと誘われる。初めて女の子の部屋に入る事に緊張する小鷹だったが、星奈の部屋の天井は隠し撮りした夜空の写真で埋め尽くされていた。さらに、以前夜空が星奈のマネをするために被っていた金髪のカツラを夜空から1万円で買い取り、ベッドに置いていた。いつか夜空をぎゃふんと言わせるため、夜空から与えられた屈辱を忘れないようにと、夜空の写真を貼り、夜空がかぶっていたカツラの臭いを嗅いでいるのだった。成績学年トップの星奈だが、人に教えるのは向いておらず、勉強はまったくはかどらない。変わり者の執事であるステラは、そんな小鷹にそっとコンドームを手渡し、小鷹をあわてさせるのだった。帰りそびれた小鷹は柏崎邸に泊まる事になる。風呂で柏崎天馬といっしょに汗を流す事になった小鷹は、天馬が星奈が学校でイジメられていないかと心配している事を知る。そんな天馬に小鷹は、星奈の事は自分が守ると約束するのであった。(活動記録33:サービス回(柏崎さんの裸シーンあり))

明日から3日間の試験休みを迎える日曜の夜、小鷹の家に突然マリアがやって来る。姉のケイトとケンカして家出して来たというのだ。ただし、家出といってもケイトがマリアを小鷹の家まで送って来ており、実質お泊り会だった。仕方なくマリアを預かる事にした小鷹だったが、ケイトはやたらと小鷹に電話をしてきては、風呂でちゃんと体を洗えだの、野菜を食べろだのと細かく言ってくる。小鷹からシスコンと言われると全力で否定しつつも、なんだかんだで妹の事が心配なようであった。一方、ケイトは相変わらず羽瀬川小鳩と衝突ばかりしているが、二人でゲームをしたりと楽しく過ごしていた。翌朝、マリアはタクシーで迎えに来たケイトに連れられ、あっさりと学園へ帰るのだった。(活動記録34:姉妹)

試験休みの最終日、連休でもやる事のない隣人部の部員達は部室に集まっていた。リア充はテストのあとにお疲れ様会をやるらしい、という事で隣人部も部室でお疲れ様会を始める。お菓子やジュースを用意し、王様ゲームをする事に。隣人部の連中で王様ゲームをしたら、とんでもない命令ばかりになると心配した小鷹は断固反対するが、多数決で却下され、しかたなく誰が王様になるのかはくじで決め、命令もあらかじめ紙に書いておいたものからランダムで選ぶ事を条件にしてゲームを始める。水着になるや、エロゲーのセリフを音読するなどのさまざまな命令が実行され、遊び疲れたみんなは最後の王様ゲームを開始。最後の結果は、3番の小鷹が王様の星奈にキスをする、というものだった。王様の命令は絶対だからと、赤面しつつもキスをしようとする二人。しかし、夜空が小鷹を突き飛ばして二人のキスを阻止する。小鷹は星奈がジュースを飲んだコップに口をつけて間接キスとし、なんとかその場を収めるのだった。その夜、小鷹は久しぶりに父親の隼人からの電話を受け取る。隼人は小鷹が天馬の娘、つまり星奈と結婚する事になっているらしいという、衝撃の情報を伝えるのだった。(活動記録35:お疲れ様会)

第9巻

柏崎星奈は、溺愛する羽瀬川小鳩を地元の遊園地「横縞ワンダーランド」に誘う。しかし、星奈の溺愛っぷりを恐れる小鳩は断固拒否するものの、小鳩の好きなテレビアニメ「鉄の死霊術師(くろがねのネクロマンサー)」のショーや限定グッズ、お菓子やハンバーグといった要素に惹かれていた。友達といっしょに遊園地というシチュエーションに憧れる隣人部の面々は、全員で横縞ワンダーランドへ行く事に決めるのだった。(活動記録36:遊園地~お誘い編~)

遊園地「横縞ワンダーランド」に到着した隣人部一同。部員達は、最初のアトラクションとして、世界最大規模のジェットコースター「ブラックドラゴン」を選ぶ。全員で乗ったものの、そのスピード、高度、距離はすさまじく、ブラックドラゴンを降りたあとも高山マリア以外はぐったりとしていた。そんな中、「鉄の死霊術師」の着ぐるみショーが始まり、羽瀬川小鷹と小鳩、星奈は会場へ向う。なんとか小鳩となかよくなりたい星奈は勉強してきた「鉄の死霊術師」の話題で話し掛けるが、筋金入りのファンである小鳩に付け焼刃の知識で語るのは逆効果であった。しかし星奈のおかげでショーに人質役として参加し、監督のサイン色紙をもらえた小鳩は喜び、照れつつも星奈に礼を言うのだった。(活動記録37:遊園地~ブラックドラゴン編~)

「鉄の死霊術師」の着ぐるみショーを見終えた小鷹、小鳩、星奈は三日月夜空達と合流し、引き続き園内のアトラクションを楽しむ。しかし、例によって夜空と星奈が意地の張り合いをはじめ、どちらがジェットコースター「ブラックドラゴン」に怖がらずに乗れるか勝負をする。小鷹達はそんな二人の相手をせずに、遊園地を楽しんでいた。ひとしきりアトラクションを楽しんだ小鷹達は、勝負がつかずにブラックドラゴンに8回も乗ったという夜空と星奈が、ベンチで死んだようにぐったりしているのを目撃する。9回目に挑もうとする二人は急激な吐き気をこらえきれず、目の前にいた小鷹にゲロをぶちまけるのだった。ゲロで汚れた一同は温泉へと向う。自称小鷹の舎弟である楠幸村は、あにき(小鷹)の背中を流すと小鷹に付き添い、10歳のマリアも夜空達はゲボくさいからイヤだと、いっしょに男湯に入っていた。小鷹を見て、初めて「おちんちん」を目にしたマリアは、なぜ幸村にはついていないのかと質問。小鷹が背中を流す幸村を振り返って股間を見ると、そこにはあるべきものがついていなかった。(活動記録38:温泉)

隣人部で訪れた温泉にて、幸村が女であった事が判明する。驚いた事に幸村自身、自分が男だと思い込んでいた。志熊理科の説得により、幸村はようやく自分が女である事を納得する。小鷹がなぜ男だと思い込んでいたのかと尋ねても、幸村は「かていのじじょうで」と答えるのみで、それ以上は語らなかった。男でなくてもこれまでどおり舎弟でいていいかと問う幸村は、小鷹はこれからも舎弟としていっそう励むよう伝えるが、幸村が女である事がわかり、これまで以上にドキドキする気持ちを抑えきれない。いっぽう、小鷹に密かに思いを寄せる夜空は小鷹に奉仕する幸村が、可愛くて素直で従順なメイドの「美少女」である事が確定し、いら立ちを隠せなかった。(活動記録39:ついてない話)

小鷹に舎弟として仕える幸村が女である事がわかり、気が気ではない夜空は、幸村に可愛らしいメイド服姿をやめさせ、男性の執事服に着替えさせる。しかし、幸村は執事姿も似合い、かわいらしく、夜空の目論みは失敗に終わるのだった。一方、部室で小鷹から発明が地味だと言われた理科は、翌日タイムマシンを作ってもってくる。意識だけを過去に飛ばす事ができるというそのタイムマシンを試す事になった小鷹は、5分後に現在の時間に戻るようにセットされたマシンを装着し、戻りたい時間を強くイメージする。すると、小鷹の意識は10年前、親友のソラ(夜空)と最後に別れた日に飛んでいた。引っ越す事を伝えられなかった過去を悔いていた小鷹は、夜空の名前を呼び、離れてもずっと友達だという思いを伝える。しかし、そこからイメージは悪夢に変わり、小鷹は夜空の名前を叫びながら目を覚ますのだった。さらにタイムマシンというのは噓で、睡眠誘導装置に催眠術を加えたものである事が、理科から明かされる。それでも夢の中でちゃんと10年前に行けたと、装置を評価する小鷹。しかし、小鷹が夜空の名前を叫ぶのを聞いていた星奈は、10年前の夢になぜ夜空が出てくるのかと尋ねる。夜空は二人が幼なじみであった事を部員に言わないよう小鷹に口止めしていたが、小鷹は夜空と小鷹が10年前に友達だった事を明かすのだった。(活動記録40:タイムマシン)

第10巻

10月のある日、羽瀬川小鳩の誕生日が10月18日である事を知った柏崎星奈は、小鳩の誕生日パーティーをやりたいと言い出す。全員友達のいない隣人部の部員達は、将来リア充になった時の練習も兼ねて、小鳩の誕生日パーティーを開く事にするのだった。その夜、小鷹のもとに星奈、三日月夜空楠幸村志熊理科それぞれから、小鳩への誕生日プレゼントを買いに行くのに付き合ってほしいというメールが届く。翌日、買い物へ向かうために待ち合わせした駅には、小鷹達五人が集合。それぞれ小鷹と二人っきりで買い物に行きたいと考えていた星奈達四人は落胆しつつ、皆の気持ちに気づかない小鷹の鈍さにあきれていた。(活動記録41:バースデイ)

小鳩への誕生日プレゼントを買うために街へやって来た隣人部の五人。ヘソ出しファッションを部員達に指摘されて急に恥ずかしくなった夜空は、洋服を買うために理科、幸村と共に行動し、小鷹は星奈と二人で小鳩への誕生日プレゼントを探しに百貨店へ向う。小鳩が喜びそうな物がなかなか見つからないなか、調理器具好きの小鷹はお気に入りのフライパン1個とナベ2個を買ってご満悦だった。二人で街で買い物をし、傍から見たらデートをしているカップルにしか見えないのに、そんなそぶりを見せない小鷹に星奈は不満を感じていた。小鳩へのプレゼントが決まらないまま、洋服を買いに行った夜空達と合流すると、理科はいつもの白衣から女の子らしい洋服に着替えており、幸村も夜空から受けついだヘソ出しのボーイッシュファッションで見違えるようになっていた。しかし、夜空は上下ジャージという姿になっており、疲れ果てた様子でこの街は合わないと帰っていった。理科達も買い物に疲れ、星奈一人を置いて家に帰るのだった。(活動記録42:どうみてもデートです本当に(略))

隣人部の部室で小鳩の誕生日パーティーが開かれる。シャイな小鳩は参加したくないとメールをしてくるが、大きなケーキという誘いに乗せられ、部室にやって来るのだった。部員の皆からプレゼントをもらい、盛大に祝ってもらった小鳩は、大喜びで帰宅する。その夜、小鷹の家を高山マリア高山ケイトが訪ねて来る。小鷹を「お兄ちゃん」と呼ぶマリアとケイトに怒る小鳩だが、マリアから誕生日プレゼントとして十字架のネックレスをもらい、小さな声でお礼を伝えるのだった。二人は小鷹の家に泊まっていく事になり、小鷹はアクシデントで、風呂上りで全裸姿のケイトを見てしまう。その事を正直に詫びると、ケイトはあっさりと小鷹の事を許すのだった。(活動記録43:誕生日パーティー)

隣人部の部室で、小鷹はもうすぐ学園祭である事をつぶやく。聖クロニカ学園学園祭は、毎年3日間にわたって行われる学園際で、1日目が体育祭、2日目と3日目が文化祭となっていた。しかし、夜空は、学園祭などリア充のリア充によるリア充のためのイベントであり、友達のいない隣人部とは縁のないものと語り、以後二度と学園祭という言葉を口にしないよう釘を刺す。そして夜空は、だから学園祭当日はいっしょに静かに過ごそう、と小鷹に伝えようとするのだが、隣人部でも文化祭でなにか出し物をやろうという星奈の声にかき消されてしまう。星奈は出し物としてメイド喫茶を提案。実際にできるかどうか、小鷹を客役として、理科、幸村、星奈が順番にメイド喫茶を実演してみるのだった。星奈が演じるメイド喫茶は小鷹にグッとくるものがあったものの、夜空達によって却下されてしまう。(活動記録44:本当はもう気づいていたこと)

第11巻

隣人部も文化祭に出し物で参加する事が決まり、部室で出し物について会議が開かれ、羽瀬川小鷹が占いの館を提案する。すると、三日月夜空は虚言と演技は得意だと言い、柏崎星奈の占いを始める。そこで夜空は、星奈の性格について誰にでも当てはまるような一般的な事を次々と言っていく。いわゆるバーナム効果と呼ばれる心理現象によって星奈は、夜空の占いが当たっていると驚き、いつもは敵対している夜空が自分の事をそこまで理解していると、嬉し涙までこぼす始末だった。しかし夜空は悪ノリし、今夜0時ちょうどに屋根の上で頭に水の入った皿を乗せ、その場でけたたましい奇声をあげながら3回転して「セクシービーム!」と全裸で叫べば、大いなる幸福が訪れるとウソをつく。信じ込んだ星奈はそれを実行し、父親に怒られる。夜空に騙されていた事を知った星奈は翌日、夜空に激怒するが、怒りよりも、信じた夜空に裏切られた悲しみの方が大きいようだった。泣き出す星奈に、さすがにやり過ぎたと反省する夜空だったが、部室に訪れた羽瀬川小鳩を見つけた星奈は、すぐに小鳩のかわいさで元気を取り戻し、夜空の事を許すのだった。(活動記録45:占い)

学園祭での隣人部の出し物はなかなか決まらずにいた。そんな中、高等部の学園祭の1週間前に実施される中等部の学園祭では、小鳩のクラスが映画を作って上映し、その映画の主役を小鳩が務める事がわかる。シャイな小鳩はそれから逃げ出していたが、小鷹の説得によって部室から自分のクラスの教室へと戻る。一方、その影響を受けて、隣人部の出し物も映画に決まる。みんなでアイデアを出し合い、作る映画のジャンルは友情がテーマの青春モノに決まるのだった。(活動記録46:第三回学園祭出し物会議)

隣人部の出し物は映画と決まったものの、脚本担当の夜空はなかなか筆が進まず、苦戦していた。そんな中、夜空は脚本執筆の参考のために、二人で映画を観に行こうと小鷹を誘う。夜空がチョイスした映画はきわどい濡れ場があるうえ、ひどい映画だったので脚本の参考にはまったくならなかったが、映画のあと猫が大好きな夜空は猫喫茶に行けた事でご満悦。親友として過ごした10年前のような1日だったと小鷹に語るのだった。(活動記録47:これはデートですか? いいえ修羅場フラグです。)

小鷹は、校内に貼り出された試験の結果を確認し、自分の順位がいちおう半分より上にある事に安心する。相変わらずトップは星奈で、夜空も学年で7位と優秀だった。小鷹のとなりには、くやし涙をうかべながら試験結果をにらむ小さな女子生徒の姿があった。彼女は星奈のクラスメイトで、生徒会会計を務める遊佐葵だった。葵は試験結果がいつも2位で、いつも1位の星奈に激しい対抗心を燃やしていた。葵は、星奈には小鷹のようなチョイ悪系のかっこいいカレシまでいる、と羨む。それを聞いた小鷹は、星奈の彼氏ではないと否定しながらも、葵からチョイ悪系でかっこいいと言われた事に喜びを隠せずにいた。小鷹は部室で葵の事を星奈に話すが、星奈はクラスメイトである葵の名前すら知らず、試験の結果が掲示板に貼りだされている事すら知らなかった。小鷹は、ぶっちぎりな能力と境遇を備えて、自由奔放で勝手気ままな星奈を見て、生まれながらのお姫様だと感じるのだった。(活動記録48:生まれながらの姫)

学園祭の出し物として隣人部が制作する映画の脚本を、ようやく夜空が書き上げる。友情をテーマにした青春ドラマで、タイトルは「空に上る月」。脚本の出来は素晴しく、部員一同は絶賛する。夜空は配役もすでに決めており、主人公は夜空、主人公の親友である転校生は小鷹というキャスティングだった。しかし、星奈と志熊理科が配役に異議を唱え、主人公役は部員の投票で決める事に。その結果、主人公は楠幸村になり、小鷹が主人公の妹になってしまう。それを受けて夜空が修正した脚本は、前日のものと大きく変わっていた。あくまで夜空の幼なじみである小鷹が演じるキャラクターと主人公との友情を描く事にこだわる夜空に、星奈はそんな昔の事はどうでもいいと言い放つのだった。(活動記録49:幼なじみ)

夜空と小鷹が昔友達だった事などどうでもいいから、今は映画の脚本をちゃんと修正するべきだと星奈に言われた夜空。言い争いでは負けた事のない夜空だが、珍しく涙を浮かべて走り去ってしまう。その後、たまたま二人っきりで小鷹と顔を合わせた夜空は、10年前の思い出と今とではどっちの方が大切かと小鷹に尋ねる。選べないと答える小鷹から同じ質問を投げかけられた夜空は、10年前のほうが大事だと答えるが、それなら今は大事じゃないのかと小鷹に尋ねられ、返答に窮するのだった。(活動記録50:二回目)

第12巻

11月に入り、三日月夜空はきちんと映画の脚本を修正し、ようやく隣人部は学園祭で上映するための映画撮影をスタートさせる。(活動記録51:-彼女の答え-)

隣人部の映画制作は順調に進んでいた。ある日、羽瀬川小鷹柏崎天馬から柏崎星奈との交際は順調に進んでいるかと尋ねられ、別に付き合ってはいないと答える。後日、星奈と話すと、星奈が溺愛している羽瀬川小鳩を妹にしたいといった旨の発言から、天馬に誤解を与えていた事がわかる。さらに小鷹と星奈が許嫁であった事も判明。二人が幼い頃に誓約書に拇印を押していた事もわかる。小鷹は夜空だけでなく、星奈とも幼い頃に会っていたのだった。親が勝手に決めた婚約など関係ないと、二人は部員にはこの事実を隠す事にするが、小鷹と星奈が婚約している事を高山ケイトから聞いた高山マリアが、部員のみんながいる前で大きな声で言ってしまう。(活動記録52:ペガサスファンタジー)

小鷹と星奈が幼なじみで許嫁の関係である事を知った夜空のダメージは計り知れなかった。しかも、夜空の脚本が、過去にあった邦画の丸パクリであった事が判明する。部員からの糾弾を受け、さすがに反省する夜空は、星奈から屈辱的な仕打ちを受けても、必死に耐えるのだった。商業作品ではなく学園祭で上映するだけの映画だから脚本が盗作でも問題はないが、プライドの高い星奈はそれを認めず、自身がすでに書き上げていた脚本で映画を撮りなおすと宣言。星奈は、失態を芝居で挽回するよう夜空に伝えるのだった。(活動記録53:三日月夜空の転落)

学園祭まであと2週間と迫る中、映画の撮影を進める隣人部。しかし、星奈の手による脚本はひどい代物で、内容もムチャクチャであった。それでも志熊理科が編集をして、特殊エフェクトを加えると、見ごたえのある映像に変貌していく。理科室で一人、編集作業に頑張る理科の姿を見た小鷹は、いつもは変態な理科の純粋な一面を知るのだった。(活動記録54:理科室にて)

小鳩が主役を演じる映画を観るため、隣人部は中等部の学園祭へ赴く。小鳩LOVEな星奈のテンションは上がりっぱなし。「かぐや姫」をモチーフにした「小鳩姫」というタイトルの映画は出来もよく、上映後は拍手が巻き起こった。妹が学校で浮いているのではと心配だった小鷹だが、小鳩のクラスメイトから小鳩が人気者であると聞き、安心する。クオリティの高い「小鳩姫」に触発されて、隣人部の映画制作にも気合が入る。「小鳩姫」の制作から解放された小鳩も久しぶりに隣人部に復帰し、フルメンバーで映画の撮影を進めるのだった。(活動記録55:羽瀬川小鳩)

第13巻

3日間にわたって行われる聖クロニカ学園学園祭がスタート。初日は体育祭で、生徒会長である日高日向が壇上から挨拶を述べる。羽瀬川小鷹は、校庭の隅から日向の事を不機嫌な様子で見つめる三日月夜空に声を掛ける。夜空は日向とは話をした事もないが、死ぬほど嫌いだという。2年連続で生徒会長を務める日向は、スポーツ万能で生徒からの圧倒的な人望を集める真のリア充。唯一無二のリア充界の頂点に立つ日向を、夜空は「リア王」と呼んで嫌っていた。その後、小鷹は屋上から体育祭の様子を眺める志熊理科を見つけて声を掛けるが、理科からは隣人部の部員達の好意に対して、いつまで煮え切らない態度を取り続けるのかと問われる。(活動記録56:リア王)

体育祭は終了。柏崎星奈は出場可能な種目すべてに参加してトップをとるという大活躍をし、MVPのトロフィーまでもらっていた。明日からの文化祭ではいよいよ隣人部が制作した映画を上映する。小鷹達は、理科室で映画の編集を続ける理科が作業を終えるのを部室で待っていた。しかし、文化祭当日になっても編集は終わらず、理科室へ駆けつけた小鷹は、倒れている理科を発見する。無理な編集作業がたたって風邪を引いたのだった。夜空は、上映する前に隣人部の七人だけで完成した映画を観るべきだと照れつつも主張し、理科抜きで無理して編集を終わらせる事はせず、初日の1回目の上映は中止にするのだった。(活動記録57:前座)

倒れた理科の様子を見に保健室へ向かった小鷹は、理科からの頼みでBL小説の音読をさせられる。復帰した理科は徹夜で編集作業を終わらせ、ついに映画「偉大なるカスィ・ウァズァキィ・スェナの伝説」は完成。部員達だけで部室での先行上映を鑑賞するのだった。星奈のひどい脚本によるストーリーはムチャクチャだが、理科の編集と特殊効果によって立派な作品に仕上がっており、小鷹は充実した気持ちを感じていた。(活動記録58:光に背を向けて)

学園祭が終わって1週間が経ち、隣人部もいつもの活動に戻っていた。そんなある日、星奈に激しいライバル意識を持つ生徒会の遊佐葵が、遊んでばかりいる隣人部に問題ありと、部室へ乗り込んで来る。隣人部存続の危機を迎えるが、口の達者な夜空が葵を言い負かし、撤退させる事に成功する。(活動記録59:月の剣)

一度は退いた葵が、再び隣人部の部室にやって来る。今度は、隣人部が正式な部活動として認められない理由として、顧問がいない事を突いてきた。すかさず高山マリアが顧問だと言い返す星奈だが、じつはマリアは学園の正式なシスターではなく、高山ケイトの身内として礼拝堂に出入りしているだけの「シスター服を着たただの幼女」である事が明らかになる。その事はマリア本人も知らず、自分の存在意義を見失うマリア。しかし、星奈は理事長である父親の柏崎天馬に電話して、あっさりとマリアを特別非常勤講師として内定させるのだった。こうして再び隣人部の危機は救われ、小鷹は夜空と星奈がいる限り、たとえ誰が攻めてきても隣人部は安泰だろうと考えていた。しかし、部員の皆の前で星奈は小鷹にあっけらかんと、やっぱり自分と結婚しなさいよと告げ、部の平穏と和やかな空気を打ち破るのだった。(活動記録60:妖星乱舞)

第14巻

隣人部の部室でガンシューティングゲームをプレイしながら、柏崎星奈羽瀬川小鷹の事が好きだから結婚したいとポロリと口に出す。高山マリア以外の部員達は、星奈の突然の告白に衝撃を受ける。その様子を見た星奈は、思わず小鷹への想いを口にしてしまった事に気づいて赤面するが、どうせそのうち言うつもりだったと開き直る。小鷹はゲームの音が大きくて聞こえなかったととぼけるが、顔を真っ赤にした星奈に正面から見つめられ、その圧倒的な魅力に、これまでどおり何もなかったようにやり過ごすのは無理だと感じたものの、急用を思い出したと言って部室から走って逃げだすのだった。(活動記録61:主人公の条件)

星奈の告白から逃げ出した小鷹は、隣人部の部室へ行けずにいた。校内で重い荷物を運ぶ遊佐葵を見掛けた小鷹は、その仕事を手伝いながら、葵がなぜ隣人部を潰そうとしたのかと尋ねる。葵は星奈のような優れた人物はもっと相応しい居場所にいるべきだからだと話すものの、思い直して本当は星奈に対するただの嫉妬だと正直に答えるのだった。隣人部に行きたくないという自分の気持ちを認めたくない小鷹は、自身に言い訳するように葵の仕事の手伝いを申し出る。(活動記録62:新たなる光)

生徒会の葵の仕事を手伝っていた小鷹は、生徒会長の日高日向と出会い、お互いに自己紹介する。小鷹の人柄を気に入った日向は、彼を生徒会に誘う。隣人部に顔を出しづらい小鷹は、日向の人柄に惹かれた事もあり、たまに生徒会を手伝う事にするのだった。小鷹が隣人部へ行かなくなって1週間が経ったある日、小鷹が生徒会に強制労働を強いられていると勘違いした楠幸村がやって来る。小鷹は幸村に隣人部の様子を尋ね、あれ以来三日月夜空志熊理科も隣人部に顔を出していない事を知るのだった。小鷹はヘタレっぷりを見せたにもかかわらず、これまでどおりに接してくれる幸村に対して、自分は兄貴としてふさわしくないと伝えるが、幸村はそんな小鷹にますます愛おしさを募らせるのだった。(活動記録63:強き心に花よ咲け)

小鷹を校舎の屋上に呼び出した理科は、逃げ癖がついた小鷹の性根を叩き直してやると、自身が発明した戦闘用アイテムで小鷹をボコる。隣人部という初めてできた自分にとっての大切な場所を守りたいと思いつつも、そこから逃げ続けている状況にどうにもならない小鷹は、ボコられつつも、理科こそ傍観者気取りの自己犠牲野郎だと責める。お互いの本音をぶつけあった小鷹と理科は、二人がもう友達だという事を認める。改めて小鷹は理科に助けを求めるのだった。(活動記録64:プロローグの終わり/羽瀬川小鷹が主人公になるとき)

第15巻

柏崎星奈の告白から逃げ続け、隣人部に顔を出せない事を友達として羽瀬川小鷹から相談された志熊理科だったが、これまで友達のいなかった理科に、いいアイデアが出るはずもなかった。それでも理科は小鷹の正直な気持ちを星奈に伝えさせるため、星奈を部室に呼び出して小鷹を連れていく。三人だけの部室で、小鷹は星奈の事は大好きだが、同じぐらい大切な隣人部とどちらかを選ぶなんて事はできないから、隣人部を守るため、小鷹は部員の誰とも付き合わないと告げる。そのため星奈と付き合うのを我慢するから、星奈にも我慢してくれと土下座して頼み、仕方なく星奈もその提案を受け入れるのだった。(活動記録65:僕は友達が少ない)

小鷹と星奈の関係については、ひとまず方向性が決まったものの、傷心の三日月夜空からは、旅に出ます、探さないでください、というメールが届く。メールで事情を尋ねた小鷹には「心がポッキー」という返信メッセージだけが返ってきた。帰宅した小鷹が、夜空がいなくなった事について羽瀬川小鳩と話すと、小鳩は夜空の事を、星奈や遊佐葵から守ってくれる漆黒の暗黒騎士ダークナイトとして気に入っている事がわかる。小鷹が星奈に好きだという気持ちを伝えた事を話すと、小鳩は野獣のように取り乱すが、星奈と交際はしない事を伝え、なんとか小鳩を落ち着かせるのだった。深夜に目覚めた小鷹は、風呂場からシャワーの音と猫の鳴き声のようなものを聞き、小鳩が捨て猫を拾ってきたのかと風呂場へ。そこで小鷹は、なぜか小鷹の家でシャワーを浴びながら自慰行為をしている夜空の姿を目にするのだった。(活動記録66:ダークナイト)

行くアテもなく公園のベンチで途方に暮れていた夜空は、たまたま通りかかった小鳩に発見され、羽瀬川家に匿われていたのだった。ダークナイトと呼ぶ夜空にすっかり懐いている小鳩。心配しているだろうから家に連絡すべきだという小鷹に、夜空は自分がどこで何をしていようとあの人は心配なんてしない、と涙ながらに答えるのだった。翌日、小鷹はひとまず夜空は無事で羽瀬川家にいる事を部員達に伝える。また前夜、小鷹は理科と友達になった事を夜空に伝え、夜空とも、と言いかけたが、夜空は小鷹とはもう友達ではないと告げる。さらに小鷹は星奈の事が好きでその気持ちを本人に伝えた事を夜空にも話し、二人は泣きながら別れた。(活動記録67:THE DARK KNIGHT)

話は遡り、中学3年生の理科は、柏崎天馬から学園を面白くしたいという理由で聖クロニカ学園への入学を口説かれていた。その頃の理科は、自分を孤独だと嘆き、天才ではない普通の人間を嫌い、それでいて他人を理解しようともせず、勝手に見下す思春期の少女だった。なにかが変わる予感を感じて入学を決めた理科だったが、入学初日、にぎわう教室に一歩入っただけで気持ちが悪くなり、以来理科室に引きこもる毎日だった。そんな理科は、倒れていたところを小鷹に助けられ、さらに隣人部の部員募集のポスターを見て入部。それから数か月して彼女は変わり、そして友達もできたのだった。(活動記録68:クオリア)

小鷹は生徒会の手伝いと掛け持ちしながら、隣人部に復帰していた。楠幸村はいつのまにか犬猿の仲だった葵とあだ名で呼び合うほどなかよくなっており、二人で女子力アップを目指していた。友達ができた幸村にショックを受けた理科は、恐る恐る幸村に理科と幸村は友達かと尋ねるが、あっさり否定されたらしい。以前の隣人部に戻ったように見えるが、夜空と小鳩が顔を見せない日が続いていた。相変わらず小鷹の家に居候している夜空は、せめて料理ぐらいは作ろうとするが、手が震えて包丁が使えないという。小鷹は立ち入った話に踏み込んでいいのかわからず、それ以上夜空に話を聞く事はできなかった。夕食時、小鷹は思い切って夜空と小鳩に部活に来るよう話す。高山マリアも小鳩が来ずに寂しがっていると聞いた小鳩は、夜空にいっしょに行こうと誘い、夜空もようやく隣人部に復帰する気持ちを固めるのだった。(活動記録69:ヒーロー/君の名は)

第16巻

三日月夜空羽瀬川小鳩は、隣人部に復帰。柏崎星奈は以前と同じノリで二人を迎え入れる。そんな中、楠幸村はこれまでの執事服姿ではなく、女子制服を着ていた。夜空が失踪中、羽瀬川家に居候していた事を知った星奈はうろたえたものの、張り合うように羽瀬川小鷹に裸を見られた事があると語る。それを受けて幸村も裸を見られた事を話すと、夜空は、自分なんて裸どころか自慰行為も小鷹に見られたと自虐的にぶちまけるのだった。どん底の堕ちるところまで堕ちた夜空は、もう失うものは何もないと宣言する。(活動記録70:負け犬の一分)

部員全員が揃っての活動を再開した隣人部。ある日、志熊理科は、以前に隣人部でサンプル版をテストプレイしたゲーム「ロマンシング佐賀」のマスター版が手に入ったので、みんなでプレイしようと提案する。全員で理科室へ移動し、ヴァーチャルリアリティー体験型ロールプレイングゲーム「ロマンシング佐賀」を始める。ゲームの中ではプレイヤー達がさまざまな種類の中から職業を選び、星奈は聖騎士、夜空は暗黒騎士、小鳩はなぜか見た目がコーヒーゼリーのようなダークプリンセス、理科はスキンヘッドの僧侶、幸村は超巨乳の踊り子、高山マリアは魔法使いを選ぶ。そして小鷹は賢者だが、自慰行為のあとになにもかもを悟った精神状態となるいわゆる「賢者タイム」の賢者であった。パーティを組んで魔王との戦いに善戦するものの、賢者である小鷹が覚えるスキルは「パンツを脱ぐ」や「ティッシュを用意する」といった戦闘の役に立たないものばかりで、結局パーティは全滅してゲーム終了となる。その後、小鷹が生徒会のメンバー達と温泉旅行へ行く事を知った夜空達は、隣人部もその旅行についていく事で一致団結するのだった。(活動記録71~72:隣人部のサガ)

聖クロニカ学園では2年生の1月にスキー研修が行われる。その下見という名目で、生徒会メンバーといっしょに慰安旅行へ行くはずだった小鷹だが、星奈が父親で理事長の柏崎天馬に手を回し、隣人部も参加する1泊2日の合同温泉旅行となった。参加する生徒会メンバーは、生徒会長の日高日向、副会長の大友朱音、会計の遊佐葵、書記の神宮司火輪の四人。隣人部は顧問のマリアを含めた七人全員の参加で、引率として天馬も割り込んできていた。出発のため待ち合わせ場所に集まった小鷹は、夜空が日向の妹だという事実を知り、波乱の旅行が幕を開けるのだった。(活動記録73:妹さえいればいい)

生徒会との合同で温泉旅行へやって来た隣人部。小鷹は、夜空が幼い頃に両親が離婚し、夜空は母親に、日向は父親にそれぞれ引き取られて高校で再会した事を日向から聞く。夜空は日向の事を避けているが、日向は旅行中に夜空となかよくなってみせると、前向きな態度を見せていた。小鷹は、以前に夜空から聞いた、かつて母親に包丁で刺されかけた事があるという話を思い出し、気に掛けていた。朱音は、日向と夜空の仲直りに協力しようと、生徒会と隣人部の親睦を深めるという名目でメンバーをごちゃまぜにした部屋割りを提案し、日向と夜空を同じ部屋にするのだった。一方、天馬との二人部屋にされた小鷹は、天馬の長話に付き合わされてぐったりしていた。人が少なくなったのを見計らって混浴へ入った小鷹は、入浴中の星奈と鉢合わせになる。朱音、火輪という二人の巨乳と同室になった理科は心労で寝込んでしまうと、そのうち友達であるはずの小鷹に自分が裸で抱き着く夢を見て目を覚まし、うろたえるのだった。(活動記録74:生徒会役員共/ノットコンプリート)

登場人物・キャラクター

羽瀬川 小鷹 (はせがわ こだか)

隣人部の部員。日本人の父(隼人)とイギリス人の母(アイリ)を持つハーフ。母は金髪だが、羽瀬川小鷹は父の遺伝を受け、染めるのに失敗したようなくすんだ金髪。そこに目つきの悪さも加わって、幼い頃から周囲の生徒からヤンキーや不良と誤解されて育った。母は妹の羽瀬川小鳩を出産後、事故で他界している。父がアメリカへ転勤となり、10年ぶりにマイホームのある遠夜市(とおやし)に戻り、小鳩と2人で暮らしている。 高校2年の5月半ばに、聖クロニカ学園2年5組に転入。隣人部で唯一といっていい常識人で、部員の残念な美少女たちに日夜振り回される。調理器具が好き。誕生日は7月30日。

三日月 夜空 (みかづき よぞら)

隣人部の部員。羽瀬川小鷹と同じ、聖クロニカ学園の2年5組に在籍する女子生徒。美少女だが、教室ではいつも不機嫌そうな顔で全身から不機嫌オーラを放出しているため、誰も近づかない。プライドが高く、友達なんていなくてもいいが、周囲の人から「あいつは友達がいない寂しい奴だ」と蔑むような目で見られるのがイヤだと考えている。 小鷹の提案を受けて隣人部を創設し、部員募集のポスターを自作するが絵が壊滅的に下手。また、気は強いが性に関しては純情で、部室でエロゲーをやる柏崎星奈や、エロ同人誌を読む志熊理科には、いかがわしいと顔を赤くして抗議する。星奈をからかって楽しんでいるが、罵詈雑言が通じない理科は苦手。

柏崎 星奈 (かしわざき せな)

隣人部の部員。聖クロニカ学園理事長の一人娘で、同学園の2年3組に在籍する。金髪のロングヘアーで碧眼、頭の左側にブルーの蝶のアクセサリーを付けている。スポーツ万能、成績優秀でテストの順位は去年からずっと学年トップ、おまけに巨乳で美人と、性格以外はパーフェクトな女子生徒。自信家で学園では女王様然にふるまっているが、女子生徒からは妬まれ疎まれており、同性の友達を求めて隣人部に入部してきた。 三日月夜空とは犬猿の仲で、夜空からは「肉」と呼ばれている。羽瀬川小鳩がお気に入りでヨダレをたらしてまとわりつくが、小鳩からは敬遠されている。

楠 幸村 (くすのき ゆきむら)

隣人部の部員。聖クロニカ学園の1年1組に在籍する男子生徒。クラスの男子生徒からの疎外感を感じ、男らしくなりたいと羽瀬川小鷹を「兄貴」と慕う。小鷹の舎弟として、三日月夜空によって隣人部に入部させられた。さらに夜空の口車に乗せられ、部室ではメイド姿で部員に奉仕している。兄貴に仕えることが生きがい、と騒がしい隣人部においてマイペースで奉仕を続ける。

羽瀬川 小鳩 (はせがわ こばと)

羽瀬川小鷹の妹。小学生のような見た目だが、聖クロニカ学園の中等部に通う中学2年生。兄とは違い、母と同じ綺麗な金髪。小学生の頃は尻に割り箸を挟んで折ったり、おならに火をつけることに情熱を燃やす、普通の(ちょっと足りない)女の子だったが、中1の頃にハマッたアニメ「鉄の死霊術師(くろがねのネクロマンサー)」の影響で中二病となる。 それ以来、吸血鬼の真祖「レイシス・ヴィ・フェリシティ・煌(すめらぎ)」と名乗り、ゴスロリの衣装でつねにぬいぐるみを抱え、カラーコンタクトでオッドアイにしている。家でも闇と光の眷属になりきった言動で兄のことを「我が眷属」や「我が半身」と呼ぶが、油断すると素が出て「あんちゃん」と呼び、九州訛りが出てしまう。小鷹を「お兄ちゃん」と呼ぶ高山マリアを神の手先として敵対視し、兄を監視するため隣人部に入部する。 肉が大好きでたまねぎが苦手。誕生日は10月18日。

高山 マリア (たかやま まりあ)

聖クロニカ学園に勤務するシスター。北欧系の10歳。三日月夜空に騙されてお昼寝部屋を隣人部の部室として奪われ、さらに隣人部の顧問にさせられた。口が悪く、すぐに「うんこ」を連呼する。夜空の宿題をやらされるほど頭脳は優秀だが、素直すぎて夜空にいいように操られている。ポテチが大好き。

志熊 理科 (しぐま りか)

聖クロニカ学園に通う1年生で、伊達眼鏡に白衣姿の天才発明少女。学園の知名度アップのために理事長の柏崎天馬が頼み込み、授業に一切出席しなくてもいいという条件で入学した。志熊理科のために理科室が新設され、彼女専用の実験部屋となっている。実験中に気絶していたところを羽瀬川小鷹に助けられ、それをきっかけに隣人部に入部する。 四六時中いやらしいことばかり考えている変態腐女子で、部室でもBL同人誌を読みふける。

トモちゃん

三日月夜空のエア友達。“エア友達”とはエアギターの友達版、つまり実在しない、夜空の脳内友達である。夜空によると、可愛くて頭もよくて、運動神経抜群で優しくて話し上手で、そして絶対に夜空のことを裏切らないらしい。

柏崎 天馬 (かしわざき ぺがさす)

聖クロニカ学園の理事長で、柏崎星奈の父。羽瀬川小鷹の父の親友。天馬と書いて「ペガサス」と読む自分の名前が恥ずかしいため、小鷹には「かしわざきてんま」と名乗った。

ステラ

柏崎家に家令(執事)として仕える女性。黒い燕尾服の執事スタイルで、真顔で柏崎天馬や羽瀬川小鷹をからかうような冗談を言う。柏崎星奈の着る服の購入のほか、髪やメイクまですべてステラまかせ。寝る時は全裸らしい。

高山 ケイト (たかやま けいと)

高山マリアの姉。マリアと同じく、シスターとして聖クロニカ学園に勤務している。コーラを飲んでゲップをし、人前でおならもする残念なおっさん系美少女。マリアからは陰で「ババア」と呼ばれている。大人っぽく見えるが15歳で、マリアと同じく羽瀬川小鷹のことをお兄ちゃんと呼ぶ。柏崎天馬とは釣り仲間。

遊佐 葵 (ゆさ あおい)

聖クロニカ学園の2年3組に在籍する女子生徒で、生徒会会計を務める。赤っぽい髪で背が低い。試験では学年2位で、トップの柏崎星奈に強い対抗心を持ち、勝手にライバル視している。

日高 日向 (ひだか ひなた)

聖クロニカ学園の生徒会長。腰まである黒髪の美人で3年生。圧倒的な人望で2年連続で生徒会長を務めており、スポーツ万能で数多くの運動部に助っ人として引っ張りだこ。おまけに巨乳の真のリア充という理由で三日月夜空からは話したこともないのに死ぬほど嫌われている。

大友 朱音 (おおとも あかね)

聖クロニカ学園の生徒会副会長を務める3年生の女子。生徒会長である日高日向とは小学校からの幼なじみ。サバサバした性格の頼れる人物で、特に女子生徒からは絶大な人気がある。事務作業をこなして日向をサポートするしっかり者で、羽瀬川小鷹に頼られる事も多い。

神宮司 火輪 (じんぐうじ かりん)

聖クロニカ学園の生徒会書記を務める2年生の女子。物静かで、話し掛けても素っ気ない反応しか返ってこないつかみどころのない性格。学園において数少ない本物クリスチャンで、十字架のネックレスをつけている。温泉旅行でいっしょになった三日月夜空に運命的な出会いを感じたらしく、羽瀬川小鷹に夜空お姉さまとセックスして赤ちゃんがほしいと語る、危険人物だと判明する。

集団・組織

隣人部 (りんじんぶ)

聖クロニカ学園において、友達を作ることを目的として三日月夜空が創設した。学園内にある礼拝堂の一室「談話室4」を部室とする。三日月夜空は読書、柏崎星奈はギャルゲーやエロゲーのプレイ、志熊理科は同人誌を読むなど各自好き勝手なことをしているが、友達作りのために笑いやコミュニケーション能力のスキルアップに励むこともある。 また、将来、友達ができた時に備えて予行演習として、カラオケやプール、合宿などのイベントも行う。

クレジット

原作

平坂 読

キャラクター原案

ブリキ

書誌情報

僕は友達が少ない 全20巻 KADOKAWA〈MFコミックス アライブシリーズ〉

第1巻

(2010-07-23発行、 978-4040662947)

第1巻

(2010-07-23発行、 978-4840133463)

第2巻

(2011-05-23発行、 978-4840137997)

第3巻

(2011-09-22発行、 978-4840140355)

第4巻

(2011-12-22発行、 978-4840140768)

第5巻

(2012-04-23発行、 978-4840144384)

第6巻

(2012-08-23発行、 978-4840147088)

第7巻

(2012-12-22発行、 978-4840147675)

第8巻

(2013-04-23発行、 978-4840150477)

第9巻

(2013-11-22発行、 978-4040661155)

第10巻

(2014-03-22発行、 978-4040665054)

第11巻

(2014-09-23発行、 978-4040668512)

第12巻

(2015-03-23発行、 978-4040672816)

第13巻

(2015-10-23発行、 978-4040678276)

第14巻

(2016-07-23発行、 978-4040682587)

第15巻

(2017-04-22発行、 978-4040690445)

第16巻

(2018-02-23発行、 978-4040696270)

第17巻

(2019-01-23発行、 978-4040651781)

第18巻

(2019-10-23発行、 978-4040640877)

第19巻

(2021-03-23発行、 978-4046803047)

第20巻

(2021-03-23発行、 978-4046803870)

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