江戸時代からの伝統で婚約者となった二人
江戸時代、藩主であった柊家は、小山内家の娘を娶(めと)ることで繁栄を遂げたという歴史を持っている。その柊家は、現代において不動産デベロッパーとなり、「柊グループ」として広く知られる大企業へと成長していた。現在でも、柊家と小山内家のあいだには、適齢期の男女がいれば結婚するという伝統が残っている。桜の姉、椿は、柊グループの社長、蒼介と婚約することになるが、椿には心に決めた人がおり、駆け落ち同然に家を出てしまう。妹の桜は、姉の身代わりとして自ら蒼介の婚約者になることを申し出る。偶然にも、柊グループは桜が大学卒業後に就職する予定だった企業であり、桜は蒼介の秘書兼婚約者として奮闘することになる。
ハイスペックなイケメン社長×一途な新卒女子
桜は、不動産デベロッパー「柊グループ」で蒼介の秘書として働く女性であり、彼の婚約者でもある。まじめで責任感が強く、仕事に対しては決して手を抜かない。最初は、愛のない結婚は無意味だと考え、蒼介に婚約の解消を望んでいた。しかし、仕事やプライベートで蒼介と過ごすうちに、彼の人間性に触れ、家同士の取り決めではなく、一人の女性として心から愛されたいと願うようになる。一方、蒼介は若くして柊グループの社長を務める、業界で注目される完璧なイケメン。当初は桜を単なる小山内家の娘としてしか見ていなかったが、秘書として働く彼女の素顔に触れ、次第に惹かれていく。そして、自分自身と向き合い、好意を寄せてくれる桜に愛情を抱くようになる。
柊家の秘密と真実の愛
多くの時間を共に過ごす中で、桜と蒼介は互いに惹かれ合い、家同士の取り決めを超えて真の婚約者となる。しかし、親族とのかかわりが増えるにつれて、桜は蒼介がどこか家族に対して距離を置いているように感じていた。実は、蒼介は実の父の子ではなく、叔父と母の裏切りによって、二人のあいだに生まれた子供であることを自身が知っていたのだ。また、蒼介には彼をライバル視する正当な血筋を引く弟が存在し、彼にとって家族は安らげる場所ではなかった。仕事では何かとサポートを受けることの多い桜だが、プライベートでは複雑な家庭環境で育った蒼介に寄り添い、彼を守り支える存在となっていく。
登場人物・キャラクター
小山内 桜 (おさない さくら)
四年制大学を卒業したばかりの女性で、蒼介の婚約者。不動産デベロッパー「柊グループ」で蒼介の秘書として働いている。社内で婚約の事実が知られると仕事がしづらくなる可能性があるため、そのことは周囲に秘密にしている。誰に対しても思いやりを持ちながら、心の奥には強い意志を秘めている。これまで誰にも心を開かなかった蒼介も、桜に対しては深い信頼を寄せている。
柊 蒼介 (ひいらぎ そうすけ)
不動産デベロッパー「柊グループ」の四代目社長を務める20代後半の男性。就職活動で来社した桜の才能を見抜き、彼女を蒼介自身の秘書として採用した。その後、桜の姉である椿からの求婚を拒否されたことをきっかけに、桜と婚約することになる。容姿端麗な美男子であり、仕事の能力はもちろん、料理などの家事も得意としている。人当たりはよいものの、自身の内面を他人に語ることを避けているため、周囲からはつかみどころのない人物として認識されている。
書誌情報
棘にくちづけ 4巻 小学館〈フラワーコミックス α〉
第1巻
(2017-11-10発行、978-4091396594)
第2巻
(2018-01-10発行、978-4091398277)
第3巻
(2018-06-08発行、978-4098700707)
第4巻
(2018-11-09発行、978-4098702435)







