引っ込み思案な少年と、猫好きな少女のピュアな恋物語
瀬野湊のとなりの席に座る猫実むぎは、授業中にいつも寝ているため、先生からの評判がよくない。そのため、となりの席の瀬野は担任から猫実を起こす役割を押し付けられてしまう。推しに弱い瀬野はその役目を断れずに引き受けるが、元々人見知りで内気な性格のため、猫実に強く出ることができない。そんなある日、街中で猫実と偶然出会った瀬野は、彼女に誘われて猫カフェを訪れる。そこで瀬野は猫実が大の猫好きで、猫カフェでアルバイトをしていることを知る。学校ではいつも無気力な猫実の意外な一面に触れた瀬野は、彼女に対して興味を覚え、猫実と友達になることを目指すようになる。しかし、その様子ははたから見ると恋心そのものであり、周囲の人々は心配しつつも彼を温かく見守っている。
変化する二人の関係
本作では人に心を開くことに臆病な、人見知りの少年・瀬野と猫好きな少女・猫実が、恋愛感情には無自覚なまま徐々に関係を深めていく様子が描かれ、思春期特有のもどかしさや甘酸っぱさが随所に散りばめられている。また、猫カフェを含めて猫が多く登場し、特に猫の描写が丁寧である点が特徴となっている。作者のあきのこが、実際に保護猫カフェで取材を行ったことで、猫たちの自然な姿が忠実に再現されている。
登場人物・キャラクター
瀬野 湊 (せの みなと)
とある高校に通う1年生の男子。黒髪で冴えない容姿の持ち主。極度の人見知りで、引っ込み思案な性格をしている。高校入学時から社交的な自分を演じようと努力し、眼鏡からコンタクトレンズに変えるなどの工夫をしている。しかし、入学当初の自己紹介で緊張のあまり倒れてしまうなど、なかなか成果が出ていない。そんな中、となりの席の猫実むぎが授業中に寝てばかりいることに気づき、担任から彼女を起こす役目を任されることになる。中学時代に唯一気にかけてくれた友人の高田とは、別々の高校に進学したものの、今も連絡を取り合っている。高田のアドバイスを受けて高校デビューを目指しており、猫実のこともよく相談している。特技は写真で、のちに写真部に入部した。
猫実 むぎ (ねこざね むぎ)
瀬野湊と同じ高校に通う1年生の女子。黒髪のセミロングヘアで、猫のような大きな瞳を持つ。天真爛漫で、つかみどころのない性格をしている。授業中はほとんど寝ているため、教師から要注意人物としてマークされている。クラスメートとの交流も断絶しているため、となりの席にいる瀬野のことすら認識していない。実は大の猫好きで、猫カフェでアルバイトをしているが、高校の規則でアルバイトが禁止されているため、学校では秘密にしている。猫カフェではまじめに仕事に取り組んでおり、鳴き声だけで猫カフェにいるすべての猫を判別できる。兎原ももかという、同じ猫カフェでアルバイトをしている友人がおり、別の高校に進学したが今も仲がいい。猫以外のことは無頓着で、おしゃれにも疎いが、兎原のアドバイスによって、それなりにオシャレな格好をするようになった。ちなみに、ふだんの奇行を除けばかなりの美少女だが、下心を持って近づいてくる男性を兎原が裏で排除しているため、男っ気がまったくない。
書誌情報
となりの猫と恋知らず 3巻 スクウェア・エニックス〈ビッグガンガンコミックス〉
第1巻
(2024-03-25発行、 978-4757591264)
第2巻
(2024-04-25発行、 978-4757591646)
第3巻
(2024-10-25発行、 978-4757594883)