概要・あらすじ
東京大学卒だがさえない商社マンの御手洗清は、酔った勢いで橘和美と関係を持ったと誤解されてしまう。さらに彼女の兄である橘龍次は強面のヤクザで、清は自身の命の危機を覚悟する。しかし龍次は、清の学歴を知るや否や掌を返し、和美との結婚を提案。さらに、極道から足を洗い、兄貴分として清と共にしばらく暮らすと言い始める。
こうして、商社マンと元ヤクザの奇妙で賑やかな同居生活が幕を開けるのであった。
登場人物・キャラクター
御手洗 清 (みたらい きよし)
株式会社「オイラン石鹸」営業1課に勤める青年。25歳。東京大学卒という輝かしい学歴を持つが、要領が悪いため現場での成績は芳しくなく、女性受けも良くない。ある日、振られてしまった腹いせにバーで酒を飲んでいたところ、同じく酔っていた橘和美と知り合い、その後記憶のない彼女と関係を持ったと誤解されてしまう。その誤解はどうにか解けたものの、和美の兄であるヤクザ、橘龍次に気に入られて無理矢理弟分にされてしまう。
橘 龍次 (たちばな りゅうじ)
橘和美の兄で、極道組織「蜻蛉会」の若頭補佐を務めていた男。破天荒な性格で、後先考えない行動をとりやすいが、理不尽な暴力を嫌い言動には必ず筋の通す好漢。東京大学卒である御手洗清を気に入り、弟分と認識。彼と付き合うため極道からも足を洗い、現在はラーメン屋の屋台を引いている。その性格と行動から、清に対しても終始迷惑をかけることになるが、真っ直ぐな心意気と人情を重んじる姿勢を見せていくにつれて、次第に清から信頼を寄せられるようになる。
橘 和美 (たちばな かずみ)
橘龍次の妹。客室乗務員を務める女性で、フェリス女学院大学卒。バーで偶然、御手洗清と遭遇し、共に酒を飲んだ際に意識を失い、清の厚意によって部屋に泊めてもらったのだが、その際に処女を奪われたと誤解してしまう。龍次との仲は悪くないが、彼が清に迷惑をかけつつ、清も龍次を気にかけるようになるため、それを快く思っていない部分がある。
大道 和正 (だいどう かずまさ)
極道組織「蜻蛉会」の会長。会長に相応しい威厳を持つ老齢の男性で、橘龍次からも尊敬と畏怖が入り混じった感情を抱かれている。筋を通すことを好む、古き良き極道を体現したような性格をしており、御手洗清が龍次に関する相談事を持ちかけた時も快く引き受けている。
小崎 哲夫 (こざき てつお)
極道組織「白紋会」の構成員。かつて橘龍次にやりこめられたことがあり、その因縁によって彼を激しく憎悪している。一般人を罠にかけることも厭わない卑劣漢で、龍次と親しい御手洗清に危害を加えることで、龍次に被害を負わせようと企んでいる。
大道 涼子 (だいどう りょうこ)
大道和正の娘。酒場で女将を営んでいる。かつて一介のチンピラであった橘龍次と出会い、彼に一目惚れ。この縁で龍次は極道組織「蜻蛉会」の重役に収まった経緯があり、彼にとっては頭が上がらない存在となっている。なお、今でも龍次に好意を寄せており、手作りの料理を振る舞うことがあるが、肝心の料理の腕は壊滅的である。
大倉 (おおくら)
学生時代における御手洗清の先輩。ボート部の副主将をしており、現在は大手銀行に勤めているエリート。大道涼子のバーの資金繰りに困った橘龍次より、資金の融資を頼まれて引き受ける。しかしその裏では橘和美によこしまな好意を抱いており強引に自分のものにしようとしている。
山菱 (やまびし)
不動産会社の社長。かつて大倉と組み、あくどい方法を用いて荒稼ぎしていたことがある。極道との付き合いもあり、橘龍次とも縁があった。大倉の行動に不信を抱いた龍次に問い詰められ、彼の秘密を暴露してしまう。
高杉 勇一 (たかすぎ ゆういち)
西新宿署に勤務している、刑事の男性。ケンカに明け暮れていた若い頃の橘龍次を捕まえては、殴りつけながらも真人間になることを願い、説教していた。龍次がラーメン屋台を営んでいるのも、彼の命令によるものである。数々の不良を更生させている人格者だが、家族と上手くいっておらず、龍次からも気にかけられている。
高杉 沙織 (たかすぎ さおり)
高杉勇一の娘。受験を控えた高校生なのだが、母親が他界してしまってから勇一との折り合いが悪くなり、更に、勇一が家にある女性を連れ込んだことにより、確執が表面化。現在はすっかりひねくれてしまっている。橘龍次も彼女を気にかけており、御手洗清を家庭教師につけて、悩みを聞き出させようとした。
白石 辰雄 (しらいし たつお)
極道組織「白紋会」の組長代行を務める男性。橘龍次とは少年院で知り合い、お互い衝突しつつも次第に打ち解けていき、良き友人となっている。しかし、龍次が部下である小崎哲夫とたびたびトラブルを引き起こしている事態を問題視し、御手洗清の部屋を賭場にすることで場を収めることを提案してしまう。
清の母 (きよしのはは)
九州に住んでいる、御手洗清の母親。清の兄嫁である御手洗博子と折り合いが悪く、ささいなすれ違いが原因で家出をし、御手洗清の家に転がり込んできた。礼儀正しい反面、頑固で気が強い。清に見合いの話を持ち掛けたため、橘和美を清の嫁にしたがっている橘龍次にとっては、厄介な存在となってしまう。
御手洗 博子 (みたらい ひろこ)
九州に住んでいる、御手洗清の兄嫁。姑である清の母とトラブルになり、彼女の家出を招いてしまう。そのために彼女を追って東京に来ており、清をはじめとする関係者に同情を寄せられる。なお、清の母には意地を張られることこそあるが、決して嫌われているわけではない。
集団・組織
蜻蛉会 (とんぼかい)
都内に本拠を構える大手の暴力団組織。会長である大道和正が信義を重んじる人物であるため、一般市民に危害を加えることを決して許さない。橘龍次は会長の娘である大道涼子に気に入られたことによって組に迎えられているが、会長である和正にもその心意気を気に入られ、幹部待遇となっている。
白紋会 (はくもんかい)
極道組織「蜻蛉会」と敵対している暴力団組織。組長代行の白石辰雄は、蜻蛉会の主要人物である橘龍次と友人同士で、大きな抗争に発展せずにすんでいた。しかし、構成員の1人である小崎哲夫と龍次がお互いを目の敵にしあっているため、トラブルの火種となっている。
クレジット
- 原作
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西川 つかさ