極食キング

極食キング

土山しげるの料理漫画『食キング』の続編。潰れかけの飲食店を蘇らせる「再建請負人」である北方歳三が、数々の飲食店の店主にユニークな修業を課して再建させていく過程を描く。本作『極食キング』では、京都を中心に勢力を伸ばしている飲食店「口福倶楽部」グループ代表である織田獅子丸との対決がクローズアップされている。

正式名称
極食キング
ふりがな
ごくしょくきんぐ
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
関連商品
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概要・あらすじ

ラーメン屋「牛若丸」の店主を務める良介は、昔の修行仲間である健一に急に呼び出される。話を聞くと、最近京都を中心に展開している中華料理店「口福倶楽部」の店長に任命されたという。かつて苦楽をともにした料理仲間に素直に「おめでとう」とエールを送る良介だったが、健一が任された「口福倶楽部」の五条店は「牛若丸」と目と鼻の先で、客を取られて自分の店は閑古鳥が鳴く始末。

そんななか、どうすればいいかと頭を抱える良介の前に1人の男性が現れる。彼こそ、潰れかけた飲食店を何店舗も蘇らせてきた「再建請負人」こと北方歳三だった。

登場人物・キャラクター

北方 歳三 (きたかた としぞう)

函館の「五稜郭亭」で「伝説のシェフ」と呼ばるまでに上り詰めた料理人。現在は潰れかけの飲食店を蘇らせる「再建請負人」を務めている。その方法は料理人に独自の修業を課すというものだが、その修業は総じて料理とは関係のないユニークなものが多く、不審がられることが多い。キメ台詞は「質問は一切受けつけん」。

沖田 誠 (おきた まこと)

「神戸五稜郭亭」の店主を務める男性。元々は北方歳三から料理のイロハを教えてもらった人物の1人で、歳三からも「天才」と呼ばれていた凄腕の料理人。その腕は現在も衰えておらず「神戸五稜郭亭」の経営も順調に続けている。

南郷 大吉 (なんごう だいきち)

鹿児島の名店「ラーメン南州館」の店主を務める男性。現在は京都へ足を運び、鹿児島までその噂がとどろいている新進気鋭の「口福倶楽部」の料理を食べに来ている。しかし、その味に関しては疑問を抱いている。

織田 獅子丸 (おだ ししまる)

大料理人を自称する「口福倶楽部」の代表を務める男性。京都を中心に関西圏に自身のプロデュースする店舗を次々とオープンさせ、覇権を握ろうと画策している。食材に対するこだわりは強く、全国から選りすぐりの食材を取り寄せ、不満のある食材であれば即刻取引を中止する。分厚い雑誌を軽々と破ったり、リモコンを片手で握りつぶしたりと、非常に腕力も強い。

森 蘭太郎 (もり らんたろう)

「口福倶楽部」のエリアマネージャー兼織田獅子丸の側近を務める男性。常に敬語を使って話す礼儀正しい人物だが、健一から価格を抑えたメニューを提案された時には「小手先のメニュー」と強く批判するなど、料理に関しては厳しい一面を持つ。

明智 (あけち)

「口福倶楽部」五条店の店長を務める男性。元々は好調な売り上げを誇っていたが、北方歳三の手によって再建された大宮健二ら五人衆の店に客を取られ、店長解任の危機に瀕している。織田獅子丸のやり方に対しては懐疑的で、歳三に「自らの店を持ちたい」と吐露し自分自身の再建を依頼する。

良介 (りょうすけ)

ラーメン屋「牛若丸」の店主。健一とは「五条軒」でともに料理人としての下積みをした仲。近々健一が店主を務める「口福倶楽部」の直営店が自分の店の近くにオープンすることを知り、その前に客足を伸ばさなければ潰れてしまうのではないかと内心焦っている。

健一 (けんいち)

かつて良介とともに「五条軒」で料理人としての下積みをした男性。その後はホテルの厨房で働いていたが、現在は3000円の高級ラーメンを出すことで名高い「口福倶楽部」の直営店の店主となり、良介のラーメン屋「牛若丸」のすぐ近くに店を出した。

幸世 (ゆきよ)

京都で舞子をしている女性で、「まめ幸」と名乗っている。田舎から舞子になるために祇園へと出てきた時、男に絡まれていたところを良介に助けてもらった恩があり、良介の店を救うため「再建請負人」の北方歳三に再建の依頼をした。

(だん)

京都で老舗の旦那衆に名を連ねる老人。当初は「口福倶楽部」の料理を絶賛していたが、のちに「料理人の驕りと傲慢さが嫌らしいほど出ていた」と、料理の温かみに欠ける「口福倶楽部」を批判するようになった。

中田 達夫 (なかた たつお)

うどん屋「中田屋」の店主を務める男性。「再建請負人」である北方歳三に再建を同時に頼んだ、五人衆の1人。かつて大阪の老舗うどん屋で店長代理を5年務めていた経験がある。仲間内でのニックネームは「達っちゃん」。

大宮 健二 (おおみや けんじ)

焼鳥専門店「竹林亭」の店主を務める男性。「再建請負人」である北方歳三に再建を同時に頼んだ、五人衆の1人。かつて神戸の有名焼鳥チェーンの店長を務めていた経験がある。店の売り上げを広告代につぎ込むなど、宣伝を重視して店の売り上げアップを狙った。

有田 源作 (ありた げんさく)

軽食喫茶「みやび」の店主を務める男性。「再建請負人」である北方歳三に再建を同時に頼んだ、五人衆の1人。かつて一流ホテルの厨房で修業していた経験がある。売り上げの単価が悪いことでサンドイッチとコーヒーの量を減らしたが、そのことで客に不満を持たれて客足が遠のいてしまった。

小山 吾郎 (おやま ごろう)

ごはん処「紅葉屋」の店主を務める男性。「再建請負人」である北方歳三に再建を同時に頼んだ、五人衆の1人。かつて近江の高級料亭で修業していたこともあり、料理の腕は相当なもの。五人衆の中では唯一、ただ安売りに転じず「客に値段をつけさせる」というユニークな手法をとり、料理の質を落とさずに売り上げを伸ばすことに成功した。

坂口 文太 (さかぐち ぶんた)

ラーメン屋「嵐山」の店主を務める男性。「再建請負人」である北方歳三に再建を同時に頼んだ、五人衆の1人。かつて中華料理店で修業していた経験がある。五人衆の中では発言権が強く、皆をとりまとめる立場にある。

原田 太郎 (はらだ たろう)

レストラン「松山五稜郭亭」の兄弟シェフの兄。弟の原田次郎と比べると保守派で、料理の味付けは誰であっても変えずに基本をしっかり守ることが大切だという考えを持っている。過去に北方歳三から「沖田誠に次ぐ料理の天才」というお墨付きをもらったことのある非常にレベルの高い料理人。

原田 次郎 (はらだ じろう)

レストラン「松山五稜郭亭」の兄弟シェフの弟。兄の原田太郎と比べると革新派で、料理の味付けを客の雰囲気によって変えたりする柔軟さがある。そのため、さまざまな創作料理を作ることを得意としている。一方で兄のことを頭が固すぎると思っている節がある。

政岡 (まさおか)

詩人を生業としている老人。「五稜郭亭」の味を大事にしている人物でもあり、「松山五稜郭亭」にもしばしば顔を出している。原田太郎、原田次郎兄弟のことは気にかけており、「口福楼」がオープンして客を取られた時にも「松山五稜郭」復活のために尽力する。

鳥山 (とりやま)

からあげ専門の定食屋「からあげ亭」の店主を務める男性。頻繁にからあげを食べる、自他ともに認めるからあげ好き。そのため友人らから勧められ、本当においしいからあげ専門店をオープンさせたという経緯がある。しかし、ある時を境にからあげを見るのも嫌になってしまい、経営にも影響が出ている。

涼の店主 (りょうのてんしゅ)

冷やし中華専門店「涼」の店主を務める男性。元々汚い中華料理店を営んでいたが、急に冷やし中華一本に絞る決意をし、見事その冷やし中華で行列店とすることに成功した。自分の作る冷やし中華には絶対的な自信を持っているが、一方で客を想う気持ちが欠けている。

桜場 要 (さくらば かなめ)

数々の地方を盛り上げる「故郷盛り上げ隊協会」の会長を務める男性。これまで既に30か所以上の町おこしを成功させた実績を持ち、特にその地方の料理を用いての町おこしを得意としている。プロデュース料は、料理のレシピ、実技指導、キャラクター作成料、「故郷うまいもん選手権」での5位までの入賞確約すべて込みで250万円。

修次 (しゅうじ)

山野奥村の青年部部長を務める青年。過疎化が進んで衰退していく山野奥村を再生しようと考え、「故郷うまいもん選手権」での入賞を約束する、桜場要の高額な町おこしプランに乗ろうとしている。

安田 孝之 (やすだ たかゆき)

寿司屋の店主を務める男性。昔から寿司職人になるのが夢でその夢を叶えたが、ギャンブルにハマってから心が荒んでしまい、現在の店は見せかけだけの居酒屋以下の店になっている。寿司職人としての心を取り戻すために妻から北方歳三へ再建依頼され、修業をすることになる。

集団・組織

赤シャツ隊 (あかしゃつたい)

織田獅子丸が他店の評判を落とすためにその店に派遣する、赤シャツを着た集団。そのやり口は他の客の料理をつまみ「代金を払えばいいだろう」とお札を投げ捨てて客の心証を悪くするというもの。ちなみにメンバーは潰れる寸前の料理屋のオーナーで構成されている。

場所

口福倶楽部 (こうふくくらぶ)

京都を中心にわずか1年で近畿圏に20店舗をも構えるまでに成長した中華料理店で、一杯3000円もする高級ラーメンが売り。本部は比叡山の山中にあり、その実態は謎につつまれている。

天下ふぐ (てんかふぐ)

「口福倶楽部」から派生した、京都を中心に展開されたふぐ料理専門店。ふぐの仕入れは名の知られた下関や若狭を避け、身のしまりや味の良い愛知県南知多のとらふぐのみを使用している。また、一号店では織田獅子丸が自ら包丁を握っていた。

口福楼 (こうふくろう)

松山に突如オープンした「口福倶楽部」から派生した中華料理店。オープン直後は半額で料理を提供しており、連日客の入りが絶えない人気店となった。スープはすべてふぐからとっており、その味はまさに「口福倶楽部」を象徴するものとなっている。

牛若丸 (うしわかまる)

良介が店主を務めるラーメン屋。開店当初はメニューも多く連日客足が途絶えることがない人気店だったが、客が来ることに慣れてしまったため手抜きが多くなり、現在は「味が落ちた」と言われ客足が遠のいている。

明智亭 (あけちてい)

明智が店主を務める鉄板ステーキ専門店。メニューは北方歳三の提案で一口大に切った肉を甘ダレと絡めて食べる「鉄板ステーキ御膳」のみとなっている。のちに飲食店情報誌に特集が組まれるなど人気店となる。

松山五稜郭亭 (まつやまごりょうかくてい)

松山にあるレストランで、原田太郎と原田次郎の兄弟がシェフを務める。地元の食材を使い、カレー、ハンバーグ、オムライス、コロッケなどがメインとなっている。店の立地はきつい坂の上と多少悪いが、それでも多くの人が足しげく通う松山の人気店となっている。

からあげ亭 (からあげてい)

鳥山が店主を務めるからあげ専門の定食屋。メニューは「からあげ丼」「からあげうどん」「からあげチャーハン」などがあるが、評判は悪く客の入りはほとんどない。作り置きのからあげをレンジで温め、市販の惣菜のナポリタンを添えただけの手抜き調理を行っている。

(りょう)

冷やし中華専門店。元々は大衆中華屋でメニューが多いだけの汚い店だったが、ある日突然昔からある冷やし中華一本で勝負するようになった。当初は評判が非常に良く、行列もできるほどの人気店だったが、現在はなぜか客足が遠のいている。しかし、冷やし中華の味自体は非常に良く、北方歳三をもうならせるほど。

イベント・出来事

故郷うまいもん選手権 (こきょううまいもんせんしゅけん)

地方の名物を使用した料理を競わせ、優勝を争うイベント。現在では経済効果30億円もの巨大イベントとなっており、上位入賞した町の受ける恩恵は数億円規模と言われている。元々は焼きうどんが名物の町と焼きそばが名物の町が対決したことから始まった。

その他キーワード

ようこそ松山御鯛麺 (ようこそまつやまごたいめん)

北方歳三が織田獅子丸とのラーメン対決で作ったラーメン。その名前通り鯛からとったスープをベースに、鯛を練り込んだ麺、トッピングには鯛の漬けが入っているという、愛媛名産の鯛をふんだんに使用した鯛尽くしのラーメンとなっている。その後は「松山五稜郭亭」の新メニューに加えられた。

カラー揚げ (からーあげ)

北方歳三が「からあげ亭」の再建に用意した新メニュー。油を使わずにレンジで作るヘルシーなからあげで、それぞれ唐辛子、黒ゴマ、カレー粉、青のり、ゆかり、カツオブシ粉を使って衣に6色の色づけと異なる味付けがされている。

癒やし中華 (いやしちゅうか)

北方歳三が「涼」の再建に用意した新メニュー。一年中食べられる冷やし中華というコンセプトで、スタミナ増強のためにニラを使った「餃子キムチ冷やし中華」、美肌効果のあるトマトを使った「ロールキャベツトマト冷やし中華」、疲労回復のためにしょうがとごま油を使用した「根菜かき揚げ冷やし中華」と、「癒し」を重視した3種類の冷やし中華がある。

鮭じゃがドッグ (さけじゃがどっぐ)

北方歳三が山野奥村の再建に用意したメニュー。ハッシュドポテトと鮭の中でも最も脂の乗ったハラスを焼いてパンに挟んだもの。パンにはからしバターが塗ってあり、中にはマヨネーズも入っている。歳三にしては珍しく名称にダジャレを使わないメニューだが、これは山野奥村から全国に発信するために、あえて当たり障りのない名前にしている。

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