概要・あらすじ
時代は戦後間もない横浜中華街。料理人の父を持つ周富徳は、料理が大好きな男の子。ある日、体調不良の父親の料理を不味いと投げ捨てた兵士に激昂した周富徳。父親の味を再現してみせると言い、見よう見真似ながらも人生初の料理を振る舞ったところ、兵士は涙ながらに料理を口にし喜んだ。そんな兵士を見て周富徳は、改めて料理人になることを決意する。
ここから彼の料理人としての熱い人生の幕が開いた。
登場人物・キャラクター
周 富徳 (しゅう とみとく)
日本生まれの中国人。料理人の父を持ち、幼い頃から厨房に遊びに行っては料理をする様をひたすら眺めていた。喧嘩っ早く女性の前ではいいカッコをつけたがるが、料理に関しては人一倍の情熱を持ち、天性の才能と咄嗟の機転であらゆる逆境をも乗り越える。高校生のときに料理人を目指す決意をし、学校を中退して中国飯店に修業に出る。 同名の実在人物がモデル。
孫 明貞 (すん みんぢえん)
周富徳、楊榮成とは中華学校時代からの幼なじみでもあり悪友でもある。幼い頃は少々棘のある性格で周りに迷惑をかけていたことも。中学時代には彼らと部品集めをしながらバイクを組み立てたりと、悪事は懲りずに働いている様子。後に貿易会社を立ち上げ、社員1人の会社の社長となる。
楊 榮成 (やん ろんちょん)
少年時は前髪が長く、目が隠れてしまうほど。小学生のときに上海から日本に来た転校生。転校当初は学校に馴染めず、素っ気ない態度をクラスメイトにとってしまう。しかし、料理のこととなると周富徳と同様熱くなり、理論から基礎を組み立てて料理しようという思考の持ち主。中学時代にはアメリカ人らが出入りするバーでバイトをしている。 後に、神戸の黄錦飯店で料理人を務める。
王大人 (わん たーれん)
周富徳が高校在学時にアルバイトをしていた中華料理店で知り合った老人。その正体は、世界中の中華料理人を統べる中国厨房協会の会長で、毛沢東の料理人を務めたこともある。周富徳の料理への執念を見込んで、修業することを勧めた。
利香 (りか)
周富徳が中学時代に入り浸っていたバーの常連客の女子高生。長い髪を後ろで結っており、口紅などで洒落こんでいる。バーで周富徳がアメリカ人と争いになり、彼の料理でその場をおさめた一件から仲良くなり、度々彼に手を貸したりしている。
陳 (ちん)
中国飯店の一番鍋を担当し、厨房のトップとも言える総料理長を務める初老の男性。料理に関しての腕は一流で、一切の甘えや妥協を許さない。しかし、厨房に入ってきた周富徳に、ときに厳しく接し、ときにささやかなヒントを与え、その成長を促した。
馬 (まー)
中国飯店の二番鍋を担当する、陳に次ぐナンバー2の男。料理に関しては陳と同等か、それ以上に厳しく部下に接する。もちろん周富徳も例外ではなく、時折見せる彼の傲慢な態度を見逃さず、歴然とした力の差を見せつけることも。しかし、途中で誘われ続けていた神戸の店に移ってしまう。 苦手料理は焼売。
節子 (せつこ)
中国飯店でウェイトレスを務める黒髪で美人の女性。中国飯店でお互いの存在を意識する前に周富徳とは道端でぶつかっており、その後店で改めて再会を果たす。周富徳とは友達以上恋人未満の関係を保ちながらも、お互いが休みの日にはデートに出かけたりする仲にまで進展している。
崔 (さい)
登場時は中国飯店で見習いとして働いていた青年。周富徳とは実質的な同僚となる。神戸で3年間修業を積み、その後中国飯店で3ヶ月以内に満足のいく賄いを作ることができたため厨房に生き残った。修業を甘く見ていた周富徳に敵意を持っていたが、次第に打ち解けていき協力しあう仲になる。
場所
中国飯店 (ちゅうごくはんてん)
『炎の料理人 周富徳』に登場する中華料理店。東京の新橋に店を構える一流料理店。総料理長は陳が務める。広東料理を主に取り扱っており、その名は日本中に知れ渡っている。料理人はもとより、見習いですらも全国から順番を待つほど。政治家が大勢集まる会食が開かれることもあり、厨房は常に戦場さながらの忙しさ。
クレジット
- 原案
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KISHO