機動戦士ガンダム ゼロの旧ザク

機動戦士ガンダム ゼロの旧ザク

TVアニメ『機動戦士ガンダム』を題材にした作品。TVアニメでは敵側だったジオン公国軍側の視点から、1人の少年兵が自分の存在意義に迷いながら戦争を戦い抜く姿を描いている。「ガンダムエース」2008年6月号から2010年1月号にかけて連載された。

正式名称
機動戦士ガンダム ゼロの旧ザク
ふりがな
きどうせんしがんだむ ぜろのきゅうざく
原作者
富野 由悠季
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
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あらすじ

第1巻

宇宙世紀0079年1月、ジオン公国と地球連邦のあいだに戦争が勃発。開戦当初はジオン公国側が優勢に戦いを進めていたが、徐々に地球連邦に押し返され、12月24日には宇宙要塞ソロモンを放棄するまで劣勢に追い込まれる。ジオン公国軍は残存部隊をア・バオア・クーなどに集めて地球連邦軍を迎撃することを決定。ソロモン守備隊所属のニルス・テオレルも、ヘクトが艦長を務める戦艦ムサイでア・バオア・クーを目指していたが、地球連邦軍の追撃を受ける。モビルスーツ隊隊長のジルド、同僚のミヒャエルと出撃するものの、ムサイは撃沈されてジルドとミヒャエルも撃墜されてしまう。生き残ったニルスは、ジルドの最後の言葉に従ってムサイを脱出した整備士、マリー・シーンとともに敵を振り切り、救助に来てくれたイリアスの戦艦、チェーホフにたどり着く。

第2巻

戦艦チェーホフに乗って無事に宇宙要塞ソロモンからア・バオア・クーまで逃げ切ったニルス・テオレルは、チェーホフ所属のモビルスーツパイロットとして新しい任務に就く。地球連邦軍を迎え撃つ準備を進める中、ニルスは整備士のマリー・シーンが重傷となったことを聞き、搭乗機での待機命令が出ているにも関わらず医務室に直行する。ニルスはマリーのことを心配して出撃せずにいようとしたが、マリーからはっぱをかけられて出撃することを決意する。モビルスーツデッキでザクⅠの出撃準備を急ピッチで進めていると、別の場所で地球連邦軍の兵士に奪われたジオン公国軍のモビルスーツが強襲。アーサーザク・マインレイヤーに乗って強襲して来たモビルスーツをア・バオア・クーの外に出そうとするが、取っ組み合いの末に2機はア・バオア・クーの居住ブロックの方へ行ってしまう。居住ブロックにはマリーのいる医務室もいるため、ニルスは出撃準備を途中で切り上げて出撃するのだった。

登場人物・キャラクター

ニルス・テオレル (にるすておれる)

ジオン公国軍の少年パイロット。階級は軍曹で、年齢は17歳。ザクⅠに搭乗している。回避行動に関しては天才的な能力を持ち、「紙一重ニルス」という異名がある。一方で生来の気の優しさから敵に対して非情になれず、撃墜数は0。そのため「役立たず」、「弾除け」といった陰口を叩かれることもある。ソロモン守備隊に所属して2回目の実戦でソロモンが陥落し、撤退戦で乗艦のムサイが撃沈されてほとんどの仲間を失う。 唯一ムサイから脱出したマリー・シーンと合流してイリアスの戦艦、チェーホフに助けてもらう。以後はチェーホフ所属のモビルスーツパイロットとなる。いつも「自分は敵を倒して、人殺しをしてでも生き残る価値のある人間なのか」と自問自答していたが、マリーが自分のことを心配してくれることに気づき、マリーを守るために戦おうと決意する。

マリー・シーン (まりーしーん)

ジオン公国軍の戦艦ムサイでモビルスーツの整備をする少女。年齢は17歳。父親が宇宙工作機械の整備工場を経営していて、そこで見よう見まねで機械の整備技術を学ぶ。ニルス・テオレルの姉的存在で、いつもニルスのことを心配しながらはっぱをかけている。宇宙要塞ソロモンから撤退する際に、ムサイの撃沈直前に脱出し、ニルスと合流してイリアスの戦艦、チェーホフに助けてもらう。 以降はチェーホフ所属となってザクⅠの整備を担当する。

ジルド

ジオン公国軍の男性軍人。階級は少尉。宇宙要塞ソロモンの守備隊に所属しており、ニルス・テオレルがいる小隊の隊長を務める。戦果を挙げないニルスのことを部下が見下している中で、ジルドはニルスの能力を認めて今後の成長に期待している。ソロモンの撤退戦で、ニルスとマリー・シーンを身を挺して守って死亡する。

イリアス

ジオン公国軍の男性軍人。チベ級重巡洋艦「チェーホフ」を艦長を務める。ソロモンから撤退した残存兵をア・バオア・クーに運ぶ任務を受けており、救難信号を受けて急行したところ、ニルス・テオレルとマリー・シーンを救助する。その後、追撃する地球連邦軍の足止めをするために、ザク・マインレイヤーに乗って機雷を設置する作業中に敵に襲われる。 戦闘中に恋人のアンジェリーナを救うために、地球連邦軍の戦艦に激突して身動きが取れなくなる。敵を殲滅するために自分のモビルスーツごと撃つように命令し、ニルスの弾を受けて死亡する。

アンジェリーナ

ジオン公国軍の女性軍人。階級は少尉で、チベ級重巡洋艦「チェーホフ」のモビルスーツパイロットを務める。艦長のイリアスとは恋人関係にある。父親は、務めていた会社が地球連邦から経済的な圧力を受けて過労死し、母親は、地球連邦軍の訓練時の流れ弾を受けて死亡している。そのため、地球連邦に対して強い怒りを持っている。戦闘でイリアスが死亡した後は、チェーホフの艦長代理として乗組員をまとめていく。 のちにイリアスの子供を身籠っていることが分かり、終戦後に無事出産する。

シフォン・C・サイモン

ジオン公国軍の少女パイロット。階級は曹長で、年齢は17歳。母親がシフォンケーキが好きだったため「シフォン」と名付けられた。強行偵察型ザクに搭乗して偵察部隊として活動中に、地球連邦軍の重要情報をキャッチする。その直後に地球連邦軍に襲われ、部隊はシフォン・C・サイモン以外は全滅。シフォンも目を負傷してデブリ宙域に隠れていたところを、ニルス・テオレルに救助される。 戦艦の艦長に情報を伝えるものの、戦艦がア・バオア・クーに向かわずにデブリ宙域に留まることを知ると、自分の手で伝えようとして、強行偵察型ザクに乗って出撃する。

アーサー

ジオン公国軍の少年パイロット。階級は伍長で、チベ級重巡洋艦「チェーホフ」のモビルスーツパイロットを務める。ザク・マインレイヤーに乗って機雷の設置する作業や、ア・バオア・クー内で絶体絶命に陥ったチェーホフを救援するなどの活躍を見せる。生まれた直後に両親が死亡したため孤児院で育ち、両親が唯一くれた「アーサー」という名前を誇りにしている。 その名前を初対面で褒めてくれたアンジェリーナに好意を寄せる。

その他キーワード

ザクⅠ

ジオン公国軍が運用する量産型モビルスーツ。型式番号はMS-05B。「旧ザク」とも呼ばれている。戦争開戦時には主力モビルスーツとして地球連邦軍を圧倒し、多大な戦果を挙げた。MS-06ザクⅡが開発されると第一線を退き、後方部隊に回される。戦争末期になると、次々に開発される新型モビルスーツとの性能差が大きくなり、戦力的価値はほとんどなくなった。 ニルス・テオレルが搭乗する機体のコクピットは、上下開閉式の新統一規格に変更されていて、ニルスは機体から降りる際によく頭をぶつけている。

ザク・マインレイヤー (ざくまいんれいやー)

ジオン公国軍が運用する量産型モビルスーツ。型式番号はMS-06F。宇宙機雷の付設能力を持つ。ランドセルに機雷を搭載しているため、基となった機体より若干性能が低下している。また機雷付設中は攻撃に対して無防備となる欠点があり、作業するには護衛が必要不可欠となる。

強行偵察型ザク (きょうこうていさつがたざく)

ジオン公国軍が運用する量産型モビルスーツ。型式番号はMS-06E。「E型ザク」とも呼ばれる。レーダーを無効化するミノフスキー粒子の散布域における索敵・偵察能力に特化。機体を軽量化および高機動化しており、機体各部に高性能な光学式カメラが内蔵されている。

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