歩くひと

歩くひと

郊外の借家に妻と共に引っ越してきた中年男性が、風や四季を感じ、鳥や子供の声を聴きながら、のんびりと散歩する姿を描く。主人公の感情や彼が見る風景は言葉ではなく繊細なタッチの絵で表現されているため、セリフは極端に少ない。急いでいるとなかなか目に入らない路地の猫や道端の草花、川の魚、街行く人々など、何げない日常の風景がゆったりとした時の流れとともに描かれる。1話8ページほどのショートストーリー。「モーニング パーティー増刊」1990年30号~1991年47号まで掲載された。2020年にはNHKでテレビドラマ化された。

正式名称
歩くひと
ふりがな
あるくひと
作者
ジャンル
日常
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概要・あらすじ

郊外の借家に引っ越してきた黒縁メガネの中年男性。妻はダンボールの荷ほどきをしていた。妻に「歩いてくる」と声を掛け、中年男性は近隣を散策し始めた。川では魚が跳ね、路地や塀の上には猫が顔をのぞかせていた。林の中を歩くと帽子をかぶった男性がバードウォッチングをしていた。男性によると、冬は木の葉が少なくなって野鳥が見つけやすいのだという。中年男性は望遠鏡を覗かせてもらった。きれいな鳥が見えたが、名前を知らない。帽子の男性に聞くとそれはシジュウカラだという。ほかにもこの辺りにはツグミやムクドリも来るという。散策から戻ると妻から「縁の下に犬がいたのよ」と告げられる。ご近所さんに聞くと、前の借り主が置いていってしまったらしい。夫婦はその白い犬を「どうしようもないでしょう」と言いながら飼うことに決めた。中年男性は野鳥の本を片手に白い犬と共に散歩へ出かけるのだった。

登場人物・キャラクター

中年男性 (ちゅうねんだんせい)

黒縁メガネを掛けて、髪をオールバックにした、少しふくよかでとてもおおらかな中年男性。時間などを気にせずにゆったりと歩き、面白いものを次々と見つけていく。メガネが割れてもその風景を楽しみ、雨や台風のあとも楽しみに変えてしまう。老人と歩く速度を競ったり、とても狭い路地を通り抜けたり、深夜のプールに勝手に入ったりと少年のような心を持った自由な大人。

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