殲鬼戦記ももたま

日本の昔話である「桃太郎」を題材としたファンタジー作品。桃源島を舞台に、陸奥九世をはじめとした殲鬼師たちと鬼の戦いや、島に秘められた秘密を描く。「月刊コミックブレイド」2005年12月号から2009年8月号にかけて連載された後、「WEBコミック Beat's」で2011年7月から2015年2月まで連載された。

正式名称
殲鬼戦記ももたま
ふりがな
せんきせんきももたま
作者
ジャンル
ファンタジー
レーベル
BLADE COMICS(マッグガーデン)
関連商品
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あらすじ

桃源殲鬼学校潜入編(第1巻~第2巻)

初代桃太郎が鬼を退治し、代々その血を継ぐ歴代桃太郎達に治められている絶海の孤島、桃源島。そしてその島には、島に出没する鬼を倒すために、殲鬼師を育成する特殊な養成機関「桃源殲鬼学校」があった。「鬼の末裔」を名乗る陸奥家9代目の少年、陸奥九世は、一族の悲願を背負いながら、一人で桃源島に忍び込む事になる。一方、桃源島には日本から殲鬼師候補として選ばれた少年少女達が集められ、桃源殲鬼学校に向かっていた。その途中、九世は森の中で巨大な鬼に遭遇。同胞とも呼べるその鬼に近づこうとする九世だったが、彼は鬼から攻撃を受けて負傷し、崖から落ちてしまう。そこを大和孝一朗に救われた九世は、桃源殲鬼学校の1年生として入学する事になってしまい、同じく1年生の香椎守とルームメイトになるのだった。後日、新入生達は制服を受け取るために工場に行く事になったが、その前に突如小さな鬼が複数現れる。生徒達が散り散りになって逃げる中、九世はブゥと共に武器を調達し、ケイタれおとも合流する。一方、森の方に逃げていた君川結乃は臨時シェルターを発見し、ももたまでその姿を変え、新たなバトルスタイルを手に入れて、子鬼への反撃を開始していた。だが実はこの子鬼の出現は、桃源長門が仕掛けた生徒達への抜き打ちテストであった。テスト終了後、集められた生徒達は、テストでのそれぞれの行動に応じ、ソウルタイプに合わせたグループに分けられる事となる。その頃、ウサギを抱いた一人の少女が、桃源島に帰還していた。

九世の在島検査編(第3巻)

ソウルタイプが不明な陸奥九世と、ソウルタイプがわかったにもかかわらず、ももたまで変身できない香椎守の両名に、殲鬼師資格を取得するための「在島検査」の任が下された。九世は桃源長門への下克上のため、そして一目惚れした桃源那智のために、命を懸けて在島検査に挑む。九世と守は、人が入らない鬼の領域にて、5日間生き残れば合格という過酷なルールを言い渡される。二人は鬼と戦い生き残るためのサバイバル生活の準備を整え、次のシェルターに向かって歩き出す。一方、そんな二人をよそに、桃源島の平和を脅かす、予期せぬ客人が島に近づいていた。

桃源島への侵略者編(第4巻~第5巻)

桃源島では、ミリアス=ソレイシィが率いる旅団「ハニーフォックス」によるクーデターが勃発。これにより桃源長門までもが囚われの身となり、大きな混乱が生じていた。一方、クーデターの事を知らないままの陸奥九世達は、突如出現した狂鬼に遭遇し、その退治に手を焼いていた。九世は狂鬼に対抗するため、大和孝一朗魂結びを交わそうとする。そんな中、救助と思われたヘリコプターに乗っていた侵略者達に、香椎守が囚われてしまう。一方、理事長不在の桃源殲鬼学校では、桃源武蔵が倒れてしまう。代理となった桃源那智がミリアスの要求をのもうとする中、キヌの体に魂を移した武蔵がミリアスに返答する。ミリアスの要求を蹴った桃源島は、島の命運を懸けてハニーフォックスと戦争を始める。そして島の危機を察知し、孝一朗と魂結びをした九世は、狂鬼への反撃を開始する。そして桃源島の危機に、猿の殲鬼師としての力を覚醒させた香椎守が果敢に立ち向かう。ハニーフォックスと内通していた霧島彰二相手に、守は健闘して勝利し、戦争は終結へと向かう。一方、狂鬼と戦う九世は、途中で暴走し始めた孝一朗を止めようとしていた。そこに那智が助けに現れ、孝一朗の状況を探るために、九世を孝一朗の精神世界に導く。那智から魂結びの仕組みを聞いた九世は、気を失ったままの長門と、我を失った孝一朗の目を覚まさせるため、二人が受けたダメージを自らも受けようとする。これにより長門が目覚め、桃源島はハニーフォックスに勝利を収めるが、騒ぎに乗じてやって来た謎の少年が、新たな嵐を巻き起こそうとしていた。

待ち人の帰還編(第6巻~第8巻)

陸奥九世桃源那智の前に、「待ち人」とも呼ばれる「初代桃太郎の生まれ変わり」を自称する少年のトキワが、突如現れた。一方、響由良のアイドルライブに招待された君川結乃は、いつもとは真逆の雰囲気の由良に困惑しながらも、彼女の秘密を知る事となる。覚醒した香椎守を目にした結乃が、密かに秘めていた思いに気づいていた由良の前で、結乃は本音を吐き出し、強くなりたいと改めて願う。そしてトキワの登場によって、桃源島は二つの戦力に分かれてしまった。鬼側の大将を名乗る九世は、本気の宣戦布告をトキワに行い、真っ二つに割れた桃源島に新たな戦いが訪れる。トキワに対抗しようとする九世達の目的は、鬼の本体である大和孝一朗の命をトキワから死守する事だった。こうして桃源島では、「鬼側(九世側)」と「桃太郎側(トキワ側)」による戦いが始まる。トキワは守に魂結びを持ちかけるが、九世や孝一朗と戦う事をためらう守は、契約を断ってしまう。そしてトキワの言葉に惹かれて彼の魂誉となった君川結乃は、彼の忠実な下僕として戦うようになる。トキワのもとを離れようとした守は、結乃を心配する由良から、九世の味方となり結乃を解放するように頼まれる。守は結乃のため、友人である九世のため、そして孝一朗を守るために、九世側につく事を決意する。九世達は桃源殲鬼学校を離れ、山のあちこちにあるシェルターに留まり、トキワ側についた殲鬼師達との戦いを続けていた。しかし、今まで桃源長門による記憶消去を受けて来た孝一朗に異変が起きた事で、不穏な空気が流れ始めていた。

鬼の完全復活編(第8巻~第9巻)

トキワに貰った強力なももたまの力を暴走させながら、君川結乃香椎守に猛攻を続けていた。ケイタの乱入により戦闘は終了するが、守も結乃も倒れてしまう。その場のシェルターはトキワに奪還され、トキワはそのシェルターの近くにある「天坑」で、ある目的を果たそうとしていた。一方、徐々に衰弱を見せていた桃源長門が倒れ、長門の体に現れた黒いアザを目にした大和孝一朗は、過去の忌まわしい記憶を断片的に取り戻し始める。陸奥九世達はキース=ラングレイやケイタ達と合流し、長門と守はキースの診察を受ける。キースの診察で、長門の余命が数か月しかない事が判明する。長くない事を悟っていた長門は、桃源那智達に別れを告げ、自分もろとも地下に孝一朗を封印する事を決意する。そして孝一朗と地下にこもった長門は、お互いの過去と桃源島の歴史、そして狂鬼の正体を語り出す。長門によって映された過去の幻影には、昔の桃源島で兄弟として生きる桃源加古胤の姿があった。そして孝一朗は、自分が一度島民によって殺害されていた過去と、それを機に狂鬼が自分によって生み出されていた事実を知る。その頃、トキワを不審に思った桃源武蔵は彼のあとをつけ、地下に保存されている歴代の桃狼の肉体を目にする。「トキワは桃太郎ではない」と確信した武蔵は彼と戦おうとするが、響由良に止められてしまう。その後、桃源長門と共に地下に封印された孝一朗は、自分の過去の記憶を取り戻し、鬼の力を暴走させてしまう。倒れた長門を助けるため、狂鬼を呼び出して結界を壊した孝一朗は、長門を抱えたままトキワのもとへと向かう。しかしトキワと童子の正体は鬼を倒す桃太郎ではなく、鬼の魂の9割を秘めた、孝一朗の一部であった事が判明する。童子と融合して完全体の鬼となった孝一朗は、長門と共に人間へ復讐するべく、動き始めるのだった。

新生桃太郎編(第10巻)

自身が「鬼の末裔」ではなく「初代桃太郎の生まれ変わり」であると悟った陸奥九世は、完全体の鬼となった大和孝一朗と戦う事を決意する。九世は鬼を倒して永きにわたる負の連鎖を断ち切るため、自らの祖先、鬼一桃伯と対面する。一方、桃源島では巨大な鬼が島ごと移動を始め、結界を破ろうとしていた。そしてその鬼の行き先は、日本列島である事が判明する。鬼を倒すための「鍵の者」として実家の地下に潜った香椎守は、風神と融合し、光の竜巻をまといながら地上に戻る。因縁の大地、日本に鬼が向かう中、守は日本に戻った元殲鬼師達の記憶を取り戻し、戦力として集める事を提案する。その後、融合の果てに「新生桃太郎」として復活した九世と桃伯は、その姿を現して孝一朗と対峙する。そして800年以上続いて来た殲鬼師と鬼の戦いの歴史に、終止符を打つための最後の戦いが始まるのだった。

登場人物・キャラクター

陸奥 九世 (むつ ここのせ)

陸奥家9代目の少年。年齢は9歳。愛称は「ココちゃん」。小柄で幼い風貌だが、9歳児とは思えない知識・精神力・行動力などを持ち、周囲から驚かれる事や、不思議に思われる事が多い。幼い頃より強い霊感を持っており、悪霊退治や結界をはじめとした術も扱える。「鬼の末裔」である一族を復興させる、という陸奥家の悲願成就のため、単身桃源島に潜入するが、そのまま桃源殲鬼学校の1年生となる。その際にルームメイトとなった香椎守とは何かと共通点も多く、当初は不仲だったものの、徐々によき友人となっていく。その後、桃源島に帰還した桃源那智に一目惚れし、初対面でプロポーズをした。のちに彼女とは相思相愛となり、婚約者関係になる。また、狂鬼に遭遇したのをきっかけに、大和孝一朗の魂主となる。ソウルタイプは「桃」だが、ももたまを食べても変身できない、鬼の末裔なのに鬼から攻撃されるなど、自他共にその力や正体は未知数。性格は傍若無人だが、心優しく紳士的で、仲間思いの一面も持ち、ケイタ達からも尊敬され慕われている。

香椎 守 (かしい まもる)

君川結乃達と共に、桃源島に連れて来られた青年。年齢は20歳。桃源殲鬼学校の1年生で、陸奥九世のルームメイト。君川結乃からは「カッシー」の愛称で呼ばれている。実家は寺で、父親の香椎守善は僧侶をしている。また守善と顔がよく似ており、太い眉毛がコンプレックスであったため、つねに細く整えている。九世同様、強い霊感を持っているが、霊が見える事は幼い頃から疎ましく思っていた。また何かと無気力・ネガティブな性格で、やりたい事が見つからず、桃源島に来る前は自由奔放な生活を送っていた。当初は九世を毛嫌いし、厄介事に巻き込まれぬように何かと彼を避けていたが、在島検査などで行動を共にするうちに、よき友人となっていく。ソウルタイプは「猿」だが、物事に諦観を抱いていた事などが原因で、当初はももたまを食べても変身できずにいた。のちに霧島彰二との戦いをきっかけに、結乃を守るために覚醒し、猿の殲鬼師として目覚める。惚れっぽい面があり、結乃に片思いしているが、彼女にはオタク扱いされるなど、あまり相手にされていない。乗り物に弱く、船酔いしやすい。

桃源 長門 (とうげん ながと)

39代目の桃太郎を名乗る青年。桃源那智の父親で、桃源武蔵の孫。年齢は23歳。桃色の髪で、いつも軍服を着ている。桃源殲鬼学校の理事長および桃源島の現統治者(王)として、島全体を仕切っている。大和孝一朗と魂結びを交わした魂主でもあり、彼とは兄弟のように仲がいい。また孝一朗からは、「理事長先生」の略で「リジ先生」と呼ばれている。陸奥九世の事は当初毛嫌いし、何度か衝突していたが、自身の死期を悟った頃には娘の那智を任せるなど、徐々に信頼を寄せるようになる。正体は初代三獣衛士の一人、桃狼の生まれ変わりで、前世をはじめとした過去の記憶を保有したままで、何度か転生をしながら桃源島で生き続けて来た。幼少期は桃源トネの人格に体を支配されていたため、実際の精神年齢は12歳くらいであり、精神世界などでは少年の姿に変化する。またトネの人格が体を支配していた時に、孝一朗の目の前で身投げをした事があり、その際の大ケガで右目は見えておらず、義眼を入れている。他者の記憶を消去・操作する能力を持っており、主に桃源島に来た人間を日本へ帰す時や、孝一朗の記憶を消去するのに使用している。ただし、記憶を消した際に、相手の負の感情を取り込まなければならない。また孝一朗の記憶を消す際は、彼の負の感情を取り込む事で「厄腫」と呼ばれる黒いアザが現れ、体を蝕むようになっている。旅団「ハニーフォックス」のクーデターをきっかけに理事長を解任させられ、1年生の担任になる。

君川 結乃 (きみかわ ゆいの)

香椎守達と共に、桃源島に連れて来られた少女。年齢は15歳。桃源殲鬼学校の1年生となり、抜き打ちテストをきっかけに「犬」の殲鬼師となる。桃源長門の事は王子様のように思っており、「長門様」と呼び、特別なあこがれを抱いている。もともと痴漢対策のためにキックボクシングをやっていたため、殲鬼師として鬼と戦う際も、その足技を活かした肉弾戦を得意とする。自他共に認める美少女で、周囲の男性からは「ゆいのん」の愛称で呼ばれている。桃源殲鬼学校で出会った守に片思いされているが、冷たくあしらう事が多い。またルームメイトとなった響由良とは親友関係となる。由良からは友達以上の特別な感情を抱かれているが、由良からの思いには気づいていない。高飛車でわがままだが、負けず嫌いな性格。桃源島に来る前は母親と二人暮らしをしていた。しかし徐々に貧しくなっていき、母親の代わりに援助交際などで生活費を稼ぐようになる。これ以来、本来の自分ではなく、交際のための「作り物の性格」で人と接するようになる。また母親をはじめとする周囲の人間から、内面ではなく容姿ばかりを褒められる事がコンプレックスで、容姿以外の取り得となる要素を求め続けていた。このため殲鬼師となった事で「強さ」に執着するようになり、殲鬼師として覚醒した守には対抗心を抱くようになっていく。のちにトキワの魂誉となった際に守と戦い、力を暴走させて消耗し、気を失う。

桃源 那智 (とうげん なち)

桃源長門の一人娘。桃源島40代目桃太郎を継ぐ立場にある宿命の少女。桃色の髪に幼少期の長門と瓜二つの容姿を持ち、右目まぶたにはほくろがある。三獣衛士の一人で、「雉」の殲鬼師。年齢は9歳で、大和孝一朗の婚約者でもある。体が衰弱している桃源武蔵の通訳として、長門をはじめとした周囲の人間に、武蔵の意思を伝える代弁者のような役割も持つ。日本から帰還した際に出会った陸奥九世に一目惚れされ、のちに相思相愛の仲となる。正体は初代三獣衛士の一人、キギスの生まれ変わりで、長門や武蔵と同様、前世の記憶を残したまま生きている。このため幼い見た目に反して性格が大人びており、桃源島が侵略された際は長門や武蔵の代理として指揮を執るなど、聡明な子供離れした雰囲気を持つ。ただし動物の着ぐるみを好むなど、時おり年相応の少女らしい一面を見せる事もある。身還りの影響で、ももたまを食べて変身した際などに足が動かなくなる。変身すると無数の日本刀が集束した、巨大な翼で空を飛べる。また他者の精神世界に潜り込んだり、精神世界に他者を連れて行く能力も持つ。記憶操作の影響で、「崖に身投げしたのは桃源那智である」と誤認している孝一朗に合わせ、彼の前では右目が見えないふりをしている。母親とは3歳の頃に死に別れており、陸奥八重という優しい義母ができた際は、心から喜んでいた。

大和 孝一朗 (やまと こういちろう)

桃源殲鬼学校の教師をしている男性。年齢は33歳。額の中央にほくろのような黒点がある。「犬」の三獣衛士で、1年1組の担任と、犬の能力を持った生徒達(犬組)を担当している。桃源長門の魂誉であり、桃源那智の婚約者でもある。長門に「すぐ泣く島の最終兵器」といわれるほどよく泣く。純粋で正義感の強い性格で、人一倍生徒思いの面もある。鬼に襲われていた陸奥九世を助けた際に彼と出会い、のちに彼の魂誉となる。長門とは兄弟のように仲がよく、彼が幼い頃からいっしょに過ごしていた。昔は長門を「ナガト君」と呼んでいたが、現在は「リジ先生」と呼んでいる。長門が理事長を解任された際は理事長代理となる。正体は鬼の本体で、鬼の魂の1割を保有し、初代桃太郎との取引で得た肉体は不老不死に近い状態になっており、緩やかに成長しながら桃源島で生き続けて来た。ただし、長門をはじめとした歴代の桃狼による記憶操作を度々受けているため、自分は普通の人間だと思い込んでいる。のちに記憶操作の効果が徐々に薄れて昔の記憶が戻り、長門と地下に封印された際に、すべての記憶を取り戻す。強い負の感情が狂鬼を生み出す原因となっており、記憶操作を受けるのも、狂鬼が生まれるのを防ぐためだった。鬼の化身である「鬼子」として生まれたばかりの頃は、一部の島民から忌み嫌われていたが、当時の桃狼に「狗」という名(のちに「孝」となる)を与えられ、島中から愛される少年として生きていた。

桃源 武蔵 (とうげん むさし)

桃源長門の祖父で、猿の三獣衛士。病により体が衰弱しており、周囲に意思を伝える時はひ孫である桃源那智の通訳を必要としている。のちに病が悪化して死亡。その際に、愛兎である「キヌ」の体に精神を移し、しゃべる兎となる。

響 由良 (ひびき ゆら)

桃源殲鬼学校の留年生で、君川結乃のルームメイト。おっとりした性格の少女。猿の殲鬼師。一人称は「僕」で、常に敬語で話す。響長良の妹であり、彼の魂主でもある。魂結びの特性を利用し、兄の長良とはたびたび入れ替わっている。

響 長良 (ひびき ながよし)

響由良の兄。桃源殲鬼学校の教師をしている。オネエ口調で話す、ミーハーな性格のオカマ。妹である由良の魂誉であり、彼女とは定期的に体を入れ替えている。由良の体に移った際は、派手なアイドル衣装を着用し、定期的にライブを開いている。

服部 摩耶 (はっとり まや)

桃源殲鬼学校の女性教師。雉の能力を持った雉組の生徒たちを担当している。おっとりした性格で、間延びした口調で話す。普段は優しいが、怒ると怖い二面性の持ち主。桃源長門いわく、「癒し系時々バックドロップ」。

キース=ラングレイ (きーす らんぐれい)

桃源殲鬼学校の養護教諭。元軍人の中年男性。猿の能力を持った猿組の生徒たちも担当している。硬派だが善良な心の持ち主で、生徒への過酷な抜き打ちテストの際は心を痛めていた。料理が得意で、キース=ラングレイ自身の作るピーチパイは、服部摩耶の好物となっている。

陸奥 八重 (むつ やえ)

陸奥九世の母親。陸奥家の家系に、体の一部の欠損という形で現れる「苦の連鎖」により、生まれつきの盲目。桃源島に向かう九世をサポートする。のちに桃源島に狂鬼が現れた際、香椎守の父親とともに駆けつけ、九世と再会する。

霧島 彰二 (きりしま しょうじ)

雉の能力を持った殲鬼師の少年。桃源殲鬼学校の二年生で、殲鬼師として、二年生の中でも5本の指に入るほどの実力を持つ。ミリタリーオタクで、元軍人であるキース=ラングレイに興味を持っている。戦艦を率いる旅団「ハニーフォックス」とともに、学校内でクーデターを起こす。

ミリアス=ソレイシィ (みりあす それいしぃ)

戦艦を率いる旅団「ハニーフォックス」の団長を務める女性。元アメリカ軍の少尉。桃源島を支配するため、霧島彰二らとともに、桃源殲鬼学校にてクーデターを起こす。筋肉質な男性に強いこだわりを持っており、キース=ラングレイに強く執着している。

トキワ (ときわ)

謎の少年。初代桃太郎の生まれ変わりであると自称する。年齢は13歳。霧島彰二らが起こした騒ぎに乗じ、桃源島に帰還する。のちに島中の殲鬼師と魂結びを交わし、複数の魂誉を得る。君川結乃に膨大な力を与えるが、殲鬼師を使い捨ての道具のようにしか思っていない。

桃源 トネ (とうげん とね)

38代目桃太郎の前世の姿で、35代目の桃太郎。150年前に桃源島に君臨していた女性。桃源島を嫌っていたため、20歳までは英国で過ごしていた。のちに幼い長門の体にその人格を現す。自分のことを「桃源トネ」と認識してくれない大和孝一朗に絶望し、海に身を投げる。

桃源 加古胤 (とうげん かこつぐ)

37代目桃太郎の前世にあたる少年。孝とは兄弟関係で、彼の魂主でもある。桃源島の島民からは「桃の神の化身」として敬われていた。日本本土の交易者の企みから孝と自分を守るため、社に閉じこもっていた。孝が島民に惨殺された際の傷を、魂結びを通じて受け、ショック死してしまう。

(こう)

桃源加古胤が桃源島を治めていた時代の、大和孝一朗の姿。加古胤とは兄弟関係で、彼の魂誉でもある。島民から愛される少年であったが、日本本土からの交易者に唆された島民たちに惨殺された。その時に生じた強い負の感情によって、巨大な狂鬼を生み出すこととなった。

キギス (きぎす)

桃源那智の前世。初代「雉」。山伏のような風貌の青年。翼を得るために両脚をなくし、代わりに膝から下には刀が取り付けられている。桃狼や晶猿と共に、鬼一桃伯に仕えていた。鬼子を自身の子供のようにかわいがり、大切に育てた。桃伯には主従関係以上の感情を抱いており、彼女が姿を消したあとも帰りを待ち続けていた。

ケイタ (けいた)

桃源殲鬼学校の生徒。1年生で、黒髪のやんちゃな風貌の少年。当初はブゥやれおと共に陸奥九世に嫌がらせをしていたが、抜き打ちテストの際に九世に救われたのをきっかけに友人となる。

番田 雪風 (ばんだ ゆきかぜ)

桃源殲鬼学校の生徒。1年生で、昭和の「バンカラ」のような風貌の、いかつい大柄の青年。通称「番長」。服部摩耶の魂主であり、彼女とは密かに付き合っている。留年生で、年齢は不詳だが桃源島や桃源殲鬼学校の事情にも詳しく、新入生からも頼りにされている。「猿」のソウルタイプには強いこだわりがある。

れお (れお)

桃源殲鬼学校の生徒。1年生で、中性的な見た目の少年。当初はブゥやケイタと共に陸奥九世に嫌がらせをしていたが、抜き打ちテストの際に九世に救われたのをきっかけに友人となる。

キヌ (きぬ)

桃源武蔵と桃源那智が飼っているメスの島ウサギ。年齢は2歳。一見普通のウサギだが、強い霊力を持っている。武蔵の病死後は彼の魂の拠り代となり、乗り移られて同化した状態となる。同じく強い霊力を持っていた親ウサギは、人の霊魂が取り憑いていたために、鬼に取り込まれてしまった。武蔵が離れたあとは普通の島ウサギに戻り、那智に大切に飼われている。

香椎 守善 (かしい しゅぜん)

香椎守の父親。寺の僧侶をしている。息子の守とは瓜二つの顔だが、眉毛は太め。妻が守を身ごもった時に見た夢で、「守は神から託された救世の鍵である」という神託を受け、未来のために船などの準備をしていた。また守の宿命を知っていたため、その時が来るまでは守が何事にも囚われず、極力自由に過ごせるようにするなど、息子思いの父親。桃源島や日本本土に大量の鬼が現れた際には、あらかじめ用意していた救助船を手配し、自らも陸奥家と共に桃源島に向かい、息子と再会する。

鬼一 桃伯 (きいち とうはく)

初代桃太郎の本名。1293年に鬼ヶ島で鬼を封印した陰陽師の女性。初代の三獣衛士である桃狼達の主人。また陸奥家の初代でもあり、子孫には陸奥家が「鬼の末裔」であると伝えたうえで存続させ、それは同時に一族の者に鬼の共感を得させるためでもあった。陸奥家の祭壇に自身の即身仏を残してその魂を分割し、9割を保持した状態で眠りについていた。のちに鬼の完全復活をきっかけに目覚め、魂の1割を持つ陸奥九世と融合する。

桃狼 (たおらん)

桃源長門の祖先の犬神。初代「犬」。名と姿を変えながら、長らく桃源島に暮らしていた、巨大な白狼の霊獣。もともとは別の大陸で仙境を守っていたが、主の帰りを長く待っているあいだに体を失い、桃の化身となっていた。そこを鬼一桃伯に拾われ、人間としての器を得て桃伯の家来となる。桃伯が姿を消したあとは人間の姿になった鬼子の魂主となって桃太郎(桃源家当主)を名乗り、キギスや晶猿と共に桃源島を治めるようになる。当初は鬼子を毛嫌いしていたが、キギスや晶猿の言葉を受け、自分の過去と似たような境遇を持つ鬼子に「狗(コウ)」という名を与え、大切に育てるようになる。

鈴谷 (すずや)

日本から桃源島に派遣された特命役人の男性。干ばつが起こった桃源島に食糧と水を提供した。一見桃源島を救おうとする善人だが、島民の不幸に乗じて権力を得ようと目論んでいる。そのために孝と桃源加古胤を殺して支配者の座を得ようとするなど、狡猾で残虐。のちに孝と加古胤が社にこもった隙を狙って島民をそそのかし、祭りの夜に外出した孝を捕らえて惨殺する。

晶猿 (しょうえん)

桃源武蔵の前世の女性。初代「猿」。別名「晃猴王」。もともとは塩の結晶を司る猿の霊獣で、桃狼、キギスと共に鬼一桃伯に仕えていた。一時期日本に滞在しているあいだに子を身ごもり、その子を桃狼の家族とする事で桃源家を建て、島の歴史を支えていた。

ブゥ (ぶぅ)

桃源殲鬼学校の生徒。1年生の少年。小太りで走るのが遅いなど、運動が苦手。当初はケイタやれおと共に陸奥九世に嫌がらせをしていたが、抜き打ちテストの際に九世に救われたのをきっかけに友人となる。

童子 (どうじ)

トキワがいつも連れ歩いている謎の子供。長い黒髪で顔を隠しており、言葉を話さないため顔も声もわからない。トキワいわく、大和孝一朗を殺し、桃源長門を蝕む鬼の呪いを解くための「鍵」を持った存在。孝一朗はこの童子に遭遇した際に、謎の恐怖心を抱いている。

集団・組織

陸奥家 (むつけ)

800年以上続く陸奥九世の家系。「鬼の末裔」を名乗る謎の一族。かつて桃太郎に侵略された鬼の怨みを晴らすため、桃太郎への復讐と一族の栄華復古を悲願としている。九世の桃源島侵入を一族総出でサポートしながら、彼の活躍による悲願成就の時を待っている。かつて鬼が受けた屈辱を忘れないために、一族の者は体に何らかの問題を抱えた状態で生まれるため、陸奥八重は生まれつきの盲目となっている。この問題を抱えた部位は、陸奥家初代が生まれ変わるために捧げる器の一部として、一定の年齢を迎えた頃に初代に献上する決まりとなっている。ただし100年弱に一人は、九世のように体に何の問題のない者が生まれ、その者は「初代に関する真実」に辿り着けるとされている。

場所

桃源島 (とうげんとう)

日本本土から離れた場所にある絶海の弧島。もともとは鬼が治める鬼ヶ島だったが、桃太郎が鬼退治をしたことによって彼の領土となる。その後は、彼の子孫である桃源長門の家系が、代々「島の王」として統治している。島民の大半は殲鬼師として、日々鬼を退治している。

桃源殲鬼学校 (とうげんせんきがっこう)

桃源島にある学校。殲鬼師を育成するための国家機関でもある。選ばれた才能の持ち主が入学し、生徒は最短4年の任期を終えるまで殲鬼師として、島に襲来する鬼と戦うことを強いられる。「一年生」「二年生」といった学年は正式には階級名であり、例えば「一年生」は「殲鬼師見習い」であることを意味する。

その他キーワード

ももたま (ももたま)

殲鬼師が鬼との戦闘時に使うもの。食べることによって変身し、殲鬼師としての能力を発現することができる。桃源殲鬼学校でも生徒に配布されているが、使用後は消費した数を報告する義務があるため、無駄遣いはできない。

殲鬼師 (せんきし)

桃源島に出る鬼を退治する特殊な能力を持った戦闘員。島民の大半を占める。戦闘時はももたまによって変身することができる。変身後の能力タイプは「ソウルタイプ」と呼ばれ、「犬」「雉」「猿」の3種類に分かれており、それぞれ異なる特技や特性を持つ。

魂結び (たまむすび)

一心同体となる契約、またそのための儀式のこと。契約の主君は魂主、従者は魂誉と呼ばれる。この魂結びを交わした者同士は、怪我などのダメージを折半することにより、お互いに負担を軽減することができる。契約の際はももたまを使用する。

魂主 (たまぬし)

魂結びの主君側の呼び名。従者である魂誉を自由に操ることができる。原則として1人の魂誉としか契約ができないが、トキワのように特殊な能力を持った魂主は、2人以上と契約することも可能。桃源殲鬼学校の生徒は、一年生のみ魂主になることが許されている。

魂誉 (たまほめ)

魂結びの従者側の呼び名。魂主に操作される側の人間。命の危険を回避するため、一時的に魂主と魂の入れ替えをすることができる。桃源殲鬼学校の三年生は、最精鋭であるため、魂誉にしかなれない決まりとなっている。

徒鬼 (あだおに)

桃源島の鬼の中でも、数が多い鬼の呼び名。島に現れる鬼の大半はこの徒鬼で、小型や人型などさまざまな形態に姿を変える。人の死体を集める性質がある。生身の攻撃は受けつけず、ももたまを食べた殲鬼師のみが退治できる。

狂鬼 (あざおに)

桃源島の鬼の中でも巨大で、特に強い力を持った鬼の呼び名。主に日蝕時に現れるが、めったに姿を見せず数も少ない。また、徒鬼よりも高い知能を持つ。本能的に大和孝一朗を追いかける性質や、桃源殲鬼学校へ向かう性質を持っている。

三獣衛士 (さんじゅうえじ)

歴代の桃太郎の家来になった、特別な殲鬼師のこと。現在の桃太郎である桃源長門の三獣衛士は、桃源長門、大和孝一朗、桃源那智の3人。また、有事の際は桃源島の王の代理となる役割も持つ。三獣衛士と王は、そろいのネクタイを着用している。

身還り (みがえり)

前世の記憶を残したままの者に起こる特有の症状の事。初代三獣衛士の生まれ変わりの者にのみ現れている。ももたまで変身したり自分の能力を使うたびに、体の一部が前世の状態に近づいていき、何らかの症状が出る。たとえば足を失って翼を得たキギスの生まれ変わりである桃源那智の場合は、足が動かなくなるといった形で現れる。

鬼の呪い (おにののろい)

800年前に鬼と取引をした際に鬼一桃伯が受けた呪い。しかし、桃伯は桃狼と魂結びをしていたため、呪いそのものは桃狼が代わりに受けている。この鬼の呪いの影響が桃狼の生まれ変わりである桃源加古胤や桃源長門にまで受け継がれており、鬼の本体である大和孝一朗と鎖のような魂の緒でつながった状態となり、孝一朗とは生死もリンクした状態となっている。また、呪いの影響がキギスの生まれ変わりである桃源那智と、晶猿の生まれ変わりである桃源武蔵にも、身還りなどの形で現れている。

ソウルタイプ (そうるたいぷ)

ももたまを食べた時に発揮される力のタイプ。「タイプカード」と呼ばれる特殊な札を引く事によって、自分のタイプが分かる。桃太郎の家来である「犬」「猿」「雉」の3種類に分かれている。すべての殲鬼師がいずれかのタイプに該当するが、当初は香椎守のソウルタイプは不明だった。また、例外の4種類目として「桃(タオ)」が存在しており、陸奥九世とトキワがこのタイプを持つ。

ゲート (げーと)

桃源島を外界から守るために作られた結界。「消失地点(ロストポイント)」とも呼ばれる。「開門印」と呼ばれる特殊な紋様がなければこの結界を通る事ができないため、島民以外の大半の人間は島を自由に出入りできない。桃源島が隔離された謎多き島となっているのも、この結界が一因となっている。

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