氷の魔物の物語

氷の魔物の物語

杉浦志保の代表作。人と魔物が混在するファンタジー世界を舞台にしている。氷に封じられていた魔物のブラッドと、彼の封印を解いた青年、イシュカの冒険を描いたファンタジーアドベンチャー。長いあいだ氷の中に封印されていたことから冷酷な性格となったブラッドと、自分の命に無頓着なイシュカが、お互いの人柄に触れて成長していく姿が見どころとなっている。この世で一番純粋な涙の粒「涙の宝石」と呼ばれる宝石を巡る争いや、ブラッドとイシュカの出生にまつわる謎も明かされる。冬水社「いちばん好き」1995年12月号から連載の作品で、2003年に完結。

正式名称
氷の魔物の物語
ふりがな
こおりのまもののものがたり
作者
ジャンル
ファンタジー
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概要・あらすじ

登場人物・キャラクター

ブラッド

ある洞窟の氷の中に長いあいだ封印されていた魔物。「氷の魔物」の異名を持つ。見た目は人間の青年と変わらないが、金色の髪を自在にあやつって敵や獲物を捕獲して食すなど、超人的な能力を持つ。氷の呪縛を解くため、この世で一番純粋な涙の粒「涙の宝石」と呼ばれる宝石を求めており、それが死に際の人間が恐怖のあまり流す涙であると信じ込んでいた。そのため、洞窟に入り込んだ人間に恐怖を与えて殺害していたが、一向に涙の宝石を得ることができないでいる。そんな中、興味本位で洞窟を訪れたイシュカを、ほかの人間同様に恐怖を与えて殺そうとするが、何をしてもまったく恐怖を感じる様子のないイシュカに興味を抱く。さらに、イシュカはブラッドが封印されている氷ごと彼を抱きしめた結果、イシュカは体温を奪われ命を落としてしまう。するとブラッドは、イシュカを亡くした悲しみから涙を流し、そこから生成された涙の宝石の力でイシュカは蘇(よみがえ)る。やがて氷の封印が解けてブラッドは自由の身となり、イシュカと共に放浪の旅を始め、やがてイシュカを唯一無二の相棒として認めるようになる。

イシュカ

ブラッドが封じられている洞窟の近くにある村に住んでいる青年。赤色の短髪で、丸眼鏡をかけている。天真爛漫(らんまん)でマイペースな性格ながら、自分より他者を尊重する献身的な態度が目立つ。心臓の病気を患っており、治る見込みもないことから誰にも迷惑をかけないよう、一人で死ねる場所を探していた。そんな中、ブラッドが封じられている洞窟にたどり着き、彼から氷の呪縛を解くために殺されそうになるが、死をまったく恐れない態度や、魔物のブラッドを前にしてもまったく物怖じしないことに興味を抱かれる。さらに、自分の命より氷の中に封印されたブラッドを心配し、彼を暖めようと氷を抱きしめたため、体温を奪われて命を失う。すると、ブラッドが無意識のうちに涙を流し、それが結晶化した「涙の宝石」の効力により、「死人帰り」と呼ばれる状態で蘇生(そせい)する。その後、再び自らが命を落とした時、身体に残った生気をブラッドに差し出すという条件を交わし、彼の旅に同行する。

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