概要・あらすじ
江南地方の長者である劉家に料理人としての腕を買われた青年・李三は、そこで劉家の奥方である沈夫人と出会う。美しい沈夫人に料理を褒められ、すっかり心奪われてしまった李三は、彼女のために毎日、丹精込めた料理をつくる。ところが、食べることが何より好きな沈夫人は、李三にただ料理をつくらせるだけでは満足せず、わざと無理難題をふっかけては、李三が困り果てた末にどんな料理を出すのかを楽しむようになるのだった。
そんな沈夫人のわがままに翻弄されつつも、沈夫人を優しく高貴な女性だと崇拝する李三は、不満を持つどころか、むしろその期待に応えようと、より一層美味しい料理をつくることに励む。
登場人物・キャラクター
李三 (りさん)
劉家に雇われた若き料理人の青年。愚直で卑屈な性格だが、料理の腕前は一流。主人の奥方である沈夫人に心奪われており、沈夫人の出すわがままな要求に翻弄されつつも、その期待に応える最高の料理を出すことに無上の喜びを見い出している。
沈夫人 (しぇんふじん)
名は鳳仙。江南地方の比較的大きな町の長者である劉家の若く美しい後妻。なにより食べることが好きな女性で、料理人である李三に毎度、無理難題ともいえるわがままなリクエストを出しては、李三が困る様子を見て愉しんでいる。ただし、李三の料理人としての腕前は信頼しており、どんな要求にも応えて美味しい料理をつくる李三を大変気に入っている。
愛蓮 (あいれん)
沈夫人の身の回りの世話をする下女。わがままで気まぐれな沈夫人を優しい女性と崇拝する李三を醒めた目で見ている。
劉興 (りゅうこう)
劉家の主人で、沈夫人の夫。沈夫人を溺愛しており、彼女を満足させる料理をつくる李三のことを高く評価している。