中華一番!極

中華一番!極

小川悦司の『真・中華一番!』の続編。久しぶりに帰郷した特級厨師の少年・マオは父親・マリウの法要中に事件に巻き込まれ、彼の死の真相を知るための旅に出る。清朝末期の中国を舞台に、マオと仲間たちの冒険や料理対決を描いたグルメ漫画。講談社「マガジンポケット」で2017年11月から配信の作品。

正式名称
中華一番!極
ふりがな
ちゅうかいちばん きわみ
作者
ジャンル
料理
レーベル
講談社コミックス(講談社)
巻数
既刊16巻
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あらすじ

旅立ちの食譜

時は清朝末期、動乱の中国。料理人の頂点である「特級厨師」に史上最年少で昇り詰めたマオは、仲間との旅や数々の戦いの末に、裏料理界の精鋭や大幹部たちと壮大な料理対決を繰り広げ、裏料理界の長い歴史に終焉をもたらすことに成功した。誇り高き特級厨師として大きく成長したマオだったが、料理へのあくなき探求と夢はまだ終わっていなかった。マオの新たな目標は、まだ見ぬ料理を学んで味を極め、この大陸の人々に幸福をつなぐ味の橋を架けることだった。シロウと二人で旅をしていたマオはほかの仲間たちと合流し、故郷である四川省国営菜館「菊下楼」に久々に帰郷する。この菊下楼では、先々代総料理長を務めた伝説の料理人であり、マオの父親でもあるマリウの13回忌法要が、近いうちに行われることになっていた。久しぶりの故郷に胸を躍らせるマオも、姉のカリンの助言を受けてこの法要に参加することになるが、その先に待ち受けていたのは、亡き父を巡る謎と陰謀の数々であった。故郷の人々と再会したマオたちは、マリウの料理の味を知ると言う奇妙な老人が、菊下楼に数日前から客として訪れていることを知る。卵チャーハンにこだわるその老人に、マオは卵白だけを使った純白の卵チャーハンを振る舞うが、その老人の正体は中華料理の頂点「中華大四」の一人である玉仙であった。マリウが生きていると呟きながら去って行った玉仙の言葉に心を揺さぶられたマオは法要当日、マリウが生前に作っていた麻婆豆腐を再現するほどの腕を持つ龍厨師ルイと出会う。マオがマリウの一番弟子でもあるルイに父親のことを問うと、マリウはルイをかばって目の前で亡くなったのだという。マオの家族や友人に限らず多くの人が参列し、警備も万全だった法要の真っ最中、菊下楼の食糧庫が何者かに爆破される事件が起こる。

不穏なる決着

四川省国営菜館「菊下楼」爆破事件と、マリウを巡る謎に疑問を抱くマオは、マリウの死に玉仙がかかわっているとにらんでいるルイから、玉仙を直接訪ねる旅に誘われる。マオは陰謀に秘められた謎を追い求め、マリウの死の真相への鍵を握る玉仙のもとを目指し、新たな旅に出ることになる。だがそれは、いつどこで命を落とすかもわからない、決死の覚悟の旅立ちでもあった。こうして、禁忌の料理人とされるマリウや「伝説の厨具」を巡り、裏料理界の源流を名乗る謎の料理人たちとマオによる、新たな旅と戦いが始まるのだった。獅子の心を込めて作った肉団子を仲間に残し、ひそかに旅立つ予定だったマオだったが、こっそりついて来ていたメイリィシロウも加わり、緊張感のあった旅はいっそうにぎやかになっていた。そんなマオ一行は、道中に遭遇した美人姉妹に、暴漢撃退のお礼として魔芋を使った肉まんをはじめとする料理を振る舞われることになる。しかしそれは敵の罠であり、姉妹の正体はかつて裏料理界に所属していたシャンと、「母夜叉」の異名を持つ謎の女料理人・アルニャンであった。せまりくるシャンたちの魔手から辛くも命を守ったマオたちだったが、青兆山の案内人に渡すはずだった龍鱗岩塩をすり替えられてしまい、入山資格を失ってしまう。しかし案内人のアマンの提案により、マオはアルニャンと入山資格を懸けて勝負をすることになり、筍を使った料理をテーマとする激闘が始まるのだった。先攻のアルニャンは最高の若筍に極上のフカヒレと極長もやしを使った宮廷料理の絶品「金銀筍」を作ったのに対し、十分な材料を得られなかったマオは、竹林に住むパンダをヒントに筍のすべての部位を生かした春巻きで対抗。しかし、春巻きに不可欠な肉が入っていなかったため、不適格との指摘がアルニャンから上がる。

太極料理界

玉仙に謁見するために命の危険を顧みず青兆山にやって来たマオたちは、瞑想から目覚めた玉仙に認められ、マリウの生死と封印された過去について聞かされる。そして、マリウと関係している新たな敵「太極料理界」の存在を知ったマオたちは、新たな決意を胸に旅を続けることになる。しかし太極料理界の毒牙は、すでにマオたちの背後にせまってきていた。旅の途中、アルニャンの罠にはまって幻覚を見せられていたマオは、天才料理少女・ジュンの助けで正気を取り戻す。父親をさらわれたジュンを助けるために太極料理界を追っている最中で、わずかながらマリウの情報も得ていた。メイリィとジュンが恋の火花を散らしていると知らないまま、マリウが西安にいると聞いたマオは、貴重な情報を頼りに西安に向かうことになる。ジュンとは別行動を取りながら西安にたどり着いたマオたちは、そこで最大の好敵手であるフェイと再会し、彼もまたマリウの行方を捜していることを知る。さらに、かつての敵であるエンセイが姿を現し、マリウの詳細を知りたいのなら麵大会「西安面条比賽」で優勝せよ、と告げる。好敵手や敵との再会、謎めく父親を捜す旅で数多の運命が交錯する中、古都を舞台とする新たな戦いが始まろうとしていた。面条比賽の出場手形を探し回っていたマオたちは、途中で立ち寄った安宿で幸運にも出場手形を手に入れ、小麦とは異なる材料を使った麵料理で予選に臨む。だが、途中で材料を切らしたうえに、豪華な燻製麵で猛追してきたとなりの老夫婦に追い抜かされてしまう。予想外の逆境の中、マオはシロウが持ち帰った米を使った奇策の米粉麵に切り替えることで、再逆転を図る。一方、マオたちと別行動中だったフェイ、そしてジュンの身代わりとなったルイは、都にはびこる闇の魔手に落ちて捕らわれの身となっていた。彼らを捕まえたのは太極料理界に属するジェランで、二人は彼女の指示した料理対決を通して、太極料理界の凶悪な本性を目にすることになる。

フェイの出自

激闘が続く「西安面条比賽」決勝トーナメント・準々決勝戦第2試合では、意外な者同士の対決が始まる。宿で休んでいるマオに代わって見学に来ていたシロウたちは、各代表厨師の正体に驚かされる。チーム「太極宮」として登場したフェイの対戦相手は、チーム「永楽」のエンセイであり、図らずともかつて万里の長城を舞台に戦った宿敵同士の再戦となった。エンセイが仕掛けた幻術をかいくぐったフェイは七変化の麩麵玉を作り、新たな審査員として現れたマダム・ヤンの舌を虜にする。しかし、エンセイの黒ゴマ長寿麵は、ヤンの銀髪を艶々の黒髪に戻すほどの効能と美味でフェイを圧倒。観客からもエンセイの圧勝と思われていたが、客席に紛れていたシャンの策略により、その勝負はフェイの辛勝に終わった。主催者であるヤンが用意した優勝賞品が、伝説の厨具の一つ「玉龍鍋」であるという噂が流れる中で大会の四強が出そろい、マオは大会三連覇中の王者・パールと対決することになる。パールは驚異的な体術で刀削麵を切り出す西安最強の特級面点師としても知られ、西安を麵で支配しようともくろむ野望の鬼でもある彼は、マオにとって恩義のある宿屋に非道な手段で立ち退きをせまっていた。事情を知って怒りに燃えるマオは、パールの嫌がらせが原因で急逝した宿屋の主人の遺志を継ぐ勢いで、パール打倒を宣言。主人が遺した巨大な金魚鉢に命運を懸け、かつて主人が作ろうとしていた幻の麵料理の完成を目指す。一方、石化した状態で各地に散らばっていた伝説の厨具に異変が生じ、それらを狙う太極料理界の魔手は西城にまで伸びていた。八つの厨具を巡る戦いは、多くの厨師たちの運命を混沌の渦に巻き込んでいく。

不朽の名樹

西安面条比賽パールと相対したマオは、彼の精妙極まる刀削麵に対して、西安に伝わる幻のビャンビャン麵を復活させて対抗し、豪快に勝利を収める。決勝進出を決めたマオだったが、審査員の休養をはじめとする大会運営側の都合で、続きの試合は3日後に延期となった。思わぬ延期によってしばらくの猶予を得たマオたちは、楊貴妃がかつて利用した温泉で湯治に入る。その頃、西城の敦煌・莫高窟では「霊蔵庫」がひそかに輝きを取り戻し、伝説の厨具としての力を取り戻しつつあった。それをいち早く察したミラはある場所に封印したが、彼女自身は太極料理界に捕らえられてしまう。危険を察知して敦煌へ駆けつけたシェルレオンは、ミラを救出すべく太極料理界に勝負を挑み、霊蔵庫とミラの身柄を懸けた料理対決を開始。敦煌古城を舞台とする燕席料理6連戦の相手は、双子の美少年厨師・ハルとナルであった。歴戦のコンビでもあるシェルとレオンは難敵相手でも勝利を確信して臨むが、ハルたちが繰り出す不可思議な力の前に、次々と星を落としてしまう。不可解にもまずいという判定が続き、完璧な料理模写術をあやつるハルたちに大きな差をつけられてしまった。だが、審査員を務めるギョウキの介添えをする踊り子の行動を不審に思ったレオンは、踊り子の箸を通してギョウキの味覚を操作していたという不正を暴く。敵の不正を知ってもなお料理対決を続行したシェルは、味覚を乱す電気の絶縁体となる純白ラードで包んだ白金小籠包を作っていた。これによって敵の狡知は粉砕され、感動したギョウキの提案によって、仕切り直しのメイン一品勝負が始まる。シェルたちは縁起のいい名樹を模した、ラムレバーとチーズを活用した特製春巻きでハルたちを一蹴し、ミラと霊蔵庫の救出に成功する。

愛は霧の中へ

3日間の中断を経て、西安面条比賽のトーナメントが再開された。準決勝・第2試合は太極料理界に身柄を拘束されたままのフェイルイがタッグを組んだチーム「太極宮」と、謎の変面厨師・オルファを擁する「丹鳳門」が激突することになった。見学に来ていたマオたちは、奇怪な最強厨師が作り出す異次元の領域に達する対決と、底知れぬ料理世界を目の当たりにすることになる。宮廷で培った超絶技法を駆使する二人の龍厨師を相手に不敵な様子を見せるオルファは、物語を現出する神業とともに調理を進めていき、観客や審査員の度肝を抜く。そんなオルファに驚かされながらも、フェイたちは驚異の回転技法で創作した特製円盤麵で対抗。それに対してオルファが作った七色蒸し麵は、試食者に戯曲を追体験させる空前絶後の迫真演劇麵であった。大絶賛の評価が下るものの、突如会場に目くらましの水蒸気が充満する。それは人質状態となっていたフェイたちを救おうとするオルファの策だったが、見抜いていた太極料理界の妨害により、フェイたちの身柄と引き換えに優勝賞品の玉龍鍋が奪われてしまう。混乱の中でオルファと対面したマオは正体を問うが、彼は料理人の心得だけを解いてその場を去ってしまう。その後、大会はオルファの棄権によってマオが不戦勝優勝に終わった。大会終了後にマダム・ヤンの宴会に招かれたマオたちは、彼女から得た新たな情報を基に、伝説の厨具の秘密を追い求めて次なる目的地を定める。

魔王の油淋鶏

太極料理界オルファ、そしてマオの三者が対峙する中、西安面条比賽は思いもよらない結果で終結した。河南省・嵩山へ針路を定めたマオたちは準備を進めていたが、父親が華山へ連れ去られたという情報を得ていたジュンは、一人で華山へ向かってしまった。太極料理界が支配する危険な領域に踏み込むジュンを放っておけないマオたちは彼女を追うが、味審査関門が設けられた険峻な華山に苦戦を強いられる。苦悩の末に、マオは麓の豆腐屋でヒントを得て、巨大な湯葉でこしらえた熱気球に乗り、仲間と共に登頂することに成功する。山頂に待ち構えていたのは、太極料理界に君臨する八人の大厨師「鳳凰八仙」の一人・ケイカであった。さらにはもう一人の鳳凰八仙であるラモンも飛行船に乗って現れ、マオとケイカによる命懸けの激闘が始まる。ラモンが審査員を務める油淋鶏勝負の開始前、彼が四川から連れ去っていたジュチが山頂に降ろされ、マオたちと久々の再会を果たす。若い厨師たちを蝕む太極料理界の非道な行いに怒りを燃やすマオは、助手を引き受けてくれた盟友・ジュチの協力も得て闘志満々で勝負に臨む。だが、昔から鶏料理を得意とするケイカの豪快な超油術と圧倒的実力が発揮され、さらに材料調達中に高山病で体調を崩したマオは良質な鶏を逃してしまい、未曽有の苦境に陥ることとなる。

師匠あらわる

華山山頂でケイカとの油淋鶏対決で完敗を喫したマオは、鳳凰八仙との実力差を痛感する間もなく、敗者処刑の掟に従って鳥葬の儀を受けることになる。必死に追いかけたシロウともども崖から吊るされ、勝負を見届けていたメイリィジュンジュチの目の前で死んだと思われたマオたちだったが、間一髪のところをエンセイによって救われていた。敗北の苦汁と恐怖による失意の中で、メイリィたちが連れて行かれた嵩山へと向かうマオたちだったが、何も知らずに立ち寄った水席料理店で、太極料理界の者たちに捕らわれてしまう。重なる窮地に姿を現したのはなつかしき師・チョウユで、彼はかつてマオを継承者に選んだ伝説の厨具永霊刀」を携えていた。愛弟子を救うべく旅立っていたチョウユは太極朱雀厨師・リホウに水席料理勝負を挑み、店の客たちが審査員を務めることになった。奥に捕らわれたままのマオたちの目の前で、チョウユが極めた革新的な刀工と火工が今、洛陽の地で揮われることとなる。チョウユは鍛えた刀工と大根の性質を生かした極上の牡丹燕菜でリホウを打ち破り、永霊刀に導かれてマオとシロウを救い出すことに成功する。マオは華山で起こったことを正直に話し、料理勝負に初めて敗北し、仲間を守れなかったことを強く悔やむ。そんなマオに対してチョウユは、嵩山の厨林寺での短期間修行を勧め、自らはメイリィたちと連れ去られた料理人たちを救うべく、太室山へ旅立って行った。厨林寺はかつて、チョウユを含む武闘派厨師たちが心身を鍛え上げるために立ち寄った修行寺でもあった。再起のため、そして強敵・太極料理界に対抗できる力を得るために、マオはチョウユに言われた言葉を胸に再び旅立ち、シロウと共に厨林寺の入門を目指す。

表現上の特徴

前作『真・中華一番!』に引き続き、料理対決の審査員役となる人物たちが、料理を食した際に取る派手なリアクションが特徴となっている。また「マガジンポケット」掲載時は、料理やそのリアクションを中心に重要な場面の一部がカラーで掲載されている。

登場人物・キャラクター

マオ

最難関とされる広州の特級厨師試験を史上最年少で突破した、若き天才料理人の少年。黒の長髪を一つにまとめ、紅い頭巾をバンダナ状に巻いている。紅白の服の腕部分には広州の特級厨師の紋章が描かれているが、ふだんは布を巻いて隠している。素直で礼儀正しい性格ながら、少々お人よしな一面がある。ふだんは優しく温厚だが、料理を悪用する者には強い怒りをあらわにする。フルネームは「劉昴星」。国営菜館「菊下楼」の料理長を務めた両親の才能を受け継いでおり、あらゆる逆境や窮地に立たされてもあきらめずに料理と真摯に向き合い、持ち前の知識と独創的な発想力を生かして新たな料理を創造していく。誰よりも料理を愛し、師のチョウユの教えもあって、料理は人を幸せにするという信念を抱く。あらゆる食材を見逃さない鋭い味覚と洞察力に加え、昔食べた味も絶対に忘れない記憶力の持ち主でもある。菊下楼ではパイの跡を継いで総料理長となるが、若いために修業期間が認められ、広州の陽泉酒家にて修業の日々を送っていた。修業や旅の過程で裏料理界の存在を知り、仲間と共に伝説の厨具を探す旅に出た。長旅と戦いの末、裏料理界の歴史に終止符を打つことに成功する。まだ見ぬ料理を学んで味を極め、人々の幸福につながる味の橋を架けるという、新たな目標を胸に修業を続け、相棒のシロウと共に四川に帰郷する。しかし、菊下楼で行われた父親・マリウの法要で事件に巻き込まれ、彼を巡る謎や陰謀に巻き込まれるようになり、新たな敵である太極料理界との戦いに身を投じていく。四川を旅立ったあとは、もともとの旅仲間であるシロウ、メイリィに加え、マリウの弟子・ルイと共に旅をしている。マリウの謎を追う中で、西安面条比賽に参加して決勝まで進んだが、オルファの棄権によって不戦勝優勝に終わる。よくも悪くも料理バカなために色恋沙汰には非常に鈍く、メイリィとジュンが恋の火花を散らして張り合っていることにも気づいていなかった。パイやチョウユから教わった調理や食材の知識はもちろん、古典や科学知識にも明るく、新しい料理のアイデアに幅広く生かしている。未知なる料理や食材には好奇心旺盛で、例え敵の料理であっても素直に感心したり、感動したりして称讃を送っている。

メイリィ

チョウユの一人娘で、広州の陽泉酒家の看板娘。店では給仕や洗濯、仕入れなどの雑用を中心に務めている。赤茶色のロングヘアを、二つのおさげやポニーテールにまとめている。亡き母と似た容姿を持つ美少女で、スタイル抜群。ふだんは温厚な性格でおしとやかだが、怒るとおてんばな一面を見せる。陽泉酒家に修業にやって来たマオと出会い、共に過ごすうちに好意を抱くようになるが、料理以外のことには鈍感なマオにやきもきさせられることも多い。かつてマオが伝説の厨具を探す旅に出た際は、彼の旅に加わっていた。自分なりにマオの力になろうと、必死にサポートに回っては空回りすることもあるが、彼を信頼して励ますなど、さまざまな面で支えている。マオがマリウの謎を追って国営菜館「菊下楼」から旅立った際は、こっそり旅立つ予定だった彼を追って、シロウと共に旅に加わる。過去の旅と同様に、料理勝負の際はシロウと共にマオの助手や、食材調達係を務めることが多い。シロウにはからかわれることが多く、よくケンカをしている。チョウユの料理の才能は受け継がなかったが、優れた味覚を持っているため、料理勝負の審査員を務めることもある。また、材料調達係の経験から食材に関する知識が豊富で、マオを巡ってジュンとトウモロコシ料理勝負をした時は、持ち前の食材知識を生かして彼女と渡り合えるほどの実力を見せた。これ以降もマオを巡ってジュンとたびたび張り合っているが、彼女の胸の大きさと料理の腕は認めており、なんだかんだで仲がいい。

シロウ

日本人の母親と中国人の父親を持つ混血児の少年。母親は桂林で中華料理屋「菜根館」を営んでいる。青い服を着用し、頭には黄砂色のバンダナを巻いている。小柄な体型で、右頰に小さな十字傷がある。明るい性格のお調子者で、時折トラブルを持ち込むことがある。料理修業の旅に出ていた頃のマオに出会い、弟分として彼の旅に同行した。マオの一番弟子を自称しながら、彼と共に広州の陽泉酒家に入門した時は雑用係を務めていたが、動きが素早いことから料理人たちに重宝されていた。調子に乗って失敗することもあるが、どんな過酷な状況や窮地に立たされてもマオの勝利を信じるなど、彼のことをとても信頼している。兄のように慕っているマオのよき理解者でもあり、助手としてだけでなく精神面で支えることも多い。誰よりも近くでマオの戦いを見届ける中で少しずつ成長していき、彼からもパートナーとして信頼されている。しかしふだんはマオに甘えることが多いうえに、これといった特訓もしていないため、料理の腕はまだまだ半人前で、ピンチの時でしか才能が発揮されない。このため、厳しい関所で料理人であることを証明する審査を受けた際には、すぐに関所を通り抜けられず苦労していた。母親が日本人であるため、日本料理や食材はもちろん、忍者や侍など日本文化にまつわる知識を豊富に持つ。色恋沙汰に鈍感なマオとは異なり、メイリィやジュンの恋心にも早くから気づいており、二人がマオを巡って料理対決をしたにもかかわらず気づかない彼の鈍さには少々呆れていた。マオがマリウの謎を追って国営菜館「菊下楼」から旅立った際は、こっそり旅立つ予定だった彼を追って、メイリィと共に旅に加わる。メイリィをからかったりセクハラしたりすることが多く、よく彼女に叱られている。

シェル

中華点心の最高位資格である「特級面点師」の青年で、マオの友人。山西省出身。茶髪のオールバックの髪型で、左ほほに傷跡がある。明るく仲間思いの豪快な性格で、マオたちのよき兄貴分となっている。身長を超える長棍をつねに持ち歩いており、「鋼棍のシェル」という異名を持つ。点心、とりわけ焼売に関しては大陸一を自負するほどの腕を持ち、愛用の長棍を振り回しながら豪快に調理する。広州の陽泉酒家を訪れた際にマオと焼売対決を繰り広げ、彼の優れた腕や心意気を認めて仲間になり、伝説の厨具を探す旅にも同行した。手先が器用で、マオに頼まれて特殊な包丁を作ったこともある。陽気でムードメーカー的な存在で、クールで硬派なレオンとは対照的な人物。しかし、レオンとはコンビを組んで戦うことも多く、よく行動を共にしている。せっかちでおっちょこちょいな一面があり、さまざまな問題をレオンにフォローしてもらっている。武将のような高い戦闘力を持ち、長棍を使ってレオンと連携して戦い、何人もの強敵を打ちのめしている。裏料理界との戦いではミラと死闘を繰り広げ、敗れたものの彼女と恋仲になった。レオンと共にマオよりも先に四川を訪れ、国営菜館「菊下楼」で行われたマリウの法要にも参列した。しかし、倉庫爆破事件に巻き込まれて負傷し、しばらくはレオンと共に菊下楼で療養することになる。のちにミラから手紙を受け取ったのをきっかけにレオンと四川を旅立ち、彼とコンビを組んでミラの救出を懸けた料理対決に参加した。

レオン

マオの友人で、彼よりも前から広州の陽泉酒家で修業していた青年。水色の長髪で一部を三つ編みにしており、屈強な体格をしている。堅物と称されるほどに生真面目で、食材への敬意を欠かさない優しさと、ナイーブで傷つきやすい一面を併せ持っている。腕っぷしが強く、手傷を追いながらも盗賊団相手に大暴れしたこともあり、料理・戦闘共にシェルとコンビを組んで戦うことが多い。陽泉酒家を出て修業に出た際、裏料理界に入門するが、恐るべき実態を知って脱走した過去を持つ。裏料理界を倒すために、伝説の厨具を求めて陽泉酒家へ戻り、マオ一行の旅に加わって裏料理界との戦いに身を投じた。七つ包丁の「七星刀」を駆使して巧みに調理することから「七星刀のレオン」と呼ばれており、食材を部位に合わせた包丁で鮮やかに素早く切り刻む刀工を得意としている。食材の血や肉汁をこぼさず美しく解体したり、魚介類を瞬時に刺身にしたりするなど、多彩な刀工技をあやつる。シェルと共にマオよりも先に四川を訪れ、国営菜館「菊下楼」で行われたマリウの法要にも参列した。しかし、倉庫爆破事件に巻き込まれて負傷し、しばらくはシェルと共に菊下楼で療養することになる。のちに、ミラから手紙を受け取ったのをきっかけにシェルと四川を旅立ち、彼とコンビを組んでミラの救出を懸けた料理対決に参加した。

玉仙 (ぎょくせん)

中国四大料理(四川、広東、上海、北京)それぞれの頂点に君臨する、伝説的な四人の大厨師「中華大四」の一角。150歳を超えた老齢の男性で、名前どおり仙人のような姿をしている。四川料理を極めたあとは、四川の奥地にある青兆山の仙境で少数の弟子と共に隠居していたが、マリウの法要前に国営菜館「菊下楼」を訪れ、卵チャーハンを繰り返し注文していた。当初はマオたちが作った卵チャーハンに満足していなかったが、ヒントを得たマオが作った白身だけの卵チャーハンを絶賛し、自らの正体を明かして姿を消す。若い頃のマリウの恩師でもあり、彼が本当は生きていることをマオたちに教えている。その後は青兆山に戻って瞑想していたが、数々の試練を乗り越えたマオ一行の訪問を受け、マリウの詳細や太極料理界の存在を教えたうえで、マリウや伝説の厨具に反応する特殊な水晶卵を託した。ルイからはマリウの命を狙っていたと疑われていたが、それは太極料理界の陰謀であり、昔は引き取ったマリウに四川料理を教えていたこともある。卵料理を見ればその料理人の素質がわかるという信念を持ち、自らも卵料理を得意としている。

ルイ

マリウの一番弟子だった青年。北京の龍厨師として活躍しており、「宮廷御膳房の俊英」と評される、若き名料理人。黒髪のイケメンで、ふだんは硬派でクールな性格をしている。腕っ節も強いが空腹には極端に弱く、空腹のままだと力が発揮できずに不機嫌となる。マリウの息子であるマオとは面識がなかったが、カリンからは兄のように慕われており、フェイにとっては兄弟子にあたる。マリウの法要に参加するために国営菜館「菊下楼」を訪れ、マリウの麻婆豆腐を完全に再現する。この際にマオと出会い、マリウがルイをかばって崖から落ちたことを語った。マリウの秘密にかかわっている玉仙を訪ねる過酷な旅にマオを誘い、こっそりついて来たメイリィ、シロウを加えた四人で青兆山に入山。マリウが生きていることや西安にいるという情報を受け、マオたちと共に西安に旅立った。しかしマオたちと別行動中に、太極料理界に襲われていたジュンを救出し、空腹で脱力して捕らわれの身となる。そのままジェランに身柄を拘束され、同じく捕まっていたフェイと命懸けの料理対決を繰り広げた。フェイとは対照的に豪快な調理法を好むが、彼との共闘時は抜群のコンビネーションを誇る。その後もジェランに身柄を確保されたままでチーム「太極宮」として、フェイとコンビを組んで西安面条比賽に参戦。オルファの策略で太極料理界から解放され、マオたちに合流することができた。動物好きな一面を持ち、青兆山の麓で拾ったミンミンをとてもかわいがっている。

マリウ

国営菜館「菊下楼」の先々代総料理長を務めた男性。マオとカリンの父親で、マオが物心つく前に亡くなっている。偉大な料理人であったが、重大な嫌疑によって歴史から抹消されたため、一部からは禁忌の存在として知られる。一番弟子のルイによれば、彼をかばって崖から転落死したとされていたが、玉仙からは今も生きていると言われている。太極料理界と深いかかわりを持っており、捜す者には厄災が降りかかると恐れられている。実は「玉麒麟」の名を与えられ、裏料理界の総頭領になる宿命を持った、空前絶後の天才厨師。すべての伝説の厨具の真の力を引き出せる希少な使い手でもあり、伝説の厨具の悪用をもくろむ太極料理界が、現在も血眼で追っている人物。若い頃に梁山泊から逃亡後、玉仙に引き取られて弟子入りし、わずかな期間で四川料理を極めた。その後に下野して当時の菊下楼に弟子入りし、パイと結ばれて婿入りの形で結婚した過去を持つ。

シャン

裏料理界の麟厨師だった女性。「一丈青」の異名を持つ。露出度の高い服装の上からマントを羽織り、妖艶な色香をまとったロングヘアの美女で、姐御肌で気が強い性格をしている。料理勝負においても、勝利のためには卑劣な手口や色仕掛けなどに手を出すことがあり、目的のためなら手段を選ばない冷酷で危険な人物。マオたちとは伝説の厨具を巡ってたびたび対峙していたため、浅からぬ因縁がある。凱由死亡後にエンセイたちと姿を消し、そのまま裏料理界が解体されたために行方知れずとなっていた。エンセイたちとは別れて行動し、現在は太極料理界に身を置き、国営菜館「菊下楼」の倉庫を爆破した。その後は姉貴分のアルニャンと組んで肉まん姉妹を演じ、その正体を隠したままマオたちを青兆山付近で待ち伏せする。マオたちと同様にマリウを追っており、正体を見抜かれたあとも彼らに妨害行為を仕掛け、西安面条比賽でも太極料理界のために暗躍していた。

アルニャン

「母夜叉」の異名を持つ謎の女性料理人。抜群のプロポーションを誇る巨乳美女で、容姿はどこかパイと似ている。ふだんは包容力のあるおっとりした女性のように振る舞うが、その内には夜叉のような恐ろしい本性を秘めており、激昂すると鬼のような形相と荒い口調に変貌する。太極料理界に加わった妹分のシャンと、肉まん姉妹を演じてマオたちに近づく。その正体は太極料理界の鳳凰厨師であり、「鳳凰八仙」の一角。シャン以上の実力を誇り、宮廷料理を難なく仕上げ、マオとも互角の勝負ができるほどの実力を誇る。青兆山では入山資格を巡ってマオと筍料理対決をすることになるが、筍のすべてを使い尽くした彼の料理に敗北。この時はあっさりと負けを認めて去っているが、実は本気を出しておらず、本当の力は未知数。マリウを捜して旅を続けるマオにパイのフリをしながら近づき、幻覚作用のある食材や埋没鍼で惑わして、マリウの手がかりである水晶卵を奪った。

ミンミン

青兆山の麓で、母親と暮らしていた幼いパンダ。無邪気で甘えん坊な性格で、竹や笹の葉が大好き。大量の水を求めて良質な水場へ向かうパンダの性質から、筍料理勝負に苦戦するマオに、親子でヒントを与えた。アルニャンの手下とルイの戦いに巻き込まれて母親が崖から落ち、生き別れたところをルイによって保護される。この時に負った傷が額に残っている。その後はマオ一行の旅に加わり、みんなにかわいがられている。昼間は眠っている場合が多いことから、メイリィによって「ミンミン」と名づけられた。華山に向かったマオたちによって麓の豆腐屋に預けられ、看板マスコットとして店を繁盛させていたが、マオたちと別行動中だったルイと再会した。

パイ

マオとカリンの母親で、四川省の特級厨師。国営菜館「菊下楼」の先代総料理長を務めた女性で、四川料理を中心に幅広い料理をマスターしていたことから「四川の仙女」と呼ばれていた。マオとカリンによく似た容姿で、茶髪のロングヘアの美女。性格はマオに似て優しく、少々お人よしなところがある。技術が優れているだけでなく料理を愛し、マオには技術や知識に限らず料理人としての心得も教えていた。特級厨師としての功績を積み上げながら菊下楼を切り盛りしていたが、愛弟子に裏切られて借金を背負い、過労で命を落とした。若い頃には万民の幸せを守るために各地で裏料理界と死闘を繰り広げ、伝説の厨具を探し回って旅をしていた過去を持つ。元は菊下楼総料理長の一人娘として生まれ、父親に弟子入りしたマリウと出会い、彼が婿入りする形で結婚した。マオが生まれたあとに行方をくらましたマリウを捜して旅をしていたこともあり、梁山泊で見つけた赤ん坊のフェイを救うために死闘を繰り広げ、伝説の厨具を示した地図と引き換えに裏料理界からフェイを救い出す。幼いフェイに料理を教えながら育て、彼と共に裏料理界から逃亡していた。これらの過去から、フェイからも母親のような恩人として慕われている。

アマン

青兆山の案内人を務める中年男性。いつもひょうたんに酒を入れて持ち歩いているため、ただの飲んだくれ男に見えるが、玉仙に認められた高弟でもあり、料理や食材の知識を持つ。また、青兆山に入った客を安全に誘導するために獣道を正確に見分けたり、弓矢で猛獣を追い払ったりと、山道を知り尽くしている。入山資格を巡って争うマオとアルニャンに、山中にある筍を使った料理対決を指示した。自ら審査員を務め、筍のすべてを使った特製春巻で勝利したマオたちを玉仙のもとへ導く。案内の際には、命を賭して入山する客に敬意を払い、弁当として作った特製チマキを毎回携帯している。

ジュチ

元・裏料理界の五虎星だった少年。銀の長箸を使った器用な調理法を得意とする、モンゴル出身の厨師。明るく人懐っこい性格で、関西弁で話す。かつては「飛天大聖」の異名を持ち、マオを裏料理界に引き込むための刺客として送り込まれていた。優れた調理技術を持ちながら、実は料理が嫌いで、その理由の一つは味覚を失っているためであった。味覚の代わりに発達した嗅覚を活用し、食べなくても香りだけで料理の状態を察知することができる。戦いの末に料理人としての心を取り戻し、マオが不在中は国営菜館「菊下楼」の臨時総料理長を務めるなど、彼から厚い信頼を得た盟友ともいえる人物。五虎星の中ではミラと二人で弱小扱いされ、当時から仲がよかった彼女のことを姉のように慕っている。ミラに危険がせまった際は、カリンが作ったくじ引きによって救出しに行くことが決まっていたが、マオに任された菊下楼を離れるわけにいかず、彼女を心配しつつもシェルに救出を託して残った。しかし、のちに太極料理界の飛行船にさらわれてしまい、華山頂上にてマオたちと再会。マオとケイカの料理対決では、マオの助手を務めた。

ジュン

四川省最年少で特級厨師になった少女。四川料理の腕だけでなく、薬膳や鍼灸などの医学にも通じており、これらは四川特級厨師の父親から、幼い頃より学んでいた知識である。黒髪のロングヘアで、長身の巨乳美少女。一般的に情熱的で直情型とされている四川出身女性らしい明朗快活な性格で、気に入った相手へのアプローチにも積極的。悪事のために家に侵入していたアルニャンが連れ込んでいたマオと出会い、彼女の策で幻覚状態だった彼に鍼治療を施した。当初は生意気に思って対抗心を燃やしていたマオを気に入り、年齢の近いメイリィとは彼を巡って張り合っている。また、鍼治療の経緯を知らずに誤解したままのメイリィをわざとからかったり、冗談半分に焚きつけたりすることも多い。メイリィとはマオを巡った料理対決を繰り広げ、マオが審査を務めたが、彼の判定によって引き分けに終わった。メイリィとはケンカが多いものの、料理の腕と胸の大きさは彼女から認められており、なんだかんだでなかよくしている。父親と共に青兆山付近の山小屋に住んでいたが、太極料理界に父親をさらわれてしまい、救出のために太極料理界を追っている。その過程でマリウに関する情報もつかんでおり、彼が西安にいることを告げたうえで、マオたちに先んじて西安に向かっていた。道中でマオたちと再会するものの、太極料理界の闇討ちに遭い、身代わりになったルイに助けられる。それからは太極料理界と戦うために、マオたちと行動を共にすることになる。西安面条比賽終了後に父親が華山にいるという情報をつかみ、マオたちに手紙と弁当を残し、一人で華山に向かった。

マダム・ヤン

麵大会「西安面条比賽」の主催者を務める豪商の女性。30代くらいに見える美女だが実年齢は50代で、関西弁で話す。食通のセレブで、決勝戦以降は審査員を務める。元は銀色の長髪だったが、若返り成分を多く含んだエンセイの麵料理で若返って黒髪になった。

フェイ

マオの最大にして最高の好敵手である少年。難関とされる特級厨師の試験を、マオと共に合格した。明るい茶髪ロングヘアの美少年で、滅多に動じない冷静沈着な性格をしている。フルネームは「蘭飛鴻」。かつて広州の特級厨師試験でマオと出会い、パイへの恩義もあって彼にヒントを与えたり、サポートしたりしていた。また、一時的にマオの伝説の厨具探しの旅に同行したこともある。マオとは何度も戦っているが、いずれも引き分けに終わっており、お互いに好敵手と認めながら本気の再戦を望んでいる。龍厨師や宮廷副料理長にまで地位を高めたが、それよりも自らの夢を優先して下野し、宮廷料理のレシピを携えながら大陸に味の橋を架けるための旅に出る。マリウを追う中で、西安でマオたちと再会するが、彼らと別行動中に太極料理界に捕らわれ、同じく捕らわれていた兄弟子のルイと再会。そのままジェランに身柄を拘束され、彼女の指示で命懸けの料理対決をルイと繰り広げた。その後もジェランに身柄を確保されたままでチーム「太極宮」として、ルイとコンビを組んで西安面条比賽に参戦。オルファの策略で太極料理界から解放され、マオたちに合流することができた。ルイとは対照的に繊細な調理法を好むが、彼との共闘時は抜群のコンビネーションを誇る。かつて裏料理界で生を受け、赤ん坊の頃にパイに救われた過去を持つ。幼少期はパイに料理を教わりながら裏料理界から逃亡していた過去があり、現在でも彼女のことを恩人として慕っている。生い立ちや宿命に惑わされない強い意志と自立心を持ち、裏料理界の生まれであることに苦悩しながらも、料理への情熱を捨てずに自分の夢を追い続けている。

ジェラン

太極料理界の鳳凰厨師で、鳳凰八仙の一角を担う女性。ベネチアンマスクで目元を隠したロングヘアの美女で、人前でも全裸やガウン姿など露出の多い恰好をしている。抜群のプロポーションを誇り、血風呂に浸かることで美貌を保っている。西安にある秘密拠点「太極宮」を守っており、「母大虫」の異名を持つ。美しい料理をこよなく愛する一方で、冷酷に鳳凰八仙の使命を果たそうとする。女王然とした態度で、美しくない料理を作った厨師や仕事が遅い者は、部下であろうと容赦なく厳罰を下したり、時には処刑している。西安で捕まえたフェイとルイに、命を懸けた美しい料理勝負を指示する。しかし、二人が示し合わせて結果が引き分けになるように仕向けたため、ルイを人質にしたうえでフェイに西安面条比賽への参加を命じた。

エンセイ

元・五虎星の男性。黒髪ロングヘアで顔に傷跡がある。酒好きな風来坊のような見た目だが、泰山に封じられた伝説の厨具を一人で手に入れるほどの実力を持つ。おおらかな性格で、細かいことをまったく気にしない。「浪子」の異名を持ち、仲間からも五虎星随一の実力者と評されていた。真意がわからず底知れない人物として凱由からは危険視されていたが、彼に対してはエンセイなりに忠誠を誓っていた。優れた聴覚の持ち主で、特に煮込み料理や揚げ物を得意としている。凱由の死後は亡骸を埋葬し、彼の存在を裏料理界そのものと考えていたために存続を望まず、組織は解体された。その後はシャンたちと行方をくらましていたが、西安に来たマオたちの前に姿を現し、マリウの情報を教える条件として西安面条比賽で優勝するように告げる。自らも部下と共に「永楽」のチーム名で飛び入り参加し、決勝トーナメントではフェイとぶつかることになる。裏料理界の秘技で幻惑したり、審査員が求めている料理を調査したうえで調理したりと、フェイを圧倒する実力で勝利すると思われていたが、シャンの策略によって敗退となった。面条比賽終了後、華山で崖から落とされたマオとシロウを救出し、目覚めた彼らに特製ウズラ粥を振る舞った。

チョウユ

メイリィの父親で、広州の名料理店「陽泉酒家」の副料理長を務める男性。広州に修業にやって来たマオの師でもある。京劇役者のようなつり目の強面で、厳格な性格をしている。寡黙で余計なことはいっさい話さない。広州特級厨師の中でもその腕前は若手随一と評されており、優れた刀工技術を持つ。陽泉酒家においても総料理長から厚い信頼を受け、店を全面的に任されている。広州大食い選手権を連続制覇するほどの大食漢で、腕っぷしも強い。冷徹で厳しいように見えるが、マオたちの成長を心から願っており、彼に刀工と火工を中心とする技術や知識を叩き込んできた。陽泉酒家の料理人が連れ去られたのをきっかけにマオを捜して洛陽まで出向き、太極料理界の出店に捕らわれていた彼を救うべく、太極朱雀厨師・リホウと水席料理対決を繰り広げる。

水鏡 (すいきょう)

四人の大厨師「中華大四」の一角で、上海の頂点に君臨する女性。青髪のロングヘアで、中性的な容姿を持つ。見た目は若いが150歳を超えており、西湖の奥地にて少数の弟子と隠居している。サンチェの父親・タンリィとは旧知の仲で、サンチェにもさまざまなことを教えている。転龍壺を壊したと思い込んだサンチェの訪問を受け、伝説の厨具が蘇りつつあることを伝え、転龍壺の継承者と認められた彼に旅立つようにうながした。

サンチェ

上海の老舗「龍鎮酒家」の御曹司で、茶髪ショートヘアの少年。広州の陽泉酒家でのマオの兄弟子にあたる。過去の出来事から刀工恐怖症になり、包丁を握れなくなっていたが、マオとの特訓を通して認められ、上海の実家に帰郷後は自力で克服した。家族をさらわれるなど裏料理界の陰謀にも巻き込まれたが、マオたちと協力しながらピンチを乗り越えた。この時点で刀工がかなり上達しており、レオンからも互角と評されるほどに腕を上げていた。戦いが終わったあとは龍鎮酒家を切り盛りしつつ、石化した転龍壺を管理していたが、触った瞬間にヒビが入ったことで水鏡を訪問した。水鏡を通して伝説の厨具の変化を知り、彼女の勧めで旅に出た。上海の若きホープとして周囲から期待されているが自己評価は高い方ではなく、マオたちとの実力差を痛感し、いまいち自信を持てずにいる。

ミラ

元・五虎星の紅一点。インド人の血を引く褐色肌の美女で、「青眼虎」の異名を持つ。超視覚で相手の動きを完璧にトレースし、完璧なコピー料理を作り出せる。また的確なスパイス調合術により、コピーした料理を完璧に仕上げることもできる。連結した玉の中にスパイスを入れ、ネックレスとしてクビにかける形で調味料を持ち歩いている。かつてシェルとの麵勝負に勝利したが、直後のレオンとの羊肉勝負では敗北。掟に従って塔から身を投げるものの、真下にいたシェルによって救われる。これをきっかけにシェルとは恋仲になり、無表情で暗かった性格も明るく変化していく。同じ五虎星のジュチからは姉のように慕われるなど、昔から仲がいい。敦煌・莫高窟に保管されていた霊蔵庫を守っていたが、輝きが戻ったことを知った瞬間に封印し、それを察知した太極料理界によって捕らわれてしまう。救出に駆けつけたシェルとレオンによって無事に救われた。

パール

西安面条比賽参加者の男性で、面条比賽を連続で制してきた王者。驚異的な体術で刀削麵を切り出す、西安最強の特級面点師としても知られる。西安を麵で支配しようともくろむ野望を抱き、マオにとって恩義のある宿屋に対して、非道な手段で立ち退きをせまっていた。これを知ったマオの怒りを買い、大会当日は精妙極まる刀削麵で審査員を魅了するものの、マオが再現した幻のビャンビャン麵の前に敗れた。マオの実力を痛感して素直に負けを認め、宿屋には二度と手を出さないことを誓って退いた。

オルファ

西安面条比賽参加者の男性で、仮面をかぶった謎多き変面厨師。チーム「丹鳳門」として弟子と共に参加し、準決勝ではフェイとルイのコンビと戦うことになる。調理の段階で物語を現出する神業を披露し、マオ一行を含めた観客や審査員の度肝を抜いた。この勝負では食べた者に戯曲を追体験させる迫真演劇麵「七色蒸し麵」を繰り出し、感激したマダム・ヤンからは千年に一人の大厨師と絶賛される。しかし勝負が決まる直前に、会場に目くらましの水蒸気を充満させ、アルニャンに玉龍鍋を渡すことでフェイとルイの身柄を解放した。その直後にマオと対面して正体を問われるものの、料理人としての心得を説いて姿を消し、そのまま面条比賽を棄権した。

ケイカ

崋山をアジトにする太極料理界の鳳凰厨師の男性。「混世魔王」の異名を持つ「鳳凰八仙」の一人。長髪の強面で、屈強な体型をしている。永遠不敗、鶏料理にかけて並ぶ者はいないと豪語する自信家で、どんな状況でも太極料理界の掟や、方針を厳守する厳格な性格の持ち主。一人で華山に乗り込んだジュンや、彼女を助けに来たマオたちの前に立ちはだかる。華山で飼育されている鶏の管理全般を担っているため、鶏のことをすべて熟知しているとともに、鶏料理を何よりも得意としている。白い長布を使った素早い鶏の捕獲や脱毛をはじめ、豪快で独特な調理法を好む。華山頂上でマオと油淋鶏勝負をすることになり、ラモンによる厳正な審査の末に、圧倒的な実力でマオに完勝した。豪快ながら小細工をしない、巧みな油術で勝負するシンプルな調理と凝縮された美味で、それまで無敗を誇っていたマオに実力差を痛感させている。

ラモン

太極料理界の飛行船「マイカオ=フェイジン号」の船長を務める鳳凰厨師の男性。「霹靂火」の異名を持つ「鳳凰八仙」の一人。短髪の優男で、甲冑をまとい両耳にフープピアスをつけている。ふだんはにこやかでひょうひょうとしているが、味覚・知識ともに非常に優れており、話しているだけで近くの者を恐怖させる威圧感を放つ。華山頂上でケイカとマオの油淋鶏勝負に立ち会い、審査員を務める。厳正な審査の末にケイカ勝利の判定を下したものの、マオの発想力や才能には確かな将来性を見いだしており、死なせるにはあまりに惜しい人材と評している。味覚を稲妻として放出し、料理を味わった瞬間に狼牙棒を通して視覚化することができる。それが直接的に料理の評価となるため、立場や私情が絡まない完全公平な判定を下せる。

スワン

嵩山をアジトにする太極料理界の鳳凰厨師の男性。「雲裏金剛」の異名を持つ「鳳凰八仙」の一人。全身が継ぎはぎ状態で、顔や体に包帯を巻いた謎の大男。かつて伝説の厨具をすべて集め、不老不死の料理を食べて生き続けているため、実年齢は100歳を超えている。厨林寺の八霊塔に封じられている「八極聖典」を狙い続けている。強者ぞろいの鳳凰八仙の中でも最凶の男として、厨林寺の高僧からも恐れられている。

集団・組織

太極料理界 (たいきょくりょうりかい)

裏料理界の源流ともいえる、中国で古くから暗躍する謎の組織。陰陽勾玉巴をシンボルマークとしている。マリウの謎や行方と深く関係しているとともに、裏料理界以上の実力者が君臨している。裏料理界よりも秘匿された存在だがより奥が深く業が深い凶悪な組織として、多くの者に恐れられている。過酷な修業の末に選ばれた正規の料理人は「朱雀厨師」と呼ばれ、その上に君臨する大幹部である八人の鳳凰厨師「鳳凰八仙」は、元・裏料理界の幹部たちからも「人間離れしている」などと恐れられている。凱由死亡後も存続・暗躍を続けており、食の追及のために才能ある厨師をさらって過酷な修業を強いるなど、冷酷非道な手段で大陸を蝕んでいる。かつて伝説の厨具を生み出したシュウリの子孫たちを中心に構成され、伝説の厨具を悪用して不老不死の軍隊を作り上げることで国力を強化し、いずれは世界征服することをもくろんでいる。

その他キーワード

西安面条比賽 (しーあんめんじょうひさい)

古都・西安で定期的に開催されている麵料理限定の大会。開催ごとに料理のテーマが決められ、参加者はそれにのっとった麵料理で競うため、ただ美味なだけでなくテーマに沿っていることも重要となっている。主催と途中からの審査員はマダム・ヤンが務める。予選と決勝トーナメントに大きく分けられ、予選では参加者が麵料理の屋台を開いて客が専用の箸をそれぞれの箱に投入する形で投票し、最終的な箸の本数で決勝進出者が決まる。毎回豪華な優勝賞品が用意されており、今回は「覧古考新」がテーマで、玉龍鍋が賞品となっている。

永霊刀 (えいれいとう)

伝説の厨具の一つ。マオが初めて目にした伝説の厨具でもある。魚介を中心とする食材を切った瞬間に浄化して失われた味すらも取り戻す、不思議な霊力を秘めた包丁。広州料理界によって管理されていたが、マオとレオンの刀工勝負の末に、二人のことを継承者として認めた。このため、マオとレオンが近くにいる時は、刀身に「覇龍紋」が光とともに現れる。ほかの伝説の厨具と同様に人智を超える力を秘めており、継承者でない者が無理やり手に入れようとすると、拒絶して恐ろしい現象が発生することがある。

龍厨師 (りゅうちゅうし)

天帝直属の宮廷料理人。帝都・北京で天帝の皿を作ることを許された、特級厨師をも超える特別な料理人であり、多くの料理人にとってあこがれの存在となっている。特に龍厨師筆頭は、中国料理界において厨師の最終到達地点であるとされている。

前作

中華一番! (ちゅうかいちばん)

清朝の中国を舞台に、類いまれな料理への情熱と才能を持つ少年・マオの活躍を描く料理漫画。後に『週刊少年マガジン』で続編『真・中華一番!』が連載された。講談社「週刊少年マガジン」1995年第43号より連載... 関連ページ:中華一番!

真・中華一番! (しん ちゅうかいちばん)

独創的な発想力を持つ中華料理人の少年が、中国料理界を牛耳ろうとする悪の組織を相手に、伝説の料理道具を巡る料理対決を繰り広げる。『中華一番!』の直接的な続編で、主人公の劉昴星をはじめとする、主要キャラク... 関連ページ:真・中華一番!

書誌情報

中華一番!極 16巻 講談社〈講談社コミックス〉

第1巻

(2018-04-09発行、 978-4065112090)

第2巻

(2018-08-09発行、 978-4065121818)

第3巻

(2018-12-07発行、 978-4065134788)

第4巻

(2019-04-09発行、 978-4065148679)

第5巻

(2019-09-09発行、 978-4065162286)

第6巻

(2019-12-09発行、 978-4065175415)

第7巻

(2020-05-08発行、 978-4065186909)

第8巻

(2020-11-09発行、 978-4065212509)

第9巻

(2021-03-09発行、 978-4065226605)

第10巻

(2021-08-06発行、 978-4065244722)

第11巻

(2022-01-07発行、 978-4065265901)

第12巻

(2022-06-09発行、 978-4065281642)

第13巻

(2022-11-09発行、 978-4065296448)

第14巻

(2023-04-07発行、 978-4065312308)

第15巻

(2023-09-08発行、 978-4065328415)

第16巻

(2024-02-08発行、 978-4065345214)

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