泡恋

泡恋

彼氏がほしいと思う気持ちから空回りをしていた牧野由花が本当に好きになった相手は、時おり記憶が抜けてしまう問題を抱える七瀬賢太郎だった。順調に交際を続ける中、ある時突然記憶を失ってしまう賢太郎と、それでも一途に賢太郎を思い続ける由花の恋愛模様が丁寧に描かれる。また、恋愛だけでなく由花と西村莉々子の友人間トラブルや、由花と加賀谷杏南の友情も描かれている。「Sho-Comi」2016年第13号から連載の作品。

正式名称
泡恋
ふりがな
あわこい
作者
ジャンル
恋愛
レーベル
フラワーコミックス(小学館)
巻数
既刊4巻
関連商品
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あらすじ

第1巻

恋愛経験に乏しく、さらに弟の牧野大樹に彼女ができた事に焦りを感じた牧野由花は、学年一モテる西村莉々子達のグループに入れてもらう。莉々子は同じ瀧宮高等学校に通う男子生徒との「夏祭り合コン」を企画。由花はそこで七瀬賢太郎と出会い、彼の優しさに触れてたちまち恋に落ちる。そんな中、由花は莉々子、夏海春菜の後押しもあり、生徒会役員に立候補する。同じく立候補していた賢太郎のフォローもあり、見事当選を果たす。しかしその直後、莉々子達の由花に対する態度は急変し、縁を切られてしまう。実は莉々子は、由花がモテたいがために無理に自分達と合わせたり、恋愛経験がない事を悟れまいと些細な噓をついてる事を見抜いており、以前から由花を信用できない人物だと判断していた。「夏祭り合コン」で由花が賢太郎と二人きりになったのも、彼女を生徒会役員に推したのも、すべては自分達から遠ざけ、縁を切るための莉々子の作戦であった。その事実を知った由花は怒りと悲しみに暮れるが、賢太郎はそんな彼女を励まし、生徒会の仕事を通して二人の距離は徐々に縮まっていく。そして文化祭の最終日、由花は賢太郎に付き合ってほしいと告白をする。

第2巻

牧野由花七瀬賢太郎との交際をスタートさせ、幸せな気分に包まれていた。そんな中、生徒会で仕事をしている賢太郎の前に、中学時代の親友、魚住勇と元彼女の柏木涼葉が現われる。パニックに陥った賢太郎はその場から逃げ出し、次に会った時には由花の事をすっかり忘れていた。実は賢太郎は時々記憶が抜けてしまう問題を抱えていたのだ。ショックを受ける由花だが、それでも賢太郎の傍に寄り添う事を誓う。賢太郎は由花が彼女だった事実も忘れているが、由花が自分を慕ってくれている事は認識しており、次第に彼女を受け入れていく。そんな中、生徒会では校内の大木をクリスマスツリーにする計画が発案される。しかし、生徒会役員の成績が悪い事から、先生には、追試を受けなくてはクリスマスツリーの企画を没にすると言い渡されてしまう。由花は自身の努力と賢太郎のサポートによりその追試をクリアし、無事にクリスマスツリーの企画が催される事となる。さらにクリスマスツリーのもとで告白をするイベントも決定し、校内は大いに盛り上がる。

第3巻

七瀬賢太郎は、牧野由花の好意を嬉しく感じながらも、自分の記憶が抜けてしまう事で迷惑をかけるのではないかと、彼女の気持ちを受け止めきれずにいた。しかし、由花への思いを募らせた賢太郎は、中学時代の親友、魚住勇と元彼女の柏木涼葉の交際を認め、ついに生徒会が企画したクリスマスツリーの前で由花に告白をする。こうして二人は恋人同士となり、交際がスタートする。デート当日に由花が牧野大樹に納豆をかけられてしまうなどのトラブルに見舞われながらも、二人は順調に絆を深めていく。一方、穏やかな笑顔を浮かべる事が多くなった賢太郎に対し、石井は面白くないと感じるようになる。

登場人物・キャラクター

牧野 由花 (まきの ゆか)

瀧宮高等学校に通う1年生の女子。7組に在籍している。これまで彼氏がいた事が一度もない。2歳年下の弟、牧野大樹に彼女ができた事で焦りを感じ、学年一モテる西村莉々子達のグループに入れてもらい、恋愛経験を積もうと考えている。そのために些細な噓を重ねてしまい、莉々子から信用できない人物として縁を切られてしまう。 最終的には和解したものの、その後もいっしょに行動する事はなくなった。莉々子の画策もあって生徒会役員に立候補するが、見事当選を果たす。これにより生徒会が、由花にとって大切な居場所となる。莉々子主催の「夏祭り合コン」で出会った七瀬賢太郎に好意を抱き、生徒会の活動などを通して距離を徐々に縮めていく。賢太郎の記憶がたびたび抜けてしまい、交際している事を忘れられても、あきらめずに何度も自分の気持ちを伝えている。 鯨井翼からは「まきのん」と呼ばれる。入学当初は人に流されやすい性格だったが、莉々子とのトラブルや賢太郎への恋心を糧に成長し、自分の意思をしっかり持つようになる。祭りの金魚すくいで捕った金魚を10年以上育てている。

七瀬 賢太郎 (ななせ けんたろう)

瀧宮高等学校に通う1年生の男子。1組に在籍している。生徒会では書記を務めている。中学生の終わりに父親を亡くしたため、母親と二人暮らしでアルバイトをして家計を助けている。親友の魚住勇と彼女だった柏木涼葉の裏切りから、一時的に記憶が抜けてしまうようになり、人を寄せつけない暗い性格になってしまった。また、人を傷つけてもすぐに忘れる事から、石井のアルバイトを引き受け、西村莉々子と牧野由花の縁切りにも協力した。 記憶は日常生活に関する事は抜けず、人との関係事だけが抜けてしまう。忘れたいと思う人が突然目の前に現われるとパニックを起こし、さらに記憶が抜ける事がある。記憶が抜けた直後は優しい性格になったり、クールな性格になったりと不安定な精神状態になる。 高校入学後は深町からの助言を受け、日記を付けたりスマートフォンで写真を撮るなどして、記憶が抜けてもある程度は把握できるようにしている。また生徒会書記に立候補したのも、深町からのアドバイスを受けての事である。一度は由花と交際するもののすぐに記憶が抜け、付き合っていた事も忘れてしまう。 それでも自分に好意を寄せる由花に対しては、受け入れたい気持ちと、迷惑をかけるからと拒否したい気持ちが混在していたが、最終的には由花を受け入れる事となる。

加賀谷 杏南 (かがや あんな)

瀧宮高等学校に通う1年生の女子。9組に在籍している。生徒会では会計を務めている。手足の長いスリムな体型をしており、実際にモデルとして活動している。群れる事を嫌い、生徒会室で一人でお弁当を食べるなど単独行動が多い。西村莉々子に縁を切られた牧野由花に対しても、作り笑いばかりで莉々子達が離れていった気持ちもわかる、と辛辣な事を口にするなど、思った事はすぐに口にするタイプ。 由花が莉々子と離れてからは作り笑いがなくなったと褒め、友人関係で悩む由花を元気づけた。由花とは生徒会の仕事を通して少しずつ絆を深め、友達になる。スタイル維持のためにお弁当はトマトやセロリなどの野菜類で、由花からは「農園帰り」と評されている。誰にも打ち明けていないが、世界史の教師と交際中。

大木戸 篤史 (おおきど あつし)

瀧宮高等学校に通う2年生の男子。生徒会の副会長を務めている。クールでまじめな性格の持ち主で、鯨井翼が調子に乗った時にフォローする事も多い。笑顔を見せるシーンは少ないものの、細かな気遣いができる人物。

鯨井 翼 (くじらい つばさ)

瀧宮高等学校に通う2年生の男子。1組に在籍している。生徒会の会長を務めている。明るく気さくな雰囲気の美男子で、女子生徒達からはまるでアイドルのような扱いを受けている。周囲に乗せられやすい性格のため、調子に乗ってしまう事が多い。生徒会のムードメーカー的存在でもある。牧野由花が七瀬賢太郎に恋心を抱いている事にも気づいており、二人をくっつけようと手助けしている。 大雑把で何も考えていないように見えて、鋭い意見を口にしてみんなに驚かれる事がある。生徒会長にもかかわらず、成績は非常に悪い。

音無 博 (おとなし ひろし)

瀧宮高等学校に通う2年生の男子。5組に在籍している。生徒会では会計を務めている。眼鏡をかけて、つねにマスクを着用している。おとなしい性格で、生徒会でもあまり目立つ事はないものの、地道に仕事に取り組んでいる。

西村 莉々子 (にしむら りりこ)

瀧宮高等学校に通う1年生の女子。7組に在籍している。夏海、春菜に牧野由花を加えた四人組で行動しており、周囲からは「学年一のモテグループ」として知られている。グループの中でもリーダー的な役割を担う。一見清楚な雰囲気の美少女だが、恋愛経験は豊富。「おやすみの電話をくれなかったから」といった理由で交際相手をすぐにふるなど、自分が思い描く理想の恋に恋している傾向がある。 当初、由花には気遣いを見せていたものの、恋愛経験のない由花が噓をついている事を見抜いており、彼女を信用できない相手と見なし、自分達のグループから抜けてほしいと考えていた。由花を七瀬賢太郎と引き合わせたり、生徒会役員に推したのもそのためである。のちに、由花と本音を語り合って和解。 ちなみに、由花の性格のよさは認めており、素敵な相手と恋をして幸せになってほしいと思っている。現在は石井と交際中。

夏海 (なつみ)

瀧宮高等学校1年生の女子。7組に在籍している。以前から西村莉々子、春菜と行動を共にしており、周囲からは「学年一のモテグループ」として知られている。そこにあとから入ってきた牧野由花に対しては、少々冷たく当たる事も多い。長身で大人っぽい容姿をした美人。生徒会選挙を利用して由花と縁切りしようとしたあとは、由花が莉々子に危害を加えるのではないかと心配していた。 基本的に言いたい事ははっきりと口にするタイプだが、それを莉々子からたしなめられる事も多い。

春菜 (はるな)

瀧宮高等学校1年生の女子。7組に在籍している。小柄でかわいらしい雰囲気の持ち主。以前から西村莉々子、夏海と行動を共にしており、周囲からは「学年一のモテグループ」として知られている。そこにあとから入ってきた牧野由花に対しては受け入れてはいるものの、特に親しくする気もない。由花と莉々子が和解してからも、由花とは積極的にかかわろうとしていない。

石井 (いしい)

瀧宮高等学校1年生の男子。1組に在籍している。入学時から冷めた目をしていた七瀬賢太郎を気に入っており、金を払って西村莉々子と牧野由花が縁を切るのに協力させるなどしていた。由花と交際をスタートさせてから、賢太郎が優しい笑顔を見せるようになった事が気に入らず、ちょっかいを出していた。莉々子と交際しているが、隠れて合コンに参加するなど女癖が悪い。 また、素行の悪い人物との付き合いもある。

深町 (ふかまち)

瀧宮高等学校の教員。生徒会を担当する男性。基本的に生徒会の運営は生徒達に任せている。以前から七瀬賢太郎の記憶がたまになくなる事情を把握し、生徒会長の鯨井翼だけには伝えていた。賢太郎が少しでも楽しく学校生活を過ごせるよう、日記を付ける事やスマートフォンでの写真撮影をアドバイスしたり、生徒会書記に立候補させたりと協力的に接している。

魚住 勇 (うおずみ ゆう)

七瀬賢太郎と同じ中学に通っていた男子。現在は高校1年生で、瀧宮高等学校とは別の学校に通っている。中学生の時は、野球部に入部していた賢太郎とは親友同士だった。以前から柏木涼葉の事が好きだったものの、賢太郎と付き合っていたためにあきらめていた。しかし、父親が死去した事や進学で賢太郎が悩み、涼葉に対して冷たい態度を取っていた事を知り、涼葉と付き合おうとした。 しかし、賢太郎に認めてもらわないと付き合えないと考えを改め、賢太郎に認めてほしいと瀧宮高等学校まで会いに行く。あまりにも身勝手な行動で、牧野由花を怒らせてしまう。

柏木 涼葉 (かしわぎ すずは)

七瀬賢太郎と同じ中学に通っていた女子。現在は高校1年生で、瀧宮高等学校とは別の学校に通っている。野球部のマネージャーをしており、野球部に入部していた賢太郎と交際していた。父親が死去した事や進学で悩んでいた賢太郎に冷たくされ、以前から好きだったと告白してくれていた魚住勇に心惹かれてしまう。賢太郎が認めてくれるまでは、勇とは付き合わないと決めている。 そのため、瀧宮高等学校に出向き、勇との交際を賢太郎に認めてほしいと告げる。

牧野 大樹 (まきの だいき)

牧野由花の2歳年下の弟で、中学2年生。「ひまり」という名前の彼女がいる。姉の由花に対しては毒舌だが、良好な関係を築いている。由花からは七瀬賢太郎と会う時のデート服のアドバイスを依頼されるが、姉には興味がないからと拒否した。

場所

瀧宮高等学校 (たきみやこうとうがっこう)

男女共学の高等学校。共学といっても男子クラスと女子クラスに別れており、ほとんど接する事はない。唯一成績優秀者だけが集まる「特別進学コース」のみが男女同じクラス。また、生徒会は男女合同で運営されている。

書誌情報

泡恋 4巻 小学館〈フラワーコミックス〉

5(完結)

(2021-02-25発行、 978-4098712441)

第1巻

(2016-12-26発行、 978-4091387547)

第2巻

(2017-07-26発行、 978-4091394774)

第3巻

(2018-03-26発行、 978-4098700318)

第4巻

(2019-02-26発行、 978-4098702237)

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