涙雨とセレナーデ

涙雨とセレナーデ

現代の日本に暮らす女子高校生の片桐陽菜が、明治40年の世界にタイムスリップした。そこで出会った男性の本郷孝章と陽菜の恋模様を抱くラブストーリー。タイムスリップというSF的要素を含みながらも、その描写は最低限にとどめ、あくまでも恋愛が主題となっている。「Kiss」2015年1月号から連載の作品。

正式名称
涙雨とセレナーデ
ふりがな
なみだあめとせれなーで
作者
ジャンル
恋愛
レーベル
KCデラックス(講談社)
巻数
既刊11巻
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あらすじ

第1巻

ある日、幼い頃から古い洋館で、自分と同じ年頃の少年と遊ぶ夢を見ていた女子高校生の片桐陽菜は、音楽の授業中に突如として夢で見ていたのと同じ世界へと迷い込んでしまう。そこで陽菜は本郷孝章という男性と出会い、孝章の婚約者である白峯雛子から、今が明治40年である事を知らされる。雛子は陽菜が自分と瓜二つな事に共感し、二人はすぐに打ち解けるが、陽菜は自分が大切にしていた首飾りをなくしている事に気づく。そこへ孝章が雛子との食事会のためにやって来る。孝章との縁談に乗り気ではない雛子は、孝章につれない態度で接するが、孝章が首飾りについて何か知っているのではないかと考えた陽菜は、孝章の家へと向かう。しかし陽菜の事を雛子とカンちがいした孝章は、思わず自身の悩みを彼女に打ち明ける。

第2巻

片桐陽菜のなくした首飾りは、本郷孝章の友人である池端貞光の手によって持ち出されていた。さらに貞光は、サーカス団に所属する女性にその首飾りを渡してしまう。孝章と協力して首飾りの行方を追う陽菜は、浅草から上野へと移動するが、そこでサーカス団のメンバーたちに乱暴されそうになってしまう。危ないところを孝章に助けられた陽菜は、少しずつ孝章に惹かれている自分に気づく。

第3巻

片桐陽菜は、サーカス団に所属するチヨという女性が首飾りを持っている事を知り、首飾りを取り戻すために本郷孝章と共にサーカス団が興行を行う横浜へと向かう。しかしチヨは、横浜の町で武虎という書生に首飾りを渡してしまっていた。武虎は、その首飾りが陽菜の持っていた物とは知らなかったが、実は武虎もまた陽菜と同じく別の時代からやって来た存在だった。陽菜はチヨが首飾りを持っていなかった事に落胆しつつ、興行に参加すれば首飾りを探す事を手伝うと約束され、サーカス団の興行に参加する。しかし、サーカス団は興行の裏で密貿易に加担していた。その事を知った孝章は殺されそうになるが、陽菜は身を挺して孝章をかばい、二人は共に惹かれ合っている事を自覚するのだった。

第4巻

片桐陽菜本郷孝章は両思いの関係ながら、陽菜は自分のわがままのせいで孝章を危険にさらしている事にも気づいていた。結局探していた首飾りは見つからず、これ以上孝章を巻き込むわけにはいかないと、陽菜は彼から離れる事を決意する。孝章のもとから去った陽菜は仕事を見つけて一人で生きていく決心をするが、心配して追いかけてきた白峯雛子と会っているところを、偶然にも孝章に見られてしまう。孝章が陽菜を助けていたのは、彼が陽菜の事を自身の婚約者である雛子と誤解していたからだった。今まで雛子と思っていた相手が別人である事を知った孝章は、とまどいながらも陽菜に詰め寄る。

登場人物・キャラクター

片桐 陽菜 (かたぎり ひな)

活発な女子高校生。剣道部に所属している。あこがれの先輩からデートに誘われた矢先、音楽の授業中に突然明治40年の東京にタイムスリップしてしまう。自分と瓜二つの白峯雛子と出会い、片桐陽菜自身の身に起きた事件にとまどいながら、雛子の協力を受けて明治という時代を生き抜いていく。雛子の婚約者でもある本郷孝章と出会い、次第に彼の持つ優しさと強さに惹かれていく。

本郷 孝章 (ほんごう たかあき)

明治40年の世界の財閥の御曹司。白峯雛子の婚約者。もともと雛子は孝章の兄である本郷久尚の婚約者だったが、久尚が急逝したため、雛子と婚約する事になった。雛子に対しては長年思いを寄せていたが、当の雛子にそのつもりがなかったために、雛子と会うたびに袖にされてきた。雛子と瓜二つの容姿を持つ片桐陽菜と出会い、陽菜の事を雛子と誤解したために、突然のタイムスリップにとまどう陽菜の窮地を幾度となく助ける。陽菜の行動力に振り回されながら、陽菜との距離を縮めていく。

白峯 雛子 (しらみね ひなこ)

明治40年の世界の華族である伯爵家の令嬢。財閥の御曹司である本郷孝章の婚約者だったが、白峯雛子本人は孝章に対して恋愛感情を抱いておらず、婚約についても乗り気ではなかった。その矢先に、突然自分の目の前に未来からタイムスリップしてきた片桐陽菜が現れ、陽菜が自分と瓜二つの容姿をしている事から陽菜に興味を抱く。伯爵家の令嬢という事で日常生活も著しく制限されており、雛子はそんな生活から自由になりたいと願っている。自分にはない自由奔放な陽菜を羨ましく思い、過去の世界にタイムスリップしてきた陽菜をサポートする。

池端 貞光 (いけはた さだみつ)

明治40年の世界の男性。本郷孝章の友人。女性関係にだらしがなく、孝章からもその点を何度も注意されているが、池端貞光本人はまったく改めようとしない。孝章に対してはつねにからかうような態度を取っているものの、一定の良心は持ち合わせており、自分に非がある事を認めた場合には素直に謝罪する一面もある。孝章の邸で片桐陽菜が落とした首飾りを拾い、さらにそれを知人のチヨに渡した事がトラブルの原因となってしまう。

武虎 (たけとら)

明治40年の世界の書生の男性。白峯雛子の家庭教師を務めている。この時代の男性には珍しいユーモアセンスの持ち主で、「自由」にあこがれる雛子から思いを寄せられている。実は、片桐陽菜と同じく未来の時代からやって来た男性であり、自分と同じく別の時代からやって来た人物がいないか探している。陽菜との面識はなく、陽菜がタイムスリップしてきたという事実をまだ知らない。

超極斎 天菊 (ちょうきょくさい てんぎく)

明治40年の世界のサーカス団で、女形として働く男性。女性と見紛うほどの美形でサーカス団では奇術を得意としている。サーカス団ではその美貌を生かして看板女優として活躍しているが、女優業はあくまでも仕事と割り切っている。超極斎天菊自身の所属するサーカス団が密貿易にかかわっている事を知りつつ、それに加担する事に一種の後ろめたさを感じている。「超極斎天菊」は芸名であり「菊之進」という本名を持つ。

チヨ

明治40年の世界のサーカス団に所属していた女性。サーカス団では人気のある女優であり、池端貞光とも親交がある。幼い頃にサーカス団に売られてきたという過去があり、どこかあきらめているかのような、達観した人生観を持っている。貞光からプレゼントと称して片桐陽菜の落とした首飾りを贈られ、それがもとで大きなトラブルに巻き込まれる。

書誌情報

涙雨とセレナーデ 11巻 講談社〈KCデラックス〉

第1巻

(2015-10-13発行、 978-4063773286)

第2巻

(2016-10-13発行、 978-4063930498)

第3巻

(2017-11-13発行、 978-4065104545)

第4巻

(2018-09-13発行、 978-4065128763)

第5巻

(2019-07-12発行、 978-4065163832)

第6巻

(2020-05-13発行、 978-4065196052)

第7巻

(2020-12-11発行、 978-4065216286)

第8巻

(2021-08-12発行、 978-4065245217)

第9巻

(2022-03-11発行、 978-4065269268)

第10巻

(2022-10-13発行、 978-4065292884)

第11巻

(2023-08-10発行、 978-4065324660)

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