あの人は昨日と同じ空を見上げてる

あの人は昨日と同じ空を見上げてる

結婚詐欺に遭った34歳の客室乗務員の風信子と、20年前に亡くした妻を未だに大切に思うパイロットの円谷世慈との恋愛を描く、航空業界を舞台にした大人のほろ苦ラブストーリー。「officeYOU」2019年10月号から掲載の作品。コミックスの巻末には、描き下ろしエピソードも収録されている。

正式名称
あの人は昨日と同じ空を見上げてる
ふりがな
あのひとはきのうとおなじそらをみあげてる
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あらすじ

別れと出会い

学生時代の先輩である土井常子からの紹介で、大手航空会社にCAとして中途採用された風信子は、入社して1か月を迎え、仕事にも慣れてきていた。34歳になる信子は、7歳下の恋人である晴人との結婚に向けて、新居にする中古マンションを契約し、頭金として両親から200万円の借金をする。そんなある日、信子は後輩から頼まれて代理として出席した飲み会で、笑顔の素敵な男性と知り合う。この男性の大人の雰囲気に心地よさを覚えるが、もう会えないことを残念に思いながら信子が飲み会から帰宅すると、家はもぬけの殻。信子が留守のあいだに、晴人が弟になりすましていっさいの家財道具と、マンションの内金200万円を持ち逃げしたのだ。深く傷つき、落ち込む信子だったが、常子や元アイドルのCAの花房恵倫に励まされながら、なんとか職務をこなしていた。そんな中、信子は先日の飲み会で出会った素敵な男性と再会する。その男性は同じ航空会社に所属するパイロットの円谷世慈で、職場の男性からの信頼も厚く、女性からはモテモテの機長だった。晴人に裏切られて傷心の信子だったが、円谷の優しい人柄に惹かれていく。そんな信子は、職場で晴人とばったり出くわす。晴人は妻子がおり、信子から盗んだ金で家族で沖縄旅行へ行こうと空港を訪れていたのだ。そんな晴人に対して信子は冷静に搭乗手続きの職務をこなし、200万円は手切れ金としてくれてやると告げ、気持ちに区切りをつけるのだった。

円谷キャプテンとの一夜

土井常子から誘われ、風信子は会社のサークル「飯盒(はんごう)部」に入部する。飯盒部の活動内容は主にデイキャンプやBBQ、ハイキングなどで、必ずごはんは飯盒で炊くというのが決まりとなっていた。その飯盒部は、パイロットの円谷世慈が副主宰を務めており、円谷目当ての女子社員が多数所属している。信子の飯盒部歓迎会として開かれたBBQが行われる中、信子は円谷といっしょに釣りなどを楽しみ、ますます彼に惹かれていく。しかし、円谷を狙っている女子部員の佐藤は、円谷と親しげにする信子を快く思わず、人目のつかない場所に呼び出して、円谷に近づかないようにと釘を刺すのだった。そんな中、野生のブラックベリー摘みに夢中になった信子は迷子になってしまう。帰りの時間になっても姿の見えない信子を捜しに行った円谷が、信子をようやく見つけた時には、帰りのバスもなくなっていた。さらに雨が降ってきたことで、二人はラブホテルで一夜を明かすこととなる。そこで信子は、結婚を考えていた相手に騙された過去を打ち明け、今度好きな人ができたらそれを最後にしたいと、今の自分の正直な気持ちを円谷に伝えるのだった。一方の円谷は、ラブホテルに入ったのはあくまで雨宿りのためという姿勢を崩さず、二人は何もないまま朝を迎える。

告白

円谷世慈の妻がすでに亡くなっていることを知った風信子は、思い切って自分の気持ちを円谷に伝える。しかし円谷は、恋をする心はもう妻に持っていってもらっていると、答えるのだった。だが、あきらめきれない信子は、休暇で娘のいる八丈島へ向かう円谷を追って、同じ飛行機に飛び乗ってしまう。信子の存在は八丈島ですぐに円谷にバレてしまい、信子は円谷に島を案内してもらうことになる。信子は晴人にフラれたばかりであることがまるでなかったかのように、円谷との観光を楽しむ。その日の夕暮れ、円谷は亡き妻の萌子との出会いから死別までを信子に初めて語る。そして、今も心に萌子がいて大切に思っているが、信子のことも好きだと告げる。だが、その告白は信子にとって受け入れられないものだった。東京に戻った信子は、円谷のことは忘れようと決め、職場で出会った三村航との交際を始める。一方、信子を心配する土井常子と、円谷の新たな恋を案じる排島一路の二人は、酔った勢いで一夜を共にしてしまうのだった。

登場人物・キャラクター

風 信子 (かぜ のぶこ)

中途採用で大手航空会社の客室乗務員として働く女性。年齢は34歳。以前は同じ系列の格安航空会社に勤務していたが、大学時代の先輩である土井常子から紹介されて転職した。7歳下の恋人の晴人とは結婚間近で、親から200万円の借金をして新居の中古マンションを契約したが、風信子が留守にしたスキに晴人に家財道具のいっさいや、現金200万円を持ち逃げされる。その後、たまたま知り合った男性が、同じ航空会社に勤めるパイロットの円谷世慈であることを知り、円谷に惹かれていく。円谷に告白し、彼からも好きだとの言葉はもらえたものの、未だに亡き妻のことを思い続けている円谷を受け入れられずにいる。フィオーレ大学に在学中は剣道部に所属し、常子とのノブツネコンビは、ほかの剣道部から恐れられるほどの存在だった。会社では、常子や花房恵倫、円谷と共にデイキャンプやBBQなどを楽しむサークル「飯盒(はんごう)部」に所属している。名前の由来は、花のヒヤシンスの漢字表記「風信子」で、それを初めて言い当てたのは円谷だった。

円谷 世慈 (つぶらや せいじ)

大手航空会社で機長を務めるパイロットの男性。年齢は40代。出身は東京の大田区。パイロットとしての技術や人格、品格とすべてにおいて超一流で、それでいて謙虚で慎ましいという完璧な人物。誰に対しても分け隔てなく接する誠実さで、副操縦士時代からマスコミ取材のオファーは後を絶たない。円谷世慈の個人カレンダーは社員しか買えないが、わずか3分間で1万部が売り切れるほどの人気を誇る。円谷に告白してフラれた女性社員が会社を休んだり、退職したりする事態が相次いだため、会社も株主も円谷が退職することを恐れている。会社のサークル「飯盒(はんごう)部」で副主宰を務めているが、円谷目当ての入部希望者が殺到しているため、つねに入部を制限している。25年前、卒業旅行で出会った萌子と恋に落ち、大学卒業後に結婚して一人娘の窓花を授かった。5年の結婚生活ののち、萌子を病気で亡くす。危篤の報せを受けながらも乗務を優先して最期をみとれなかったため、そのことで窓花には負い目を感じている。女子社員から告白されるのは日常茶飯事だが、風信子の告白に対しては亡き妻を忘れることはできないとしつつも、好きだと告げた。

土井 常子 (どい つねこ)

大手航空会社の客室乗務員として働く女性。風信子の大学時代の剣道部の2年先輩で、常子とのノブツネコンビは、ほかの剣道部から恐れられるほどの存在だった。勤めている会社が乗務員経験者の求人を出していることを知り、格安航空会社で働いていた信子を紹介した。濃い顔立ちの姉御肌の美人で、元アイドルのCAの花房恵倫からも慕われている。物おじしない肝の据わった性格で、信子のためなら、相手が円谷世慈であろうと遠慮ない物言いをする。恋をすると周りが見えなくなるタイプの信子のことを心配しており、幸せな相手を見つけてほしいと願っている。信子と円谷の仲を取り持つうちに、酔った勢いで排島一路と関係を持ってしまう。8歳下の三木蜜紀とは幼なじみで、土井常子は幼い三木からなぜか「コンチータ」と呼ばれ、今は「コン姉様」と呼ばれている。

花房 恵倫 (はなふさ えりん)

大手航空会社の客室乗務員として働く女性。フランスのパリ16区生まれで、14歳までパリで育った帰国子女。両親は在仏大使館に勤務している。生まれた時からかわいいと言われて育ち、子供の頃の将来の夢は自ら天職と言うアイドルとCA。15歳で五人組のアイドルグループ「リュドサンタンヌ」の一員となる。「リュドサンタンヌ」は国民的アイドルグループとなり、年末の歌合戦にも出場し、5大ドームツアーも成功させた。花房恵倫は、このグループでセンターを務めていた。7年間の活動ののち、親と約束した引退期限を迎えて、面接を経てCAとなった。アイドル時代の彼女目当てで搭乗する迷惑な乗客もいるが、ほかのCAも協力して恵倫のことを守っている。風信子ともなかよくなって同じ飯盒(はんごう)部に所属し、土井常子や信子と共に行動することも多い。

晴人 (はると)

風信子と交際していた男性で、年齢は27歳。信子には「晴くん」と呼ばれている。信子は晴人と結婚するつもりで新居のためのマンションを契約していたが、信子の留守を狙って家財道具のいっさいと、マンションの頭金として信子が両親から借りた200万円を持ち逃げした。本名は「ツチダマンゴロウ」で、妻子がおり、本当の年齢は40歳。信子から盗んだ金で家族で沖縄旅行へ行こうとしていた際に、空港で信子と出くわす。

三木 蜜紀 (みき みつき)

風信子と同じ大手航空会社のパイロットを務める男性。明るい性格のお調子者なイケメンで、女性社員からは「三木ティー」の愛称で呼ばれている。パイロットは女性に人気があると信じ込み、モテたいという一心で本当にパイロットになったという女好き。8歳上の土井常子とは幼なじみで、常子には数々の弱みをにぎられており、今もパシリとして扱われている。

排島 一路 (はいじま いちろ)

大手航空会社で運行管理部長を務める男性。長髪で眼鏡を掛けている。飯盒(はんごう)部の主宰者で、部員たちからは「ハイジ部長」と呼ばれている。円谷世慈とは中学1年からの付き合いで、30年来の仲。会社の中では、円谷と萌子の出会いから死別までを知っている唯一の人物で、円谷が新しい恋の一歩を踏み出すことを願っている。バツイチで、元妻は美容整形外科医として活躍しており、プライベートジェットで飛び回るほどの売れっ子。中学生になる娘の理衣奈も、離婚後は父親より収入の多い母親についていった。円谷と風信子の交際について土井常子と話しているうちに、酔った勢いで一夜を共にしてしまう。

佐藤 (さとう)

大手航空会社の客室乗務員として働く女性。円谷世慈を口説き落とそうと狙っており、円谷目当てで飯盒(はんごう)部への入部を希望し、抽選に何度も漏れたのち、ようやく入部を果たす。新しく入部してきて円谷となかよくする風信子をうとましく思っており、信子を呼び出して円谷に近づかないように警告した。

窓花 (まどか)

八丈島の空港でグラウンドスタッフとして働く女性。円谷世慈と萌子の一人娘。24歳の誕生日を迎え、同じ職場で働く篠宮と結婚することを発表した。4歳で母親を亡くし、その後は萌子の姉に引き取られ、母親の故郷である八丈島で暮らしている。

萌子 (もえこ)

八丈島の伝統工芸である黄八丈の織手をしていた女性。円谷世慈の妻で、窓花の母親。卒業旅行で八丈島を訪れていた2歳上の円谷と恋に落ち、円谷の大学卒業後に結婚した。病を患って入院し、5年の結婚生活ののちに他界した。死の前に娘と夫に向けて、数十年分の誕生日メッセージカードを残しており、24歳の誕生日を迎えた窓花は例年どおりメッセージカードを開封した。しかし、萌子の危篤の報せを受けながら乗務を優先して最期をみとることができなかったことで、後ろめたい気持ちを持ち続ける円谷は、自分の誕生日にも萌子の残したメッセージカードを開封できずにいる。

篠宮 (しのみや)

八丈島の空港で働く男性で、窓花と交際して3年になる。窓花の24歳の誕生日会で、集まった同僚たちに結婚を発表した。円谷世慈からは、不倫や暴力、借金を絶対にしないという条件で窓花との結婚を許された。

三村 航 (みむら こう)

風信子と同じ大手航空会社の航空整備部で働く整備士の男性。信子と同じ会社のサークル「飯盒(はんごう)部」に所属しており、信子に交際を申し込んだ。実家はさいたま市で、小中高とさいたま市の公立校に通い、大学は東京の理系国立校に進学した。家族構成は2歳上の姉、公務員の父親、パート勤務の母親。信子とは気が合い、円谷との関係を終わらせようと考えていた信子と交際を始める。学生時代は剣道部に所属し、信子と土井常子のノブツネコンビによる手荒い道場破りを受けた過去を持つ。

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