概要・あらすじ
14歳と半分の夏、エーリクはドイツ・ボーデンの湖畔の古家で、義父であるシドとともにひと夏を過ごした。シドはおよそ父親らしくなく、「夏中は花や草になろう」と言う。二人は静かな共同生活のなかで、心を通わせていく。そして、ようやく事故でなくなった、妻であり母であったマリエの話もできるようになる。そんなある日、寄宿学校の友人・オスカーが突然に訪ねてくる。
神学校に転校した友人・ユーリに会ってきたのだと言う。
登場人物・キャラクター
エーリク
ドイツの寄宿学校に通う少年。愛する母・マリエを事故でなくしてから初めての夏休みを過ごすため、義父であるシドが待つドイツ・ボーデンに向かう。大人でも子供でもない、思春期の少年特有のきらめきとゆらぎを多く持つ少年。『トーマの心臓』の主人公でもある。
シド
エーリクの母・マリエの再婚相手。ドイツ・ボーデンの湖畔で古いホテルを経営していたが、交通事故でマリエと自分の左足を失い、ホテルは兄夫婦にまかせ、近くにある古家を借りて暮らし始めた。物静かで愛情豊かな男性。
マリエ
エーリクの母親。離婚してからずっと息子と二人で暮らしていたが、旅行先のホテルでオーナーのシドと出会い、再婚。新婚旅行の途中で交通事故に会い、なくなる。きかん気で楽天家で少女のような、美しい女性。
オスカー
エーリクの通う寄宿学校の友人。帰るべき家を持たないため、休日はいつも1人で旅行をしている。エーリクより1歳上だが、精神年齢はもっと高く、全体を見回した上で他人を慮ることができる。『トーマの心臓』でも重要な登場人物である。
ユーリ
エーリクの通う寄宿学校の友人。神父になるために神学校に転校した。寄宿学校時代にはよくエーリクとケンカをしていたが、のちにエーリクにとって特別な存在になる。転校してからは会っていないが、友人のオスカーによると、神学校でもいい成績をとっているらしい。『トーマの心臓』では、最も重要な登場人物である。