概要・あらすじ
4年以上にわたり、週刊誌で連載されたショートギャグ漫画。何気ない温泉町の日常を、お調子者の親子を通してシュールかつコミカルに描いている。4コマ漫画のようだが、厳密には7コマ漫画。どことなく侘びれた風情の町並みと、そこに暮らす人々の雰囲気が独特の空気をかもし出している。
登場人物・キャラクター
増田 春助 (ますだ しゅんすけ)
実家の土産物屋・増田商店で働いているが、街をぶらぶらしていることも多い。顔は下ぶくれで、たどんのようなまゆ毛をしている。田中、小島、中村、鈴木と地元の男友達は多い方だが、春助を含めてだれもモテる雰囲気はない。ひどい方向音痴で、近所の家にあいさつに行くときでも道をよく間違える。 性格はややシニカル。鼻はいいが、己の匂いには無頓着で、自分の足がどんなに臭くても気にしない。
増田 虎三 (ますだ とらぞう)
土産物屋の増田商店の店主。機嫌が悪いと、客が着ている旅館の浴衣でランク付けをしている。本名より、お父さんと呼ばれることが多い。下ぶくれの顔にたどんのようなまゆ毛、鼻毛かヒゲか分からない毛が鼻の下に生えており、眼鏡をかけている。頭頂部は毛一本だけのハゲチャビン。雰囲気としては『がきデカ』のこまわりがおっさんになったような感がある。 蚊に刺されたあと、虫刺されの薬を塗るのが好き。冬は湯たんぽを愛用している。しばしば禁酒宣言をするが、酔った反応が面白いので周囲が飲ませようとする。息子の春助と違って方向勘は良く、地図を見ないで不思議と目的地には着く。下着はフンドシ派で、締め忘れるとニシキヘビの夢を見る。
増田 安子 (ますだ やすこ)
増田家の母親。顔つきは下ぶくれで頬はパンパンになっている。下がり眉に細い吊り目で、かっぷくのいいおばさん。物事をあまり気にしないたちで、ゴキブリごと大根をすりおろしても気づかない。お父さんや春助の奇行に振り回されがち。
増田 明男 (ますだ あきお)
増田家の次男。顔は下ぶくれではないが、頬骨がやや張っていて、少しそばかすがある。背は兄の春助より高く、体型もスマート。まだ学生である。家族の中では一番存在感が無い。
中村 照男 (なかむら てるお)
春助の友人。四畳半一間のアパートに住んでいる。あか抜けない風貌だが、三年に一度、いいことを言う。その一方、女性の晴れ着にいたずらをする「晴れ着魔」になってみたいと危ないことも考えている。煙草は吸わないので、晴れ着の袖に火の付いた吸い殻ではなく中村本人が入りたいなどと、訳の分からないことを口にしている。 一度、リサイクルショップでベッドを買ってみたが、体に合わなくてやめている。濡れた傘をビニール袋に入れると、水が袋からあふれてしまう。ついには春助から「異次元の怪物」とまで呼ばれてしまう。
田中 (たなか)
春助の友人の一人。何人かいる春助の友人の中でも、中村照男と並んで、よくつるんでいる。四角い眼鏡をかけた太めの男性で、とにかく女にはもてない。毎年、鏡開きの日になると、鏡餅を割りたくない春助が転がり込んでくる。
売れない屋台主 (うれないやたいぬし)
冬に冷やしソーメンの屋台を引いたり、懐石料理の屋台を引いたり、春物のセーターを売ったりと、どう考えても繁盛しそうにない屋台を引いては売れないことを嘆いている。
畑山さん (はたやまさん)
オリンピックになると興奮して、観光客に襲いかかるクセがある。ソウルオリンピックの時、組合の意思によってオリンピック開催期間中は山奥にある保養所の檻に入れられていた。しばらくすると写経などをして気持ちも落ち着いたが、柔道の古賀稔彦の話題をお父さんが振ったら、また興奮してしまった。
場所
鷲 (わし)
『湯の花親子』に登場する鳥。増田家に入り込んで、直立した姿で人間のように冷蔵庫を漁る。お父さんが一喝しても逃げようとすらしない。酒に漬け込んだ肉をエサに、お父さんが捕獲しようとしたが、酔っ払って家の中に居座る始末。しまいには家の車をねぐらにまでしていた。
野面温泉 (のづらおんせん)
温泉旅館だけでなく民家の風呂も温泉で、街には無料の外湯もある。旅館だけでなくペンションもある。商店街は駅前にある野面温泉駅前通り名店街。主な温泉は、リュウマチや運動器障害に効く「寺中の湯」、心臓病や高血圧症に効く「清滝の湯」、創傷や火傷に効く「鹿の湯」、婦人病に効く「鳩の湯」、仲の悪い嫁姑も仲良くなるという、この温泉街の目玉である「稲穂の湯」がある。 地元の工芸としては木彫りの「野面彫」が有名。
その他キーワード
温泉こけしのコケちゃん (おんせんこけしのこけちゃん)
お父さんが開発した自動で動く温泉こけしで、手足が生えて二足歩行ができる。頭は電子ジャーになっているが、気持ち悪くて売り物にならない。