概要・あらすじ
社員寮で生活を始めた武来杏が、バスケットボール優先の毎日を送る一方で、大学生活が5年目を迎えた中園麻里は、勉強にボランティアにと忙しい毎日を送っていた。今まで以上に2人の時間が持てないなか、麻里は武来に車で会いに行くために、自動車教習所に通い始める。そんな矢先、日々の疲れからか立ちくらみを起こした麻里は事故に遭い、全治6ヵ月の重症で入院生活を余儀なくされてしまう。
しかしバスケットボールの合宿中のため連絡の取れない武来に、麻里の入院が知らされることはなかった。そんな武来が麻里のもとを訪れたのは、事故から実に3週間が過ぎた頃だった。長期の入院によって運転免許の取得は白紙に戻され、努力が水の泡になったことで弱気になった麻里は、武来に別れを切り出す。
登場人物・キャラクター
中園 麻里 (なかぞの まり)
武来杏の彼女。引っ込み思案で思ったことの半分も口にできないが、本当に伝えたい大切な事は伝える努力ができる芯の強さを持っている。自分に自信が持てずいつも不安な想いを抱えているが、武来を信じる気持ちが強くなり、数々のライバルにも引けを取らない武来への想いの強さが感じられるようになった。5年目となった大学生活において、養護学校の教員を目指して勉強やボランティア活動に忙しいなか、武来に会いに行くため運転免許を取得するべく自動車教習所に通っている。
武来 杏 (ぶらい きょう)
中園麻里の彼氏。ハッキリした性格だが口数は少なく、麻里とは反対に肝心なことを言葉にできないタイプ。言葉足らずのためになかなか伝わらないが、麻里への想いは増すばかり。大学卒業後に就職した自動車会社のバスケットボールチーム「ブラックウルブズ」に選手として入団することになり、芝浦にある社員寮で生活を始めた。
矢野 美根子 (やの みねこ)
中園麻里の高校時代からの親友で、いつも麻里の恋愛相談に乗っている。麻里にとっては何でも話せるかけがえのない人。麻里と武来杏の幸せを一番願っており、いつも麻里の心の後押しをする大切な役割を担っている。会社の先輩と結婚し、吉祥寺の社宅に住んでいるが、夫はドイツに単身赴任中。第一子である女児「珠里」を出産し、現在は子育てに忙しい毎日を送っている。
瞳 (ひとみ)
武来杏の兄嫁。武来家の3兄弟の性格をよく把握しているため、武来とのことで考え込むことの多い中園麻里の心に寄り添い、親身になって話を聞いてくれる良き相談相手となっている。
花井 律子 (はない りつこ)
武来杏の実家である「武来酒店」の近所にある肉屋の娘で、武来の幼なじみ。相変わらず気が強い自信家だが、どこか中園麻里に寄り添い、彼女の背中を押しているような様子も感じられるようになった。実家の隣にある魚屋を継ぐことになり、築地にほど近い芝浦に引っ越した。それを幸いと、武来のいるバスケットボールチームの練習を毎日のように見学に行っている。
武来 凛 (ぶらい りん)
武来杏の弟。高校生になり、念願のバイクの免許を取ることに成功。中古のバイクとおさがりのヘルメットで目下運転練習中。しかし、おさがりのヘルメットが気に入らず、新しいヘルメットを買うための資金をねだるため、武来のもとを訪れる。
川崎 由布子 (かわさき ゆうこ)
中園麻里と同じ大学のボランティアサークル「街に出よう会」の代表を務める女性で、何でもできる人として周囲からは一目置かれる存在。麻里と一緒に自動車教習所に通っている。谷部アキラとは大学院で同じ研究室に所属する仲間。
谷部 アキラ (やべ あきら)
中園麻里と同じ大学に通う男子学生で、川崎由布子とは大学院で同じ研究室に所属する仲間。武来杏とは正反対で優しく思いやりがあり人当たりが柔らかい。以前、麻里に想いを寄せていたが彼女の武来に対する想いを知り身を引いたことがあった。しかし、麻里の入院を機に再び彼女への想いが再燃し、毎日のように見舞いに訪れる。
お父さん (おとうさん)
中園麻里の父親。一人娘である麻里をとても大切に思っているが、麻里に彼氏がいることは知らされていない。しかし、麻里が親元を離れていこうとしていることに驚きを隠せず、困惑している。