概要・あらすじ
大学4年生になった中園麻里と武来杏は、自分自身の将来を現実的に考え始める。武来が会社説明会に忙しい毎日を送っているなかで、麻里は自分の進みたい道を確かなものにするため、入院中の子供たちに勉強を教えるボランティアを始めたものの、思ったようにいかないことに行き詰まりを感じていた。そんななか、麻里は武来がかつて付き合っていたという女性と知り合う。
仕事に生きる彼女の輝かしい姿を目の当たりにした麻里は自信をなくし、自分の進むべき道を見失ってしまう。
登場人物・キャラクター
中園 麻里 (なかぞの まり)
武来杏の彼女。気が弱く、ネガティブな思考の持ち主。思ったことの半分も口にできないが、本当に伝えたい大切なことは伝える努力ができる芯の強さを持っている。武来が好きで仕方ないが、自分に自信が持てずいつも不安な想いを抱えている。大学4年生になり自分の進むべき道を真剣に考えた結果、それまで続けてきた家庭教師の経験を活かして養護学校の教員を目指す。
武来 杏 (ぶらい きょう)
中園麻里の彼氏。ハッキリした性格だが口数は少なく、麻里とは反対に肝心なことを言葉にできないタイプ。彼なりに麻里を大切にしているが、言葉足らずのためになかなか理解してもらえない。大学4年生になり、就職活動に忙しい毎日を送っている。幼い頃に母親と弟を亡くしたため「家族」というものにいい思い出がなく、結婚や子供など、落ち着いた将来を考えることができずにいたが、矢野美根子の結婚をきっかけに心境の変化が訪れる。
新堂 香 (しんどう かおり)
自動車会社に勤務しているキャリアウーマン。武来杏の義姉の友人で、武来の元彼女。かつて武来の兄に報われぬ想いを寄せていたことがあり、彼の弟で当時高校生だった武来と付き合うことでそのやり切れぬ想いのはけ口としていた。
矢野 美根子 (やの みねこ)
中園麻里の高校時代からの親友で、いつも麻里の恋愛相談に乗っている社会人の女性。仕事の関係で博多に引っ越した後も麻里とは電話での交流を続けており、麻里にとっては何でも話せるかけがえのない人。麻里と武来杏の幸せを一番願っており、いつも麻里の心の後押しをする大切な役割を担っている。中野敦との結婚が決まり、結婚式の準備のため地元に戻ってきた。
中野 敦 (なかの あつし)
矢野美根子(美子)と結婚することになった男性。彼女が博多に転勤してからというもの、いろいろな面で世話をした職場の先輩。ドイツへの赴任が決まったことをきっかけに、美子を家族に迎えるべく結婚を申し込んだ。
サユリ
武来杏が中学生だった頃、家出をした際に世話になった女性で、武来の実家の近所にあった飲み屋のホステスだった。会うたびに勤務先が変わり、その都度名前も変わっており、本名は不明。明るく人懐っこい性格だが、複雑な家庭環境で育ち、弟を若くして亡くしている。そのため、家族というものに良い思い出がなく、家族を亡くしたことがある武来と共感している部分がある。
お父さん (おとうさん)
中園麻里の父親で、麻里に突然お見合いの提案をした。このお見合いは形式的なものだとは言っているが、娘が養護教諭という大変な職業を目指すことを知り、結婚して家庭に入るという別な選択肢もあることを考えて欲しいと願う親心あってのこと。
北沢 誠一 (きたざわ せいいち)
中園麻里のお見合い相手の男性。麻里と同じ大学の卒業生で、現在は銀行に勤めるサラリーマン。本人に結婚の意思はなかったが、親のメンツを保つためお見合いに応じた。多少大人げない部分もあるが、スマートで優しく良識のある男性。
叔母さん (おばさん)
中園麻里の叔母にあたる女性で、今回のお見合いをセッティングした人物。自分の勤め先の社長の息子である北沢誠一を紹介した。ちょっと強引ではあるが、世話好きな人物で本人に悪意はまったくない。