漁港の肉子ちゃん

漁港の肉子ちゃん

西加奈子の小説『漁港の肉子ちゃん』のコミカライズ作品。とある漁港の街にある古い一軒家に住む、訳ありの母娘・見須子肉子と見須子喜久子の生活を描くハートフルなヒューマンドラマ。「comicブースト」で2021年5月から配信の作品。2021年6月に原作小説が劇場版アニメ化。

正式名称
漁港の肉子ちゃん
ふりがな
ぎょこうのにくこちゃん
原作者
西 加奈子
作画
ジャンル
ヒューマンドラマ
関連商品
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あらすじ

ある日見須子喜久子が学校から帰宅すると、居間で見須子肉子が気持ちよさそうに昼寝していた。喜久子は肉子のメモどおりにおやつを探し、そのまま趣味である読書を静かに楽しんでいたが、先ほどのおやつだけでは物足りなかった喜久子がパンの袋を開けた音で、肉子は目を覚ましてしまう。明るくおしゃべり好きな肉子を起こしたことで、これまで静かだった家が一気に賑やかになる。(第一話「世界は賑やかだ」)

関連作品

小説

本作『漁港の肉子ちゃん』は、西加奈子の小説『漁港の肉子ちゃん』を原作としている。原作小説版は、幻冬舎より刊行されている。

メディアミックス

劇場版アニメ

2021年6月11日、本作『漁港の肉子ちゃん』の原作小説『漁港の肉子ちゃん』の劇場版アニメ『漁港の肉子ちゃん』が公開された。企画・プロデュースを明石家さんまが務め、キャストは、見須子肉子を大竹しのぶ、見須子喜久子をCocomi、二宮を花江夏樹が演じている。このアニメは第25回ファンタジア国際映画祭で、「AXIS部門今敏アワード」審査員特別賞を受賞している。

登場人物・キャラクター

見須子 肉子 (みすじ にくこ)

見須子喜久子の母親で、年齢は38歳。シングルマザーとして喜久子を育てている。行方不明になった自称小説家の男を追って、都会からとある小さな漁港の街にやって来た。縁あってそのまま漁港の街に住むことになり、地元の焼肉店「うをがし」で働いている。丸々と太った体型で、有名キャラクターを模した偽物がプリントされたTシャツを好んで愛用している。明るくポジティブな性格ながら、少々ガサツな一面を持つ。一人でトイレで用を足しているときにも大阪弁で絶え間なくしゃべっているなど、おしゃべり好きでコミュニケーション能力が非常に高い。また、人に騙されやすい欠点があり、若い頃から男性が抱える多額の借金を負ったり、都合よく扱われて捨てられたりと、散々な目に遭っている。

見須子 喜久子 (みすじ きくこ)

見須子肉子の娘で、小学校に通っている。以前は都会に住んでいたが、肉子が行方不明になった自称小説家の男を追って小さな漁港の街を訪れたことで、サッサンから借りた家に肉子と二人で住んでいる。幼い頃はそんなに感じていなかったが、成長するにつれて、性格も見た目もほかの大人の女性とはまったく違う肉子といっしょにいることを恥ずかしく感じるようになる。ただし、肉子のことが好きで、良好な関係を築いている。太めの体型の肉子とは違って瘦せており、太りにくい体質の持ち主。見須子喜久子自身は気づいていないが、大人びた美少女でもある。おとなしい性格で、自己主張することが苦手なため、クラス内で対立しているマリアや金本とのかかわり合いに悩んでいる。趣味は読書することで、自称小説家の男が残した本を愛読している。肉子や親しい友達からは「キクりん」と呼ばれている。

サッサン

小さな漁港の街にある焼肉店「うをがし」を経営している男性。見須子肉子が自称小説家の男を追って、都会から小さな漁港の街にやって来たと聞いて、自分の店で働かないかと持ちかけた。住む場所のない肉子と見須子喜久子に、サッサン自身が所持している古い一軒家を貸している。考えていることがまったく顔に出ることはなく、ぶっきらぼうな口調から厳格な人物に思われがちだが、根は優しい人情家。「うをがし」に夕食を食べに来る喜久子に特別な賄いを振る舞うなど、何かと世話を焼いている。

湯沢 マキ (ゆざわ まき)

小さな漁港の街にある「湯沢(ゆざわ)鍵店」で働いている女性。年齢は38歳。バツイチで、離婚して家業の鍵店を継いでいる。家の前で鍵をなくして困っていた見須子肉子と見須子喜久子を偶然見かけ、それをきっかけに母子と親しくなる。喜久子から慕われており、ひそかにあこがれられている。細身のスタイルで、都会的なファッションセンスを持つクールビューティ。

二宮 (にのみや)

見須子喜久子と同じ小学校に通っている男子。喜久子のことを気に入り、ほかの男友達といっしょに下校時にあとをつけている。小さな漁港の商店街にある店の前にいる凶暴なサルを介して、少しずつ喜久子と言葉を交わすようになる。口数が少なくおとなしい性格で、唐突に変な顔をしたくなるという変わった癖を持つ。

マリア

見須子喜久子と同じクラスに在籍する女子。喜久子と親しくしていたものの、休み時間に金本と自分が苦手なバスケットボールをして遊ぶ喜久子が許せず、悪口を言いふらすようになる。また、クラス内では優位に立ちたい願望があり、金本と森との関係を悪くしようと画策する。街でも裕福な家に生まれ育ち、自分の思いどおりにならないと機嫌を悪くするワガママな一面を持つ。学校にはほかの女子とは異なるフリルが付いたワンピースを着て登校したり、金本と森を不仲にさせようとしたりしたこともあり、今度は自分が仲間外れの対象にされてしまう。

金本 (かねもと)

見須子喜久子と同じクラスに在籍する女子。運動神経が抜群で、休み時間にクラスの女子を誘ってバスケットボールを楽しんでいる。それがバスケットボールが苦手なマリアの癇(かん)に障り、クラス内で対立するようになる。また、クラス内で優位に立ちたい願望のあるマリアによって、森と不仲になるように根回しされている。自分が好きなバスケットボールに積極的に参加している見須子喜久子のことは気に入っており、非常に友好的に接しているが、ふだんはマリアの悪口を吹き込んでいる。

(もり)

見須子喜久子と同じクラスに在籍する女子。バスケットボールが好きで、休み時間には金本から誘われてゲームに参加している。チーム決めの際に各リーダーがメンバーを指名する方法を提案するが、それがバスケットボールが苦手なマリアの癇(かん)に障り、クラス内で対立するようになる。また、クラス内では優位に立ちたい願望のあるマリアによって、金本と不仲になるように根回しされている。喜久子との関係はもちろん金本との関係も悪くないが、一連の言動からマリアのことを無視するようになる。

自称小説家の男 (じしょうしょうせつかのおとこ)

見須子肉子の元恋人の男性で、アマチュア小説家。小説の収入だけでは到底食べていけず、都会の総菜店で働いていた肉子と出会って一時は肉子と見須子喜久子の三人で暮らしていたが、ある日突然、書き置きを残して行方不明になる。以前、肉子に小さな漁港の街がふるさとだと話しており、その言葉で彼女と喜久子が現在暮らす街に住むきっかけをつくった。これまで肉子と交際していたクズな男とは異なり、金の無心もせず穏やかだったが、人一倍繊細な性格の持ち主。多数の本を所持していたことから、喜久子が読書が好きになる契機となった。

クレジット

原作

西 加奈子

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