白眼子

白眼子

霊能力を持つ全盲の男性・白眼子の生き方を、戦災孤児だった光子の目を通して描いた短編作品。白眼子は、昭和20年代から40年代にかけて、実際に北海道で活躍していた男性がモデルだといわれている。作者の山岸凉子自身が北海道出身であるため、子供のころに地方新聞などで取り上げられたものを目にしていたと思われる。戦後間もない時期の北海道の描写がリアリティにあふれている、という評価も高い。「運命は観相するが、直接、利益にかかわるものは見ない」という白眼子は、「人の幸・不幸はみな等しく同じ量」だと言い、「災難をさけようとしてはいけない。来た災難をどう受け止めるのかが大事なんだ」とも言う。作品はスピリチュアルな世界観に満ちているが、テーマは哲学的なものとなっている。

正式名称
白眼子
ふりがな
はくがんし
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
レーベル
希望コミックス(潮出版)
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概要・あらすじ

終戦して間もない昭和21年(1946)。北海道・小樽の市場で、戦災孤児の少女が凍死しかけていた。彼女は白眼子と呼ばれる全盲の男性に拾われ、光子と名づけられる。白眼子は、霊能力の持ち主で、わずかな謝礼をもらっては、依頼人の運命観相や病気治癒の祈祷をしていた。思慮深く、物静かな白眼子は、姉の加代と暮らしていた。

器量が悪く、要領もよくない光子を、白眼子は慈しんで育てた。しかし、光子が高校生の時、偶然、生き別れになっていた親族が見つかり、霊能力者なんていかがわしいという祖母によって光子は白眼子との縁を絶たれる。その後、大人になった光子は、結婚・妊娠をして、毎日の生活を必死で送る。ある日、夫が海難事故にあい、生死が不明になったとき、懐しい白眼子が光子の枕元に立ち、夫は無事に戻ると予言を残した。

しかし、数年後、再び夫が事故に会った時には、もう白眼子は現れなかった。光子は白眼子に会いに行く決心をする。

登場人物・キャラクター

光子 (みつこ)

戦災孤児の少女。昭和21年(1946)、4歳の時に北海道・小樽で親族とはぐれ、死にかけていたところを白眼子によって拾われる。本名は道子だが、自分のことを「みっちゃん」としか覚えていなかったため、白眼子から光子と名づけられる。顔のホクロが多く、器量が悪い。無口で要領も悪いが、白眼子の言いつけで仕事を手伝う。 高校生の時に、はぐれた親族が見つかり、白眼子のもとから親族に引き取られる。成長して高校卒業後は祖母の介護をし、祖母が亡くなってからは、またいとこの関根昌夫と結婚して一男一女にめぐまれるが、夫を海難事故で亡くす。悲嘆に暮れていたが、立ち直って働き始めたころ、新聞の3行広告で白眼子からのメッセージを受け取り、会いに行くことにする。

白眼子 (はくがんし)

盲目の霊能力者。常に物静かで、口数が少ない。戦災孤児だった光子を拾って育てる。本名は不明だが、姉の佐々木加代からはシロさんと呼ばれている。写真や物から、その持ち主の生死を判じたり、運勢を予言したりする。病気治癒の祈祷もするが、祓った厄はある程度、祈祷者がかぶってしまうため、しばしば倒れる。北海道では名が売れている霊能力者だが、金銭には潔癖で、気持ち程度の謝礼しか受け取らない。 また、どんなに頼まれても、直接、利益につながるような予言はしない。最後は受けた厄が重なり、癌で倒れる。

佐々木 加代 (ささき かよ)

白眼子の姉。白眼子が拾ってきた光子を、きつく当たりながらも育てる。美人で、女を武器にして戦後の混乱期を生き抜く。実業家の情夫を持ち、白眼子のマネージャー的な役割もこなす。気が強い性格だが、決して悪い人間ではなく、情が深い一面もある。

関根 昌夫 (せきね まさお)

光子の夫。光子とはまたいとこにあたる。小樽の商船大学に通う大学生だった時、長らく行方不明だった光子と小宮山家で出会う。バタくさく、濃い顔の昌夫は、光子に一目ぼれされ、25歳のときに結婚する。横浜にある海底資源の調査会社に勤めていたが、2度の海難事故にあい、2度目のときに命を落とす。31歳だった。

土井 (どい)

光子が引き取られたとき、白眼子のパトロンだった男性。佐々木加代の情夫でもあった。ヤミ商人で、白眼子の予言を聞いて上手に立ち回っていたが、「冒険は危ない」という白眼子の忠告を聞かずにアズキ相場に手を出し、破産する。

野口 (のぐち)

佐々木加代の情夫。札幌に転居して来た加代と知り合ってパトロンとなった。乳製品を扱う事業家。白眼子の能力を疑いながらも、足しげく通う。「多くを望みすぎると失うものも出てくる」という白眼子の忠告を無視し、牧場や食品会社、不動産業と手を広げ、次々と成功していく。しかし、心を病んだ実の娘に刺され、突然の死を迎える。 白眼子によると、金運のために愛情運を食ってしまったのだという。

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