火消し屋小町

火消し屋小町

就職に失敗し、成行きで全寮制の浪花市消防学校に入学してしまった主人公・南夏子が、失敗や仲間との絆を通して一人前の消防士に成長していく姿を描いた長編。

正式名称
火消し屋小町
ふりがな
ひけしやこまち
作者
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概要・あらすじ

入社予定の会社が倒産してしまい、成行きまかせで消防吏員に応募してしまった主人公・南夏子。当然事務作業の多い課に配属されると思っていたのだが、その年、浪花市消防学校には新たに女性寮ができ、はその第一期生として半年間の訓練生活を言い渡されてしまう。生徒30人のうち女子はたったの4人という中、男子に交じっての過酷な訓練や規則だらけの寮生活に早くも不満たらたらの

ある晩、こっそりタバコを吸っているところを優等生タイプの相原こずえに見つかってしまい、二人は激しく言い争いに。そんな二人をよそに、地面に捨てられたタバコはすごい勢いで燃え移っていくのだった。

登場人物・キャラクター

南 夏子 (みなみ なつこ)

今どきの21歳。入社直前に就職先の証券会社が倒産してしまい、将来安心な公務員という理由だけで消防吏員に志願する。事務の多い予防課を希望していたが、全寮制の浪花市消防学校で本格的な訓練を言い渡される。楽して楽しく生きたいという、楽観主義でお調子者の性格。最初は消防士という仕事にやる気を感じていなかったが、消防学校で出会った仲間たちと困難を乗り越えていくうちに、本気で消防士の仕事に魅せられていく。 卒業後は田沼消防署沼川出張所に派遣される。土壇場に強く、常識やルールに縛られない臨機応変な対応で現場の危機を幾度となく乗り越えていく。

相原 こずえ (あいはら こずえ)

主人公・南夏子の浪花市消防学校時代の同志。21歳。優等生でプライドが高いので、南からは副委員長と呼ばれている。本気で消防士に憧れ、熱意を燃やす。成行きで入学し、外見、態度ともにチャラチャラした南に反感を抱き、はじめは激しくぶつかっていたが、訓練で苦悩を共にするうちに絆を深めていった。 卒業後は畑山出張所に派遣されるが、南とは現場でよく一緒になり力を合わせている。

岡 正子 (おか まさこ)

主人公・南夏子の浪花市消防学校時代の同志。女子生徒4人の中で、唯一の4大生卒で既婚者。27歳。女子寮の班長で、訓練における女子のリーダー。訓練では隊員の安全を第一に考える、厳しくも優しいしっかりもの。2日酔いで訓練にいどみ、仲間を危険にさらした南を突き離し、消防士としての自覚を芽生えさせた。 かなりの高所恐怖症だったが、南たちの荒療治によって見事克服した。

山田 花子 (やまだ はなこ)

主人公・南夏子の浪花市消防学校時代の同志。25歳。消防士の夫が仕事中にケガをしてしまい、その日以降、夫の死を恐れる日々に耐え切れずに離婚したという過去を持つ。離婚後も消防サイレンの音がトラウマになってしまい、その事から逃げずに自ら消防士になる事で克服しようとしている。

乾 伸郎 (いぬい のぶろう)

主人公・南夏子の彼氏。21歳。新人賞に入選したばかりの漫画家の卵。才能はあるが、大学は中退、1年にバイトを8回変えるなどかなり現実逃避な性格。南が仕事に打ち込んでいくにつれ、寂しさや不安を紛らわせるために浮気に走ってしまう。南に本気で謝ったあとは、一途に南を愛し全力で仕事も応援している。

三国 (みくに)

沼川出張所の消防士長。彼女いない歴35年。かつて火事現場から救出した女子大生の百合に再会し告白されるが、心配する百合を振りほどいて火事現場に突入したため、結局別れを告げられてしまう。次第に、男友達のように接していた南を異性として意識しはじめてしまう。

服部 (はっとり)

沼川出張所の消防士長。署では一番年配なため、優しく頼れるみんなのお父さん的存在。おちゃめで子供っぽい部分も多く、合コンでは若者に交じって羽目を外したり、南をからかってばかりいる。南が落ち込んでいたり悩んでいる時は、人生の先輩としてさり気なく励ますことが多い。

中山寺 仁 (なかやまでら じん)

沼川出張所の司令補。28歳。若くして司令補になってしまったため、コンプレックスである経験の乏しさを勉強でカバーしようという努力家。消防に関する難しい本を買ってきては出張所の同僚に強制的に読ませているので、南たちからは迷惑がられている。現場でのミスで南を危険に晒してしまい異動願いを出そうとするが、南本人に励まされ思い留まる。

大和教官 (やまときょうかん)

主人公・南夏子の恩師。浪花市消防学校の教官。厳しくも優しい人物で、生徒たちから愛されている。南たちの卒業を最後に、消防学校での教官人生に幕を閉じる。卒業式前日は、南の提案による生徒からの派手な引退祝いをされた。

南 冬吉 (みなみ とうきち)

主人公・南夏子の実父。長年仕事を優先してきたために、妻が男を作って家を出てしまう。全てを捧げてきた会社も倒産してしまい、現在は小さな広告代理店で働いている。かなり厳しく古臭い人間で、南とは喧嘩が絶えない。はじめは女性が消防士になることに猛反対だったが、その活躍する姿を目の当たりにするうちに理解を深めていく。

佐藤 良一 (さとう りょういち)

主人公・南夏子の元彼。南が高校の時、行きつけの美容院で美容師をしていたのが出会いのキッカケ。南が小学生の頃にイジメっ子と戦ってできた首筋の傷を、「勇者の星」と名付ける。優しく温厚な人物だが、その反面、人と揉めることを極端に避ける傾向がある。精神病を抱えた妻がボヤ騒動を起こしたことで、南と再会することになる。

伸郎の浮気相手 (のぶろうのうわきあいて)

漫画家の卵。同人誌時代から憧れていた伸郎のアシスタントになる。伸郎が南夏子とすれ違っているのに付け込み身体の関係を持つようになるが、たまたま宿泊していたラブホテルでボヤ騒動が起き、南に救出された。その後伸郎に別れを告げられ焼身自殺を図ろうとするが、そこに駆け付けた南にまたしても命を救われる。 仕事に生きる南の姿に影響を受け、自らも漫画で生きていくことを決める。

田山 権造 (たやま ごんぞう)

浪花市議会議員。大の消防マニアで、浪花市消防学校の予算を拡大したり設備を作ったりと尽力している。これまで男子寮だけだった消防学校に女子寮開設のための予算を落とした人物でもある。自分の似顔絵入りの校旗やダルマ像を学校に寄贈するたびに、南夏子の起こす騒動で破壊されてしまう。

井上 (いのうえ)

主人公・南夏子に惚れる男子生徒。浪花市消防学校の優等生で、急な呼集でもいつも一番乗りで指揮者を務める。南に惚れているが、素直になれずにわざと冷たく当たっている。相原こずえに好意を寄せられているとは知らずに、自分の南に対する想いを打ち明けてしまう。

百合 (ゆり)

三国に想いを寄せる女性。以前、火事現場から自分を救ってくれた三国に一目惚れし、2年間その行方を探し続ける。偶然合コンで三国と再会し、想いを伝えていい雰囲気になる。しかし、たまたま遭遇した火事現場に、三国が心配する自分を振りほどいて飛び込んでいった事にショックを受け、別れを告げてしまう。

服部 百合 (はっとり ゆり)

服部の実娘。大学卒業後バイトの生活を送っていたが、テレビで見た南の勇姿に憧れ、自らも消防士を目指すことを決意する。それから頻繁に沼川出張所に顔を出すようになるが、南の顔に付いた汚れを消火活動中に負った傷と勘違いし、早々に怖気づいて夢を諦めてしまう。

場所

田沼消防署沼川出張所 (たぬましょうぼうしょぬまかわしゅっちょうじょ)

中山寺を司令補に、服部、三国、主人公の南が勤務する。

浪花市消防学校 (なにわししょうぼうがっこう)

主人公・南夏子が学んだ養成機関。市の試験を通った消防士の卵たちが半年間基礎を学ぶ場所。学生は地方公務員としての給料を貰いながら、学生という立場で訓練を受ける。全寮制で土日のみ帰宅できる。いままでは男子学生のみだったが、田山権造議員の力で女子寮もでき、南たち4人が女子寮の一期生となった。

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