概要・あらすじ
人狼一族の長の血を引く少年リョウは、「長候補者同士はどちらかが死ぬまで戦う」という一族の掟を嫌い一族の村を離れるが、長の座を狙い戦いを挑んでくる候補者一派に命を狙われている。平和な暮らしをのぞむリョウは、卑劣な手段を使い執拗にリョウを探しだそうとする魔の手から逃亡を続けているため、定住できず、各地を転々とする。
登場人物・キャラクター
リョウ
人狼一族の長(おさ)の血を引く少年。長候補者同士は戦わなければならないという村の掟に逆らった父親の手引きで、人狼の村から逃亡した。村の連中に襲われ一時的に記憶をなくしてしまうが、藍崎家に甥として引き取られる。目は青く、白い髪が特徴だが、普段は髪は黒く染め、コンタクトレンズをして生活している。 怒りを覚えると雪のように真っ白な狼に変身する。歯型から日本オオカミと鑑定された。7人姉弟の末っ子。
日村 果林 (ひむら かりん)
主人公リョウのクラスメート。3年C組。正義感が強く、クラスのまとめ役。クラス委員長。妹を交通事故で亡くしたことを悔やんでおり、リョウのことが何かと気になり世話を焼く。自分を助けるために狼に変身した姿を目撃し、リョウとともに逃亡の旅に出る。
花野 (はなの)
人が大型犬に襲われて殺された山ノ内公園殺人事件を担当している刑事。被害者の周囲に残されたバッシューの跡がリョウの持ち物と一致したため、リョウを追っている。
洋子 (ようこ)
中学2年生。祖父の一周忌のため、母親の実家を訪れ、実家の近くにある森で、リョウと名乗る白髪で青い目の少年と出会う。祖母から、人狼の村が山の奥にあり、村の男は戦いを避けられないと聞かされる。戸惑いながらも、村から逃げたいといっているリョウを助けようとするが、熊に襲われ、自分を守るために狼に変身して戦うリョウの姿を目撃する。
高木 美也 (たかぎ みや)
同級生たちと旅行で訪れたコテージの近くで倒れている子どもを助ける。白髪で青い目に驚くが、少しずつ心を開くリョウをコウや友人たちと見守る。リョウを迎えに来た姉とともに山奥に向かうコウを追って森に入るが土砂崩れに巻き込まれて意識を失ってしまう。
杉本 公 (すぎもと こう)
美也が助けた少年の世話をする。小さいころに母親をなくしたリョウと自分の境遇を重ね、弟のように思い始める。リョウの身体全体にある数多くの傷がすぐに治ってしまったことに疑問を感じ、リョウを迎えに来た姉たちとともに、山奥の村に向かうが、土砂崩れに巻き込まれた美也を助けるために狼に変身したのを見て、人間の心があると判断し、姉の追跡を邪魔し、リョウを逃がす。
高瀬 征男 (たかせ まさお)
暴走族にからまれた妹・幸子を助けてくれた身寄りのない少年、リョウを自宅に泊める。両親を亡くしており、妹と二人暮らし。職業は警察官で、自分を恨んでいる暴走族が妹を狙っていることを常に心配しており、誘拐された幸子を救うため一人で暴走族に立ち向かう。白い狼に変身したリョウに命を救われるが、同時に狼にリョウ様と話しかけ、戦いを挑もうとする男性の姿を見て、動揺する。
高瀬 幸子 (たかせ さちこ)
暴走族にからまれたところを助けてくれた少年を兄に紹介し、自宅に泊め、弟のように面倒を見る。暴走族に誘拐され、助けに来た兄の命を救った白い狼がリョウに変身するのを見て、驚きのあまり「化け物!」と叫んでしまう。
遠藤 (えんどう)
墓参りの帰りに雨に打たれて倒れている裸の少年を保護し、自宅に連れ帰る。夫と子どもを交通事故で亡くしている。リョウが狼から人間に変身するところを目撃していたが、すべてを受け入れて生活の面倒を見る。
藍崎家 (あいざきけ)
父さん、母さん、娘のさやかの三人家族。「良(りょう)」という名の長男を事故で亡くしている。狩猟中の父親が、野犬に襲われて森の中に倒れていた少年を保護し、自宅に泊める。名前以外の記憶を失っていたリョウを甥として引き取るが、3年後、居所がばれてしまう。村の男たちに襲撃され、狼に変身するリョウの姿を目撃する。 リョウは記憶が戻るが、藍崎家の人々を傷つけないようにするため、この家で暮らした3年間の記憶を失ったふりをして旅立つ。
場所
人狼の村 (じんろうのむら)
主人公リョウが生まれた村。東北地方の山奥にあり、村人はほぼ親族。強い男が長(おさ)となり村を治めるという掟があるが、長の血を引く者が代々長を務めている。次期候補者は強い血を持つ「長の息子」に戦いを挑む。10歳くらいから戦い始める。