特攻の島

特攻の島

生きる意味を見つけられないまま予科練で過ごしていた渡辺裕三は、回天特攻隊の隊員として出撃。だが回天の故障により意に反して生還し、くすぶった日々を送る。やがて敗戦直前に企図された最後の総攻撃で、渡辺は再び回天搭乗の機会を得た。当時の実在の人物が多数登場するのも特徴。

概要

太平洋戦争末期、日本海軍士官・黒木博司仁科関夫は自爆兵器を考案して軍に導入を提言。やがて人間魚雷・回天として実用化され、福岡海軍航空隊予科練にいた渡辺裕三らが搭乗員として集められた。生きる意味を見出せず空虚な日々を送っていた渡辺は、「俺自身の人生を俺のものにするため」回天での特攻に命を燃やそうとする。

だが渡辺金剛隊の一員として出撃した際、回天の故障と敵の猛攻で発進できないまま帰投。いっぽう同じ金剛隊の親友・関口政夫は回天で自ら敵の駆逐艦を引きつける囮となり、渡辺らを助けて爆死する。回天隊は生還した搭乗員を再び出撃させない不文律があり、渡辺は回天操縦の指導員となった。

やがて家族が空襲で全滅した知らせが届き、渡辺は死に場所を求めて憔悴。米軍の本土上陸が目前の脅威となった1945年7月、ついに渡辺に出撃命令が下される。

登場人物・キャラクター

主人公

福岡海軍航空隊予科練出身で、階級は三飛曹、後に二飛曹に昇進した。九州の炭鉱町に暮らす貧困家庭の出身。幼い頃から残飯回収の仕事を手伝い、周りの子供に蔑まれて育つ。予科練に志願して実家に仕送りをするように... 関連ページ:渡辺 裕三

海軍中尉、後に少佐。黒木博司とともに人間魚雷を創案、海軍に実用化を提言した。父親は師範学校の校長。尊敬する黒木に少しでも近づくため、回天の開発に没頭した。回天が持つ意味にこだわる渡辺裕三に、黒木との思... 関連ページ:仁科 関夫

海軍大尉、後に少佐。仁科関夫とともに人間魚雷を創案、回天と名づける。当初は軍上層部に反対されたが、後に実用化が認められた。1944年9月、悪天候のなか樋口大尉の指導官として回天の訓練を強行。海底で遭難... 関連ページ:黒木 博司

回天隊指揮官。潜水艦・伊169潜の水雷長として真珠湾攻撃に参加した経歴を持つ。1943年に潜水艦の艦長となり、7度の作戦に参加。板倉も自分だけ生還したためにそしりを受けたことを、渡辺裕三に告白する。死... 関連ページ:板倉少佐

福岡海軍航空隊予科練出身。ほかの予科練生と異なる冷めた雰囲気を漂わせていた渡辺裕三に興味を持ち、親友となる。渡辺とともに回天の搭乗員に志願。死を恐れない反面、犬死にすることを強く拒んでいた。関口も回天... 関連ページ:関口 政夫

潜水艦・伊53潜の艦長。金剛隊の出撃に参加、回天4基を伊53潜に搭載してパラオ島コッソル水道へ向かった。敵駆逐艦隊の包囲で退路を断たれ、艦を身軽にするため回天を破棄しようとする。だが回天搭乗員たちの直... 関連ページ:豊増 清八

有森上曹

金剛隊の回天搭乗員として、渡辺裕三、関口政夫、伊東少尉らとともに伊53潜に乗りこむ。最初の攻撃では潜水艦内の回天搭乗口が浸水で閉鎖され、発進できなかった。2度目の出撃でようやく回天を発進させるが、敵艦の手前で砲撃により破壊された。同時代の実在人物・有森文吉がモデルになっている。

伊東少尉

金剛隊の回天搭乗員として、渡辺裕三、関口政夫、有森上曹らとともに伊53潜に乗りこむ。最初の攻撃では、敵駆逐艦の猛攻で発進の機会が得られなかった。2度目の出撃でようやく回天を発進させるが、海中に敷設された機雷つきのネットに引っかかって爆死。同時代の実在人物・伊東修がモデルになっている。

渡辺裕三の母親

九州の炭鉱町で、夫、渡辺裕三の弟である久男、行男、史郎らと暮らす。家庭は貧しく、渡辺裕三の母親も残飯回収の仕事をしていた。1945年、B29の空襲で消息不明に。後に板倉少佐の調査で一家全員が死亡したと判明する。

集団・組織

菊水隊

『特攻の島』に登場する部隊。回天による特攻を初めて行った。1944年11月出撃。潜水艦3隻に回天12基を搭載し、西太平洋カロリン諸島ウルシー泊地の米軍フィリピン攻略部隊を狙う。潜水艦3隻のうち伊37潜... 関連ページ:菊水隊

金剛隊

『特攻の島』に登場する部隊。菊水隊に続き、回天による2度目の特攻を行った。1945年1月出撃。潜水艦6隻に回天24基を搭載し、ウルシー泊地などの攻撃に向かう。攻撃後、伊48潜を除く5隻が帰投。敵艦18隻を撃沈する大戦果が報告されたが、米軍側にその記録はなかった。

千早隊

『特攻の島』に登場する部隊。回天による特攻を行う。1945年2月出撃。潜水艦・伊44潜、伊368潜、伊370潜の3隻に回天を搭載、敵攻略部隊を撃滅すべく硫黄島へ向かう。だが伊368潜、伊370潜は敵艦に撃沈され、伊44潜も敵の制圧で回天を発進させられないまま帰投した。

多聞隊

『特攻の島』に登場する部隊。回天による最後の特攻を行う。1945年7月出撃。伊53潜など潜水艦6隻に回天32基を搭載し、台湾とバシー諸島に挟まれた海上の要衝・バシー海峡へ向かった。伊53潜に乗りこんだ... 関連ページ:多聞隊

その他キーワード

伊53潜

『特攻の島』に登場する日本海軍の潜水艦。艦長・豊増清八。金剛隊に参加して4基の回天を搭載、渡辺裕三、関口政夫、伊東少尉、有森上曹がその搭乗員として乗り組んだ。攻撃目標はコッソル水道。だが敵駆逐艦の爆雷... 関連ページ:伊53潜

伊47潜

『特攻の島』に登場する日本海軍の潜水艦。艦長・折田善次。菊水隊に参加し、仁科関夫らが搭乗する回天4基をウルシー泊地へ運んだ。次の金剛隊でも川久保輝夫、原郭郎らが搭乗する4基の回天を搭載して出撃。フンボルト湾ホーランジア泊地で4基全てを発進させ、大型輸送船4隻を撃沈したと報告した。

伊36潜

『特攻の島』に登場する日本海軍の潜水艦。艦長・都所静世。菊水隊に参加し、加賀谷武、本井文哉らが搭乗する回天4基をウルシー泊地へ運んだ。4基全てを発進させ、敵艦4隻を轟沈したと報告。後の神武隊にも参加した。

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