五色の舟

五色の舟

太平洋戦争末期、家族のように結束する見物小屋一座が、未来を予言する怪物くだんに出会い、変転する運命の舟に乗り、不思議な未来へと導かれる様を描いた幻想奇譚漫画。原作津原泰水。第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞作。

正式名称
五色の舟
ふりがな
ごしきのふね
原作者
津原泰水
漫画
ジャンル
第二次世界大戦
 
怪談・伝奇
レーベル
ビームコミックス(KADOKAWA)
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概要・あらすじ

太平洋戦争末期、家族のように暮らす見世物小屋一座がいた。脱疽で両足を失った元花形役者雪之助はお父さんと呼ばれ、一座の中心となり、両腕のない少年和郎、身体は大きくならないが怪力の昭助、結合双生児の片割れを演者として育ててきた。未来を言い当てる怪物くだんと出会った彼らは、その不思議な力によって、異なる未来へと運ばれていく。

登場人物・キャラクター

和郎 (かずお)

生まれつき両腕がなく、耳も聞こえないため、川原に捨てられた。そこで雪之助たちに拾われ、見物小屋一座の一員となった。足を器用に使って美しい絵を描くことができる。耳が聞こえないため話す事ができないが、テレパシーのような能力を持ち、人の言葉を解すことができる。桜とは常に心の中で会話している。

雪之助 (ゆきのすけ)

元旅芝居の花形役者で女形。両足を脱疽で失っている。昭助、桜、和郎、清子を演者とする見世物小屋一座の主催者。一座を家族と考え、皆に自分のことを「お父さん」と呼ばせている。未来を予言するくだんの存在を知り、一座に加えようとする。

昭助 (しょうすけ)

足を失い死を覚悟してさ迷っていた雪之助に赤ん坊の頃川原で拾われた。歳をとっても身体の大きさは子供のままだが、怪力の持ち主である。見世物小屋一座では「怪力一寸法師」として芸を見せている。一座の中では長男的存在。

(さくら)

結合双生児として誕生した美少女。双子のひとりが亡くなり危篤となったが、雪の助にもらい受けられ、分離手術を受けた。結合双生児だった頃の影響で身体が少し斜めに傾いている。見世物小屋一座では「蛇女」として蛙を飲むなどの芸を見せている。身体には和郎の手による鱗が描かれており、別料金を支払った客には、和郎とのまぐわいを見せることもある。 最初は話すことができなかったが、本人が必要を感じたことで、徐々に話せるようになっていった。心で和郎と会話することができる。

清子 (きよこ)

膝関節が後ろ前になっており、牛女として見世物小屋一座に出演している。和服を着た美女。お金を稼いで笑って暮らすため、一座の一員に加わった。学校にも行っていたことがあり、世の中の事全般に詳しい。雪之助に内証で身体を売ってお金を得ているが、本人は和郎を聾学校に入れるためお金を稼いでると主張した。

くだん

岩国で生まれた異形の生物。牛の身体に人間の顔を持っている。人と牛のあいのこで予言をすると言われているが、くだん自身は自分の事を「別の未来へ導く装置」であると語っている。死ぬ間際に見世物小屋一座の家族全員が幸せに暮らせる未来の世界へ、和郎と清子を導く。

犬飼 (いぬかい)

医師。雪之助の御贔屓で彼の足の治療や桜の分離手術を行った。細菌学が専門。戦争が激化してからは兵器補給廠の研究室に所属した。軍からくだんの保護と研究をまかされ、見世物小屋一座の面々にくだんを引き合わせた。

斐坂 (いさか)

くだんを護衛する若い兵隊。予言するくだんの事を戦意を喪失するために敵国から送られてきた兵器であると考え、射殺してしまう。

GHQ総司令官 (じーえいちきゅーそうしれい)

和郎と桜が送られた別の未来の日本に赴任してきたGHQの責任者。片足片腕を日本との戦争で失っている。代替四肢、代替臓器の研究に多額の予算を投入し、障害者に対して手厚い支援を行った。この政策により、新技術に関する格好の被験者となった和郎たちは、恵まれた生活を手にいれることとなる。

場所

(ふね)

『五色の舟』に登場する場所。和郎ら見世物小屋一座の住まいである。色とりどりの五色の布を屋根代わりにかけて和郎らは雨露をしのいだ。

クレジット

原作

津原泰水

ベース

五色の舟

書誌情報

五色の舟 KADOKAWA〈ビームコミックス〉

(2014-03-24発行、 978-4047295476)

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