狼の星座

狼の星座

大正時代から昭和時代初期の中国を舞台にした架空歴史作品。朽木寒三が小日向白朗を取材した小説『馬賊戦記­小日向白朗蘇るヒーロー』を着想を基にし、馬賊となった日本青年の波乱万丈の人生を描く。冒険活劇でありながらも、中国での風習や慣習が丹念に描かれている。

概要

新潟の村で生まれた少年、大日向建作は、大きな世界に憧れ、中国へと渡る。日本軍将校の坂東大佐の下で中国語を学んだ建作は、軍のスパイとして内蒙古の調査へと出発した。ところが、馬賊の襲撃を受け捕虜になってしまう。下働きとして苦難を耐え忍ぶ生活が続くが、城塞襲撃で功績を上げたことをきっかけに頭角を現していく。

数々の苦難を経て馬賊の頭目である大攪把に、さらに各地の大攪把を束ねる総攪把としてその名を轟かせることになる。

登場人物・キャラクター

大日向 建作

新潟出身で、冒険心に富み、義侠心に厚い青年。中国に渡り馬賊となり、勇気ある行動で馬賊内での地位を高めていく。後に自分が殺した人間の幻影に怯えるようになり、道教の無量観に入山。精神統一のために武当派拳を修練している。

山部

日本陸軍特務機関員の男。大日向建作とは丁稚時代からの知り合いで、建作が中国に渡ってきた折には坂西大佐に紹介している。その後、蒙古の内偵員として建作に資金を渡して旅立たせている。

坂西

北京に駐屯する日本陸軍の将校。初回登場時は大佐だったが、後に少将に昇進し、閣下と呼ばれるようになる。中国に渡ってきたばかりの大日向建作を小間使いとして預かっている。

劉 燿堂

大日向建作を捕らえた下窪の馬賊のトップ。大攪把と呼ばれる。厳格そうな雰囲気を漂わせた老人だが、人を見抜く目を持ち、建作の素質にいち早く気付く。その後も何かと建作に目をかけ出世の道を作ったが、崔興武の襲撃の際に流れ弾に当たり、死去している。

包頭と呼ばれる馬賊の小隊長で、一人旅をしていた大日向建作を捕縛した。最初は建作を粗雑に扱っていたが、馬賊の仲間になってからは拳銃の撃ち方を教えたり、まんじゅうを分け与えたり、目をかけるようになる。建作が大攪把になったのちには、副頭目として補佐するようになった。

朱 銀鈴

大地主である朱大人の娘。崔興武の兵士に襲われていたところを大日向建作に助けられ、以降、恋仲になる。清楚で可憐な娘だったが、建作が不在の時に誘拐され心を売り渡し、崔興武の第四夫人にされてしまう。屋敷を再訪した建作を罠にはめて殺そうとするが、逆に射殺されている。

崔 興武

開魯を根城にする土豪。私兵三千人を抱え、さらに中央政府から官位を得て周囲に圧政を敷く官匪。劉燿堂の馬賊を目の敵にし、何度も諍いを起こしている。また朱銀鈴に惚れ、強い酒を無理やり飲ませて手籠めにし、第四夫人にしてしまった。

包麻兄弟

崔興武と義兄弟の盃を交わしたという馬賊の兄弟。兄はあばた面の包麻子、弟は隻眼の包瞎子という。下窪へ戻る途中だった大日向建作とその仲間を襲い、壊滅させている。後に傷を癒して一人舞い戻った建作に射殺された。

葛 月潭

全満州の道教を統率する老僧。千山にある無量観に住む。多くの民衆や馬賊から、その徳を慕われている。亡霊に悩まされた大日向建作は、この葛月潭の下で修行に励み心身を鍛えた。実在する道教の僧、葛月潭がモデルとなっている。

張 憲臣

昔、道教の無量観で修行した拳法家。下山したのちにゴロツキの頭目となり、蛮行を繰り返していた。葛月潭に命じられ、捕縛に来た大日向建作に撃たれて死んでいる。

小菊花

女性と見間違うほどの美しい容姿をした青年だが、その性情は残虐。道教の無量観で修行したが性格は治らず、破門後には徒党を組んで盗賊紛いの暴虐を繰り広げた。葛月潭の命により派遣された大日向建作と拳法による死闘を繰り広げ、激闘の末に敗れ去っている。

イベント・出来事

烏丹の牢やぶり

『狼の星座』に登場する、大日向建作が起こした事件。烏丹の長老に頼まれ、無実の豪族、張潤郷を助けるために牢やぶりを敢行した。同時に多くの人々を助けており、その中には春峰大攪把の祖父の米白英がいた。建作が小東洋の名を売るきっかけになったが、北京政府から指名手配を受けることになる。

経棚城事件

『狼の星座』に登場する、大正11年に大日向建作が馬賊を率いて起こした事件。建作を助けるために刑場で散った戦死者の遺骸を、経棚の呂知事が馬賊に引き渡さなかったために建作が憤慨。900騎の軍勢を率いて経棚に攻め込んだ。事件の首謀者として建作に対し、省を超えて犯罪者を追ってよいという通輯令が出された。

その他キーワード

大攪把

『狼の星座』に登場する、地域の馬賊を束ねる大頭目の尊称。世襲制ではなく、儀式により砂に描かれた模様から長老たちが判断して次代の大攪把を決定する。

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