完全版 アレクサンドロス 世界帝国への夢

完全版 アレクサンドロス 世界帝国への夢

NHKのドキュメンタリー番組『NHKスペシャル 文明の道』シリーズ1作目のコミカライズ作品。東西にまたがる大帝国を築いたアレクサンドロス3世が、いかにして「世界帝国」を築いたかを描く。激情に駆られての行動を後で悔やむなど、アレクサンドロス3世の人間としての弱さにも焦点が当てられている。2003年に描き下ろしで刊行され、2008年に加筆のうえ再刊された。

正式名称
完全版 アレクサンドロス 世界帝国への夢
ふりがな
かんぜんばん あれくさんどろす せかいていこくへのゆめ
作者
ジャンル
その他歴史・時代
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概要・あらすじ

舞台は紀元前のオリエント。アレクサンドロス3世の死後、部下の将軍達は数十年にわたって醜い後継者戦争を繰り広げていた。その将軍の一人、リュシマコスは故郷のマケドニアに帰還し、過去を回想し始める。紀元前4世紀、父王のフィリッポス2世の暗殺によってマケドニア王となったアレクサンドロス3世は、優れたカリスマ性を発揮して東方への遠征を開始。

アレクサンドロス3世の秀でた軍才により、マケドニア軍は破竹の勢いで進撃する。しかし、年若く内面が未熟な王は、激情に駆られて愚行に走る場面もみられるようになる。さらに王は臣下への猜疑心を生じ、陰惨な内部粛清へと突き進んでいく。

登場人物・キャラクター

アレクサンドロス3世 (あれくさんどろすさんせい)

マケドニア王、フィリッポス2世の息子。フィリッポス2世が暗殺された事を受け、弱冠20歳でマケドニア王となる。活発でたくましい好青年だが、体格は小柄。異国出身のため立場の微妙な母親のオリュンピアスに同情的で、それを原因に父王と諍(いさか)いを起こす。果敢な決断力と高度な指揮能力を持ち合わせ、瞬く間にペルシャを征服した。 同時に、酒を飲むと激高しやすく、しばしば酷薄な一面を見せるなど欠点も多い。世界全体を支配下に収めるという広大な野望を持つが、33歳の若さで病に倒れた。実在の人物、アレクサンドロス3世がモデル。

リュシマコス

アレクサンドロス3世の部下の将軍。無骨な顔つきをした男性。本作『アレクサンドロス 世界帝国への夢』の冒頭、アレクサンドロス3世の死後に後継者戦争を繰り広げる老将として登場し、彼が回想する形でアレクサンドロス3世の生涯が語られる事となる。アレクサンドロス3世とは少年時代からの友人で、東方への遠征にも随行する。 武辺者ではあるが、長所と短所の振れ幅の激しい主君の言動を、一歩引いた距離から見守っている。実在の人物、リュシマコスがモデル。

フィリッポス2世 (ふぃりっぽすにせい)

マケドニアの王で、アレクサンドロス3世の父親。威厳に満ちた中年の男性で、ギリシャ世界の統一を果たした傑物。妻のオリュンピアスとのあいだにアレクサンドロス3世をもうけた。ある時、異国出身のオリュンピアスが、ほかの妃と比べて扱いが悪い事を巡り、アレクサンドロス3世と激しい言い争いになる。親子の緊張関係はまもなく修復されるが、ほどなくして暗殺者の凶刃に倒れた。 実在の人物、フィリッポス2世がモデル。

セレウコス

アレクサンドロス3世配下の将軍。大柄な肥満体の男性で、陽気な性格の持ち主。アレクサンドロス3世とは、少年時代からの友人である。アレクサンドロス3世の東方への遠征にも随行し、優れた武勇で活躍する。アレクサンドロス3世の死後、リュシマコスらと共に後継者戦争を戦い、セレウコス朝シリアを建国した。実在の人物、セレウコスがモデル。

プトレマイオス

アレクサンドロス3世配下の将軍。アレクサンドロス3世とは、リュシマコスらと並ぶ少年時代からの友人。口が達者で、如才ない性格の青年である。アレクサンドロス3世の東方遠征に随行した将軍の一人。アレクサンドロス3世の死後にエジプトを支配し、プトレマイオス朝の開祖となる。実在の人物、プトレマイオスがモデル。

ヘファイスティオン

アレクサンドロス3世の側近で、少年時代からの友人。端正な風貌をした青年。秀でた武勇や知略があるわけではないが、アレクサンドロス3世とは単なる友人以上の親密な関係であり、彼が弱音を吐く事ができる数少ない人物である。アレクサンドロス3世の東方遠征中に病死してしまい、彼をひどく憔悴させる事となった。実在の人物、ヘファイスティオンがモデル。

ペルディッカス

アレクサンドロス3世の側近の男性。アレクサンドロス3世とは少年時代からの友人で、共に学業を修めた。アレクサンドロス3世の側近のうちでも、筆頭格として扱われている。アレクサンドロス3世が病に倒れ、死の床についた時、統治者の証である指輪を形見として受け取る。実在の人物、ペルディッカスがモデル。

パルメニオン

アレクサンドロス3世配下の将軍で、年老いた男性。父王のフィリッポス2世の代から仕える老将である。アレクサンドロス3世の東方遠征に随行し、慎重な立場から進言を行う。パルメニオン自身は忠臣であったが、彼の息子が謀反の嫌疑をかけられた事がきっかけで、粛清の対象となる。実在の人物、パルメニオンがモデル。

オリュンピアス

マケドニア王、フィリッポス2世の王妃。アレクサンドロス3世の母親。マケドニアの隣国エペイロスの王女で、夫とは政略結婚。異国出身のため、マケドニア人のほかの妃に比べ、フィリッポス2世に冷遇されていた。息子アレクサンドロス3世を王にする事に執着心を燃やし、非情な手段も厭わない。作中では、夫フィリッポス2世の暗殺はオリュンピアスの謀略である事が示唆されている。 実在の人物、オリュンピアスがモデル。

カッリステネス

アレクサンドロス3世の東方遠征に随行した歴史家。腫れぼったい顔つきが特徴の冴えない小男。著名な哲学者のアリストテレスの甥で、アレクサンドロス3世の遠征事業を記録する任務を負う。「自分がアレクサンドロス3世の歴史を作る」という強い自負を持つが、リュシマコスら将軍に対しては、やや嫌味で不遜な態度を取る。実在の人物、カッリステネスがモデル。

クレイトス

アレクサンドロス3世配下の将軍。武勇に優れている男性で、非常に剛直な性格をしている。アレクサンドロス3世の東方遠征で、戦場で危機に陥った王の命を救う。のちに酒宴の席で、不遜な言動が目立つようになったアレクサンドロス3世に直言したため、激しい言い争いとなり、彼に刺し殺される事となった。実在の人物、クレイトスがモデル。

ダレイオス3世 (だれいおすさんせい)

ペルシャ王の壮年男性。東方への遠征を始めたアレクサンドロス3世が、最初にペルシャを攻撃したため、その対処に動く。アレクサンドロス3世の数倍の兵力を自ら率いて野戦に望むが、敗北を喫する。戦いの最中、アレクサンドロス3世にまみえて一騎打ちを申し込まれるが、受けずに逃走した。実在の人物、ダレイオス3世がモデル。

ネアルコス

アレクサンドロス3世配下の将軍の男性。アレクサンドロス3世の遠征が数年に及び、兵達が疲弊しきっていた頃に、マケドニア本国から増援を率いて駆けつけた。アレクサンドロス3世達と同世代の学友で、温厚実直な性格の持ち主。粘り強く、どんな困難にも負けないという長所から、アレクサンドロス3世から篤い信頼を得ている。実在の人物、ネアルコスがモデル。

イベント・出来事

後継者戦争 (でぃあどこいせんそう)

アレクサンドロス3世が若くして急死したあと、広大な領土の継承権を巡って起きた戦争。「ディアドコイ」とは「後継者」の意味。セレウコス、リュシマコス、プトレマイオス、ペルディッカスらが不毛に争い、アレクサンドロス3世の帝国はばらばらになった。本作『アレクサンドロス 世界帝国への夢』の物語は、後継者戦争を戦うリュシマコスの回想という形式をとっている。

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