猛き龍星

猛き龍星

暴走族の総長にまで上り詰めた少年が、自身の夢と出会ってその夢を実現するため、世界を舞台に戦い続ける姿を描いたアクション作品。作中では、一貫して「男」ではなく「漢」という表現が用いられる事が大きな特徴。「週刊少年ジャンプ」1995年21・22合併号から1995年48号にかけて連載された作品。

正式名称
猛き龍星
ふりがな
たけきりゅうせい
作者
ジャンル
アクション
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あらすじ

第1巻

16歳で暴走族集団の総長となった花藤龍星は、その後、突如として街から姿を消した。それから2年後、街はかつて龍星の仲間だった八城剣次が牛耳っていた。八城と共に龍星の仲間だったチャカは、ヤクザをバックにつけて金と暴力で街を支配する八城のやり方に対抗していたが、八城から凄惨な報復を受けてしまう。そこへ現れたのは2年前に姿を消していた龍星だった。龍星は、八城とのタイマン勝負に勝利し、ヤクザから受け取っていた金も燃やして灰にしてしまう。ヤクザからの報復を恐れた八城の仲間はすべて逃げ、残された八城もまた龍星に促されて街から姿を消すのだった。一方、八城とかかわりのあったヤクザの組長、鬼土政重は、そんな龍星に興味を覚え、八城の右腕だったシンジに命じて龍星の命を狙う。それを知った龍星は、機関銃などの武器を調達し、鬼土のヤクザ事務所に「挨拶」と称して銃弾を撃ち込む。龍星の常識破りの行動に、鬼土もまた龍星とのタイマン勝負に臨むという、ヤクザの常識を超えた行動に出る。

第2巻

花藤龍星にタイマン勝負を挑んだ鬼土政重は、龍星のパンチを顔面に受けて敗れる。龍星の拳の熱さを感じ取った鬼土は、自身の腕を差し出して龍星達から手を引くようヤクザ組織に掛け合い、さらに龍星を条河剣という漢に引き合わせる。条河は香港で、日本人による日本人のための新たな理想郷を建設する事を夢見て活動していた。香港で条河と出会った龍星は、彼の持つ人間としての器の大きさに触れ、自身も条河のもとで夢を見たいと考えるようになる。しかし、敵が多く、つねに死ととなり合わせの日々を過ごす条河の部下の中には、龍星を快く思わない者も多かった。中でも条河の右腕的存在の白吹朝希は、龍星を「族上がり」としてまともに取り合わない。それでも龍星の行動は、少しずつ条河の部下の心を動かしていく。龍星は今のままでは条河という漢の器には到底かなわない事を自覚しつつも、漢を磨いて必ず条河と勝負できるほどになる事を誓うのだった。

第3巻

日本に戻った花藤龍星は、鬼土政重の図らいで密航者として再び香港に渡る。その途上で出会ったハンチョウキと共に、条河剣と対等に渡り合えるような漢になるべく、龍星は行動を開始する。まずは手始めにチョウキらと共に道路工事を格安で請け負った龍星は、わずか3日という期間で道路の整備に成功するが、完成直後に道路は爆破されてしまう。その爆破にかかわっていたのは、日本人である条河の台頭を快く思っていないリュウ・ゴウフェイだった。リュウは若くして香港でも有数の実力者となった人物だが、龍星はそんなリュウのもとへと乗り込んでいく。拳法の達人であるリュウは、龍星と1対1で戦う事を提案し、龍星もまたそれを受けて立つのだった。

登場人物・キャラクター

花藤 龍星 (かとう りゅうせい)

16歳で暴走族集団の総長になった少年。その後は、姉の花藤雪子と暮らすために遠洋漁業で2年間働いていた。生死をかけたケンカであっても、その緊張感を楽しむほどの並外れた度胸の持ち主で、鬼土政重をはじめ多くの漢達の心をつかんでいく。香港で条河剣と出会い、初めて自分以上の能力を持った存在を知ってからは、条河を超えるべくさまざまな困難に立ち向かっていく。

条河 剣 (じょうが つるぎ)

香港で、日本人のための理想郷を築くために和僑となる事を夢に抱く男性。その夢に触れた花藤龍星に対して、自身の後継者となりうる可能性を見出す。指導者として優れたカリスマ性を持ち、鬼土政重をはじめ多くの人に影響を与えた存在。条河剣の部下の中には、自分の命を条河に差し出す事も厭わない者が多い。しかし、条河の身体は病魔に冒されており、余命はいくばくもない。 周囲からはその名をもじって「ジョーカー」と呼ばれている。

鬼土 政重 (きど まさしげ)

ヤクザの組長の男性。八城剣次をあやつり、麻薬などの密売を行って多額の利益を得ていたが、その金を花藤龍星に灰にされた事で、龍星とのタイマン勝負に臨む。かつて条河剣と出会い、彼の夢を共に叶えたいと願っていたが、恋人だった女性のために、その夢をあきらめた過去がある。龍星との対決で、かつての鬼土政重自身の夢を思い出し、以降は龍星のよき理解者となって、条河と引き合わせるなど便宜を図る事になる。

花藤 雪子 (かとう ゆきこ)

花藤龍星の姉。幼い頃に両親を亡くし、その後は龍星の母親代わりになって龍星を育ててきた。無理がたたってしばらく入院生活を送っていたが、のちに回復し、退院する。その後は再び龍星といっしょに暮らせる日を願っていたが、条河剣と出会って自身の夢を叶えたいという龍星を快く送り出した。悲しい事があっても、決してそれを表に出さない気丈な人物。

白吹 朝希 (しらぶき あさき)

条河剣の異母妹。条河の右腕として数々の任務をこなしている。自動車の運転から条河のスケジュール管理や、取引先の接待に至るまで対応する優秀な女性。条河から紹介された花藤龍星に対しては、当初は「族上がり」として快く思っていなかったが、龍星の常識外れの行動を目にするうちに、少しずつ彼の事を見直していく。

八城 剣次 (やしろ けんじ)

花藤龍星が街を去ったあと、チームの総長として指名された男性。かつては龍星と同じチームで活躍していたが、龍星が去ったあとは、ヤクザの鬼土政重をバックに麻薬の密売など数々の犯罪に手を染め、チームを恐怖と金で縛り付けていた。街に戻って来た龍星とのタイマンに敗れ、鬼土から預かっていた金を灰にされた事でヤクザに追われる身となる。 龍星と敵対する事になったものの、心の底では龍星の事を慕っていた。

シンジ

八城剣次の仲間の少年。かつては八城と共に花藤龍星と同じチームのメンバーだったが、龍星が去ったあとは八城と組んで、鬼土政重をバックに数々の犯罪を行っていた。鬼土に対しては尊敬にも似た感情を抱いていたが、鬼土からただ利用されていただけと知り、これまでの自分を悔いて龍星のもとへ戻る。

チャカ

花藤龍星の仲間の少年。八城剣次やシンジが龍星の意向を無視してヤクザの鬼土政重と組んだあとも、龍星を信じて彼の帰りを待ち続けていた。龍星が街に戻って来てからは真っ先に龍星の力になるべく動き、龍星が香港に密航したあとは、彼の姉、花藤雪子の面倒を見る事を買って出た。ややお人好しな性格だが、バイクの運転とケンカの度胸はなかなかのもので、龍星が最も信頼する仲間の一人。

鮫島 (さめじま)

条河剣の部下の男性。主に白吹朝希のボディガードを務めており、つねに朝希と行動を共にする。花藤龍星に対しては、何の目的もなく行動する無秩序な男として見下していたが、自分でも知らないうちに少しずつ龍星の持つ器に惹かれていく。

ハン

花藤龍星が香港に向かう密航船で出会った男性。香港で一番の商人になるという野望を抱えており、香港では龍星を利用して金儲けを目論む。金にがめつい小悪党だが、どこか憎めないところがあり、香港の地理に詳しくない龍星の案内役を買って出るなど、面倒見のいい性格の持ち主。

チョウキ

花藤龍星が香港で出会った男性。300人ほどの愚連隊を率いて龍星と対立するが、エネルギーを持て余して暴れていただけ、という自身の不満を龍星に見抜かれ、龍星の仲間となる。龍星が目指すものを自分も目指してみたいと考え、ハンと共に香港での龍星の仲間として数々の修羅場をくぐっていく。

リュウ・ゴウフェイ (りゅうごうふぇい)

香港の裏社会における実力者の男性。年齢こそ若いものの、その地位と実力で多くの人間を従えている。日本人である条河剣が香港の地で理想郷建設を進めている事を快く思わず、香港から去るように警告する。花藤龍星に対しても、取るに足らない存在と見下していた。しかし、多くの部下を従えていても孤独な存在であると見抜かれ、自分と正面から向き合う龍星に対して、不器用ながら認める姿勢を見せる。

その他キーワード

和僑 (わきょう)

条河剣が目指す日本人の姿。世界中に根を張り、世界各地で日本人のための理想郷を建設する事を目指す人材を指す。日本人は自身の持つエネルギーを知らず、持て余している者が多いが、そのエネルギーの正しい使い方を、身をもって示す事が条河の目的となっている。

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