概要・あらすじ
ナジャは凄腕の賞金稼ぎであり、猟姫とあだ名されている。情と義に厚いナジャは、ある時は、都で魔薬と呼ばれる危険な媚薬により、人々の心身を蝕もうとしている媚薬師ラパスを、宰相の依頼のもとに討伐。またある時は、その正義感から、偶然に知り合った少年・アルフの頼みを受けて、その恩人の少女・ニーザを、邪悪な性格の公女・モルガーラの大公邸から救出する。
そしてまたある時は、飛礫のクダールと呼ばれる凄腕の投石器使いを追い、砂漠で戦いを繰り広げる。
登場人物・キャラクター
ナジャ
賞金稼ぎをしている若い女性。人間だけを狙い、なおかつ生け捕りにすることを好んでいる。「猟姫」の異名を持ち、都で5本の指に入る腕前の持ち主といわれている。困っている人を見るとつい助けてしまう、情と義に厚いタイプ。左胸から鎖骨のあたりにかけて、大きな傷跡があるが、これは胎児の時に、母親の身体を貫いた刃によって付けられたもの。
ムルジ
ナジャの相棒の賞金稼ぎの青年。元墓泥棒であり、基本的に荒事に参加することはない。一方で、ナジャがアルフに頼まれてモルガーラのもとからニーザの救出に向かおうとした時には、モルガーラの暮らす「大公邸」の見取り図を、どこからか手に入れて来るなど、諜報関連の技能には長けている。
ラージン
ナジャと付き合いのあるもぐり医師の老人。もぐりとはいえ腕は確かで、媚薬師ラパスの魔薬が新種の媚薬であり、また都の外で作られたものであることを割り出すなど、薬学の知識にも精通している。一部の人からは「先生」とも呼ばれている。
ガハル
モルガーラに仕える壮年の男性。昔は、兵として用いるために特殊訓練を受けさせる奴隷たちである「軍事奴隷」の教官をしていたことがあり、ナジャはその時代の教え子の1人である。当時の軍事奴隷たちに対する扱いは過酷であったため、ナジャには深く恨まれている。ナジャがモルガーラの大公邸に潜入した際、戦闘の末に殺害された。
媚薬師ラパス
闇の薬師の男性。年齢は不詳。魔薬と呼ばれる媚薬を作り出し、荒稼ぎすることを企んでいた。ナジャによってアジトである魔薬の製造工場を襲撃され、鍋ごとひっくり返された魔薬を自分の身に浴びてしまう。その後、ナジャに屈服して顧客名簿と解毒薬を渡した。
宰相
ナジャに、媚薬師ラパスを狩る仕事を依頼した老人。高位高官たちのスキャンダルの原因になり得る、媚薬師ラパスの顧客名簿を奪い取ることを求めている。その正体は国の宰相であり、当初は顔を隠して自分の素性を伏せていたものの、ナジャにあっさり見破られてしまう。
宰相の妻
宰相の妻である若い女性。媚薬師ラパスの魔薬に手を出しており、うっかり薬の使用量を間違えて、廃人になりかけた。ナジャが媚薬師ラパスを捕らえ、解毒剤を与えたので、正気を取り戻すことができた。もともと宰相とは夫婦仲が良くなかったこともあり、その後に離縁した。
モルガーラ
淫蕩で邪悪な性格の若い女性。王族一の鼻つまみ者として知られる。「大公邸」と呼ばれる館に住み、「公女さま」と呼ばれている。全力のナジャでも、勝てるかどうか分からないほどの高い戦闘能力を持つ。ニーザを救出するため「大公邸」に乗り込んだナジャと相対するが、ガハルとの戦いなどで負傷していたナジャは、ニーザとアルフを連れてその前から逃走するしかなかった。
アルフ
モルガーラが所有していた宮奴の少年。ニーザの手引きによってモルガーラのところから脱走し、都の中を逃げ回っていたところでナジャと出会い、助けられた。ナジャに依頼し、モルガーラのもとからニーザを救出すべく、再びその「大公邸」に潜入する。
ニーザ
モルガーラの召使いをしている若い女性。宮奴であるアルフの境遇に同情し、ともにモルガーラのもとから脱走しようとしたが、失敗して自分だけ捕まってしまう。その後、モルガーラによって拷問にかけられることとなる。
カーヒム
モルガーラの部下である年齢不詳の男性。モルガーラに仕える多くの兵を率いる地位にある。モルガーラの命によりアルフを追っており、市場(バザール)で彼を捕らえようとしたところ、たまたま居合わせたナジャの妨害を受ける。他の兵たちを退かせてナジャに一騎打ちに臨んだが敗れた。
飛礫のクダール (つぶてのくだーる)
凄腕の投石器使いである中年男性。弓矢も届かぬ距離から、投石器を使って杭の上に乗せられたメロンを打ち砕くほどの技量を持つ。既に数十人を殺している無法者で、戦いに無関係な人間を巻き込むことを何とも思っていない。自分を狙って追跡して来たナジャに対し、逆に遠方から投石で不意打ちして深手を負わせた。
集団・組織
旅の商人たち (たびのしょうにんたち)
ラクダに乗って旅をしている商人の一行。「ファラー」という長に率いられている。オアシスで行き倒れていたナジャと遭遇し、救助した。ナジャに失礼なことを言われたため、彼女を置いてオアシスを出発した。のちにナジャが飛礫のクダールから自分たちを守るため、あえて失礼な態度を取ったということに気づき、オアシスへと舞い戻る。
場所
オアシス
砂漠の中のオアシス。飛礫のクダールに深手を負わされたナジャが、命からがら辿り着いた。しかし井戸は枯れかけており、皮バケツを投げ込んでも水をすくうことができない状態になっていた。ナジャはこのオアシスで旅の商人たちと出会い、また、追跡して来る飛礫のクダールを待ち受けた。
その他キーワード
魔薬
媚薬師ラパスが作った新種の媚薬。性衝動や性能力を強化する通常の媚薬と異なり、快感そのものを増幅する効果を持ち、魔薬単独で人を絶頂へと導く。ただし副作用が強く、乱用すれば死に至る。媚薬師ラパスはこれを売りさばき、大儲けしようと企んでいた。
宮奴 (きゅうど)
手術と薬品によって、生殖器の形と機能はそのままに、生殖能力だけを奪い取られた特殊な奴隷。さらに、特殊な訓練を受けて超人的な性技も身につけている。3代前の大王の命令によってご禁制とされており、製造も所持も死刑という、厳しい取り締まりが行われている。モルガーラは、取り締まる側でありながら、自身で愛玩するために宮奴を集めている。