いとなみいとなめず

いとなみいとなめず

女性の目をまともに見ることもできない純朴な青年の純岡清は、一目惚れした女子高校生の「飛鳥馬澄」に告白し、勢いあまってプロポーズする。交際経験のない男女がいきなり夫婦となり、初夜もなかなか迎えることのできない中で、少しずつ夫婦の絆を強めていく姿を描いたハートフルストーリー。「漫画アクション」2018年10/16号から掲載の作品。「みんなが選ぶ!!電子コミック大賞2020」女性部門を受賞している。

正式名称
いとなみいとなめず
ふりがな
いとなみいとなめず
作者
ジャンル
夫婦
レーベル
アクションコミックス(双葉社)
巻数
既刊9巻
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あらすじ

結婚

不動産仲介業で働く純岡清は、生真面目で純朴な好青年だが、ぽっちゃりした容姿もあって自分に自信が持てず、女性の目もまっすぐに見つめられないほど純粋な心の持ち主だった。そんな清が、いつも利用している弁当屋で働く女子高校生の「飛鳥馬澄」に一目惚れする。澄が夢にまで出てきて、夢精するほど恋い焦がれる清に、会社の先輩である黒坂は、そんなに好きなら告白するべきだと清の背中を押す。後日、街中で転んだお婆さんを助けたことで澄と言葉を交わす機会を得た清は、思わず「僕と結婚して下さい」といきなりプロポーズしてしまう。意外にもプロポーズは受け入れられるが、まだ高校2年生の澄は、卒業するまで待って欲しいと求め、清は即答で快諾。それから1年9か月後の4月1日、澄の高校卒業と同時に二人は教会で結婚式を挙げる。神父に誓いのキスをするよううながされるものの、まだ手を握ったことすらない清は、照れてキスができないまま結婚式は終ってしまう。

新婚生活スタート

晴れて夫婦となった純岡清純岡澄は、新居としてアパートの一室を借りて暮らし始める。そして交際経験のない二人は初夜を迎えるものの、清に抱かれそうになった澄は、突然のことに気が動転して家を飛び出してしまう。パジャマのまま澄の実家へ迎えにいった清は、澄の心の準備ができるまで夫婦の営みはしないことを決め、仲直りする。こうして二人で新居の家具を買いそろえたり、いっしょに銭湯に行ったりして夫婦の絆を育んだ二人は、ようやく手をつなぐことができるようになる。

イケメンの幼なじみ

純岡澄は、イケメンの若者、深田充から声を掛けられる。充は、澄が小学生の頃によくいっしょに遊んでいた幼なじみだった。中学校に進学してなんとなく疎遠になり、同じ高校に通いながらも話す機会のなかった二人だったが、高校卒業後に街中で澄を見かけた充が声を掛けたのだった。澄が結婚したことは充も知っていたが、数年ぶりに会話が弾んだ二人は連絡先を交換し合う。後日、充から同じ元クラスメイトである朝日芯太郎の家での食事に誘われた澄は、親友の古賀実佳子山吹悠を誘う。一方の純岡清は、澄が男友だちの家へ遊びに行くことを快く許可していた。しかし当日、芯太郎の家で盛り上がる五人だったが、清にメールしても既読がつかないことを心配した澄は、一人先に帰宅しようする。すると充は、実は前から澄のことが好きだったと告げ、澄は本当に清のことが好きなのかと問いかける。両親のいない澄は、早く大人になりたくて清との結婚を決めたことを認めつつも、いっしょに暮らし始めて清の誠実さを知り、本当に好きになったと正直に話す。澄が幸せでないのなら彼女を奪うつもりだった充は、澄の話を聞いておとなしく引き下がることにする。その帰り道、買い物をしていた清と偶然出会った澄は、思わず清を抱きしめ、初めてのキスを交わす。

新婚旅行

新婚旅行先をどこにするか迷っていた純岡清純岡澄は、澄の祖父母と亡き両親の新婚旅行先であった熱海に決める。そんなある日、澄が働く弁当屋の金城実乃梨は、澄を買い物へと連れ出し、新婚旅行用の洋服と共に初夜のための下着を選ぶのだった。こうして迎えた2泊3日の熱海新婚旅行では、二人は海辺で水着でたわむれ、温泉や食事を満喫する。その夜、澄は清にいっしょに寝たいと告げ、ついに二人は結ばれるかと思われたが、清が発熱で寝込んでしまい、またしても初夜はおあずけとなってしまうのだった。

すれ違い

純岡清は、アパートの隣室に住む牧村夫婦が、毎朝おでかけのキスをするのをうらやましく眺めていた。清は思い切って純岡澄に頼み込み、二人は毎朝玄関でキスをすることになる。そんなある日、清の勤務する南口店に本部からエリアマネージャーの藤志津子がやって来る。南口店の営業社員の前で檄を飛ばす藤は、清が女性を苦手としていることもすぐに見抜いてしまう。そして藤は、女性を苦手としていること以外は仕事熱心な清を見込んで、その欠点を克服するように指示を出す。そんな清も仕事のできる藤を尊敬するようになり、いっそう仕事に励んでいた。しかし、清は家でも仕事のことばかり考えているため、澄に寂しい思いをさせてすれ違いが生じていく。そんな中、藤と二人で熱海支店へ3日間の出張に行くと告げられた澄は、自分に相談もなく決めたことに怒りを爆発させ、初めての夫婦喧嘩をしてしまう。仲直りすることができないまま出張に向かった清だったが、澄のことが気になって仕事に身が入らないでいた。一方の澄も、自分の言動が子供っぽかったことを反省し、二人は電話で同時に謝罪するのだった。こうして出張から戻った清は澄と仲直りし、初めて二人で風呂に入ることとなる。タオルで目隠しをしたまま風呂に入り、お互いの体を洗い合い、夫婦の絆をより一層深めるのだった。

ライバル登場

山吹悠は参加した合コンで、たまたま深田充と出くわす。いまだに純岡澄との失恋から心の傷が癒えていない充を見ているうちに、悠は充に惹かれるようになる。一方、1か月の指導を終えて支店を去ることとなった藤志津子は、ひょんなことから後輩の小泉との交換ノートがきっかけで付き合いを始めようになる。そんな中、純岡清の2歳下の幼なじみ、森薗梓月が突然新居にやって来て、泊めて欲しいとせがんでくる。清のことを兄のように慕う梓月は、清が寝静まった夜、澄に清との夫婦関係について質問したことで、二人にまだ肉体関係がないことを見抜いた梓月は、清を澄から奪うと宣言するのだった。

登場人物・キャラクター

純岡 清 (すみおか きよし)

不動産仲介業社「スム住ムハウス」の南口店で営業マンとして働く男性。年齢は26歳。体格がよく、ぽっちゃりした体型をしている。生真面目な性格で自分に自信が持てないために、女性を前にすると緊張してしどろもどろになってしまう。女性の目をまっすぐ見ることができず、これまで交際経験はまったくない。しかし誠実で仕事熱心なことから、仕事仲間やお客さんからは愛されている人気者。そんなある日、弁当屋「金城」でアルバイトをしている女子高校生の飛鳥馬澄(のちの純岡澄)に一目惚れする。夢に見るまで澄に思いを寄せるようになるが、何も行動が起こせずに思い悩んでいる中、会社の先輩の黒坂に背中を押されて思わずプロポーズし、意外にもその告白が受け入れられて交際を始める。澄が高校を卒業した4月1日に結婚し、結婚後は新居としてアパートの一室を借り、澄との新婚生活を始める。お互い交際経験がないため、結婚後もなかなか夫婦の営みまではいかず、手をつなぐ、キスをすると一歩ずつ関係を進展させ、夫婦の絆を強めていく。

純岡 澄 (すみおか すみ)

純岡清の妻。年齢は18歳。両親を亡くしており、祖父母の飛鳥馬角太郎、飛鳥馬澄代に育てられた。アルバイトを始めた弁当屋「金城」に客としてやって来た清と出会う。高校2年生の時に清から突然プロポーズされ、高校を卒業した4月1日に教会で結婚式を挙げた。実は弁当屋で出会う以前に街中で清とすれ違ったことがあり、ゴミを拾う姿を見て尊敬の念を抱いていた。清のプロポーズを受け入れたのは、祖父母に苦労をかけないためにも早く大人になりたいという気持ちが強かったが、実際に夫婦生活を始めて、清の朴訥で純情な人柄に惹かれていく。かわいらしい見た目ながら交際経験はまったくなく、コンドームを見てもなんなのかわからなかったほど。夫婦の営みについては、夫婦なら当然とは考えているものの心の準備ができておらず、結婚後に清から初めて求められた際はパジャマのまま実家まで逃げ帰ってしまう。新居となるアパートの一室で新婚生活を送っており、清との仲を徐々に深めていく。高校のクラスメイトである古賀実佳子、山吹悠とは現在も仲がいい。運動を苦手としている。

黒坂 (くろさか)

不動産仲介業社「スム住ムハウス」の南口店で営業マンとして働く男性。純岡清の先輩にあたる。仕事ができるイケメンで、純情すぎる清のことを心配しながらもかわいがっている。純岡澄に思いを寄せる清をからかいつつも、告白するよう清の背中を押した。

小泉 (こいずみ)

不動産仲介業社「スム住ムハウス」の南口店で営業マンとして働く新入社員の男性。純岡清の後輩にあたる。彼女がいないため、月に一度は風俗店に通っている。

佐々木 (ささき)

不動産仲介業社「スム住ムハウス」の南口店で働く男性。純岡清、黒坂、小泉の上司にあたる。公私共に理解のある穏やかな人柄で、清のことも目にかけている。

藤 志津子 (ふじ しづこ)

不動産仲介業社「スム住ムハウス」に勤務する女性。純岡清が勤務する南口店を含めた関東・東海エリアを担当するエリアマネージャーを務めている。スタイル抜群で体にピッタリしたスーツとタイトスカートを身につけている。南口店を支援するために1か月間にわたって清たちを厳しく指導した。藤志津子が本社に勤務していた頃、佐々木は彼女の上司だったが、社長賞を何度ももらうほどのトップ営業ウーマンとなり、今では佐々木よりも出世している。仕事をバリバリこなす一方で、根が暗かったり酒に弱いといった意外な一面を持つ。これまで仕事一筋で一人でいることの寂しさや不満を小泉に打ち明けた。1か月の指導期間を終えて南口店を去ることになるが、小泉とは交換ノートがきっかけで交際を始めることとなる。

金城の親父さん (きんじょうのおやじさん)

弁当と総菜を販売する「金城」の店主を務める男性。純岡清は大学生の頃からこの店に通っている。「俺の弁当で育った清は俺の息子」と言うほどに清のことを目にかけており、清からも「親父さん」と呼ばれている。妻を亡くし、息子の金城玉ノ輔の妻である金城実乃梨と共に店を切り盛りしている。趣味は競馬。

金城 実乃梨 (きんじょう みのり)

弁当屋「金城」で働く女性。金城玉ノ輔の妻で、玉ノ輔の父親の金城の親父さんが経営する店を切り盛りしている。客としてよくやって来る純岡清が女性を苦手にしていることを知っており、からかうこともある。清がまともに会話できる数少ない女性の一人で、出産準備のためにアルバイトとして純岡澄を雇った。その後、長女の金城珠美を無事出産する。かつてはコンプレックスになるほど胸が大きかった。面倒見のいい性格で、澄と清の新婚生活を温かく見守りながら応援している。

金城 玉ノ輔 (きんじょう たまのすけ)

金城実乃梨の夫。実乃梨が会社勤めをしていた時の先輩だった。父親の金城の親父さんが営む弁当屋「金城」に客としてやって来る純岡清とは顔なじみ。祭りの日など、弁当屋のかき入れ時には店を手伝うこともある。

金城 珠美 (きんじょう たまみ)

金城実乃梨と金城玉ノ輔の長女。かわいらしい女の子で、人見知りなところがあり、純岡清にはまだ懐いていない。

飛鳥馬 角太郎 (あすま かくたろう)

純岡澄の祖父。両親を亡くした澄を育てた。庭の家庭菜園で、えだまめやアスパラなどを栽培している。澄から結婚の話を聞いた際は、相手の純岡清を見定めるため、清の働く不動産屋に山田という偽名を使って客として訪れ、妻の飛鳥馬澄代と共に無理難題をふっかける。澄のことを非常にかわいがっており、清と澄の新婚生活を温かく見守りながら応援している。

飛鳥馬 澄代 (あすま すみよ)

純岡澄の祖母。両親を亡くした澄を育てた。家でテレビを見ながらエアロビクスをしている元気なおばあさん。澄から結婚の話を聞いた際は、相手の純岡清の働く不動産屋に客として訪れ、夫の飛鳥馬角太郎と共に無理難題をふっかける。澄のことを非常にかわいがっており、清と澄の新婚生活を温かく見守りながら応援している。

古賀 実佳子 (こが みかこ)

純岡澄の中学時代からの親友の女性。高校のクラスメイトで、高校卒業後は短大へ進学した。山吹悠といっしょに澄の新居を訪ね、結婚祝いとしてイチゴ模様のおそろいのパジャマをプレゼントした。澄からは「みっちゃん」と呼ばれている。恋愛には積極的なタイプ。

山吹 悠 (やまぶき ゆう)

純岡澄の中学時代からの親友の女性。高校のクラスメイトで、将来の夢はトリマーになること。高校卒業後はトリマーの専門学校へ進学した。澄からは「ゆーも」と呼ばれている。相手のことをよく知ってからでないと恋愛できない慎重なタイプ。澄に振られて傷心の深田充を慰めているうちになかよくなる。

深田 充 (ふかだ みつる)

純岡澄と幼なじみのイケメンの男性。中学生時代から学年イチの秀才と知られており、猛勉強のすえ超難関で知られる京東大学の経済学部へ進学した。小学時代は澄とよくいっしょに遊んでいたが、中学時代から疎遠になり、同じ高校に通いながらも話す機会があまりなかった。高校卒業後に結婚した澄と再会し、連絡先を交換し合う。澄に思いを寄せていることを告げるが、澄の純岡清への強い思いを知り、おとなしく引き下がった。

朝日 芯太郎 (あさひ しんたろう)

深田充の親友の男性。小学生時代から仲のいい幼なじみ。大学生となり、一人暮らしを始めたもののなかなか彼女ができずにあせっている。同じ中学出身の古賀実佳子、山吹悠からは「学校一のバカ」と呼ばれるほどのお調子者。

牧村 (まきむら)

純岡清と純岡澄が暮らすアパートの隣室に夫婦で引っ越して来た男性。結婚して10年になる。ドレッドヘアのため、清から「レゲエさん」と呼ばれている。毎朝出勤時に玄関先で妻とキスをしているところを清に目撃される。

森薗 梓月 (もりぞの あずき)

純岡清の幼なじみの女性。清にとっては妹のような存在で、清の実家近くに住んでおり、お互いの家をよく行き来していた。森薗梓月も清を「清兄」と呼んで慕っており、いっしょに風呂に入ろうとするほど懐いている。突然、清の新居を訪ねて来て泊めて欲しいと頼み込んだ。純岡澄に対しても愛想よく振る舞っていたが、清が寝静まると澄に清との夫婦関係について詰問した。話の中で澄がまだ処女であると見抜き、清を奪おうと狙っている。

書誌情報

いとなみいとなめず 9巻 双葉社〈アクションコミックス〉

第7巻

(2022-08-25発行、 978-4575857481)

第8巻

(2023-04-27発行、 978-4575858389)

第9巻

(2023-12-27発行、 978-4575859249)

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