あらすじ
第1巻
古物商を営む縁田佐分太は、最愛の妻に先立たれて寂しい日々を過ごしていた。そんな佐分太のことが気がかりで、成仏できずに幽霊になってしまった妻の縁田環は、長生きの末に化け猫になった五目の手を借りて佐分太に料理のレシピを届ける。佐分太には幽霊である環の姿は見えないものの、環とつながるレシピの存在に、彼は少しずつ寂しさが和らいでいくのを感じていた。一方の環は、自分の死後も思い続けてくれる佐分太の優しさに、心穏やかになるのだった。
登場人物・キャラクター
縁田 佐分太 (えにしだ さぶんた)
古物商を営む男性。妻の縁田環と二人で経営していたが、妻が亡くなってからは一人で店を切り盛りしている。料理は基本的に環任せだったために、彼女の死後は食事はカップラーメンなどで済ませている。夫の生活を心配して成仏できない環は、化け猫となった五目に手伝ってもらいながらレシピを佐分太に届け、佐分太はそのレシピを基に料理を作っている。
五目 (ごもく)
縁田佐分太の家で暮らす猫。実は50年以上生きており、長生きの末に「猫又」という化け猫になった。幽霊となった縁田環の姿を見ることができる唯一の存在で、環とは人間の言葉でコミュニケーションを取っている。環に頼まれ、佐分太にレシピを届ける役目を担っており、時には年長者として環に人生のアドバイスを行うこともある。猫又のために尾が二つに裂けている。
縁田 環 (えにしだ たまき)
縁田佐分太の妻。故人ながら、夫の佐分太のことを心配するあまり成仏することができず、幽霊として佐分太のもとにとどまり続けている。生前は料理が得意で、佐分太も食事を縁田環にほぼ任せっぱなしにしていた。死後も佐分太のことを考えた料理のレシピを考え、猫の五目に協力してもらいながら佐分太にレシピを届けている。
津辻 (つつじ)
縁田佐分太の友人の男性。不動産会社を経営しており、佐分太とは旧知の間柄。佐分太の店に幽霊が出るという噂が流れ始め、その真相を探ろうとするが、佐分太に止められる。妻の縁田環を亡くして落ち込んでいる佐分太のことを気にかけ、様子を見に来ることも多い。
福司田 (ふくしだ)
縁田佐分太の知人の女性。佐分太の祖父の友人であり、現在も佐分太の店に顔を出すことが多い。趣味は麻雀で、津辻や生前の縁田環とよく卓を囲んでいた。特に環に対しては優れた麻雀の腕前を持っていたと評価しており、もう環と麻雀ができないことを嘆いていた。50年以上生きている猫の五目は福司田が幼い頃から知っており、五目も彼女に懐いている。