概要・あらすじ
十九世紀後半。離宮の爆破事件により幼くして盲目になったラストニアの王女アレキサンドラは、亡き母親の教えを守り、人々の善意を信じて日々を過ごしている。息子を次期国王にしたい継母のいやがらせを、何度も乗り越えたアレキサンドラ。その行動が、多くの人々の頑なな心を溶かすのだった。
登場人物・キャラクター
アレキサンドラ
ラストニアの王女。離宮の爆破事件により、八歳で盲目となる。亡き母親の教えを守り、人々の善意を信じるようになる。息子を次期国王にしたい継母のいやがらせにより、何度も権威失墜の危機に陥るが、それを乗り越え評価を高めた。王位継承時の行動により、継母とも和解する。従医のアルバート・ウィンダムを愛している。
フレデリックス1世 (ふれでりっくすいっせい)
アレキサンドラの父親。ラストニアの国王。アレキサンドラの母親が亡くなった後、グレイス・ギルギット伯爵夫人を新たな王妃とする。狙撃され、その傷により長くて余命一年と宣告される。グレイスからライナスに王位を譲るとのサインを求められるが、記すことなく死去した。
アルバート・ウィンダム (あるばーとうぃんだむ)
アレキサンドラの従医。父親が国王に背いて獄中で自殺しており、王家に恨みを抱いている。しかし、アレキサンドラの生き方に接して、考えを改めた。アレキサンドラを愛するようになる。
グレイス・ギルギット (ぐれいすぎるぎっと)
アレキサンドラの母親亡き後、フレデリックス1世が新たに娶った王妃。娘のタチアナと息子のライナスがいる。二度の流産で子供が産めなくなってから、ライナスを次期国王にすることに執着。あの手この手で、アレキサンドラを貶めようとする。しかし戴冠式でのアレキサンドラの行動を知り、改心した。
ライナス
グレイス・ギルギットと前夫との間に生まれた息子。アレキサンドラの生き方を見て、しだいに仲良くなる。
ジリアール
前国王の息子。アレキサンドラの従兄弟。王位継承から除外されると、プロイセンに亡命する。離宮の爆破事件や、フレデリックス1世狙撃事件に関して暗躍した。ラストニアとプロイセンの関係改善の席で、アレキサンドラに拳銃を突きつけたが、彼女の人を信じる心に打たれて改心する。
マージ
グレイス・ギルギットに送り込まれ、アレキサンドラの侍女となる。グレイスの命を受け、アレキサンドラの権威を失墜させようと企んだ。しかし戴冠式に遅れる企みを承知しながら、それでも人を信じることを止めないアレキサンドラを見て改心した。
ベアダント
従医。盲目になったアレキサンドラを診察していた。グレイス・ギルギットにより王宮より追い出される。
ばあや
姓名不詳。アレキサンドラに長年仕えた侍女。グレイス・ギルギットにより王宮を追い出される。
タチアナ
グレイス・ギルギットと前夫の間に生まれた娘。
おかあさま
アレキサンドラの母親。盲目となったアレキサンドラに、人の愛と善意を信じるように言い残して、死去する。
場所
ラストニア
王政を敷いている国。アレキサンドラが、王位継承の騒動に巻き込まれる。
冬の離宮 (ふゆのりきゅう)
ラストニアの王家の離宮。アレキサンドラが八歳のときに爆破事件が起こり、失明することになる。
ユクレンツ
ラストニアの北部の村。嵐による山崩れで、多大な被害を被る。泥だらけになりながら災害現場にたどり着いたアレキサンドラを、熱く支持する。