甘い水

北海道・道東の地方都市で育ち、大人たちに理解されない鬱屈とした気持ちを抱えた高校1年生の戸田夏生が、ある日転校してきた沢俣眞千子と出会い、恋に落ちる。程なく交際を始める2人だったが、眞千子は決して明かせない秘密を抱えており、その秘密を巡って物語が進んでいく。作中で口ずさまれる歌や描かれるアイテムから時代設定は1990年代初頭と推定される。形式としては実家で眞千子を写した1枚の写真を見つけた夏生が、高校時代を振り返る形となっている。なお、タイトルに併記されている「Água Doce」という言葉はポルトガル語で、直訳では『甘い水』となるが、一般には「淡水」を意味している。

正式名称
甘い水
作者
ジャンル
恋愛
レーベル
講談社 / 講談社BOX(講談社)
巻数
全2巻完結
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概要・あらすじ

北海道・道東の地方都市で育った高校1年生の戸田夏生は、進路調査で自身の夢である「海外での絶滅動物の保護活動」と書くものの、教師に説教をされてしまう。鬱屈とした気持ちを抱えたまま過ごす夏生は、ある日転校生の少女沢俣眞千子に出会い、恋に落ちる。やがて交際を始めた2人だったが、眞千子には決して明かせない秘密があった。

ヤクザ稼業の父の斡旋によって売春を強いられていたのだ。その秘密は夏生と眞千子の淡い恋を大きく揺さぶっていくことになる。

登場人物・キャラクター

戸田 夏生 (とだ なつお)

北海道・道東の田舎町で育った高校1年生。3人兄妹の次男で末っ子。父は手作りパンの戸田ベーカリーを営む。タンザニアにあるセレンゲティ国立公園に憧れており、自室にはアイドルのポスターと並んで同公園のポスターが貼られている。学校の進路調査で「将来の夢」としてセレンゲティ国立公園のスタッフとなり、絶滅動物の保護活動を行いたいと書いて提出するが、教師に受け取りを拒否される。 CAMEL MILDを愛飲していたが、転校生の少女沢俣眞千子に出会い、彼女がタバコが嫌いというのを知り、タバコをやめる決意をする。

沢俣 眞千子 (さわまた まちこ)

高校1年の秋に北海道・札幌から道東の町へ引っ越してきて、主人公・戸田夏生と出会い、やがて恋人同士となる。両親と妹・順子とともに4人暮らし。夏生の通う高校は男子が学ラン、女子がブレザーだが、転校生である眞千子はセーラー服ふうの制服を着用している。父によって自宅内での売春行為を強制されており、後に夏生の友人たちを客として迎えることになる。

大平 (おおひら)

北海道・道東にある高校に通う男子高校生で、戸田夏生のクラスメイト。愛飲するタバコはマイルドセブン。高校での進路調査で「将来の夢」などを白紙で提出し、夏生らとともに教師に説教を受ける。知り合いである先輩・樋木田の誘いで同級生の金田、柴、沼尾とともに買春に赴き、そこで夏生の恋人である沢俣眞千子に出くわす。 驚いた彼はその場から逃げ出し、後に夏生にその事実を明かすこととなる。

沢俣 康 (さわまた こう)

沢俣眞千子の父親。札幌から北海道・道東の町へと一家で引っ越してくる。ロシア人との拳銃取引などを行っており、作中では「ヤクザ」と評されている。取引のためにロシア語を話すこともしばしば。自宅では長女である高校1年生の眞千子に売春を行わせており、取引相手であるロシア人や日本人を客にしている。 また、趣味の賭け麻雀で支払う現金がなくなった際に眞千子の体で支払うことを提案している。

沢俣 順子 (さわまた じゅんこ)

沢俣眞千子の妹で小学校4年生。札幌から北海道・道東の町へと一家で引っ越してくる。押し花のノートをつくっており、大事にしている。自宅では姉の眞千子が父によって売春を行わされており、客がやってくると順子は外に出るのが週刊となっていた。そのため、眞千子が恋人の戸田夏生を自宅に連れてきた際も、買春客と間違え、外出しようとして眞千子に制止された。

沼尾 (ぬまお)

北海道・道東にある高校に通う男子高校生で、戸田夏生の同級生。夏生や大平ら、やや素行の悪いグループの一員だが、本人はタバコも吸わず、比較的おとなしい性格。そのため、大平らにパシリのように扱われることもしばしば。タバコを買いに行かされたが、ココアシガレットを買ってきて大平に殴られたりしていた。 大平らに誘われて買春に赴き、そこで夏生の恋人である沢俣眞千子が売春を行っていることを知る。そして、眞千子が初体験の相手となる。

金井 (かない)

北海道・道東にある高校に通う男子高校生で、戸田夏生の同級生。夏生には同級生の大平、柴とともに3バカトリオと呼ばれる場面も。ヘアスタイルは同級生間でも珍しいリーゼントスタイル。知り合いである先輩・樋木田に持ちかけられて、大平柴と同じく同級生である沼尾とともに買春に赴き、そこで転校生で夏生の恋人である沢井眞千子が売春を行っていることを知る。 そして、眞千子が初体験の相手となる。

(しば)

北海道・道東にある高校に通う男子高校生で、戸田夏生の同級生。夏生には同級生の大平、金井とともに3バカトリオと呼ばれる場面も。知り合いである先輩・樋木田に持ちかけられて、大平、金井と同じく同級生である沼尾とともに買春に赴き、そこで転校生で夏生の恋人である沢井眞千子が売春を行っていることを知る。 そして、眞千子が初体験の相手となる。

川島 (かわしま)

北海道・道東にある高校に通う女子高校生で、戸田夏生の同級生。転校してきた沢俣眞千子とはクラスメイトで、体育の授業中に体調不良を起こした眞千子に付き添ったりと比較的仲がいい。眞千子が恋人である夏生に頼まれ、自分の写真を撮ることになった際、撮影を担当。このとき、夏生と眞千子の関係を知り、しばしば夏生にもアドバイスを行う存在になる。

岡部 (おかべ)

北海道・道東にある高校の教師で、戸田夏生らの進路指導を担当している。将来の夢に「タンザニアのセレンゲティ国立公園のスタッフとなり、絶滅動物の保護活動を行いたい」と書いた夏生の進路希望を退け、書き直しを要求する。生徒に対して暴言や平手打ちといった暴力行為を行うこともしばしば。

足袋 (たび)

『甘い水』に登場する猫。まだ小さな子猫だが、何らかの理由で親猫と離れており、道路近くで鳴いているところを戸田夏生と沢俣眞千子に発見された。兄弟と思われる子猫は交通事故で死亡。体は黒く、足先だけ白いことから夏生が「足袋」と名付ける。夏生の靴紐と眞千子の持っていたキーホルダーで首輪をつくり、以後見つけた場所で2人が面倒を見ることとなる。

戸田 睦美 (とだ むつみ)

戸田夏生の姉で戸田家の長女。父の営むパン屋戸田ベーカリーを手伝っている。夏生との兄弟仲は比較的良好の様子で、直接会う前から夏生の恋人・沢俣眞千子の名前も認識していた。

戸田 一哉 (とだ かずや)

戸田夏生の兄で戸田家の長男。実家は手作りパンの店・戸田ベーカリーを営んでいるが、一哉は就職し、会社勤めをしている。夏生の「またすぐクビだ」というセリフから、就職先は何度か変わっていることがうかがえる。会社をサボってミポリンのコンサートに行ったり、「世界中の誰よりきっと」の一節を口ずさんでいる姿から中山美穂のファンであると思われる。

場所

戸田ベーカリー (とだべーかりー)

『甘い水』に登場するベーカリーショップ。戸田夏生の実家が営む店で、自宅の1階が店舗となっている。店頭には「手づくりパン」と書かれており、パン作りは主に父が行っている模様。夏生の姉・戸田睦美も店頭に立っている。

その他キーワード

『おきて―アフリカ・セレンゲティに見る地球のやくそく』

『甘い水』に登場する実在の写真集。動物写真家の岩合光昭の写真集で、同氏が1982年から1年半にわたって家族で過ごしたタンザニア・セレンゲティ国立公園で撮影した写真を収めている。主人公・戸田夏生はセレンゲティ国立公園のスタッフとして働くことを夢見ており、この写真集も欲しがっているが、金額のため購入はできずにいる。 夏生が通う高校の図書室にも収められており、転校生で後に夏生の恋人となる沢俣眞千子は夏生との会話をきっかけにこの写真集に目を通している。

時代背景 (じだいはいけい)

『甘い水』には流行歌や時代を象徴するアイテムが小物として登場する。早見優の「夏色のナンシー」(1983年)や、小泉今日子の「渚のはいから人魚」(1984年)、富士フイルムの使い捨てカメラ「写ルンです」(初代は1986年発売)など、80年代頃のアイテムが非常に多い。ただし、戸田夏生の兄・一哉が中山美穂&WANDSによる「世界中の誰よりきっと」(1992年)を口ずさむシーンがあり、舞台としては1990年代であると思われる。

クレジット

原案協力

板垣久生

書誌情報

甘い水 全2巻 講談社〈講談社BOX〉 完結

第1巻

(2007年2月発行、 978-4062836128)

第2巻

(2007年2月発行、 978-4062836135)

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