概要・あらすじ
福岡県K町。人口約二〇〇〇人の小さな町に生まれた田中龍夫は、中学時代は不良の番をはっていた。しかし、家族旅行で東京に行った際、「特攻服がダサい」と女子高生たちに言われたことから、すっぱりと不良をやめる。高校1年生になった今は、ひたすらソーシャルゲームのレベル上げに勤しむ毎日だった。田中の幼なじみの鈴木英二も同様だった。中学時代は田中と二人で不良たちを束ねていたが、田中が不良をやめると、鈴木もそれに倣ったのだ。夏休みを迎え、暇を持て余した二人は、子供の頃に行った裏山の洞窟で過ごしたり、町民プールでアルバイトをしたりして過ごす。ある日、二人がスイカを食べていると、不良時代の仲間のヤスが助けを求めてやってきた。河原で一人で寝転んでいるときに、隣町のヤンキーに奇襲をかけられ、逃げ出してきたのだという。「火を用意しておけ」という田中の言葉を受け、ヤスはライターを用意して河原に戻る。河原で待ち受けていた佐藤愛矢香(あやか)率いるヤンキーたちに、ボコボコにされるヤス。そこに田中と鈴木がやってきて「花火をやるぞ」と言い放つ。不満を漏らす愛矢香だったが、田中のペースに乗せられて、結局はみんなで花火を楽しんだ。田中と鈴木、都会に憧れる二人の男子高校生を軸に、田舎の日常はゆるやかに流れていくのだった。
登場人物・キャラクター
田中 龍夫 (たなか たつお)
福岡県K町に住む高校1年生の男子。16歳で、ジャギーのショートヘアと右目の下のほくろが特徴。中学生時代はリーゼントに特攻服といった格好の番長だった。家族旅行で東京に行った際、女子高生たちに自分の格好を「ダサい」と笑われ、あっさりと不良をやめる。仲間思いで優しい一面がある。鈴木英二とは幼馴染で、中学生時代もずっと一緒に不良を束ねていた。
鈴木 英二 (すずき えいじ)
福岡県K町に住む高校1年生の男子。16歳で、金髪とピアスが特徴。田中龍夫の幼馴染。中学時代は田中とともにに不良を束ねていた。明るく人懐っこい性格。田中のことを尊敬しているフシがあり、田中が突然不良をやめた際も、彼に倣って自分も不良をやめている。
佐藤 愛矢香 (さとう あやか)
高校1年生の女子。16歳で、福岡県K町の隣町、A町に住む。高校ではフラダンス部に所属する。ショートカットと下唇の左にあるほくろが特徴。1年前、一人で複数の不良たちと喧嘩していた田中龍夫が、愛矢香の飼い犬をかばってやられてしまう事件を経験。以来、田中に憧れて不良になり、ヤンキーたちを束ねている。
京子 (きょうこ)
田中龍夫と鈴木英二のアルバイト先の上司の女性。町民プールの監視、管理の仕事をしているグラマーな大人の女性。お団子ヘアーと眼鏡、下唇の左にあるほくろが特徴。細い見かけによらず大食い。