概要・あらすじ
転勤のため、郷里から上京して来た朝倉新一は、叔父の住む東京下町のアパートに居を構える。しかし、そこは世間の裏街道を歩くアウトローたちの吹きだまり。ごく普通のサラリーマン生活を送る新一にとっては、常識では計り知れない異次元的世界でもあった。新一は、隣人たちの狂態ぶりに翻弄される毎日を過ごしていたが、ある日、同じアパートに住む男性が、遠方で窮地に陥っていることを知る。
仲間と共に彼を救出に出かけた新一は、そこでとんでもない修羅場に遭遇することとなる。
登場人物・キャラクター
朝倉 新一 (あさくら しんいち)
大手企業に勤務する独身青年。一色留次の甥。地方の支店から東京本社に転勤となり、叔父の住むシャトーイースタンに転居することとなる。性格は、礼儀正しく綺麗好きで真面目。仕事に対しては実直に取り組む。サラリーマンの見本のような、さわやかな人物。
一色 留次 (いっしき とめじ)
シャトーイースタンの住人。朝倉新一の母親の弟で、新一の叔父にあたる。指輪などのアクセサリーを、自宅で手作業により加工する彫金師。その腕前には定評がある。飲んべえでバクチ好き。自堕落な性格の独身中年男だが、いざというときには、度胸のあるところを見せる。
常 (つね)
中年のオカマ。いかつい顔とごつい体格をしている。一色留次の部屋に出入りしている仲間の1人で、麻雀が滅法強い。思い込んだら即実行に移す行動力を持つ。朝倉新一の歓迎会に参加した際、初対面の新一に一目惚れしてしまい、一方的に熱を上げる。
倉橋 (くらはし)
シャトーイースタンの住人。一色留次らの麻雀仲間。パンチパーマにサングラス姿の中年男性。自室の黒電話を使って、競馬の違法賭博であるノミ行為を生業としている。過去に網走刑務所に収監されていた前科者。しかし、儲けのほとんどを、愛人に貢ぐほどのお人好しで、臆病者でもある。
タケ
シャトーイースタンの住人。一色留次らの仲間。見た目のさえないハゲ頭の中年男。麻雀はできないが、競輪にハマっている。「掛け取り」と俗称される借金取りの代行を生業としており、裏社会の闇の商売にも精通している。普段はぼんやりしているが、仕事となると、ヤクザ顔負けの凄みを発揮する。
ナミ
シャトーイースタンの住人。一色留次らの仲間。場末のスナックのホステス。昼間からネグリジェ姿で、アパートの各部屋を行き来するあばずれ女。朝倉新一の部屋の真下の部屋に住んでおり、新一が日課とする毎朝のラジオ体操を迷惑がっている。
夏子 (なつこ)
一色留次の部屋に出入りしている仲間の1人。常の悪友。スナックのホステスだが、以前は大企業の社長秘書をしていたと自称。普段はおとなしく清楚な女性を装っているが、酒に酔うと本性を表し、朝倉新一の度肝を抜く。
ネギ屋 (ねぎや)
シャトーイースタンの住人。一色留次らの麻雀仲間。いつもカモにされている男。青果市場で働いている。鉢巻きに腹巻きというだらしない姿で、彼女ができてもフラれてばかり。ぐうたらな性格で、アパートの住人に事細かに文句をつける清潔好きの朝倉新一を、うとましく思っている。
住職 (じゅうしょく)
シャトーイースタンの住人。一色留次らの麻雀仲間。ハゲ頭にサングラス姿の初老の男性。バクチ好きでぐうたらな性格だが、少林寺拳法の達人で、いざというときには、その腕っぷしを振るうこともある。
久子 (ひさこ)
倉橋の愛人。クラブのママとして働いている女性。ヤクザからの借金に加えて、倉橋に貢がせた金をつぎ込み、自身の店をようやく軌道に乗せたところ。自分の店さえ繁盛すればいい、というドライで薄情な性格。
沼田 (ぬまた)
倉橋と久子の知人。荒川の付近一帯をシマとする暴力団「塚穴組」の組員。組のシノギである闇賭博や、闇金融を取り仕切るやり手幹部。久子の店にも融資している。倉橋の起こした金銭トラブルにより、タケと対峙する。
釜地 (かまち)
「タコ部屋」の管理責任者。東北地方の雪深い山間部の工事現場で、訳ありの土木作業員たちが寝泊まりする飯場を、俗に「タコ部屋」と呼ぶ。作業員たちを奴隷のようにこき使い、逆らうとリンチにかける残忍な性格の中年男。バクチ好きで、大金を投じて手に入れた競馬の競走馬を、わが子のように思っている。
場所
シャトーイースタン
古い木造2階建てのアパート。東京の下町、千住東の路地奥にある。築年数のかなり古いオンボロアパート。2階に住む一色留次が主のような存在。アパートの住人だけでなく、周辺に住む留次の仲間たちが、麻雀や馬鹿騒ぎをするたまり場でもある。
クレジット
- 原案