百億の昼と千億の夜

百億の昼と千億の夜

神による救済に疑問を抱き、帝釈天との戦いを続ける阿修羅王と救済を求め仏門に入ったシッタータ王子は、アトランティス崩壊の記憶を持つオリオナエと神に操られたユダに出会い、世界創世の謎に触れる。宗教と文明の行き着く果てをSF的世界観で描いた作品。原作は光瀬龍の同名小説『百億の昼と千億の夜』。原作のコミカライズに相当するが、一部キャラクターの設定が異なっていたり、原作にはないシーンなどが存在する。

正式名称
百億の昼と千億の夜
原作者
光瀬 龍
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
レーベル
秋田書店 / 秋田文庫(秋田書店) / 秋田トップコミックスワイド(秋田書店)
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概要・あらすじ

アテナイの哲学者プラトンは、長年失われた大陸アトランティスについての研究を進めていた。ある時、アトランティスの子孫が住むというエルカシアの村を訪れたプラトンは、宗主によって自分自身がアトランティスの司政官オリオナエであったという記憶を取り戻す。一方、釈迦国の王子シッタータは仏門に入った。

目犍連、須菩提、摩訶迦葉、富楼那の四人の波羅門によってトソツ市へ導かれ、そこで帝釈天阿修羅王の戦いを知ったシッタータは、阿修羅王の真意を知りたいと望む。

登場人物・キャラクター

阿修羅王 (あしゅらおう)

少女の姿をした鬼と呼ばれる者。荒廃が進む宇宙を見て五十六億七千万年後の弥勒による救済を疑い、梵天の治める天上界兜卒天に攻め入り、梵天配下の帝釈天との戦いを四億年続けている。自分でも把握できないほど多くの軍勢を配下に持つ。実体とは別に意識のみの分身を自在に動かす、バリヤーを張るなどの超能力を持つ。

オリオナエ

ポセイドン神に代わってアトランティスの政治を行う司政官。ポセイドンにアトランティスの移動計画を立てるよう命じられるが、地を離れて生きることはできないと拒んだため、アトランティスを海中に沈められてしまう。またその際、惑星開発委員会の存在を知る。その後転輪王の計らいでアテナイの哲学者プラトンとして蘇り、アトランティスの子孫が住むというエルカシアの村で、オリオナエとしての記憶を取り戻す。 何千年もの長い間、世界創世の秘密を知る「道標」として行き続け、「戦士」を待ち続ける傍ら、さまざまな文明が滅ぶのを目の当たりにしてきた。アトランティスで亡くした息子ハルトとその婚約者アリナの姿を周囲の少年や少女に重ねることが多い。 太陽系紀元3905年にトーキョー・シティーで「戦士」であるシッタータと阿修羅王に出会う。

シッタータ

釈迦国の太子。国を捨てて仏門に入り、世を救う者として目犍連、須菩提、摩訶迦葉、富楼那の四人の波羅門によって天上界に導かれる。しかし天上界には荒廃が及んでおり、兜卒天の首都トバツ市で謁見した梵天王から帝釈天と戦い続ける阿修羅王がその原因であると説かれた悉達多は、阿修羅王との対話を望む。 阿修羅王と共に摩尼宝殿に入り、弥勒の不在を知った彼は、神の救済への疑問を抱える。その後転輪王の計らいで海中のポッドで生活していたが、太陽系紀元3905年に意識を覚醒させ、トーキョー・シティーでオリオナエと阿修羅王に出会う。覚醒後は髪の色などが変わっており、名前の表記も漢字の「悉達多」からカタカナの「シッタータ」へ変わる。

イエス

ガリラヤに住む大工の青年だったが、大天使ミカエルから救世主になれという惑星開発委員会の命令を受け取り、人々に世界の終末と最後の審判の教えを布教した後、「神の子」としてゴルゴタの丘で磔刑にあう。その後ミカエルによって地球の管理者としての任務を与えられ、反逆者として阿修羅、シッタータ、オリオナエの三人を見張るよう命じられる。 粗野な性格。頭につけた茨の冠は、震動波や熱線を発する武器となる。

ユダ

イエスの弟子の一人だった青年。ガリラヤで最後の審判の教えを広めるイエスの弟子となったが、次第に神の裁きというものに疑問を持つようになり、ユダヤの司祭にイエスを捕えるよう訴えた。しかしそれもイエスの計画の一部でしかなかったとことに絶望する。その後、大天使ミカエルの手によって記憶をコントロールされ、四千年の間ゼン・ゼン・シティーの首相として群生となった市民たちの管理を行う仕事に就いていた。 しかしゼン・ゼン・シティーを訪れた阿修羅王、シッタータ、オリオナエたちによって記憶を取り戻す。

梵天王 (ぼんてんおう)

波羅門の神。天の意志として天上界を治めている。釈迦国の悉達多太子に世を救う者の尊い相を見出し、目犍連、須菩提、摩訶迦葉、富楼那を遣わして兜卒天の首都トバツ市へと導き、謁見を行う。弥勒が告げた五十六億七千万年後の救済を信じ、摩尼宝殿に弥勒の姿をつくり、その終末と救済の教えを全宇宙に広めた。 弥勒の存在を疑う阿修羅王の警告に耳を貸そうとせず、結果として長い戦争状態を呼び込んだ。天上界の荒廃を阿修羅王の攻勢がによるものと考えているが、これは弥勒による思考コントロールによるものだと阿修羅王と悉達多は推察した。

帝釈天 (たいしゃくてん)

兜卒天を守護するため、天上界で軍勢を率いる者。四億年の間、精強な軍を率い阿修羅王と戦い続けている。かつては阿修羅王とも和平のための連絡を取っていたことがあるようで、今も亜空間通信装置が残っている。オーロラの光を指して、阿修羅王の心のように美しく移り変わると悉達多に語った。 大天使ミカエルの姿をとって、イエスに救世主になるよう教え込んだ本人。

弥勒 (みろく)

宇宙の外部から訪れ、梵天王に世界の終末と五十六億七千万年後の救済の教えを与えた。その姿は兜卒天の首都トバツ市の地下にある摩尼宝殿に飾られている。

転輪王 (てんりんおう)

唯一神にして造物主。この世の外に存在し、生成を得る事一兆年の余という、因縁の支配者。惑星開発委員会“シ”の者たちがいずこからか現れて世界を作り変えていくのを見て、阿修羅王やシッタータ、オリオナエたちを彼らに対抗するよう、密かに導いていた。

グラディウス

アテナイの哲学者プラトンの助手のような存在の青年。各地を旅し、様々な知識を持っている。プラトンと共にエルカシアの村を訪れた。

ユメ

エルカシアの村の長老の娘。プラトンに宗主からのメッセージを伝え、彼の持つアトランティスの記憶を呼び覚ます。

ハルト

アトランティスにおけるオリオナエの息子。十年に一度ポセイドン神が姿を現す祭りの日に、幼馴染のアリナと婚約した。ポセイドンによるアトランティス崩壊で、アリナと共に死亡する。

アリナ

ハルトの幼馴染の少女。アトランティスにおけるオリオナエの息子。十年に一度ポセイドン神が姿を現す祭りの日に、ハルトと婚約した。ポセイドンによるアトランティス崩壊で、ハルトと共に死亡する。

ポセイドン

アトランティスを建国した神。千年前に地上に現れ、人々に文明をもたらし王国を繁栄させた。しかしそれは“シ”の命令を受けた惑星開発委員会によるヘリオ・セス・ベータ型開発の最初の実験であり、実験の最終段階としてポセイドンはアトランティスを移動させ、住民を宇宙の彼方にある神の国アトランタに移住させるという計画を司政官オリオナエに告げる。 しかしオリオナエを始めとするアトランティスの民がこれに反発すると、強硬に移動を開始するが、住民の反乱によって失敗。アトランティスの半分は宇宙の塵となり、半分は海中に没し崩壊してしまう。それを見たポセイドンは、惑星開発委員会に失敗の報告をするべく去っていった。

マレイ

太陽系紀元3905年のトーキョー・シティーに住む少女。ガラクタでオブジェを作っている。オリオナエによくアリナと間違えられていた。イエスの攻撃により倒壊したトーキョー・シティーの電気系統システムに感電して、ヨーと共に死亡。

ヨー

太陽系紀元3905年のトーキョー・シティーに住む少年。マレイに求婚している。イエスの攻撃により倒壊したトーキョー・シティーの電気系統システムに感電して、マレイと共に死亡。

B・6号 (びーろくごう)

ゼン・ゼン・シティーの政府側のB級市民。シッタータをA級市民の個室に案内するよう首相から命令される。一見人間に見えるが、実体はロボット。

老ウッダカ (ろううっだか)

釈迦国の王の側近。出家する悉達多太子を止めようと、悉達多を連れに来た4人の波羅門、目犍連、須菩提、摩訶迦葉、富楼那たちに問答を仕掛ける。

エルカシア

アトランティスの子孫たちが暮らすという村。紀元前であるにも関わらず、家々にはグラウスと呼ばれるガラスの窓があり、タウブと呼ばれる電気のような灯りを使って生活している。高い塔の上に宗主と呼ばれる村長がいるが、プラトンが訪れたときはその姿は見えず、長老の娘ユメに乗り移ったかのような形でプラトンにメッセージを伝えた。

“シ”

『百億の昼と千億の夜』に登場する黒幕。それが組織であるのか、個人であるのか、システムであるのかすら不明な存在。惑星開発委員会に、最終的にすべて滅亡に向かうプログラムを含んだヘリオ・セス・ベータ型開発を行うよう命じた。帝釈天は阿修羅王に“シ”のことを語った時、「己の死」と言い換えた。

目犍連、須菩提、摩訶迦葉、富楼那 (もくけんれん、すぼだい、まかかしょう、ふるな)

惑星開発委員会のメンバーたち。波羅門の姿で釈迦国を訪れ、仏門に入った悉達多を兜卒天の梵天王の元へ導く。また、イエス生誕時にも東方の博士として祝福に現れ、ヘロデ王の虐殺からイエス親子をエジプトへ逃がすなどした。

集団・組織

惑星開発委員会 (わくせいかいはついいんかい)

『百億の昼と千億の夜』に登場する組織。アスタータ50に根拠地を置き、“シ”からの指令を受け、宇宙に知的生命体を生み出し、高度な文明を作るというヘリオ・セス・ベータ型の開発を施した。そして各地に関与した委員たちはそれぞれの地で神のように崇められ、宗教の発生が起こった。全容は定かではないが、梵天王に教えを与えた弥勒、アトランティスを統治したポセイドンなどがそのメンバーであると推察される。

場所

アスタータ50

惑星開発委員会の根拠地であった場所。ここで弥勒やポセイドンを始めとしたメンバーが「“シ”」の指令を受け、宇宙にヘリオ・セス・ベータ型の開発を行うべく、計画を立てていた場所。しかし開発は失敗に終わり、阿修羅王たちが訪れる数千年前に、彼らはアスタータ50を去って行った。 兜卒天のトバツ市の地下にある、摩尼宝殿の弥勒像の口がアスタータ50への入り口になっている。

ゼン・ゼン・シティー

地球ではない惑星にある都市。かつて滅びが迫った時、A級市民は記号データに自分たちを還元させ、個室のスイミンソウで永遠の夢を見続ける群生生物となることを選び、都市にはロボットのB級市民だけが残された都市。ただ一人の人間である首相が都市を管理し、ゼン・ゼンの神と呼ばれるデータ管理機構が都市を支配している。 これまで宇宙に現れた惑星開発委員会への反逆者たちがこの都市に送り込まれ、スイミンソウの罠にかかり犠牲となっていた。

トーキョー・シティー

かつては内惑星連合の首都として栄えた都市。しかし2900年代に入り、宇宙全体のエネルギーポテンシャル低下現象が起こり、地球は死の惑星となる。トーキョー・シティーもかつては六億人の市民がいたが、3905年にはわずか30人を残すばかりとなっている。

摩尼宝殿 (まにほうでん)

兜卒天の首都トバツ市地下にある、弥勒の坐像を祭った場所。弥勒像の口はアスタータ50への入り口となっている。

兜卒天 (とそつてん)

天上界における生命発生の原点にして、字数発生の原点となった場所。高度な科学力を持ち、宇宙全体を覆う衰亡の中で都市機構を維持している世界。天上界の支配者梵天王が身を置いている。首都はトバツ市。

トバツ・シティー

兜卒天の首都。高度な科学力によって支えられた光り輝く都市。天上界の支配者梵天王が身を置く。地下には弥勒の姿を納めた摩尼宝殿がある。

アトランティス

ポセイドンがヘリオ・セス・ベータ型開発の最初の実験地として作った王国。高度な科学技術と美しい都市、人々が幸福に暮らす理想郷だった。しかし開発の最終段階としての移動計画に人々が反対したため、王国は一夜にして崩壊する。

クレジット

原作

ベース

百億の昼と千億の夜

書誌情報

百億の昼と千億の夜 全1巻 秋田書店〈〉 完結

第1巻

(1984年9月発行、 978-4253099530)

百億の昼と千億の夜 全1巻 秋田書店〈秋田文庫〉 完結

第1巻

(1994年4月発行、 978-4253170024)

百億の昼と千億の夜 全1巻 〈秋田トップコミックスワイド〉 完結

第1巻

(2003年1月発行、 978-4253189293)

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