アトムキャット

アトムキャット

宇宙人の手によって鉄腕アトムと同じ能力を持つロボットに改造された子猫のアトムが、飼い主のつぎ夫を助けながら活躍する姿を描く。手塚治虫による、『鉄腕アトム』のセルフリメイク作品としての側面も持つ。「ニコニココミック」1986年7月号から1987年2月号にかけて掲載された作品。

正式名称
アトムキャット
ふりがな
あとむきゃっと
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
レーベル
手塚治虫文庫全集(講談社コミッククリエイト)
関連商品
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概要・あらすじ

つぎ夫は、ある日ゴミの中に捨てられていた子猫を拾う。子猫に「アトム」と名付けて世話をしていたつぎ夫だったが、アトムはあまりにいたずらが過ぎるため、両親に捨ててくるよう命じられてしまう。しかたなく捨てに行く途中、宇宙人が運転する車にひかれてアトムは死んでしまう。慌てた宇宙人は手術を施すが、地球の文化を知らないため、つぎ夫の脳内にある記憶を頼りにアトムを『鉄腕アトム』と同じ能力を持つロボットに改造してしまう。

つぎ夫はその事実を周囲に隠しながら、アトムの活躍で数々の事件を解決していく。

登場人物・キャラクター

アトム

不法投棄されたゴミの中に捨てられていた子猫。宇宙人が運転する車にひかれて死んでしまうが、地球で問題を起こしたくない宇宙人の改造手術によって生き返った。その際に鉄腕アトムと同じ7つの能力を身に付け、言葉を話すこともできるようになった。自分を拾ってくれたつぎ夫を慕い、つぎ夫のピンチには力を発揮して手助けする。つぎ夫が恋するエリカの飼い猫ムンクに一目惚れして命がけで助けるが、普通のオス猫が好きだからと振られてしまう。 親の顔を知らないことを寂しがっており、つぎ夫の与えた猫の人形を母親と慕って大事にしていたこともある。

つぎ夫 (つぎお)

アトムを拾った少年。弱虫で、同じクラスのいじめっ子、カダフィから嫌がらせや暴力を受けているが、いつも泣いてばかりで逆らうこともできない。アトムと一緒に事故に遭った際、失神している間に脳内にあったマンガ『鉄腕アトム』の記憶を読み取られたことが、宇宙人がアトムを勘違いして改造する原因となった。気は弱いが優しい性格で、親のいないアトムのため、母猫代わりの人形を与えたこともある。 カダフィの妹であるエリカに、密かに恋をしている。

つぎ夫の父 (つぎおのちち)

つぎ夫の父親。子供の頃に読んだ手塚治虫の『鉄腕アトム』に憧れて、自分でロボットを作ろうとロボット屋になった発明マニア。マイコンを使って、迷路を自分で判断して終点までたどり着く「マイクロマウス」というロボットを自作するなど、その能力は確か。泥棒よけの爆弾付き人形を作って企業に売り込んだりもしたが、あまり実を結んでいない。

つぎ夫の母 (つぎおのはは)

つぎ夫の母親。体が大きく、しっかり者で肝っ玉も据わっている。実験ばかりしているつぎ夫の父を口では責めるが、爆発事故に巻き込まれたかもしれないと知ると、大泣きして心配する面もある。実は怖がりで、ピラミッド展につぎ夫とアトムを連れて行った時、アトムがミイラのお棺を壊したと知って、たたりに遭うのではないかと怯えていた。

チャールズ

アトムとつぎ夫をひいた車の助手席にいた宇宙人。白人男性のように見えるが、これは人間の皮をかぶって変身した姿。高度な科学力を持っており、死んでしまったアトムを改造し、ロボットとして生き返らせた。しかし地球の文明に関する知識が乏しいため、つぎ夫の記憶を読み取った時にマンガの『鉄腕アトム』と子猫のアトムを同じものだと勘違いしてしまい、鉄腕アトムの能力をそのままアトムに与えた。

ダイアナ

アトムとつぎ夫をひいた車を運転していた宇宙人。白人女性のように見えるが、これは人間の皮をかぶって変身した姿。つぎ夫の記憶からアトムを消して事故をもみ消そうとしたり、アトムの改造手術をチャールズにすべて任せて注文ばかりつけたりと、冷たさや無責任さをのぞかせる。

カダフィ

つぎ夫のクラスメイト。体格がよく荒っぽい乱暴な性格で、なにかとつぎ夫にちょっかいをかけては、意地悪をしたり仲間はずれにしたり、時には暴力を振るうこともある。一方で妹のエリカを可愛がっており、迷子になったエリカの飼い猫であるムンクをつぎ夫が見つけ出した時には、わざわざ家までお礼を持っていく律義な一面もある。

エリカ

カダフィの妹だが兄にはまったく似ておらず、とても可愛らしい顔立ちで性格も優しい。兄のことは慕っている。大事にしていた飼い猫のムンクが山の中で迷子になってしまった際には、悲しんで泣いているのを知ったつぎ夫がアトムに頼んだことでムンクは救出され、兄と一緒にお礼に訪れた。

ムンク

エリカの飼い猫。白くて毛並みがふわふわしたメス猫で、迷子になったムンクを助けに来たアトムに一目惚れされる。飼い主のエリカに似て優しい性格で、迷い込んだ山の中で山火事が起きため、山に住む動物たちも一緒に助けてくれるようアトムに頼む。しかし、のちにアトムが普通の猫ではないことに気づき、普通のオス猫が好きだからとアトムを振ってしまう。

真田度 (またたび)

つぎ夫の家の近所に引っ越してきた女性。謎めいた雰囲気を漂わせる美人で、悪霊猫のメフィストを連れて挨拶に訪れる。その正体は人間ではなく、メフィストの超能力によって操られているマネキン人形である。

メフィスト

真田度の飼い猫のように見えて、実はマネキン人形である真田度を超能力で操っている存在。ムンクに目を付けて手に入れようとするが、何度もアトムに邪魔される。そのためあえて真田度の正体をバラし、つぎ夫の一家を怯えさせて引っ越すように仕向け、アトムを追い払おうとする。

会長 (かいちょう)

会社を運営する傍ら、裏で武器密輸組織を牛耳っている男性。自社ビルを建てる時に内部に秘密工場を作っており、フィリピンから密輸した部品を組み立てて銃を製造している。屋上にある秘密工場への出入口をつぎ夫がスケッチしていると勘違いし、誘拐して始末しようと試みる。

ネコソス

もともとはエジプトの王が可愛がっていたペットの猫だったが、王の死とともに殺されてミイラにされ、来世で再び王と会えるように一緒にピラミッドに埋葬された。自分を殺した人間を恨み、魂となって5000年間も復讐する機会を待ち続けていた。つぎ夫がアトムを連れて訪れたピラミッド展でアトムと出会い、普通の猫とは違うことにも気づくと、自分に協力するようにアトムに要請。 断ったアトムを殺そうとする。

書誌情報

アトムキャット 講談社コミッククリエイト〈手塚治虫文庫全集〉

(2009-12-11発行、 978-4063737318)

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