神の子

神の子

偉大な野球選手を父親に持つ主人公が、自分の父親との比較というプレッシャーに押し潰されそうになりながらも、挫けず愚直に努力する姿を描いた野球漫画。女子マネージャーとの恋など、高校生活における思春期の恋やその葛藤も描かれている。「少年ビッグコミック」に1986年から1988年まで連載された作品。

正式名称
神の子
ふりがな
かみのこ
作者
ジャンル
野球
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概要・あらすじ

高校生の津村拓海は、伝説の野球選手である津村陽一の一人息子。昔から父親と比較され苦しめられ続けてきた拓海は、高校に入学したら今まで続けてきた野球をすっぱり止める決意を固めていた。しかし、拓海の入学した南陽学園は校長先生が非常に野球に熱心で、拓海の入学を知ると、各地から有望な1年生を集め、拓海をエースで4番に据える計画を立てていた。

その熱意に負けた拓海は、もう一度野球を続けることを決める。しかし、南陽学園野球部のチームメートは、プロ野球選手の息子にも関わらず実力が伴っていない拓海に、不信感を持つ者ばかりだった。

登場人物・キャラクター

津村 拓海 (つむら たくみ)

津村陽一の息子で、南陽学園野球部に所属する高校生。中学時代は3年間補欠に甘んじていたが、それでも野球を好きな気持ちは人一倍強く、どんな辛い練習も耐えていた。一方で、伝説の野球選手と評される父親と比較されることを嫌っている。

津村 陽一 (つむら よういち)

津村拓海の父親で、かつて日本中を沸かせていた元プロ野球選手。パンチ力のある打撃と華麗な守備は全国民を魅了し、まさにスーパースターと呼ぶに相応しい存在であった。現在は日本のスポーツ大使として、津村拓海の母と共にヨーロッパを回っている。

津村拓海の母 (つむらたくみのはは)

津村拓海の母親で、津村陽一の妻。陽一と共に海外を飛び回っていることが多く、拓海とは手紙のやり取りもしていない。そのため、久しぶりに会っても親子にしては距離が遠い。陽一と結婚するにあたっては、自分の人生を夫のために捧げることを決意し、現在もそれを実行している古き良き大和撫子。

大西 (おおにし)

メイドの女性。津村邸の広い敷地内で、たった1人で津村拓海の身の回りの世話係を務める。仕事はしっかりとこなすタイプで、拓海が「休んでてもいい」と言っても、その言葉に甘えずに仕事を完遂する。

白鳥 (しらとり)

南陽学園野球部に所属している男子生徒。ポジションはファースト。津村拓海の入部に関してはかなり否定的な人物で、「親の七光り」であることをしきりに強調して不満をもらしていた。南陽学園野球部が練習試合を行った際には、拓海の代わりにピッチャーとして投げるプランもあり、ファーストながらピッチャーも兼任できる器用さを持っている。

飯塚 (いいづか)

南陽学園野球部に所属している男子生徒。ポジションはセカンド。かなり軽い性格で、普段から女の子のナンパに励んでいる。練習のない日はデートに勤しむ、チーム一のプレイボーイ。一方で、野球センスは抜群。

吉田 (よしだ)

南陽学園野球部に所属している男子生徒。ポジションはサード。部内においては部員を取りまとめる立場にあり、チーム全体のことを考えて、リスクのある行動を避けようとする慎重な性格。その性格から、飯塚には「心配性」と評されている。

河野 (こうの)

南陽学園野球部に所属している男子生徒。ポジションはショート。バイクが好きで、夏の予選終了後は井草を後ろに乗せて共に峠を走っていた。調子に乗ってバイク事故を起こし、腕を負傷したまま試合に臨むこともあった。

井草 (いぐさ)

南陽学園野球部に所属している男子生徒。ポジションはキャッチャー。がむしゃらに努力をし続ける津村拓海を見て、部内でも早い段階で拓海のことを認めた。その後は自らが球を受けることを申し出て、腕の振り方などを惜しみなくアドバイスした。青森出身で、しゃべると少々東北なまりが出る。

相馬 (そうま)

南陽学園野球部に所属している男子生徒。ポジションはレフト。部員の中では唯一メガネをかけていて、見るからに真面目なタイプ。ところが夏の地区予選で準優勝したことをきっかけに、校内の女子からの評判がうなぎ上りに高まり、以後は女子生徒と夜な夜な遊びに出かけるなど、不真面目な態度を取るようになる。

長谷川 (はせがわ)

南陽学園野球部に所属している男子生徒。ポジションはセンター。実力がないなりに努力を続けている津村拓海のことを、早い段階から認めていた人物の1人。女の子にも年相応に興味があるようで、最初の夏の大会後は、海に行って水着の女性を見つめてニヤニヤしていた。

ジョージ

南陽学園野球部に所属している男子生徒。ポジションはライト。アメリカのケンタッキー州出身の外国人選手。パワーはチーム一と評されている。暇な時間があればディスコに行き、高校生ながら本格的なダンスを披露している。

尾崎 利奈 (おざき りな)

校長先生の娘で、南陽学園野球部のマネージャーを務める女子生徒。小さな頃から父親に津村陽一の話を聞かされており、陽一の息子である津村拓海が率いる南陽学園野球部を甲子園に出場させる、という父親の夢を実現させるために尽力している。部内での発言力と影響力は非常に強く、キャプテンの任命から選手のポジション決定まで任されている。

一条 (いちじょう)

南陽学園の若い女性教師で、担当は英語。尾崎利奈の要請で南陽学園野球部の顧問を務めるようになった。野球のことは何も知らないが、少しでも力になろうとする意欲は高い。利奈からは「なにもしなくていい」と言われているが、唯一ジョージの通訳としては期待されている。

矢部 (やべ)

毎朝スポーツの記者を務める男性。元々は津村陽一を担当していた記者で、その付き合いは長く、津村拓海が生まれる前から。津村邸に訪れたことも何度もあり、拓海にとっては家族と言っても差し支えないほど気心の知れた人物。

磯村 由紀 (いそむら ゆき)

尾崎莉奈の中学時代の同級生の女性。現在は売れっ子アイドルとしてTVに出演している有名人。類まれなルックスの持ち主で、中学生時代から人気者。南陽学園野球部の部員からも支持されている。弟が少年野球チームに所属しており、津村陽一の息子である津村拓海に、1日でいいからコーチをして欲しいと、尾崎利奈経由で頼み込む。

大友 (おおとも)

長谷川の中学時代のチームメイトの男子生徒。かつてはバッテリーを組んでいた。剛速球が売りの投手で、徳島の強豪校に進学。高校入学後間もなく肩を壊し、野球部を退部している。既に投手としての活躍は見込めないが、投げる球は肩を壊した投手とは思えないほどに速い。

ヨシコ

中学1年生の時に大友に好意を寄せていた女子生徒。長谷川いわく「学校一のブス」で、当初はかなりしつこく大友に付きまとっていた。そこへ長谷川が助け舟を出し、心にもないことを言って気を引いていたため、次第にそれを真に受け、長谷川に好意を抱くようになる。

吉川 めぐみ (よしかわ めぐみ)

校長先生が参加した同窓会に来ていた同窓生の娘。素敵な男の子と付き合って、原宿でデートすることが夢。津村陽一と共にマスコミに取り上げられていた津村拓海を気に入り、デートに誘ったりとアプローチをかける。恋に積極的な少女。

広子 (ひろこ)

南陽学園に通う女子生徒。津村拓海のことが好き過ぎて南陽学園野球部のマネージャーを志願した。猛アタックをかけているのにも関わらず、なかなか自分になびかない拓海と既成事実を作るため、お酒を飲ませて何とかしようとしたが、失敗に終わる。

由美 (ゆみ)

南陽学園に通う女子生徒。津村拓海のことが好き過ぎて南陽学園野球部のマネージャーを志願した。かつてカズキと同じツッパリグループに所属していたが、高校で別れた後はグループを抜けている。じゃんけんが非常に弱い。

カズキ

清泉高校に通う有名な不良の男子生徒。中学時代はツッパリグループに所属して由美と行動を共にしており、過去には由美と付き合っていたと思しき発言もしている。すぐ暴力に訴えかける凶暴な性格で、やり返すと甲子園出場が危ぶまれることを知ったうえで、津村拓海に暴行を加えた。

井草の父親 (いぐさのちちおや)

井草の父親。センバツに出られる可能性があるということで、わざわざ青森から南陽学園のある関東圏まで応援にきた。息子想いの父親。甲子園に出場したら、井草が兼ねてから希望していたプロの道に進んでもいいと約束する。

校長先生 (こうちょうせんせい)

南陽学園の校長を務める男性。入学早々津村拓海を校内放送で呼び出し、野球をやらせるためにピッチャーのポジションと背番号1のユニフォームまで用意していた。一度は拓海から入部を断られるものの、めげずに南陽学園野球部を見学するように勧めるなど、野球に対する熱意は非常に強い。

場所

南陽学園野球部 (なんようがくえんやきゅうぶ)

津村拓海が所属する私立南陽学園の野球部。拓海が南陽学園に入学することを知った校長先生が、全国から精鋭を集めたため、非常にレベルが高い。他の運動部のレベルが軒並み低い南陽学園においては、唯一全国を狙うことのできる部活動となっている。

城秀高校 (じょうしゅうこうこう)

甲子園に幾度となく出場している野球の強豪校。南陽学園の練習試合の初めての相手となる。前年度も甲子園に出場しており、その時はベスト8の成績を修めている。超高校級のピッチャーを擁しており、打撃陣も津村拓海から3回までに全員安打を記録するなど隙がない。

昭栄高校 (しょうえいこうこう)

過去に甲子園優勝を成し遂げたことのある伝統校。しかし、夏の大会では3回戦敗退という不本意な結果に終わっており、夏の大会で準優勝した南陽学園の部員からは、「寝不足でも勝てる」と完全に見下されている。

白鳥酒店 (しらとりさけてん)

南陽学園野球部に所属する白鳥の実家。多種多様な酒を取り扱っている酒の専門店。店頭販売だけでなく指定の場所まで商品を届ける配達のサービスなども行っている。白鳥がお手伝いでバイクに乗って届けることもある。

愛の木陰 (あいのこかげ)

南陽学園野球部の寮から離れた場所にある木陰のこと。各々が自ら持ち込んだ女性グラビア誌で、こっそりと自慰行為をするための場所。部員同士が一緒になると気まずいので、もし使用している場合は、目印として木の枝にズボンをぶら下げることになっている。

津村邸 (つむらてい)

津村拓海の実家で、非常に敷地の広い豪邸。また、屋敷の中は津村陽一の巨大な写真や、陽一が過去に獲得したカップ、トロフィーなども飾られており、新聞の切り抜きなども保存されている。野球ファンにはたまらない場所となっている。

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