概要・あらすじ
能の家元に生まれた近衛儚の自慢の兄、近衛鼕也は容姿端麗で成績も優秀と、申し分のない跡継ぎだった。鼕也はその整った容姿から、近隣の高校でも女子生徒にとても人気があり、「白の君」と呼ばれている。儚はそんな鼕也を兄として慕っていたが、鼕也が儚へ注ぐ愛情は兄妹のそれとは違い、淫らで歪んだものだった。腹違いの兄へきつくあたる母親を見て、「兄を慰めるため」として儚は小さな頃から淫らな行為を続けていたが、それをおかしなことだとは知らず、変わらずに鼕也を慕い続けていた。
だがある日、2人の前に儚の許嫁を名乗る橘桐人が現れる。
登場人物・キャラクター
近衛 儚 (このえ はかな)
紫堂高校1年の女子生徒。能の家元で、本妻の子として生まれた。ストレートの長い黒髪がとても美しい少女だが、常々美しすぎる兄と比べられるせいで劣等感を抱いている。真っ直ぐにものをいう性格で、年上で威圧的な態度で接してくる橘桐人にもひるむことなく口を利く。兄にべったりで、周りからはブラコンのレッテルを貼られてしまっているが、本人はまったく気にしていない。 愛人の子である兄に冷たくあたる母親を見て、兄を慰めるために、自らの体を差し出すこともいとわない。
近衛 鼕也 (このえ とうや)
紫堂高校の1年の男子生徒。とても整った容姿で、他校の生徒からも「白の君」と呼ばれ噂されるほど人気がある。能の名門である「近衛流」の跡取りで、「孤高の天才」「美貌の寵児」などと評されているが、本妻ではなく愛人が生んだ子であるがために風当りは強い。特に本妻からは幼い頃から冷たくあたられており、庇ってくれる妹の近衛儚のためにも早く認められたいと、遊ぶ暇もなく稽古に励んできた。 なんの偶然か同じ日に生まれた儚に、妹へ向けるにしては過剰すぎるほどの愛情を注いでいる。
橘 桐人 (たちばな きりひと)
近衛儚や近衛鼕也と同じ紫堂高校に通う、2年の男子生徒。能の名門である「近衛流」の最大の後援者、橘照グループの会長の孫で、儚の許嫁。その美貌と近寄りがたい雰囲気から「黒の君」と呼ばれ、鼕也と同じくらい人気がある。空手部の幽霊部員だが、その実力は確かなもので、他校との練習試合では、負けると思われていた試合の終盤になって、逆転勝利する。 高圧的な物言いをしたり儚に乱暴をしたりするが、病気で入院している母親の前ではとても素直で、優しい一面を見せる。
鼕弥 (とうや)
親と共に能を確立した美しい青年。天人かと思うほどの美貌から、将軍の庇護を受けているほど。とても美しく力強い舞いと、その美貌に、女性からとても人気があり、いつも追いかけられている。玻加奈との出会いも、女性たちに追いかけられて逃げていた時のことだった。初めて会った時から、玻加奈に惹かれ、恋に落ちる。
玻加奈 (はかな)
美しい姫君。蝶よ花よと寵愛されて育ったため、おっとりとしていて、異性に対して無防備すぎる一面がある。女性に追われて庭へ逃げ込んできた鼕弥に出会って一目で恋に落ち、それまではまったく恋というものを知らずにいたが、鼕弥との出会いで急激に女性としての意識が芽生える。鼕弥に会うために度々屋敷を抜け出すほど、無鉄砲なところがある。