福家堂本舗

福家堂本舗

遊知やよみの代表作の一つ。伝統を重んじる京都を舞台に、老舗和菓子屋「福家堂」で生まれ育った三人姉妹である福吉雛、福吉あられ、福吉ハナの恋愛模様と成長を描いた人情ラブストーリー。集英社「ぶ~け」1995年6月号から2000年3月号にかけて連載された作品。2016年10月にAmazonプライム・ビデオで実写ドラマ版『福家堂本舗-KYOTO LOVE STORY-』が配信され、福吉雛を佐々木希、福吉あられを早見あかり、福吉ハナを宮野陽名が演じている。実写ドラマ版では福吉あられが主人公を務める。本作の30年後を舞台とした続編に、遊知やよみの『福家堂本舗 弐』がある。

正式名称
福家堂本舗
ふりがな
ふくやどうほんぽ
作者
ジャンル
キャリアウーマン
 
恋愛
レーベル
集英社文庫(コミック版)(集英社)
巻数
既刊7巻
関連商品
Amazon 楽天

京都の老舗和菓子屋が舞台

舞台となるのは創業450年を超える、京都東山にある老舗和菓子屋「福家堂」で、かつては豊臣秀吉に茶菓子を献上したことでも知られ、現在も茶事や茶会で利用されている。確かな歴史と伝統が継承された福家堂の17代目女将を務める福吉駒子には、福吉雛、福吉あられ、福吉ハナという三人の娘がいる。個性あふれる福吉三姉妹の恋や成長をとおして紐解かれる福家家の歴史とともに、魅力的な人間ドラマが展開される。福家堂の重い暖簾を背負う福吉姉妹の葛藤や、切ない恋の行方も見どころとなっている。また、京都独自の伝統や文化を解説する豆知識、和菓子にまつわる小ネタも楽しめる。

京都特有の伝統文化の世界で生きる三姉妹

老舗和菓子屋「福家堂」を切り盛りする長女の福吉雛は、母親の福吉駒子をサポートするしっかり者ながら、朗らかな笑顔の下にさまざまな悩みと葛藤を抱えている。次女の福吉あられは、短大を卒業後は就職もせずに遊び歩いている自由奔放なおてんば娘だが、福家堂の伝統を人一倍大切に思っている。三女の福吉ハナは、雛にもあられにも似ていないふつうの中学生で、同級生の庵智に思いを寄せている。お年頃の三姉妹が、恋愛や家族、仕事とさまざまなことに悩み、時には三人で励まし合いながら成長していく。当初は語り部を務めるハナの視点で物語が進行するが、途中からは雛やあられ視点のエピソードも加わる。

老舗和菓子屋の三姉妹の恋の物語

しっかり者の長女・福吉雛が、老舗和菓子屋「福家堂」の跡継ぎだと誰もが思う中、雛は鈴鳴屋百貨店の御曹司でもあるイケメン銀行員・桧山薫から、いきなりプロポーズされる。母親の福吉駒子は、雛と和菓子職人・宮迫健司の縁談を進めていたために猛反対するが、雛の本心を知って結婚を認めることになる。代わりに跡継ぎを任されたのは、雛とは正反対のタイプで自由奔放な次女・福吉あられだった。納得のいかないあられは反発するも、仕方なく女将修業を始めるが、幼少期から思いを寄せていた健司が傷心から実家に帰ってしまい、彼が京都に戻ってこないかもしれないと不安に駆られる。そんなあられと雛の恋路をハラハラしながら暖かく見守っていた三女の福吉ハナも、思いを寄せていた庵智と離れ離れになってしまう。遊知やよみが得意とする緻密なストーリー構成と、繊細な心理描写やセリフをとおして、福家堂にかかわる人々が織りなす人間模様を楽しめる。

登場人物・キャラクター

福吉 ハナ (ふくよし はな)

老舗和菓子屋「福家堂」を営む福吉家の三女。初登場時は中学2年生で、身長は165センチ。茶髪のロングヘアを二つのおさげにしている。京都弁で話す。女将を務める母親の福吉駒子、姉の福吉雛と福吉あられの四人で暮らしている。菓子職人だった父親の福吉宗一はすでに亡くなっている。三姉妹の末っ子だが性格は姉たちとはまったく違い、少しシャイで天然な一面がある。中学校の同級生・庵智に思いを寄せているが、身長が智よりも高いことにコンプレックスを抱いている。幼少期は雛よりもあられに面倒を見てもらうことが多かったため、現在も舎弟のような立場にある。このため、雛よりもあられと険悪になることを苦手としている。しかし、駒子も知り得なかった雛の本心を見抜いたり、あられの豪遊パターンを熟知していたりするなど、二人のよき理解者でもあり、慕っている。のちに智と両思いになるが、高校進学を前に彼が転校したことで離れ離れになってしまう。

福吉 雛 (ふくよし ひな)

老舗和菓子屋「福家堂」を営む福吉家の長女で、福吉あられと福吉ハナの姉。初登場時の年齢は25歳で、明るい茶髪をボブヘアにしている。京都弁で話す。母親の福吉駒子といっしょに福家堂を切り盛りしている。美人で愛嬌もあり、近所でも評判のしっかり者。駒子が信頼する和菓子職人の宮迫健司と婚約しており、健司と結婚して福家堂を継ぐと思われていたが、イケメン銀行員の桧山薫にプロポーズされて結婚を決める。一見すると従順に見えるが、本音では進学や将来など何もかもを駒子に決められた人生に嫌気が差している。駒子に猛反対されるものの、長らく溜め込んでいた本心を打ち明けたことで薫との結婚が認められ、跡継ぎはあられに任せることになった。プロポーズされるまでは薫に興味はなかったが、実は幼少期に何度も会っていた。ふだんはおっとりしているが、家族にも弱みを見せていないだけで、頑固さと気の強さを隠し持っている。

書誌情報

福家堂本舗 7巻 集英社〈集英社文庫(コミック版)〉

第1巻

(2008-12-12発行、 978-4086188319)

第2巻

(2008-12-12発行、 978-4086188326)

第3巻

(2009-02-18発行、 978-4086188333)

第4巻

(2009-02-18発行、 978-4086188340)

第5巻

(2009-04-17発行、 978-4086188357)

第6巻

(2009-04-17発行、 978-4086188364)

第7巻

(2009-05-15発行、 978-4086188371)

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