私のオオカミくん

私のオオカミくん

作者・野切耀子の初のオリジナル連載作品。人間関係によって心に傷を負った少女と、母親に捨てられて心に傷を負った、人間の姿をした狼の少年の青春ラブストーリー。北海道にある田舎の高校で、人間の姿をした動物の友人たちを巻き込み、自分の気持ちに苦悩する2人の姿を描く。講談社「ARIA」2014年10月号から2016年5月号まで連載。

正式名称
私のオオカミくん
ふりがな
わたしのおおかみくん
作者
ジャンル
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概要・あらすじ

楠木こむぎは、人間関係によって心に傷を負い、東京から北海道へと引っ越して来た。新たに転入した高校では、校内で女子たちが崇めるアイドル的な人気者の大神結と同じクラスになり、席まで隣になってしまう。できれば平穏に過ごしたかったこむぎは、そんな結との付き合い方に警戒心を覚える。ある日、彼が実は狼であることを知る。

戸惑いを隠せないこむぎだったが、結がいつも人知れず自分を助けてくれていたことに思い至り、やがて自分が結に好意を抱き始めていることに気付く。だが、そんなこむぎに対し、母親に捨てられた過去がある結は、人を好きになることはないと語る。辛い過去を持つ結のために奔走するこむぎと、そんなこむぎを見てかたくなだった心を溶かしていく結。

やがてこむぎと結の関係には変化が訪れ、同時に2人の意外な過去も明らかになっていく。

登場人物・キャラクター

楠木 こむぎ (くすのき こむぎ)

東京から北海道へ引っ越して来た高校1年生の女子。東京の高校では人間関係が上手くいかず、気持ちを切り替えるために、離婚した父親が住む北海道の円山高校へ転校を決めた。その経緯から常にどこかおどおどしており、周囲の言動に敏感で、おとなしく振る舞っている。しかし、大神結に好意を抱くと、すぐにそれを伝えるなど、本来は物怖じしないはっきりした性格の持ち主。 結本人からどんなに辛い言葉を投げられても、結のために彼の望む距離を選択する一途さと優しさを持っている。結たちが動物であるという秘密を知る唯一の人物で、彼らから一目置かれている。

大神 結 (おおがみ ゆう)

円山高校の1年生の男子。校内で女子たちが崇めるアイドル的な人気者の1人。実は人の姿をした狼。転校して来た楠木こむぎのクラスメイトで、こむぎとは隣の席。いつも笑顔で年配の先生への気遣いもできる優しい人物だが、その優しさがこむぎにとって害になることもあるほどの天然女たらし。母親に捨てられた過去がトラウマになっており、自分に告白して来たこむぎに対して、誰も好きにならないと宣言、友達関係を貫くつもりでいた。 一方で、伏見燐とこむぎが仲良くしている姿を見ると、つい間に入ってしまうように、微妙な嫉妬心を覚えることもある。人の気持ちというものに疎く、周囲に助言されないと、自分の気持ちにすら気が付かない。

伏見 燐 (ふしみ りん)

円山高校の1年生の男子。校内で女子たちが崇めるアイドル的な人気者の1人。実は人の姿をした狐で、印象的なつり目をしている。人間嫌いで、動物仲間の結を守るという理由も含め、楠木こむぎに対して常に当たりがキツい。ただし、こむぎの結に対する気持ちを知り、次第に柔らかい態度を見せるようになっていく。結の行動にしばしば苛立ちを覚えて、ぶっきらぼうな態度をとるが、彼やこむぎが傷付かないよう、さりげなく気を配るツンデレ気質。 実際は周囲のことをよく見ている優しいお兄さん的存在。一途に自分の気持ちに向き合っているこむぎの姿を見て、少しずつ惹かれていく。

淡路 青芝 (あわじ あおし)

円山高校の1年生の男子。校内で女子たちが崇めるアイドル的な人気者の1人。実は人の姿をした狸。非常に浮ついた振る舞いで、楠木こむぎに対して意地悪を言うなど少々性格が悪く、周囲の皆からは「腹黒狸」呼ばわりされている。ルックスに自信があり、恋愛経験も豊富だが、毎回「思っていたのと違う」と言われて破局を迎えている。 結や伏見燐が何故かこだわりを見せるこむぎに興味があるようで、よく彼らの話をこっそりと盗み聞きしている。しかしそれも、実際は他の動物仲間が傷つかないか心配しての行動である。

深山 千里 (ふかやま せんり)

円山高校の1年生の男子。校内で女子たちが崇めるアイドル的な人気者の1人。実は人の姿をした猫。クールで言葉数も少なく、面倒臭がりな性格。楠木こむぎに正体を知られて以降、積極的に関わりを持つようになった他の動物仲間とは異なり、こむぎとは常に距離を置いている。大人びた雰囲気の持ち主で、周囲に対して無関心に思われがちだが、実際はこむぎと大神結のことをよく見ており、口出しをせずに彼らの関係を見守っている。 過去にはどこかの家でペットとして飼われていたことがある。

八咫 九朗 (やた くろう)

校務員を務めている男性。大神結ら動物仲間4人からは「先生」と呼ばれている。4人に人間になる変化(へんげ)を教えた人物で、実は人間の姿をしたヤタガラス。齢200歳を超え、動物というよりも「正真正銘の化け物」と自称している。抜け目のない性格で、相手の記憶を消すことまでできる。また、結たちのテスト勉強の面倒も熱心に見ている。 これらはすべて結たちを守るための行動であり、厳しくも優しい人物。結たちの正体を知る楠木こむぎを警戒している。

佳奈 (かな)

円山高校の1年生の女子。楠木こむぎのクラスメイトで、こむぎの前の席に座っている。まだ学校に不慣れなこむぎを、次の授業のための着替えに誘うなど面倒見が良い。人間関係に躓いていたこむぎも、すぐに仲良くなった。ゲーム好きで、いつもゲームに没頭しているため、校内のアイドルにもイケメンにも興味はない。

景子 (けいこ)

円山高校の1年生の女子。楠木こむぎのクラスメイトで、佳奈と親しい友人だったので、こむぎとも仲良くなった。こむぎが着ていた東京の学校のジャージがお洒落だと感じるなど、東京に憧れを持っている。どこか大人びた雰囲気の持ち主で、嫌味を言われても、僻みだと特に気にもしない。部活一筋で、部活のみに没頭しているため、校内のアイドルにもイケメンにも興味はない。

大神 百合 (おおがみ ゆり)

大神結の母親。普通の人間であり、夫とは死別している。結を山に置き去りにし、彼の心に深い傷を負わせた張本人。大神百合本人も、深い事情を抱えている。実はこむぎとの間に意外な接点がある。

こむぎの母親 (こむぎのははおや)

楠木こむぎの母親。こむぎの父親と離婚後、東京でこむぎと一緒に暮らしていたが、現在は福岡へ1年間の出張中。何も言わずに我慢してしまうこむぎのことをずっと心配していた。当初は北海道に行かせることも不安だったが、娘のためにそっと背中を押した優しい人物。

こむぎの父親 (こむぎのちちおや)

楠木こむぎの父親。こむぎの母親と離婚後、北海道で両親とともにうどん屋「楠屋うどん」を営んでいる。8年ぶりに再会した娘とどう接していいのか分からず、こむぎの前だとおどおどしてしまうところがある。

場所

円山高校 (まるやまこうこう)

北海道の円山町にある共学の高校。転校した楠木こむぎや大神結たちが通っている。結たちをアイドル的な人気者のように崇めている女子たちがいること以外は、至って普通の田舎にある学校。しかし生徒数は意外と多く、生徒も、こむぎいわく「良い人そうな人が多い」。

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