私の救世主さま

私の救世主さま

突如異世界の「救世主」となった男子高校生が、滅びかけた世界で奮闘する過程で成長してゆくラブファンタジー。「月刊少年ガンガン」'02年2月号から'03年7月号まで連載された。続編として『私の救世主さま -Lacrima-』がある。

正式名称
私の救世主さま
ふりがな
わたしのめしあさま
作者
ジャンル
ファンタジー
レーベル
カドカワコミックス・エース(KADOKAWA)
巻数
既刊6巻
関連商品
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世界観

ファンタジーが題材。現代日本と、宗教戦争が元で崩壊寸前の異世界セレスティアが舞台。セレスティアの「救世主」となった男子高校生の弓樹真弥と、彼の従者である4人の少女「輝ける四法聖」が、セレスティアを救うため戦う姿が描かれる。緻密な設定と魅力的な美少女キャラクターたちも、見逃せない要素のひとつ。

作品誕生のいきさつ

作者の水無月すうは、新装版コミックス2巻からの巻末漫画「救世主様の制作秘話らしきもの」で連載経緯を語っている。連載前当時、フリーターをしながら投稿生活を送っていた水無月。過労と栄養失調に倒れた矢先に本作『私の救世主さま』の連載の話が舞い込み、体調不良を悟られぬよう執筆したことなどが綴られている。

作品構成

本作『私の救世主さま』は、主人公の弓樹真弥と仲間たちが、真弥の住む「地球」と、春儚たちの住む「異世界」を行き来する形で進行する。現代日本での学校生活と異世界セレスティアでの激しい戦いが交互に描かれるうち、「なぜ救世主はセレスティア人ではなく地球人から選ばれるのか」といった謎が明らかになっていく。

あらすじ

気弱で目立たない男子高校生の弓樹真弥は、ある日春儚という不思議な少女から「救世ノススメ」という謎の本を手渡される。春儚の話によると、真弥は異世界セレスティアを救う救世主なのだという。救世ノススメを用いて自分たちを救って欲しいという春儚の願いに快諾する真弥。しかしたどり着いた異世界セレスティアは、彼の想像とはまるで違う滅びかけた世界だった。

単行本の装丁

新装版全6巻の本体表紙には、「オヤヤ? 救世主さま」という連作おまけ漫画が連載されており、1巻から6巻までを揃えると、ひとつの物語が完成する。また、新装版は『私の救世主さま』と続編である『私の救世主さま -Lacrima-』がひとつになった状態で刊行されており、新装版1巻から3巻までが『私の救世主さま』にあたる。

スピンオフ

番外編として、輝ける四法聖の4人の平和な一日を描いた「はるちゃん」、女性キャラクターたちが意中の相手を告白しあう「切ないハートにウェッティ!! 第一回美少女だらけの好きな人告白大会」などがある。いずれも「月刊少年ガンガン増刊 ガンガンパワード」に掲載され、「はるちゃん」は新装版2巻、「切ないハートにウェッティ!! 第一回美少女だらけの好きな人告白大会」は新装版3巻に収録されている。

登場人物・キャラクター

弓樹 真弥 (ゆみき しんや)

童話を愛する、内気で気弱な男子高校生。長めの髪に眼鏡をかけ、小柄で女性のような可愛らしい容姿をしている。勉強もスポーツも苦手で、人と話すことも不得手なため、いつも一人で本を読んでいることが多い。春儚の熱意に打たれて、セレスティア行きを決意するが、救世主としての役割の重さに衝撃を受け、はじめは消極的であった。 しかし、春儚たちを守るため勇敢に戦うようになる。幼い頃に飛行機事故で両親と妹を亡くしており、家族の死因は自分がわがままを言ったからだと思い込んでいる。幼い頃は身体が弱かった。

春儚 (はるな)

弓樹真弥のもとに突如現れた不思議な少女。輝ける四法聖の一人で、「救世の巫女」として救世主の「盾」の役目を担っている。腰まで伸ばした長い桃色の髪の毛を、黄色いリボンでまとめている。瞳の色は赤みがかった紫色。慈悲深く心優しい性格で、「奇跡」といわれる回復魔法の使い手。しかし魔法の使用は自らの命と引き換えに行うため、魔法を使うほど残り寿命が減ってしまう。 これが理由で自分の命はもう長くないと捉えており、実際、無理をするとすぐに倒れてしまう。生まれてから10歳になるまではある場所に閉じ込められており、夢の中に現れる真弥の存在が心の支えだった。

氷刃 (ひめ)

春儚の仲間の少女で、輝ける四法聖の一人。救世主の「剣」の役目を担っている。紫がかったストレートの黒髪を腰まで伸ばし、青い瞳を持つ。生真面目で厳しい性格で、男性のような口調で話す。戦闘手段を持たないままセレスティアにやってきた弓樹真弥をはじめは快く思っていなかったが、真弥の勇気ある行動に心打たれ、次第に認めるようになる。 また、自らを犠牲にして回復魔法を使う春儚のことを非常に心配しており、友人というよりも父親のような態度で接している。いつも怒っているように見えることから、夢衣には「おこりん病」を患っていると評されている。「剣」の役目通り凄腕の剣士だが、北国育ちなため暑さには弱い。好物は甘いもの。

夢衣 (むい)

春儚の仲間の少女で、輝ける四法聖の一人。救世主の「翼」の役目を担っている。明るい茶色の肩まで伸ばしたボブヘアに、2個の大きな鈴がついた黄色いカチューシャをしている。瞳の色はエメラルドグリーン。明るく天真爛漫な性格で、春儚、氷刃、タルタルの4人組の中ではムードメーカー的役割を果たす。機械いじりが好きで、謎の発明を行っては周囲を巻き込むことが多いが、この発明品が思わぬ役に立つこともある。 セレスティア人だが、魔力を持っていない。

タルタル

春儚の仲間の幼い少女で、輝ける四法聖の一人。救世主の「雷」の役目を担っている。小柄な身体に淡い紫色のストレートロングヘアをしており、顔の両脇の髪だけを三つ編みにしている。非常に無口で、主にふきだしではなく書き文字を用いて話す。また、頻繁に一人だけ極端にデフォルメされた姿で描かれるのが特徴。捉えどころのない性格で単独行動も多いが、仲間のことは大切に想っている様子。 薬を作るのが趣味で、よく人を実験台にする。バウルのことは好きではないのか、直接対面を避けている。

璃瑠 (りる)

春儚に続き、弓樹真弥のもとへ突如現れた少女。絶対なる四覇聖の一人で、春儚と対の存在である支配の巫女。胸のあたりまで伸ばした金髪の一部を、両サイドでお団子にしてリボンでまとめている。瞳の色はエメラルドグリーン。わがままで気が強いが、一人ぼっちの存在を見過ごせない心優しい性格。正体を知らぬまま真弥と出会って彼に強く惹かれるが、互いに敵対関係にあることを知り、非常に苦しむようになる。 かつては春儚と親しく、何をするにも一緒の仲だった。しかし13歳の誕生日を機に仲たがいし、今では敵対関係となってしまっている。

榊山 涼平 (さかきやま りょうへい)

弓樹真弥の親友で、同じ高校に通う男子高校生。長めの髪の毛を外にはねさせている。明るい性格で、いつも人に囲まれているほどの人気者。セレスティアのことは知らないが、春儚に出会って以来強く変わり始めた真弥を応援している。真弥を非常に大切に想っており、御代神ら不良グループとは仲が悪い。スポーツ万能だが勉強は苦手。 実家は榊山総合病院で、放課後は家の手伝いをしていることが多い。甘いものが苦手。

スーリ

春儚たちの村に住む幼い少女。長い前髪に、肩のあたりまで伸ばした髪を2つに結んでおさげにしている。目の前で両親をイブル=カトラに殺されて以来、心をなくし呆然自失状態にある。両親を殺される前は春儚と非常に仲が良く、彼女の後をよくついて歩いていた。耳の長い、うさぎのような動物のぬいぐるみを携行している。

御代 神 (みしろ じん)

弓樹真弥と同じ高校に通う男子生徒。前髪を上げ、外にはねさせた強面の人物。校内では不良で知られており、気弱な真弥のみならず、春儚のような女性にも平気で暴力をふるう横暴な性格をしている。榊山涼平とは折り合いが悪く、いつか喧嘩で決着をつけたいと考えている。

祇園寺 和臣 (ぎおんじ かずおみ)

御代神の仲間で、弓樹真弥と同じ高校に通う男子生徒。目が隠れるほど長い前髪に、胸のあたりまで伸ばしたストレートヘアをひとつに結んでいる。神同様、平気で女性にも暴力をふるう残虐な性格で、自分を見下すものを絶対に許さない。常に刃物を携行している。

須藤 礫 (すどう れき)

御代神の仲間で、弓樹真弥と同じ高校に通う男子高校生。髪を真上に立て、非常に大柄で体重は100キロ超。神と祇園寺和臣の3人でよく行動しているが、和臣の振る舞いには一部理解を示さず、彼を止めようとする場面も多い。

糸操りの幻栁 (いとくりのげんや)

サリエル配下の少年。前髪を右寄りの位置で分けて左に流した、目が隠れるほど長い髪型をしている。額と右目の下に入った模様とオッドアイ、ぴったりとした露出度の高い服装が特徴。弱者をいたぶるのが好きな残酷な性格で、自分はサリエルの次に美しいと信じている。絲操術兵(しそうじゅつへい)を使役して戦う。

雷帝イシュテルテ (らいていいしゅてるて)

大天使セキラエルと共に魔物を封じた伝説の13騎士の一人。「優しき破壊神」の異名を持つ。前髪を真ん中で分け、腰まで伸ばしたストレートロングヘアに、筋肉質な身体を持つ若い男性の姿をして現れる。大天使セキラエルの持つ雷の力をすべて受け継いでおり、「怒れる炎帝」カーラーと並ぶ最強の魔人といわれている。ある1匹の魔獣に喰われて亡くなった。

バウル

1000年前、大天使セキラエルとともに魔物と戦った伝説の13騎士の一人。大天使セキラエルから英知を託され、救世主の伝承を守り続けてきた指導者であり預言者でもある。春儚とテレパシーのような力で交信することができ、春儚が眠っている時などは彼女の身体を操って弓樹真弥たちに語り掛けることもできる。

イデス=ハーラ=エリュアデス (いですはーらえりゅあです)

聖都バンダルゲルハイムに住む、新アウリエル派の教皇を務める男性。腰まで伸ばしたストレートロングヘアに、左目にモノクルをかけている。旧セキラエル派との戦いでも手腕をふるい形勢優位に思えたが、絶対なる四覇聖の参戦により危機に陥る。

サリエル

絶対なる四覇聖の長で「死天使」として支配者の「雷」を務める若い男性。前髪を真ん中で分け、額に宝石が埋め込まれているのが特徴。「ノルニルの旋律(うた)」と呼ばれる、未来を先読みする力を持っている。

アギト

絶対なる四覇聖の一人で「狂神」として君臨する若い男性。長めの髪を外にはねさせ、ファーとマントの付いた鎧を着ている。わざと罪深い行いをする狂った性格の持ち主で、涙を流しながら残虐な行いをする。人間の子供しか食べない魔獣を使役している。

ゼオン

絶対なる四覇聖の一人で「獅子帝」として君臨する若い男性。長めの髪の毛を外にはねさせ、和風の出で立ちに刀を所持している。ヘビースモーカーで、常にタバコを吸っているのが特徴。考えの読めない人物だが、仲間の璃瑠のことは大切に想っている様子。

惣 まほか (そう まほか)

弓樹真弥と同じ高校に通う、クラスメイトの女子生徒。長めの前髪に、肩の上で切りそろえたおかっぱヘアをしている。榊山涼平に想いを寄せており、料理が得意なのを活かして彼にお弁当を渡すなどのアプローチをしている。厳上秋枝とは親しく、厳上姉妹にもよく手料理を振る舞っている。

厳上 秋枝 (げんじょう あきえ)

弓樹真弥と同じ高校に通う、クラスメイトの女子生徒。前髪を真ん中で分け、セミロングヘアをひとつに結んでいる。成績優秀でスポーツ万能の優秀な人物で、学年トップの実力を誇る。惣まほかとは親しく、彼女の恋を応援している。姉は榊山総合病院に勤める厳上夏枝。胸が小さいのがコンプレックス。

場所

セレスティア

春儚たちが住む、大天使セキラエルを神とする世界のこと。4年前「セキラエル教」が「旧セキラエル派」と「新アウリエル派」の2つに分かれて始めた戦争により壊滅状態にある。住民は皆生まれつき魔力が備わっているとされるが、夢衣は持っていない。

その他キーワード

救世ノススメ (きゅうせいのすすめ)

春儚が所持している本。一見すると白紙の本のようだが、絶対なる輝きで世界を救う存在「救世主」のみ中を読むことができる。本文にはセレスティアを救う方法が書かれているとされており、春儚は救世ノススメの解読のため弓樹真弥たちの世界へやってきた。真弥を救世主と定めてからは、状況に応じて新たに文字が浮かび上がるようになる。 また、一度封印の解かれた伝説の13騎士を本に収めることもできる。

支配ノススメ (しはいのすすめ)

璃瑠が所持している、救世ノススメの対となる存在の本。装丁は救世ノススメと酷似しており、サリエルはこの本から支配のヒントを得ている。本の内容はセレスティアの覇王「支配者」となるためのすべが綴られているとされる。

イブル=カトラ (いぶるかとら)

セレスティアにおいて、遥か昔に封じられた魔物。爬虫類のような身体に昆虫の羽と大量の触手を持つ。4年前にセレスティア最大規模の宗教「セキラエル教」が2つに分かれて戦争を始めた際、兵器として用いられるが、人の手には負えず単独で暴れまわるようになった。大気を汚し大地を蹂躙し、毎日のように村を襲っては人々を食い散らかしている。

魔法 (まほう)

セレスティアに住むものたちに、生まれつき備わっている力。セレスティアの大気に含まれる火や水などの元素を加速させ「具現化」させる能力のため、大気がその元素を含んでいない弓樹真弥の住む現代ではほぼ使うことができない。春儚の回復魔法も、もともと人間にある治癒能力を加速させる力で、何かをゼロから生み出しているわけではない。

支配者 (えんぴーる)

救世主の対となる存在のこと。セレスティアを救う存在である救世主とは対照的に、この世のすべての運命を操る力を持っているといわれている。そのため支配者が目覚めた場合戦争などはなくなり平和になるが、その代償としてすべての人が自由を失うとされている。救世主の世界を救う力とは相反するため、救世主と支配者は争う運命にある。

預言者の戒め (よげんしゃのいましめ)

バウルの持つ力のこと。大天使セキラエルが預言者の特権として与えたもので、「大天使セキラエルに創られたセレスティアの人間は絶対に逆らえなくなる」という強い力を持つ。よって、「預言者の戒め」を保持するものはセレスティアにおいて誰も傷つけられなくなり、雷帝イシュテルテの力も使役できるようになると考えられる。 そのため春儚たちは、バウルのご神体から弓樹真弥へ預言者の戒めを譲り受けるため、バウルの神殿へ向かうことになる。

四黒元素方陣 (しこくげんそほうじん)

人では制御不能とされた、禁断の魔法のこと。術者の代わりに周囲の元素を絶え間なく集め続ける力を持ち、四黒元素方陣がある限り術者は無限に強大な魔法を使用できる。現在は璃瑠が復活させ、戦闘の際に用いている。

続編

私の救世主さま -Lacrima- (わたしのめしあさま らくりま)

水無月すうの『私の救世主さま』の続編。かつて異世界の「救世主」となった男子高校生の弓樹真弥が、異世界と地球の双方に新たに危機を迫っていることを知り、再び立ち上がる。真弥の、仲間と共に挑む新たな戦いを描... 関連ページ:私の救世主さま -Lacrima-

書誌情報

私の救世主さま 6巻 KADOKAWA〈カドカワコミックス・エース〉

第1巻

(2009-09-24発行、 978-4047153141)

第2巻

(2009-09-24発行、 978-4047153158)

第3巻

(2009-10-21発行、 978-4047153165)

第4巻

(2009-10-21発行、 978-4047153172)

第5巻

(2009-11-19発行、 978-4047153264)

第6巻

(2009-11-19発行、 978-4047153271)

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