あらすじ
同じ高校で同じクラスに在籍し、家がとなり同士で幼なじみの男女、西篠純と小町かおるは、毎日のようにいっしょに登校していた。それはいつもと変わらない、平凡かつ平穏な登校風景だった。しかし、二人は他に類を見ない特異体質の持ち主で、毎日深夜0時を迎えると二人の性別が入れ替わってしまうのだ。今日一日を男性として過ごした純は女性となり、女性として過ごしたかおるは男性に変化する。性別が変わった二人は2階の窓から向かい合い、翌日の登校に備えて互いの制服を交換するのだった。(#1)
毎日深夜0時にかおるとの性別が入れ替わる生活を繰り返していた純はある日、自分とかおるが女性になっている夢を見る。なんともリアリティのある不思議な夢が気にかかった純は、現実でも二人の性別がいつしか固定され、単なる同性の幼なじみになってしまうかもしれないという、漠然とした不安を抱く。帰宅中に純の家に立ち寄ったかおるも、期せずして純とまったく同じ夢を見ていた。二人が同性になる可能性について純から感想を聞かれたかおるは突如として感情を爆発させ、思わず純に抱きつく。そんなかおるの様子を見た純は、彼女を強く抱き締めるのだった。(#15)
登場人物・キャラクター
西篠 純 (にししの じゅん)
とある高校に通う男子。栗色の髪で優し気な顔立ちをしている。左目に泣きぼくろがある。のんびりした性格ながら、やる時はやるしっかり者。同じクラスの小町かおるとは家がとなり同士の幼なじみで、深夜0時になるとかおると性別が入れ替わってしまう特異体質の持ち主。そのため一日ごとに異なる性別で過ごしており、女性の時はグラマラスな体型になり、その雰囲気や性格がより柔和になる。深夜0時にかおると制服を交換するのが日課となり、交換した制服を翌日に着用して登校している。学校のクラスメイトには特異体質が周知の事実のため、一日ごとに性別が変わることを誰も気にしていない。大抵のことはそつなくこなせるが少々ドジなところあり、男性の時に女性とカンちがいしてネイルをしたまま登校してしまうこともある。勉強家で、夏休みには綿密な計画を立ててかおると共に勉学に励んでいた。しかしカナヅチなため、水泳の授業だけはかおるに対し呪詛(じゅそ)のような愚痴をこぼすほど苦手にしている。かおるとは気の置けない友人同士だが、ずっと恋人未満の状態が続いてる。ここ最近は女性になったかおるの色気に迷い、惹かれている。
小町 かおる
とある高校に通う女子。ショートヘアの美しい顔立ちをしている。きまぐれな性格で社交的ながら、かなりの面倒くさがり屋。同じクラスの西篠純とは家がとなり同士の幼なじみで、深夜0時になると純と性別が入れ替わってしまう特異体質の持ち主。そのため一日ごとに異なる性別で過ごしている。深夜0時に純と制服を交換するのが日課となっており、交換した制服を翌日に着用して登校している。男性の時は長身のイケメンとなり、その雰囲気や性格はよりぶっきらぼうで言動も子供っぽくなる。学校のクラスメイトには特異体質が周知の事実のため、一日ごとに性別が変わることを誰も気にしていない。頻繁に寝坊して、たびたび学校に遅刻している遅刻魔でもある。勉強はあまり得意ではなく、机の前にずっと座っていることを苦手としている。学校でも私生活でも、しっかり者の純のことをなにかと頼りにしている。純とははた目から見ても仲がいいが、ここ最近は友達以上恋人未満という微妙な関係が続いている。女性の時に純と小旅行に出かけた際は、もっと純との関係を深めたいと考えていた。
花 (はな)
西篠純と小町かおると同じ高校に通う女子。親元を離れて高校に通っている。ロングヘアで、つねに鼻腔拡張テープを付けている。非常にアクティブな性格の変人。本名は「花見」だが、クラスメイトからは「花」と呼ばれている。美術全般が得意で、学校にいる時はヒマさえあればキャンバスに向かって絵を描いている。純とかおるの親友で、美術室に三人で集まって話に花を咲かせていた。純が女性の時の容姿をいたく気に入り、胸やお尻を触るなど、ナチュラルにセクハラを働いている。絵画の才能は周囲の誰もが認めるところだが、家族からはまったく理解されておらず、絵を描くことを早く辞めるようにプレッシャーをかけられている。そのため、ここ最近は家族との折り合いが悪くなっており、夏休みになっても帰郷せず、正月には祖父の家に泊まるなど、実家に寄り付かなくなっている。純とかおるの仲を察し、遠くから彼らの関係の進展を見守っていた。
須田 (すだ)
西篠純と小町かおると同じ高校に通う男子。純とかおるのクラスメイト。かおるの友人で、男性の時のかおるとよく遊んでいた。女性にまったくモテないことを思い悩んでおり、クラスメイトの前でいつもため息交じりの愚痴をこぼしてしている。かおるからその原因は「顔」にあると、身もふたもないことを言われていた。純とかおるは実質恋人同士のようなものだと勝手に思い込んでいる。
佐藤 (さとう)
西篠純と小町かおると同じ高校に通う男子。物静かな性格で、眼鏡をかけている。西篠純の友人で、純がどちらの性別の時もよくいっしょに行動していた。実家は神社で、正月などの繁忙期を迎えると、おみくじやお守りなどの販売員となりお手伝いをしている。